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Presented By SORCERIAN Next team.
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2017-2020, SORCERIAN Next Team
0 **プロローグ** ある日、私は道端に落ちていた一冊の本を拾った。 それは焦げ茶の本皮が張られた高価そうな分厚い本で、背と表紙には金の文字で『終わらない物語』と箔押しされていたのを覚えている。 だが、不思議なことに著者名だけは表面上の何処にも見当たらなかった。 私は冒険者ではあるが、休日は専ら本を読み漁る程の読書家であると自負している。 その私が本を拾ったとなれば、どのような行動に出るかは言うのも野暮だろう。 もしかしたら顔も知らぬ誰かの手記である可能性もあったが、ここまで立派な装丁で題名まで書かれているのだから、きっとこれは読み物に違いない。 私の中で湧き上がる好奇心がそんな勝手な言い訳を頭の中で展開し、私の手はそれに倣って表紙をゆっくりと捲った。 ……ここまでが、私が覚えていたことになる。 気が付けば私は道端で恥ずかしげもなく寝転がり、霞掛かる意識のまま横に首を傾ければ馬車が迫ってきていたのだから、意識の覚醒は早かった。 過ぎ行く馬車を見送った後、私は本を読んでいたことを思い出して己の手に視線を向けた。 しかし、私の手の中はおろか、周辺でさえもあの本は影も形もなかったのである。私の記憶にある筈の物語の内容さえも。 こんな馬鹿げた話があるだろうか! 本を読んだというのに、感想も感動も抱けないというのだから! まあ、私が本を拾う夢を見ていたのだとしたら、全ての辻褄は合うのだが、これが現実にせよ夢にせよ、内容を覚えていないというのは何とも勿体無い。私は自分自身に腹を立てた。 だが、こんな場所でいつまでも地団駄を踏んでいる訳にもいかない。 いずれまた同じ夢が見れることを祈ろう。 ――そう諦め、次の機会に期待し、私はペンタウァ方面に向かって歩き始めたのだが。 ふと脳裏に浮かんだ、あの本の冒頭に書かれた一節。 私は無意識の内にそれを声に出していた。 **『これは、貴方が絵本の世界を救うか否かの物語』** ------------------------------------------------------------ **冒険の目的** 手にした筈なのに消えている。読んだ筈なのに覚えてない。 ペンタウァではそんな『消える本』の噂が徐々に広まってきている。 その本が夢なのか幻なのかは、今も誰一人として分かっていない。 何せその本自体が何処にあるのか分からないのだから。 だが、害とも益ともつかぬ謎を放置する訳にはいかないだろう。 天変地異の前触れだったとしたら、手遅れになるかもしれないのだ。 読書好きも読書嫌いも、この際問わぬ。 勇気ある者はこの『消える本』の謎に挑んではくれないだろうか』 ![少女は英雄を語りて](hero01.gif) [冒険に挑む](00100) 00100 君はペンタウァで『消える本』の依頼を受け、その本を目撃したという草原に来ている。 風が優しくそよぎ、猫でもいたら日向ぼっこでもしているであろう、そんな良い天気だ。 もし本が何処かにあろうものなら、発見し易い絶好の機会とも言えるだろう。君はそんな機会を逃すまいと周囲に目を配る。 だが、相手は自由自在(?)に消えたり現れたりするような神出鬼没のヘンテコな本だ。そう簡単には見つかるはずはない。 ……と思っていたその時だ。**君は急に何かの気配を感じた!** さて、君はどうする? [振り返る](00200) [上を向く](00300) [飛び退る](00400) 00200 奇妙な気配を感じた君は、武器を手に振り向いた! しかしそこには何もいない。 首を傾げる君だったが、突然頭に鈍い痛みと衝撃が走り、思わずその場にうずくまってしまう! **う、うぐぐ……。** 君は目尻に薄らと涙を浮かべつつ、自分の頭の上に落ちてきて、今は足元に落ちている物を睨み付けた。そして君は小さく声を漏らす。 それはまさしく君が探していた本だったのだ! %red%**▼HPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](00500) 00300 奇妙な気配を感じた君は、ハッとして上を向いた。 しかし、気づいた時には何もかもが遅かった。 君は何か硬くて重いものを物凄い衝撃と共に顔面で受けてしまった。 **痛い! 痛すぎる!** 目から火花とはまさにこのことか! 君は顔面に落ちてきた物体のことなど忘れ、顔を押さえて暫くのたうち回った。 ようやく痛みも落ち着き、君は正気を取り戻した。 ヒリヒリとする鼻を擦りつつ、君は自分の足元に何かが落ちていることに気がついた。そして君は小さく声を漏らす。 それはまさしく君が探していた本だったのだ! %red%**▼HPに5ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](00500) 00400 奇妙な気配を感じた君は、本能のままにその場から飛び退った。 すると先程まで自分がいた位置に、何かが鈍い音を立てて落ちてきたのだ! もしそのままあの場所にいたら、間違いなく君に直撃していただろう。 君は己の直感と幸運に感謝しつつ、恐る恐る落下物に近づいた。そして君は小さく声を漏らす。 それはまさしく君が探していた本だったのだ! [次へ進む](00500) 00500 目撃証言のとおり、本は急に現れた。 焦げ茶の本皮が張られた高価そうな分厚い本。 見たところ特徴も合致しているし、これが『消える本』とみて(多分)間違いではないだろう。 君は念のために本を指先で軽く突いてみるが、特に反応も変化もない。 周囲に危険がないことを確認した君は、ずっしりと重たく立派な本を手に取ってその場に座り込んだ。 両手の中にある本を改めてよく見ると、背と表紙には金の文字で『終わらない物語』と箔押しされている。 これも目撃証言と同じだ。君はこの本が『消える本』である、と確証を得ることができた。 [次へ進む](00600) 00600 ここまでは目撃証言と同じだが、奇妙なことに目撃者の誰一人として本の内容を覚えていないのだという。 一体どんな内容が書かれているというのだろう? 君は興味半分、不安半分といった心持ちで本を開くと、そこには何か書かれていた。 君はその一文を目でなぞる。 **『これは、貴方が絵本の世界を救うか否かの物語』** そんな一文を理解した瞬間、目の前の本が突然光り出した! 君は何の抵抗もできないまま、眩い光に包まれてしまったのだった。 [次へ進む](00700) [07974,09113,09122,01114,01184,01794,01797,333221,543210,332211,654321](X) 00700 **「どうせ何も変わらない……きっと貴方も他の人と同じ…… 辿り着けず、そして帰ってゆくだけ……」** 薄れゆく意識の中で、君は誰かの声を聞いた気がした。 [次へ進む](00800) 00800 意識が覚醒する。 全身の感覚が戻った君は、閉じていた瞼を上げた。 自分は確かに立っているが、問題は見知らぬ建物の中にいるというところだ。 辺りを見回してみるが、先程まで君がいた草原は影も形もない。本もちゃっかり消えている。 それに、後ろを振り返ってみても壁があるだけで、出入り口のようなものも一切ない。 石造りの壁と、金の刺繍が施された赤い絨毯が敷かれた一本の長い廊下。 ここは地下なのか窓のようなものは確認できない。 だが、壁に等間隔で備えつけられた松明のおかげで先が見通せるくらいには明るかった。 見たところ城のような豪奢な建物の中のようだが、君の記憶の中にはこの建物のことはないようだ。 一体ここは何処なのだろうか? 君はその謎を解き明かすべく、謎の回廊を歩き出した。 [次に進む](00900) 00900 回廊を歩いていた君は、滝が流れている部屋に出た。 部屋の中央の壁に開けられた穴から勢いよく水が流れ落ち、その水を受けるように囲いが作られている。 いわゆる水場というヤツだ。 さて、君はどうする? [滝を調べる](01000) [水を飲む](01100) [滝を無視して進む](01200) 01000 君は滝を調べてみることにした。 **DEXまたはINTで判定「この たき は?」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~5の場合](01300) [▲6~22の場合](01400) 01100 君は突然知らない建物の中に飛ばされた緊張からか喉の渇きを覚えていた。 目の前の水は透明度も高く、特におかしな臭いもしない。 君は安心して両手で水をすくって口に含んだ。 水はよく冷えていて、喉も気持ちも潤ってゆくのを感じる……。 君は満足げに口元を拭い、再び歩き出した。 [次へ進む](02100) 01200 今は一刻も早くここが何処であるのか知りたい。 君は足早にこの場を通り過ぎた。 [次へ進む](02100) 01300 君は滝を調べてみたが、特に何も気付かなかった。 無駄骨を折ったと渋い顔をした君だったが、ふと喉が渇いていたことに気がついた。 目の前の水は透明度も高く、特におかしな臭いもしない。 君は安心して両手で水をすくって口に含んだ。 水はよく冷えていて、喉も気持ちも潤ってゆくのを感じる……。 君は満足げに口元を拭い、再び歩き出した。 [次へ進む](02100) 01400 滝を調べていた君は、水場の岩の隙間に小さな魚がいることに気がついた。 しかし、その魚に生気はなく、濁った目をして力なく浮いている。どうやら死んで岩の間に引っ掛かっているようだ。 嫌な予感が脳裏をよぎった君は、滝を無視することに決めた。 続いて、滝を通り過ぎたところにフルプレートアーマーを着込んだ騎士の石像が一体飾られていることも分かった。 大剣を両手で持ち、胸の前でかざしているようなポーズをしている。 君はこの石像を調べてもいいし、調べなくてもいい。 [石像を調べる](01500) [無視して進む](01200) 01500 今にも動き出しそうな石像だ。君は気になって石像を調べ始めた。 突如キラリ、と兜の中の暗闇が怪しく光った。 二つの光……否、感情の読めない冷たい眼光と君の視線がかち合い、君は慌てて距離を置く。 今にも動き出しそう、ではない。今まさに石像は動いているのだ! [次へ進む](01510) 01510 騎士の石像は、重々しい音を立てながら一歩、また一歩と近づいてくる。 君の身の丈を優に超えた石像が、巨大な剣を手に迫ってきているのである。 これは君にとって此処では初めての戦闘になる。 さぁ、武器を手に騎士の石像に立ち向かうのだ! **STRまたはINTで判定「はじめての たたかい」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+STRまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~8の場合](01600) [▲9~22の場合](01700) **逃亡を選ぶ場合はDEXで判定「はじめての とうぼう」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~18の場合](01800) [▲19~22の場合](01900) 01600 騎士の石像は大剣を振り上げて君に向かって叩きつけてくるが、その動きは緩慢で簡単に見切ることができた。 君は反撃とばかりに騎士の石像の動きを掻い潜って攻撃を仕掛ける。 だが、踏み込みが甘かったのか、それとも力が足りなかったのか、騎士の石像に僅かにヒビを入れることしかできなかった。 硬い相手を攻撃して手がちょっと痺れた……。 %red%**▼HPに1ダメージを受けた!**%/% **STRまたはINTで判定「まだまだ いくぜ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+STRまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~8の場合](02000) [▲9~22の場合](01700) **逃亡を選ぶ場合はDEXで判定「みのがして くれ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~18の場合](01800) [▲19~22の場合](01900) 01700 騎士の石像は大剣を振り上げて君に向かって叩きつけてくるが、君は危なげなく回避する。 君は反撃とばかりに騎士の石像の動きを掻い潜り、渾身の力を込めて攻撃を仕掛ける。 すると、騎士の石像にとっては当たり所が悪かったのか、意外なほどあっさりと体の一部を壊すことができた。 **トドメだ!** 君は間髪入れずに騎士の石像を攻撃した。 君の武器は騎士の石像を粉々に粉砕する……かと思いきや、騎士の石像はまるで紙がぐしゃりと潰れるような奇妙な手応えを残し、そのまま跡形もなく消えてしまったのだ。 戦っていた時には確かに重量を感じていたというのに、最後の一撃はまるで紙でも相手にしているかのように手応えがなかった。 あの騎士は一体何だったのだろうか? 君は石像とは思えぬ軽い手応えに困惑しつつ、それでも先に進むのであった。 [次へ進む](02200 "-f2") [次へ進む](02201 "f2") 01800 騎士の石像となんて戦ってはいられない。君は逃亡を決意した。 君は騎士の石像の脇を走り抜け、目の前の扉を開けようと試みる。 しかし、扉は何かの魔力が働いてでもいるのかビクともしない。 まさかの事態に動揺する君は何度もドアを開けようと試みるが、ふと背後に風を感じて振り返ると、騎士の石像の大剣が今まさに振り下ろされようとしているではないか! **危ない!** 君は咄嗟に騎士の石像の足元に飛び出すようにして転がると、そのすぐ後に鈍い振動と共に重い音が部屋に響き渡った。 体勢を整えた君が見たのは、大剣が先程まで君がいた場所にめり込んでいる光景だった。全身が恐怖でゾクリと粟立つ。 %red%**▼MPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](01700) 01900 騎士の石像となんて戦ってはいられない。君は逃亡を決意した。 君は騎士の石像の脇を走り抜け、目の前の扉を開けようと試みる。 しかし、扉は何かの魔力が働いてでもいるのかビクともしない。 もしかしたらこの騎士の石像が扉の守護者なのかもしれないと考えた君は、扉からサッと身をひるがえして騎士の石像と向き合った。 ここはやはり戦うしかないのだ! [次へ進む](01700) 02000 君は手にちょっぴり痺れを感じつつ、我慢して騎士の石像に再度攻撃した。 先程ヒビが入ったところに武器が触れると、更にヒビが入って騎士の石像の一部が壊れる。先程の攻撃は無駄じゃなかったのだ! これでトドメだ! 君は間髪入れずに騎士の石像を攻撃した。 君の武器は騎士の石像を粉々に粉砕する……かと思いきや、騎士の石像はまるで紙がぐしゃりと潰れるような奇妙な手応えを残し、そのまま跡形もなく消えてしまったのだ。 戦っていた時には確かに重量を感じていたというのに、最後の一撃はまるで紙でも相手にしているかのように手応えがなかった。 あの騎士は一体何だったのだろうか? 石像とは思えぬ軽い手応えに君は困惑しつつ、それでも先に進むのであった。 [次へ進む](02200 "-f2") [次へ進む](02201 "f2") 02100 扉に向かって歩く君は、突然何かの気配を感じて立ち止まった。 嫌な予感がして振り向くと、先程までは置物として静かに立っていた騎士の石像が急に動き出したではないか! ただの置物ではなかったのだ! [次へ進む](02110) 02110 両手で持った大剣を胸元に掲げた騎士の石像は、目を光らせて君の方にゆっくりと向かってきている。 君の身の丈を優に超えた石像が、巨大な剣を手に迫ってきているのである。 これは君にとって此処では初めての戦闘になる。 さぁ、武器を手に騎士の石像に立ち向かうのだ! **STRまたはINTで判定「はじめての たたかい」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+STRまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~8の場合](01600) [▲9~22の場合](01700) **逃亡を選ぶ場合はDEXで判定「はじめての とうぼう」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~18の場合](01800) [▲19~22の場合](01900) 02200 扉は特に何の苦労もなくあっけなく開いた。 もしかしたらまた敵に襲われるかもしれない。 君は気を引き締め、次の部屋に入った。 [次へ進む](02300) 02201 扉はあっけなく開いた。 やはりあの騎士の石像を倒すことが開錠の条件だったようだ。 もしかしたらまた敵に襲われるかもしれない。 君は気を引き締め、次の部屋に入った。 [次へ進む](02300) 02300 次の部屋に入ってすぐに人一人分の高さがある段差と、その段差の先に壁からせり出している石の足場のようなものが二つ見えた。 君は石でできた段差を周囲に警戒しながら登った。その方法は君のやり易い方法で登ったとしよう。 その場から目の前を見ると、二つの足場の先には君が現在立っている四角い石と同じくらいの高さの段差があるのが見えた。 この部屋を越えるのならば、君は壁からせり出した二つの足場も利用して向こう側まで飛び移らなければならない。 何故なら、段差と段差の間には、槍のような長い棘が無数に天井を向いている、そんな恐ろしい罠が仕掛けられているからだ。 [次へ進む](02400) 02400 段差から一つ目の足場までの距離は、君が両手を広げてもあと手一つ分ほど届かないといったところだろう。 飛び越えることも可能だろうが、何せ下には槍のような棘が待ち構えている。 もし足でも滑らせたなら、君は間違いなく串刺しにされてしまうだろう。 さて、君はどうする? [飛び移る](02500) [様子を見る](02600) 02500 君は足場に飛び移ることに決めた。 呼吸を整え、目の先にある足場までの距離を入念に調べる。 覚悟を決めた君は、足場を目がけて勢いよく跳ぶ! **DEXで判定「とぶぞ! とぶぞ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~6の場合](02700) [▲7~22の場合](02800) [やっぱり様子を見る](02600) 02600 得体の知れない場所では慎重な行動が大事だ。君は注意深く周囲を観察した。 特に異常はないと安堵した君だったが、ふと天井を見上げて仰天した。 天井から吊るされたシャンデリアに白い鳥の群れが止まっているではないか! 白い鳥たちはさえずる様子もなく、ただじっとしてこちらを見つめている……ような気がする。 もしあのまま足場まで跳んでいたら、あの白い鳥たちが一斉に襲い掛かってきていたかもしれない。 君は少しの時間をかけて、騎士の石像が床を割った際にできた破片を拾ってから戻ってきた。 小石ほどの大きさの破片を試しに足場へと放ってみると、破片が足場に当たった瞬間、白い鳥たちが欠片に向かって一斉に飛び掛かる! その羽音のなんと大きなことか! 暫くして白い鳥たちは定位置に戻ったが、君は白い鳥のあの獰猛さと鋭い目を見て、放置する訳にはいかないと判断した。 君は白い鳥を地道に倒してから足場に飛び移り、何事もなく障害をクリアしたのだった。 %red%**▼HPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](02900) 02700 意を決して足場へと跳んだ君は、予想よりもあっさりと足場に飛び移ることができた。 君はホッと胸を撫で下ろす。罠の棘が君を少しだけ弱気にしていたのかもしれない。 しかし、安堵したのは束の間。 急に頭上から羽音が聞こえ、君は反射的に上を向くと、白い鳥の群れが君を目掛けて強襲してきた! 君は必至に抵抗し、何とか白い鳥の群れを倒すことができた。 突然の強襲は思わぬ痛手となったが、次の足場に飛び移る際の障害が排除できたのは大きい。 よし、次だ! 君は次の足場へと飛び移り、今度こそ無事に障害をクリアすることができたのだった。 %red%**▼HPとMPに5ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](02900) 02800 意を決して足場へと跳んだ君は、あっさりと足場に飛び移ることができた。 やはり自信満々に跳んだのが良かったのだろう。君は満足げに頷く。 しかし、安堵したのは束の間。 急に頭上から羽音が聞こえ、君は反射的に上を向くと、白い鳥の群れが君を目掛けて強襲してきた! 自信に満ち溢れていた君は突然の強襲に怯むことはなく、落ち着いて白い鳥の群れを倒すことができた。 突然の強襲に驚きはしたが、何のことはない。 寧ろ次の足場に飛び移る際の障害が排除できたのは幸運だった。 よし、次だ! 君は再び自信満々といった風で次の足場へと飛び移り、今度こそ無事に障害をクリアすることができたのだった。 %red%**▼HPとMPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](02900) 02900 君は恐ろしい棘の罠を何とか越えることができた安堵から、ほぅと息をつく。 だが、先程の白い鳥との戦いで、君は新たな疑問を持つことになった。 白い鳥を攻撃した瞬間、白い鳥の体は紙切れになり、そのまま消えてしまったからだ。 紙を切る感触。跡形もなく消えた体。それは騎士の石像の時と同じだった。 君はまたしても奇妙な違和感を抱きながら、それでも次の部屋へと歩むのだった。 [次へ進む](03000) 03000 扉を開けるとまたしても高低差のある部屋に出た。 前の部屋の足場と同じ高さにある扉から今いる部屋に入ったこともあり、今の君は高い場所に立っているという状態なのだ。 五歩ほど歩くと足場の端に着き、そこから真下を覗くと、透き通った水が溜まっている水場が見える。 更に視線を前に動かすと水を囲う石の縁が、更にその先には石畳と扉が見えた。 君が着地するとすれば、石の縁の上か石畳の上になるだろう。 さて、君はどうする? [石の縁を目掛けて跳ぶ](03100 "-f1") [石の縁を目掛けて跳ぶ](03300 "f1") [石畳を目掛けて跳ぶ](03200 "-f1") [石畳を目掛けて跳ぶ](03300 "f1") 03100 君は石の縁を目掛けて跳んだ。 落下する瞬間は若干背筋が粟立ったものの、君は着地に見事成功した……と思ったのだが、石の縁が滑り気を帯びていたのだろうか、君は足を滑らせてしまう! 慌ててバランスを取ろうとする間もなく、君は強かに臀部を打ち付けてしまった。 俗に言う尻もちをついた状態だ。 あまりの痛みに声が出ない。その代わりに嫌な汗が全身から吹き出した。 %red%**▼HPに5ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](03500) 03200 君は石畳を目掛けて跳んだ。 落下する瞬間は若干背筋が粟立ったものの、君は着地に見事成功した。 着地の衝撃で足からジンジンとした痛みと痺れを感じたが、無事に着地できたのだから、多少の痛みは仕方がないということにしておこう。 %red%**▼HPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](03500) 03300 君は目標を目指して跳ぼうとしたが、不思議なことに足に力が入らない。 急に全身が重くなったような感じがした。 次第に息苦しさも感じ始め、足で自分の体重を支え切れなくなった君は、ついにその場に倒れ込んでしまった。 幸いにも足場から落ちるようなことはなかったが、この状態は明らかに異常だ。 一体どうしてこんなことに……? 薄れゆく意識の中で君が見たのは、不自然な浮き方で水面に浮かぶ魚の姿だった。 ああ……あの時に飲んだのは毒の水だったのか……。 %red%**▼HPとMPに5ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](03400) 03400 静かな空間の中、君は目を覚ました。どうやら気絶していたらしい。 今では呼吸も正常で、ただ少しだけ体が気だるいような感じがするだけだ。 気絶してからどれだけの時間が過ぎたのかは分からないが、何者かに襲撃されるようなこともなく、こうして生きているのは運が良かったと言えるだろう。 君は座ったり立ったりして体の調子を整えた後、石畳の上へと跳んで無事に着地することができたのだった。 [次へ進む](03500) 03500 散り際は紙の如く消えた石像と鳥。生死を分かつ凶悪な罠。 そんなものが仕掛けられたこの城は一体何なのだろう。 謎は益々深みを増してゆくが、ここで歩みを止めることは許されない。 先の見えない恐怖に震え、立ち止まることは、何の解決にもならないのだ。 次の部屋では一体何が待ち受けているのだろうか。 君は改めて気を引き締めると、次の部屋へと続く扉に向かって歩き出した。 [次へ進む](03600) 03600 君は金属で作られた扉を押し開いた……**その時だ!** [嫌な予感がして横に避ける](03700) 03700 何が『飛んできた』かなど脳が理解する前に、君は自分の本能に身を任せて横に避けた。 刹那、君は頬に鋭い一筋の風が通り過ぎるのを感じた。 途端に全身からじわりとした汗が噴き出る。 聞き覚えのある風切り音。そして、やや距離のある高所に立つ人影。 君はその人影が弓を構えているのを認め、身構えた。 頬を掠めた風は、あの人影によって射られた矢だったのだ! [次へ進む](03800) 03800 君が見える範囲で言うならば、人影が立っている位置というのは、棘の罠があった部屋と同じく人一人分の高低差のある足場の上だ。 人影のことを仮に『狩人』と名付けよう。 狩人は中肉中背の男といった風体だが、顔面を覆う白い仮面を着けていて表情は分からない。 今はその狩人が弓に矢をつがえて狙いを定めている。 さて、君はどうする? [声を掛けてみる](03900) [走って狩人に近づく](04200) 03900 もしかしたら話が通じる相手なのかもしれない。 そう思った君は、大きな声で「まずは話をしよう」といったような言葉で狩人に呼びかけた。 だが、君の理性的な呼び掛けも空しく、狩人は君に二本目の矢を放ってきた。 話なんて通じる相手ではなかったのだ! **DEXで判定「なんて やろうだ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~8の場合](04000) [▲9~22の場合](04100) 04000 放たれた矢は運悪く君の利き腕の肉をえぐり取るように命中してしまった! 矢が突き刺さって抜けないといったことにはならなかったが、矢じりにえぐられた腕から灼熱の痛みが走り、君は顔を歪めて低く呻いた。 今度こそは致命傷に至る傷を負うかもしれない。 君は痛みに耐えながら次の行動を考える。 %red%**▼HPに5ダメージを受けた!**%/% [走って狩人に近づく](04300) [様子を見る](04400) 04100 君は持ち前の身軽さか、もしくは幸運の女神が味方したのか、間一髪で狩人の矢を回避することができた! **あ、危なかった……!** しかし、今度こそは致命傷に至る傷を負うかもしれない。 君は狩人の動きを警戒しながら次の手を考える。 [走って狩人に近づく](04200) [様子を見る](04500) 04200 警告の一言もなしに攻撃を仕掛けてきたような相手だ。油断は死に直結するだろう。 君は狩人とは意思の疎通はできないと判断し、相手の動向に注意を払いながら駆け出した! [次へ進む](04600) 04300 狩人は警告の一言もなく攻撃を仕掛けてきた。 この身に矢を受けたのだから、狩人とは意思の疎通ができないものと判断しても間違いはないだろう。 負傷した腕から伝わる熱量と痛みに、額から汗が浮かび上がってくるのを感じる。 だが、こんなところで気を乱していては矢の良い的になってしまう。 君は歯を食いしばり、相手の動向に注意を払いながら駆け出した! %red%**▼MPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](04500) 04400 警告の一言もなしに攻撃を仕掛けてきたような相手だ。油断は死に直結するだろう。 君は慎重に相手の動きを読もうと意識を集中させる……のだが、放たれる矢を避け、放たれる矢を避けの繰り返しでまったく前に進めていない。 更に、狩人の矢を枯渇させようと試みるも、矢筒に魔法でも掛かっているのか一向に矢が尽きる気配もない。 ……どうやら少々慎重になり過ぎたようだ。 負傷した腕から伝わる熱量と痛みに、額から汗が浮かび上がってくるのを感じる。 だが、今はそんなことを気にしていてはいつまで経っても前に進めない。 君は歯を食いしばって覚悟を決めると、狩人に向かって駆け出した! %red%**▼MPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](04600) 04500 警告の一言もなしに攻撃を仕掛けてきたような相手だ。油断は死に直結するだろう。 君は慎重に相手の動きを読もうと意識を集中させる……のだが、放たれる矢を避け、放たれる矢を避けの繰り返しでまったく前に進めていない。 更に、狩人の矢を枯渇させようと試みるも、矢筒に魔法でも掛かっているのか一向に矢が尽きる気配もない。 ……どうやら少々慎重になり過ぎたようだ。 君は覚悟を決めると、狩人に向かって駆け出した! %red%**▼MPに1ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](04600) 04600 一気に狩人との間合いを詰めると、狩人は近距離から弓が使えないと判断したのか、弓を捨てて短剣を手に足場から飛び降りてきた! 君にとってはそれが吉と出るか凶と出るかは分からないが、こうなった以上は狩人と戦うしか道はない。 さぁ、己が武器を手に狩人と戦うのだ! **STRまたはINTで判定「やってやるぜ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+STRまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~8の場合](04700) [▲9~22の場合](04800) 04700 接近戦に持ち込んできた狩人の短剣が君に向かって振るわれる。 君はその一撃を武器であしらうと、お返しとばかりに反撃に転じた。 しかし、相手が一枚上手だったのか、君の一撃はいとも簡単に回避されてしまった! 攻撃すれば回避され、攻撃されれば回避する。そんな攻防をどのくらい続けていたのだろう。 君が息を乱して武器を構えている一方、狩人の方は息を乱している様子もない。 仮面越しであることを加味しても、呼吸の音も聞こえなければ、呼吸で肩が揺れ動く様子も見て取れないという不気味さだ。 だが、君の一撃一撃が効いているのか、狩人の動きは確実に鈍っている。 そろそろ決めなければなるまい。 武器を握る手に力を込め、君は狩人に一撃を叩き込んだ! %red%**▼HPとMPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](04900) 04800 接近戦に持ち込んできた狩人の短剣が君に向かって振るわれる。 君はその一撃を武器であしらうと、お返しとばかりに反撃に転じた。 流石勇敢なりし者と謳われるソーサリアンと言うべきか。 君の反撃は見事に狩人の体に直撃し、狩人はバランスを崩した。 そろそろ決めなければなるまい。 武器を握る手に力を込め、君は狩人に一撃を叩き込んだ! [次へ進む](04900) 04900 それはサクリ、とした軽くて薄っぺらな感触だった。 人を切った感触でもなければ、石像をかち割った感触でもない。 だが、君はこの感触を知っている。 恐ろしいほど軽く切り裂かれた狩人は、見る見るうちに平たくなったかと思うと、そのまま音もなく消え失せてしまった。 そう、騎士の石像や白い鳥と同様に、狩人もまた倒した途端に紙へと変化し、そのまま消えてしまったのである。 君は辺りを見回すが、狩人の弓矢も短剣も残ってはいない。この場にいるのは君一人だけだ。 もしこの痛みや疲れさえなければ、奇妙な夢でも見ているのだと思うことができるのだが、そう都合の良い展開ではないようだ。 **『まさか……そんな、まさかね。 これは……そう、これはきっとまぐれに違いないわ……』** 君は何か視線のようなものを感じて振り向くが、当然そこには誰もいなかった。 とりあえずの障害を退けた君は、城内の探索を再開することにした。 [次へ進む](05000) 05000 君は狩人が元々立っていた場所まで何とかよじ登ることができた。 しかし、またしても行先を阻むのは棘の山だ。 しかも今度は助走をつけたとしても到底反対側には飛び移れそうもない、そんな絶望的な距離がある。 もう棘の罠にはうんざりしているところなのだが、此処を越えなければ先に進むことはできないというのだから堪らない。 さて、君はどうする? [周囲を調べる](05100) [休憩する](05200) [飛び越える](05300) 05100 飛び越える? いやいや、まずは安全な解決策を探すべきだろう。 君は何か仕掛けがないか周囲を調べることにした。 [足元を調べる](05400) [罠を調べる](05500) [やっぱり休憩する](05200) 05200 休んでから本気出す。 という訳で、とりあえず一旦休憩しよう。 君は安全を確認した後、座って少しだけ休憩することにした。 %blue%**▲HPとMPが2回復した!**%/% [次へ進む](05600) 05300 もう一度言おう。 **行先を阻むのは棘の山だ。 しかも今度は助走をつけたとしても到底反対側には飛び移れそうもない、そんな絶望的な距離がある。** そう忠告した筈だ。 それでもなお、君はこの棘の山を飛び越えようと考えているのだろうか? やめておきたまえ。この棘は槍のような長さがあり、飛び越えられなかった場合、君は串刺しになってしまうのだから。 [それでも飛び越える](05700) [やっぱり周囲を調べる](05100) [やっぱり休憩する](05200) 05400 君は手近なところで足元を調べてみた。 だが、特に何も見つからなかった。がっくり……。 [今度は罠を調べる](05500 "-f5") [次へ進む](06000 "f5") 05500 君は改めて罠をまじまじと観察した。 他の部屋で見た罠と同じく、目の前の罠も恐ろしいほど鋭利で長い棘の先端が天を向いている。 更に棘は不規則に設置されているようで、慎重に降りて棘の間を歩くことも不可能だ。 それからも罠を解除する仕掛けが何処かに隠されていないか念入りに調べてみたが、それらしきものを見つけることができなかった。 [今度は足元を調べる](05800 "-f4") [次へ進む](06000 "f4") 05600 少しだけ休憩した君は、今度こそ何か仕掛けがないか周囲を調べることにした。 [足元を調べる](05400) [罠を調べる](05500) 05700 君は何を血迷ったのか、それとも緊張の連続でおかしなテンションになってしまったのか、目の前の罠を飛び越えることに決めた。 どんなに制止したところで、今の君には誰の声も届かないだろう。 **ああ、天の神々よ……どうか彼の者を導き賜え……!** [いち、にーの、さーん、とりゃーーーーー!!](05900) 05800 君は手近なところで足元を調べてみた。 だが、特に何も見つからなかった。 がっくり……。 [やっぱり休憩する](06000 "-f3") [次へ進む](06200 "f3") 05900 助走の為に限界まで下がり、それから深呼吸を数回。 そして呼吸を止めて一秒、君は真剣な目をして駆け出し――跳躍した! 君はまるで白鳥のように華麗に、または狼のように力強く、恐ろしい棘山の上を舞う……のだが、ダメだ! **飛距離が全然足りない!!** [やっぱり無理だったーーー!?](06100) 06000 多少の収穫はあったが、罠を解除するような肝心の仕掛けや解決策は見つからなかった。 仕方がない、とりあえず一旦休憩しよう。 君は安全を確認した後、座って少しだけ休憩することにした。 %blue%**▲HPとMPが2回復した!**%/% [次へ進む](06200) 06100 ![しぬでないぞ](hero02.png) **――しぬでないぞ――** 君がまだ駆け出しのソーサリアンだった頃に挑んだとある冒険。 そこで出逢った親切なソーサリアンの言葉が脳裏を過る。 自分の落下速度が引き伸ばされているのかと錯覚してしまうほどに、今までの冒険の思い出が次から次へと脳裏を駆け抜けてゆくのだ。 目は確かに開いているはずなのに、目の前の光景は見えていない。見えるのは過去の出来事だけだ。 ああ、これが走馬灯というヤツなのだろう。 君は妙に得心がいった。 これから自分は串刺しになるというのに大した落ち着きようだ。 もしかしたら死の恐怖で心が麻痺してしまったのかもしれない。 それはとても奇妙な感覚だったが、恐くないなら恐くないに越したことはない。 君は目を閉じた。 [次へ進む](06300) 06200 色々と行動してみた君は、ある一つの結論を導き出した。 それは……。 [次へ進む](05700) 06300 **シュタッ、と。** それはもう華麗に、無意識に。君は奇妙なポーズを決めながら立っていた。 そう、君は地に足を付けて『立っていた』のだ。そのポーズの美しさを採点するならば10点満点で間違いないだろう。 君は訳が分からず思いっきり開眼し、自分が今どんな状況に置かれているのか把握しようと試みる。 目の前には棘、棘、棘。自分は明らかに棘山の中にいた。 更に、自分の全身から長くて鋭利な棘が飛び出していることにギョッとするが、痛みもなければ出血もない。 不思議に思って全身を動かしてみると、棘は何の抵抗も感じることなく君の体をすり抜けた。 **なんと、本物のように見えたこの棘は、実は幻だったのだ!** 君は盛大に大きなため息をついた。 決死の覚悟を決めて挑んだ恐怖の正体がまさか幻だったなんて、拍子抜けにもほどがあるッ! 安堵の次は沸々と怒りがこみ上げてくるのを感じる……が、安全に棘山(幻)を越えられるという事実自体はありがたいことに変わりはない。 君はこみ上げる怒りをグッと堪えつつ、人騒がせな偽物棘山の中をズカズカと進んでいったのだった。 [次へ進む](06400) 06400 掠っても痛くも痒くもない、それどころか触れた感覚すらない。 そんな棘山を越えた先には、長く長く真っ直ぐに伸びる廊下が続いていた。 君は辺りを警戒しながら不気味なほど静まり返った廊下を歩いていたのだが、その歩みを思わず止めてしまうような出来事に遭遇した。 **廊下が……消えている……?!** そう、君の眼前にはただただ白い空間が広がっているのだ。 白以外は何もない、まるで吹雪で周囲がまったく見えなくなってしまったかのような、そんな真っ白な空間が。 [次へ進む](06500) 06500 棘山を越える前は確かに廊下に見えた『それ』は、しかし今ではただの白。 君は廊下と白い空間の境を恐る恐る観察してみると、廊下も境周辺になるとまるで紙っぺらに描かれた絵のように平べったく、何の厚みも感じられない状態になっていることが判明した。 流石にそれを触ってみる勇気は湧いてこない。それを触るということは、すなわちこの得体も知れない白い空間に干渉するということにも繋がるからだ。 **紙、紙、紙。** 此処に来るまでには何度も『紙』が関わっていたが、またしても『紙』なのか。 これは夢か幻か? しかし、ここに来るまでに感じた痛みは、夢にしてはあまりにも生々しい。 一体どうなっているんだ……?! 正体不明の白い空間を目の前にして、君の思考はゴチャゴチャと乱れ始める。 ……と、その時だ! [次へ進む](06600) 06600 **「えっ!? ま、まさか此処まで辿り付ける人がいるだなんて!!」** 当然、頭上から声がした。 君が反射的に頭上を見上げると、白い空間に穴が開いていることでさえも驚きなのに、更にはそこから幼い少女の顔が覗いているではないか! あまりの出来事に君は動揺し、思わず上擦った驚きの叫び声をあげてしまった。 本当に頭がどうにかなってしまったのだろうか……?! しかし、驚いているのは巨大な少女(?)の方も同じようで、紫水晶のごとく美しい瞳を大きく見開いて君の方を凝視している。 だが、すぐに慌てた様子で口を開いた。 **「えっ、えっと、落ち着いて下さい! 私は巨人でも敵でもありません! 今から梯子を描きますから、そうしたら上がって来てくれませんか。 私は貴方とお話がしたいのです」** [な……なんだってーーー!!](06700) 06700 『梯子を描きます』と少女は言った。 それは一体どういう……と、言いかけたところで君は更に信じられない光景を目にする。 なんと、頭上の穴から長細い金属の棒のようなものが出てきたかと思えば、それが滑らかな動きで宙を撫ぜると、見る見るうちに梯子が形作られてゆくではないか! 最初は宙にただの黒い線が浮いているような状態だったというのに、今では銀色に輝く立派な梯子が頭上の穴に向かって伸びているというのだから驚きだ。 それは君の知っているものとは違うが、僅かな時間で梯子が質量を帯びてゆく様は、まるで物語に出てくる何でも願いを叶えてくれる、そんな夢に溢れた『魔法』のようであった。 驚きで言葉を失っていた君は、少女の「さあ、描けましたよ」という声にふっと意識が呼び戻される。 **「突然のことで驚かれているかもしれませんが…… お願いします、私を信じて下さい……」** そう懇願する少女に対して、君は…… [少女を信じる](06800) [少女を信じない](06900) 06800 君は少女を信じることに決めた。 あまりにも突然の出来事の数々に驚きはしたものの、少女の声からは誠実さを感じたし、『信じて下さい』と言った時の声があまりにも重々しく切なげで、少女が何か追い詰められて必死になっているような、そんな気がしたのだ。 君は少女に力強く「信じる」と伝えると、梯子に手足をかけて上がり始めた。 梯子を上ってくる君をじっと待っている少女の表情は、安堵と喜びに満ちているように見えたのだった。 [次へ進む](07000) 06900 君は少女を信じることができなかった。 理由は極シンプルで、それは『これも罠なのではないか?』と考えたからだ。 此処に来るまでに散々苦労してきた上に、あの少女は何もない場所に梯子を出現させるといった普通ではないことをいとも簡単にやってのけたのだから、いきなり信じろだなんてどだい無理な話である。 君は沈黙したまま疑いの眼差しを頭上の穴から覗く少女の瞳に向けた。 一方の少女は、君の視線の意味を理解したのか、僅かにたじろいだように見えた。 暫くの間、君は少女の腹を探ろうと無言を貫いていたのだが、次第に少女の表情が悲しみに曇り、目元が潤んできているのに気づいてハッとする。 物凄い罪悪感に襲われた君は、慌てて少女に謝罪し、少女のことを信じると断言した。 君に信じてもらえたと分かって安堵した少女は、ホッとしたように表情を緩め、君が来るのを待っているのだった。 [次へ進む](07000) 07000 梯子を上り天井の穴を潜り抜ける瞬間、君は眩い光に包まれた。 そして、体がふわりと浮いたような感覚の後、君は何処かに着地したのを実感する。 ゆっくりと瞼を上げた君が見たのは、木造の小部屋だった。 君は自分の置かれた状況がまだはっきりと理解ができず、キョトンとして周囲を見回す。 ギッシリと様々な本が詰まった本棚に、子供が喜びそうな動物の小さなぬいぐるみ。 それから―― **「ようこそ、私の部屋へ」** そう言って可憐な所作でお辞儀をする、黒いケープとドレスを身にまとった少女がそこにいた。 [次へ進む](07100) 07100 君を出迎えたのは、肩より少し上くらいまで伸びた銀髪に、透き通った紫色の瞳を持った小柄な少女だ。 頭と首元を飾る大きなリボンは空のように綺麗な青で、黒が主体の服装にその青がよく映えている。 先程は宙空の穴から顔の一部くらいしか見えなかったが、美しい紫水晶の瞳を認めれば、先程話し掛けてきた人物であることはすぐに解る。 君は少女に確認の意味を込めて、先程話し掛けてきた少女と同一人物かどうかを訊ねると、問われた少女はコクンと頷いた。 「はい。私の名前はポーラス。貴方は……?」 ポーラスと名乗った少女は、小首を傾げて君の名を訊ねてきた。 君はポーラスに名乗った後、自分がソーサリアンであること、拾った本を開いた途端に知らない場所にいたのだということを説明する。 それから少女に「何か知っているのではないか?」と訊ねてみたのだった。 [次へ進む](07200) 07200 君の話を聞いた少女は、再びコクリと頷いた。 「はい。貴方を『こちら』へお招きしたのは私ですから。 貴方の……ソーサリアン様のことは、 今までお招きした方々の記憶を読んで存じております」 『こちらへお招きしたのは私』? 『記憶を読んで』? この少女の言葉にいまいち理解が追い付かない。 それは一体どういうことなのかとポーラスに訊ねると、彼女は自分のことを詳しく話し出した。 「私はペンタウァから遠く離れた大陸で生きる『綴り手の民』の一人。 綴り手の民は魔法の本を執筆する能力を持ち、 私はその能力で書いた絵本を他大陸に飛ばして 絵本を開いた御方を本の中にお招きしておりました。 その際に記憶を一部読ませて頂いていたのですよ」 [次へ進む](07300) 07300 またしても突拍子のない話に、君は思わずポカンとしてしまった。 しかし、目の前でそう説明する彼女の表情は真剣で、とても冗談を言っているようには見えない。 君は彼女の話を聞いて新たに芽生えた疑問である『他大陸の者を招く理由』というのを訊いてみた。 するとポーラスは眉をしかめて悲しそうな表情を見せる。 「私の村や多くの町が『とある魔族』に襲撃され、 存在自体が消滅し掛かっているのです。 ですから、私はその魔族を倒せる力を持った御方を探す為にも、 絵本を通じて外界に干渉し、絵本を開いた冒険者の方を 絵本の中に召還していたのです」 更に彼女は話を続ける。 「しかし、今までの冒険者の方達は、回廊の途中で 力尽きてしまいましたので、元の世界へ帰還させました。 えっ、心配は要りませんよ。 絵本の世界は夢と同じですから、元の世界に戻れば怪我一つありません。 それに、絵本の中で起こったことも全て忘れてもらっていますから」 ここまで話を聞いた君は、此処に来るまでの数々の出来事、それの意味を理解したことだろう。 そう、君は彼女の故郷を襲った魔族を倒せるほどの実力を持ち得る勇者なのかどうか、その試練を受けていたのだ! %blue%**▲HPとMPが全回復した!**%/% [次へ進む](07400) 07400 言われてみれば君の体には傷一つなく、精神的な疲労も特には感じない。 あの謎の回廊での出来事が夢まぼろしであり、試練の脱落者が謎の回廊についての記憶を消されているのならば、本を開いた者が本を読んだ記憶を喪失していたという謎も解けるだろう。 それに、敵を倒した時の紙のような感触にも、白い空間との境目が紙のようにペラペラとしていたことにも納得がいく。 しかし、どうにもまだ現実味を感じていないのも事実ではあるし、そもそも疑問はまだ残っている。それは―― [君がいるこの部屋は何処なんだい?](07500) [ポーラスちゃん可愛いね](07600) 07500 謎の回廊が絵本の世界なら、この部屋は一体何処なのだろう? そんな疑問を抱いた君は、ポーラスにそのことを訊いてみることにした。 「私の部屋ですが、今は外界から切り離され 異空間を漂っている状態です」 『イクウカン』? 何とも耳慣れない言葉だ。 説明にいまいちピンときていない君の様子を見たポーラスは、慎重に言葉を選んだ後に補足する。 「そうですね……私達が生きている世界とはまったく別の世界、 と考えて頂ければ……」 どうやら『イクウカン』というのは自分が生きている世界とは別物らしい。 ……いやいや、絵本の世界といい、イクウカンといい、そんな夢みたいな話がそう連続するものだろうか? 寧ろ、今この瞬間も夢の中の出来事なのではなかろうか? [部屋のドアを開けて外を確認してみる](07700) [いや、少女のことを信じると言ったじゃないか](07800) 07600 **可愛いね、と。** 君はとりあえず疑問を押し退けて、目の前の少女にそう言っていた。 もしかしたら理性が蒸発していたのかもしれないが、そう言いたかったのだから仕方がない。 突然何の脈絡もなく『可愛い』と言われたポーラスは、最初君が言っていることが理解できなかったようで固まっていたが、彼女の顔は次第に赤くなり、ついには耳たぶまで真っ赤になっていた。 「あ、えっと、その……あ、ありがとうござい、ます……」 困り果てたように眉毛をハの字にして俯いてしまったポーラスは、消え入りそうな声でお礼を言うのがやっと、といった様子だ。 君はポーラスを困らせてしまったことに少々申し訳なさを感じもしたが、この部屋に辿り着くまでに色々と大変な思いをしていたので、彼女の初々しい反応を見て癒されたのだった。 [次へ進む](07900) 07700 この目でその『イクウカン』とやらを見てみなければ、どうにもスッキリしない。 君はこの部屋のドアを見つけ、ドアの前まで歩いてゆく。 そしてドアノブを回してドアを開いてみると…… **白い。** そう、またあの白い空間が眼前に広がっていたのだ! パタン、と。無言でドアを閉めてポーラスの前まで戻った君は、申し訳なさから身を縮こまらせ、素直に謝罪した。 ポーラスの方はこの一連の君の反応もまた当然のものだろうと思っていたのか、「いいえ、これで私の話を信じて頂けたのであれば」と返すのだった。 [次へ進む](08000) 07800 いや、自分は梯子を上る時にポーラスのことを信じると言ったのだ。 彼女の話がどんなに現実離れしていようとも、あの何処までも真剣な眼差しをしていた彼女が言うのだから、きっとこの部屋は『イクウカン』という別の世界に在るのだ。 君は『イクウカン』についてはまだよく解ってはいないが、ポーラスの言うことを信じているという旨を伝える。 ポーラスの方はやや驚いたような表情を見せたが、何処か安堵したような優し気な笑みを浮かべると、「こんな夢のような話なのですが……信じて頂けて嬉しいです。ありがとうございます」とお礼を言ってくれた。 それから彼女は親切にもドアを開けて外を見せてくれたのだが、そこは謎の回廊の中で見た白い空間と同じような状態だということを理解したのだった。 これが『イクウカン』かぁ。 [次へ進む](08000) 07900 ポーラスの反応にほっこりとした君は、気持ちを切り替えて残りの疑問について問うた。 それは、ポーラスがいるこの部屋は何処なのか、ということだ。 君にそう問われたポーラスもいまだに少々赤い顔をしていたものの、気持ちを切り替えたのか、ここで最初に言葉を交えた時と同じ声色で君の疑問に答える。 「私の部屋ですが、今は外界から切り離され異空間を漂っている状態です」 『イクウカン』? 何とも耳慣れない言葉だ。 説明にいまいちピンときていない君の様子を見たポーラスは、慎重に言葉を選んだ後に補足する。 「そうですね……私達が生きている世界とはまったく別の世界、 と考えて頂ければ……」 どうやら『イクウカン』というのは自分が生きている世界とは別物らしい。 ……いやいや、絵本の世界といい、イクウカンといい、そんな夢みたいな話がそう連続するものだろうか? 寧ろ、今この瞬間も夢の中の出来事なのではなかろうか? [部屋のドアを開けて外を確認してみる](07700) [いや、少女のことを信じると言ったじゃないか](07800) 07974 よくぞ儂の言葉を覚えておったな、ペンタウァの勇者よ。 さて、早速じゃが儂は神々の奇跡をちょいと拝借して、 お主を『ある時間』まで遡らせようと思っておる。 何故そんなことをするのか、と申すか? なに、これはほんの気まぐれじゃよ。 それに、『今回』のお主もまた『試練』を受けるのは面倒じゃろうて。 お主の実力はもう知っておるでな、爺の粋な計らいというヤツよ。 ……今度は女子を泣かせるでないぞ? ・・・ うむ、うむ。良き返事じゃ! **さぁ、往くがよい! ペンタウァの勇者よ!** [次へ進む](06300) 08000 部屋の外の状態を理解した君に、ポーラスは話の続きを切り出した。 「えっと、話を戻しますが、 件の魔族は自らを『収集家グリメルム』と名乗り、 襲った町村を生き物ごと魔力によって小さくして、 異空間に存在する根城に飾っていると言っていました。 このままでは私の生きる大陸から町村が消失し続け、 いずれは死した大陸となってしまうでしょう」 次第にポーラスの声は沈み、その表情も恐怖で強張ってきていた。 しかし、ポーラスは君の瞳から視線を逸らさず、意を決したように言葉を重ねる。 「……私は皆の希望を背負い、逃げ延びました。 ですから、貴方の勇気と実力を見込んでお願いがあるのです」 **「どうか、どうか……グリメルムを倒す為、 ソーサリアン様の力を貸して頂けないでしょうか……?」** [ポーラスに協力する](08100) [ポーラスに協力しない](08200) 08100 ポーラスの話を聞く限り、そのグリメルムという魔族は桁違いの魔力を持っていることが容易に想像できた。 そんな魔族に自分が太刀打ちできるのかなんて皆目見当もつかない。 だが、君に助けを求める少女にだって、そんなことは分かり切っている筈だ。相当に危険な……それこそ命を落としかねない依頼をしている自覚もあるだろう。 だからこその、否、せめてもの絵本の試練なのだ。 本当なら、そんな危険なことに無関係の者を巻き込むようなことだってしたくはなかった筈だ。 しかし、ポーラスにはきっと、他に頼れる存在は既にいないのだろう。 もし君のように此処まで辿り着けた者がいたとしても、それが彼女にとって何日後、何週間後、何ヶ月後、それこそ何年後のことで、更にはその人物が彼女に協力してくれるという保障すらどこにもない。 もしかしたら彼女は自分の愛する故郷が失われてしまった時、そのことを知らないまま、たった一人で孤独に耐えながら誰かに助けを求め続ける運命を歩むことになるのかもしれない。 **そんなことは、絶対にあってはならない。 あってはならないのだ!** 君の中で勇敢な心が燃え盛る炎となり、胸を熱く焦がす! 君は決めた。この孤独な少女を、故郷を、全力で救ってみせると! [次へ進む](08300) 08200 ポーラスの話を聞く限り、そのグリメルムという魔族は桁違いの魔力を持っていることが容易に想像できた。 そんな魔族に自分が太刀打ちできるのかなんて皆目見当もつかない。 もしここで協力することにしたとして、下手をすれば命を落とす危険だってある。絵本の中ではない、現実での戦いなのだから。 君は目の前の少女が危険を承知で助けを求めていることも気付いている。 本当ならこんな危険なことに誰かを巻き込みたくないと思っているのではないか、という考えもすぐに浮かんだ。 何故なら、自分や仲間の力のみで解決できる問題であれば、わざわざ部外者を召喚する必要もないし、そうでないからこその苦肉の策として、彼女は絵本の世界によって実力のある者のみを見出そうとしていたからだ。 君は目の前に佇む少女の優しさは理解しただろう。 しかし、それと同時に、自分が死ぬ可能性が高い危険な依頼だということも理解している。 一時の感情のみに突き動かされ、安請け合いできるような問題ではない。 この依頼は既にその範疇を超えてしまっているのだ。 **ポーラス。君に協力したいのは山々だが、そこまでの危険は冒せない。** 君の中で冷静な思考が形になる。 君は決めた。助けを求める少女の依頼を断ることを。 [次へ進む](08400) 08300 大陸を滅ぼしかねない強大な力を持った危険な魔族。 そんな存在を放っておくことはできない。 君は正義感に満ちたキラキラとした表情をしながら、ポーラスに協力し、共に力を合わせて戦う意思があることを伝えた。 するとポーラスは見る見るうちに表情と瞳を輝かせ、至極感激した様子で「あっ…ありがとうございます!」と大きな声で君に感謝したのだった。 [次へ進む](08500) 08400 さて、これから君は助けを求める少女にとって残酷な言葉を告げなければならない。 その言葉はきっと、彼女にとって大いに心を乱し、深い絶望を与えるものになるだろう。 もしかすれば死の宣告に等しいかもしれない。それほどに重い言葉だ。 君が彼女を救うと勇み立つのも、彼女と道を分かつのも、それは君に一任されている。 まったくの自由であり、そこに強制力は存在しない。 ただし、この物語に呼ばれた君に一つだけ忠告しておこう。 **この物語の中で君は何を選択しても良い。** この場面で少女の頼みをどうするのかも君次第だ。 だが、これだけは伝えておこう。 **『このまま次のページを捲ることは本を閉じることに等しい』** [考え直す](08600) [ポーラスに協力しない](08700) 08500 これで君とポーラスは、共に協力し合い、力を合わせてグリメルムと戦う同志となった。 ポーラスに「こちらに来てください」と言われた君は、彼女に言われた通り机の前に立つ彼女の元へと歩く。 僅か数歩の距離に設置された机の上に視線を向ければ、そこには一冊の分厚い本と紙の束、そして羽ペンが置かれていた。 君はその本に見覚えがある筈だ。 そう、あの『消える本』だ。 「グリメルムは異空間に根城を持っていると言いましたが、 私の家に伝わるこの魔法の本を使えばソーサリアン様を 根城にワープさせることが可能です。 その為にも、これらをお持ち下さい」 君はポーラスから紙の束と羽ペン、更には彼女の服を彩っている青いリボンの内の一本を受け取った。 「まずはリボンを身に着けて下さい。 グリメルムの所に行くと通常では私の魔力も届かないのでしょうが、 そのリボンを介してなら微力ながら魔力を送ることが出来ますし、 ソーサリアン様の存在をこちらから把握出来ますから」 そういうことか。 君は納得してポーラスのリボンを身に着けることにした。 どこに身に着けるのか。それは君の自由にするといいだろう。 [この紙とペンは?](08900) 08600 君はふっと意識が現実に戻るような感覚を覚えた。 何か夢を見ていたような気もするが、まあ、気のせいだろう。 確か……今は部屋の外が『イクウカン』になっている状態まで理解したところだったか。 ややぼんやりとしつつも部屋の外の状態を理解した君に、ポーラスは話の続きを切り出した。 「えっと、話を戻しますが、 件の魔族は自らを『収集家グリメルム』と名乗り、 襲った町村を生き物ごと魔力によって小さくして、 異空間に存在する根城に飾っていると言っていました。 このままでは私の生きる大陸から町村が消失し続け、 いずれは死した大陸となってしまうでしょう」 次第にポーラスの声は沈み、その表情も恐怖で強張ってきていた。 しかし、ポーラスは君の瞳から視線を逸らさず、意を決したように言葉を重ねる。 「……私は皆の希望を背負い、逃げ延びました。 ですから、貴方の勇気と実力を見込んでお願いがあるのです」 **「どうか、どうか……グリメルムを倒す為、 ソーサリアン様の力を貸して頂けないでしょうか……?」** [ポーラスに協力する](08100) [ポーラスに協力しない](08200) 08700 固い決意は揺るがない。 君は可能な限り冷静に、無感情に、少女の頼みを断った。 「協力はできない」と告げられたポーラスの紫水晶の瞳が大きく見開かれた。 やっと掴んだ希望の光が手から擦り抜けてしまった。 今、彼女はそんな表情をしている。 だが、ポーラスは少しの間だけ俯いた後、顔を上げた。 その顔は、諦めにも似た感情を滲ませた穏やかな笑みをたたえていた。 「……そう、ですか。いえ、そうですね。 一方的にこちらの都合を押し付けてしまい、申し訳ありませんでした。 でも……久方振りに誰かと話せて楽しかったです。 ありがとうございました。 さようなら、ソーサリアン様……お元気で……」 [次へ進む](08800) 08800 ポーラスの別れの言葉が終わると同時に意識が遠退いてゆく……。 異空間の中で見た彼女の最後の顔は、涙を零しながら寂しげな笑みを浮かべていた。 だが、その記憶も夢から覚めれば消えてしまうのだろう。 **『07974ページに飛べ』という謎のメッセージを除いては……。** ![夢の終わり](hero.n.b1.clear.png) **%purple%BAD END「夢の終わり」%/%** ※シナリオを最初から始める際、該当のページ数を指定して飛ぶと冒険を途中からやり直すことができます 08900 このペンと紙は何だろう。どうやら魔力が宿っているように感じるのだが。 君が手に持った紙束と羽ペンをしげしげと見ながら訊ねると、ポーラスは詳細を話してくれた。 「あの狡猾なグリメルムのことでしょうから、きっと様々な罠が 待ち受けているに違いありません。 ですから、もしグリメルムの力が働いている場所がありましたら、 そのペンで紙に私の名前を書いて貼り付けて下さい。 すると紙が私の魔力を増幅し、グリメルムの力を弱めることも 可能となるでしょう」 どうやらこれは魔法の紙と魔法の羽ペンのようだ。 彼女の話を聞くに、グリメルムと戦うためには必須のマジック・アイテムとなるだろう。 「もし探索中に一度こちらに戻った方が良いと判断された場合は、 そのリボンに念じてください。 そうすれば私がソーサリアン様をこの部屋に帰還させることも できますから」 正直な話、敵の根城に単身特攻というのはやや心細いところがあっただけに、この情報はありがたかった。 君は彼女の名前の綴りも教えてもらうと、この道具の使い方にも留意し、ベルトに括りつけられたポーチ状の道具袋の中にしまい込んだ。 [次へ進む](09000) 09000 受け取った道具が実際に使いこなせるかどうか、現状を正しく理解できているかどうか。 そこのところはやや不安に思った君だったが、人を召喚するといった魔法が使えるポーラスのバックアップがあるのだから、きっと大丈夫だろう。 そう彼女に伝えると、ポーラスは「ふふっ……」と小さく笑ってくれた。そんなやり取りが決戦前の緊張を解してくれたように思う。 そしてポーラスが表情を引き締めると、君の表情も自然と引き締まる。 場の雰囲気が一瞬にして緊張感に包まれたようだった。 **「では、今からソーサリアン様をグリメルムの根城にワープさせます。 いきますよ……!」** 眩い光が、満ちた。 [いざ、グリメルムの根城へ!](09113 "f6,f7,f8") [いざ、グリメルムの根城へ!](09122 "-f6,f7,f8") 09113 **【グリメルムの根城突撃前】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【09113】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくることが できます。 ステータスのMEMOS等に【09113】とメモを取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※冒頭シーンで本の直撃により受けたダメージは反映しないこと なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](09100) 09122 **【グリメルムの根城突撃前】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【09122】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくることが できます。 ステータスのMEMOS等に【09122】とメモを取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※冒頭シーンで本の直撃により受けたダメージは反映しないこと なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](09100) 09100 足が地に着く感触がした。そこからだんだんと体中の感覚が戻ってくるのを感じる。 眩い光を受けて閉じていた瞼を上げると、そこは既に知らない場所であった。 **ワープは成功だ!** 辺りを見回すとそこは通路のような場所なのだが、壁も床も長方形の石で組まれていて、しかし外の景色が見られるような穴はない。 壁に取り付けられている光源は松明なのだが、燃料が燃えるような独特の臭いもせず、奇妙なほどに光量もあることから、何か魔法的な力が働いているのではないかと推測する。 後ろにはただ壁があるだけだが、逆に前方にはまだ先があるようで、階段や扉といったものは此処からでは見えない。 そこでふと、足元に丸みを帯びた袋が落ちていることに気がついた。 手のひらくらいの大きさの袋をひょいと拾い上げてみると、中からはじゃらじゃらという音がした。それに、意外とずっしりしている。 袋は青いリボンで閉じられていて、それを見てすぐにポーラスの物だと理解した。 君が安心して袋を開けると、中には<七惑星の欠片>が幾つも入っているではないか! きっと君の身を案じたポーラスが持たせてくれたのだろう。 彼女の心遣いがとてもありがたい……。 **★全ての欠片を【2個ずつ】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片が自動加算される [次へ進む](09200) 09200 とりあえず進もう。 君は前方へ向かって歩き始めた。 辺りを警戒しながら歩いていると、不気味なほど静かな空間に靴音と装備品が触れ合う微かな音だけが妙に響く。 風が壁の隙間から流れる音もしなければ、ダンジョン特有のかび臭さや獣臭さといったものも感じない。 故に呼吸が苦しいといったこともなく、どちらかと言えば空気は清浄なのだが、この建物の在り方自体が不自然なものなのか、妙な違和感は拭えなかった。 少し進んだ先に、大きく透明な石の柱を見つけた。 それは人の背丈ほどもある立派なものだ。 [透明な柱を調べる](09300) [無視して進む](09400) 09300 君はこの大きく透明な柱を調べてみることにした。 **DEXまたはINTで判定「なんだ これは?」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~5の場合](09500) [▲6~22の場合](09600) 09400 この透明な柱は見れば仄かに発光しているようだが、ただそれだけのものだろう。 何かあれば目印にはなるかもしれない。 君はこの柱に対し、その程度の認識を持っただけだった。 きっと先はまだまだ長い筈だ。先へ進もう。 [次へ進む](09700) 09500 透明な柱を調べた君は、それが巨大な水晶で出来ていることに気付いた。 水晶柱は仄かに発光していて、近づくとやや熱のようなものを感じる。 暫く観察してはみたものの、今のところ何も起きていない。 触ってみてもほんのり温かさを感じる程度だ。 ……この水晶柱、実はグリメルムの趣味だったりするのだろうか? 君はとりあえず水晶柱のことは心に留めておくに止め、再び前方へと歩き出した。 [次へ進む](09700) 09600 透明な柱を調べた君は、それが巨大な水晶で出来ていることに気付いた。 水晶柱は仄かに発光していて、近づくとやや熱のようなものを感じる。 どうやら何らかの魔力を帯びているようだ。 更に良く見てみれば、水晶柱には記号とも文字ともとれる謎の彫刻が施されている。 しかし残念ながら、その記号だか文字だかは君の知識や記憶には一切ないものだ。 どんなに時間を掛けて解読しようと試みたところで、君の中にはその足掛かりとなるものは何もない。 ただ悪戯に時間が過ぎるのがオチだろう。 それから暫く水晶柱を観察していたが、今のところ何も起きていない。 触ってみてもほんのり温かさを感じる程度だ。 ……この水晶柱、実はグリメルムの趣味だったりするのだろうか? 君はとりあえず水晶柱のことは心に留めておくに止め、再び前方へと歩き出した。 [次へ進む](09700) 09700 水晶柱から更に少し歩いた先に、今度は上り階段があるのを見つけた。 今のところまだ敵の姿は見えないが、此処はグリメルムの根城。警戒は怠らないようにしなければ。 君は再び周囲に意識を集中させつつ階段を上がり始めた。 [次へ進む](09800) 09800 現在の階層、多分2F。 階段を上がった先は、先程と同じような通路だった。 少し歩くと水晶柱が置かれているのを認め、もう少し歩くと上り階段発見だ。 君は階段を上がっていった。 [次へ進む](09900) 09900 現在の階層、多分3F。 階段を上がった先は、先程と同じような通路だった。 **またか。** 少し歩くと水晶柱が置かれているのを認め、もう少し歩くと上り階段発見だ。 君は階段を上がっていった。 [次へ進む](10000) 10000 現在の階層、多分4F。 階段を上がった先は、先程と同じような通路だった。 **またなのか。** 少し歩くと水晶柱が置かれているのを認め、もう少し歩くと上り階段発見だ。 君は階段を上がっていった。 [次へ進む](10100) 10100 現在の階層、多分5F。 階段を上がった先は、先程と同じような通路だった。 **予想通りだがちっとも嬉しくない。** 少し歩くと水晶柱が置かれているのを認め、もう少し歩くと上り階段発見だ。 君は階段を上がっていった。 [次へ進む](10200) 10200 現在の階層、多分6F……なのか? 階段を上がった先は、先程と同じような通路だった。 **いい加減不安になってくる。** 少し歩くとやはり水晶柱が置かれているのを認め、もう少し歩くとやはり上り階段発見だ。 君は何の代わり映えもしない場所を歩くことに辟易しながらも、やはり階段を上がっていった。 [次へ進む](10300 "-f10") [次へ進む](10400 "f10") 10300 君はまったく同じに見える通路を何度も歩き、まったく同じに見える水晶柱に見向きもせず、まったく同じに見える階段を何度も上がった。 試しに来た道を戻ってみたりもした。壁に傷を付けてみたりもした。 しかし、来た道を戻れば最終的に最初の階層に行きつくし、壁に付けた傷もそのまま残っている。 壁に傷を付けた階層から階段を上がれば、当然傷などありはしない。 もしかしたら同じ構造の階層が多い超巨大な建物という可能性も否定できないが、正直なところ、現在の階層を正しく認識できているのかも分からなくなってきている。 %red%**▼HPとMPに3ダメージを受けた!**%/% **INTで判定「ここは どこだ!?」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+INTの合計値が……%/% [▼2~10の場合](10500) [▲11~22の場合](10600) 10400 **……何かがおかしい。** そんな疑念が君の足を止めた。 確かポーラスはグリメルムのことを狡猾だと言っていた。 狡猾だと言われるような魔族であれば、既に侵入者の存在に気付いていたとしてもおかしくはないし、侵入者用の罠が仕掛けられている方が自然と考えるべきだ。 それなのに、此処には罠らしい罠はないように感じた。 否、もしかしたら罠がないのだと錯覚するよう仕向けられているのかもしれない。 ――と、そこまで考えて、君は『とあるもの』を思い出した。 そう、あの魔力を帯びた水晶柱だ。 ポーラスの魔法の絵本が絵本の世界を作ったり、人間を召喚する触媒になっていたように、魔力を帯びているものというのは、それだけで何か意味を持っているものだ。 それならば、あの水晶柱が各部屋に置かれていることにも、何か隠された意味があっても不思議ではない。 君は水晶柱に狙いを定めると、各部屋の水晶柱をじっくり調べることに決めたのだった。 [次へ進む](10700) 10500 君の脳裏に何かひらめき掛けたものの、精神的な疲労からか、それは形を成さずに掻き消えてしまった。 はぁ、というため息が零れ落ちる。 こんなところで立ち止まっていては、グリメルムと対決するなんて夢のまた夢だ。 そう自分に言い聞かせながら、ただ黙々と歩き続ける他なかった。 %red%**▼HPとMPに1ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](10800) 10600 **……何かがおかしい。** そんな疑念が君の足を止めた。 確かポーラスはグリメルムのことを狡猾だと言っていた。 狡猾だと言われるような魔族であれば、既に侵入者の存在に気付いていたとしてもおかしくはないし、侵入者用の罠が仕掛けられている方が自然と考えるべきだ。 それなのに、此処には罠らしい罠はないように感じた。 否、もしかしたら罠がないのだと錯覚するよう仕向けられているのかもしれない。 ――と、そこまで考えて、君は『とあるもの』を思い出した。 そう、あの水晶柱だ。 水晶というのは呪いにもよく用いられているように、魔力との相性が良いと言われている。 もしかしたら水晶柱に何かあるのではないだろうか? 君は水晶柱に狙いを定めると、各部屋の水晶柱をじっくり調べることに決めたのだった。 [次へ進む](10700) 10700 各部屋の水晶柱を念入りに調べた君は、水晶柱に刻まれた文字のようなものが他のものとは若干異なっているものを見つけることができた。 君は今、その異なる水晶柱の前にいる。 もしこの水晶柱が何らかの仕掛けだったとすれば、ポーラスから渡されたこの魔法の紙とペンが現状を打開する鍵となるかもしれない。 君は道具袋から魔法の紙と魔法のペンを取り出すと、祈るような気持ちで紙にポーラスの名前を書いた。 そして水晶柱にポーラスの名前が書かれた魔法の紙を貼り付けた瞬間、お互いの魔力がぶつかり合い、辺りは光に包まれた! [あまりの眩しさに目を瞑る](10900) 10800 君はまったく同じに見える通路を何度も歩き、まったく同じに見える水晶柱に見向きもせず、まったく同じに見える階段を何度も上がった。 正直なところ、現在の階層を正しく認識できているのかも分からなくなってきている。 %red%**▼HPとMPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](10600) 10900 君が瞼を上げて辺りを見回すと、その場の雰囲気が変わっていることに気がついた。 何度も同じ通路を歩き回っていたのだ、見間違えることもないだろう。 魔法の紙と水晶柱が激しく反応し合ったということは、きっとあの水晶柱には魔法が掛けられていたのだ。 愚かな侵入者を惑わすような迷いの魔法が。 今回は何とか無事に仕掛けを切り抜けることができたが、今度はどんな仕掛けが待ち受けているのか分からない。 気を抜かずに先へと進むのだ、選ばれしソーサリアンよ! [次へ進む](11000) 11000 迷いの魔法を体感し、更に気を引き締めて行動していた君だったが、意外にもすんなりと三階分まで上がることができた。 途中の階には、今までうんざりするほど見てきた棘山があることにはあったが、棘が時間差で上がったり下がったりを繰り返すような仕掛けだった為、タイミングを計って事なきを得たという訳だ。 ……そういえば小さな邪妖精も数体見たような気がしたが、(邪妖精の言語は理解できなかったものの)仲間に魔法が当たったの当たらないのといった様子でモメていたので、そのままスルーしてきたんだっけ。 話を戻そう。 上り階段を三度越えた先の部屋で、君は今までの階層では見たことがない石板が置かれていることに気が付いた。 石板を調べてみると、水晶柱に刻まれた文字とは違い、君でも読める文字が刻まれていた。 **『月が昇り 陽は沈む 散らばる星は数え切れぬ』** 月と太陽と星? 一体何を意味しているのだろうか……? そんなことを思いながらも君は先へ進む。 [次へ進む](11100) 11100 次の階に進んだ君は、そこで複数の人影ような姿を捉えていた。 君は階段の陰に身を潜めながら前方へと目を凝らす。 一つ目の影は、**太陽を象った王冠を戴き、手には豪奢な剣を持つ皇帝**といった風貌の人形。 二つ目の影は、**月を象った美しい装飾が施された杖を持つ、いかにも皇女**といった風貌の人形。 三つ目の影……というか、この人形は沢山いるのだが、**星型の勲章を着けた兵隊**といった風貌の人形。 これら等身大の人形が身動き一つせずに佇んでいるのが見て取れた。 最初は人のようにも見えたが、みな異様に細い手足や同じ顔をしているところを認めれば、人間ではないことがすぐに判った。 此処に来てから初めて人間の形をしたものを見たということもあるが、君は整った顔をした人形達の、その無表情も相まって背筋が寒くなるのを感じたのだった。 [次へ進む](11200) 11200 おっと、ここで足踏みしている訳にはいかない。 君は意を決して人形達の前に躍り出た。 するとどうだろう。先程までは身動き一つしなかった人形達が、一斉に君の方を向いたではないか! **なにこれこわい!!** 思わずそんなことを言いそうになるくらいの光景というのは想像に難くはないだろう。 だが、ここを越えねば打倒グリメルムなど到底叶いはしない。 君は武器を構え、次々に襲い来る人形達を迎え撃つ! [次へ進む](11300) 11300 ・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・ 人形達と交戦し始めた君は、『ある問題』に直面していた。それは―― **『兵士の人形は壁に描かれた魔法陣から無尽蔵に湧き出してくる』ということだ。** 皇帝と皇女に人形はやや手ごわかったものの、兵士の人形にように湧き出すことはなかった。 しかし、兵士の人形だけは一向に尽きる気配がない。 さて、君はどうする? [もうちょっと戦う!](11400) [もうやだ逃げるぅー!](11500) ※どちらの選択肢を選んでもダメージ式ボタンを押すこと ※モンスターが<七惑星の欠片>をドロップした場合、 ドロップアイテムボタンを押して欠片の数を増やすこと 11400 **ここで逃げてはソーサリアンが廃る!** 君は意地を張って引き続き兵士の人形と戦い続けた……。 [次へ進む](11600) ※モンスターが<七惑星の欠片>をドロップした場合、 ドロップアイテムボタンを押して欠片の数を増やすこと 11500 もう嫌だ! こんなの戦っていられるか!! 君は兵士の山の隙間を掻い潜りながら上り階段へ走った! 戦略的撤退! 戦略的てった~い!! そう、これは戦略的撤退であって敵前逃亡ではないのだ。 **敵前逃亡ではないのだ……ッ!** %red%**▼HPとMPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](11700) 11600 ……もうどのくらいの時間、この人形の大軍と戦っているのだろう……? 君は朦朧とする意識の中、ほぼ全自動とも言えるような作業的な動きで、単調な行動しかしない人形兵士と戦っていた。 もうこれではどちらが人形なのか。どんどんと分からなくなってくる。 そんな時、ふっと綴り手の民である少女の笑顔が脳裏をよぎった。 君のことを信じてくれたからこそ向けてくれた、優しくも何処か儚げに見える笑顔を。 ……そうだ、自分は人間! そしてソーサリアンなのだ!! 君の意識は急に覚醒する。 自分には使命があるのだ。こんなところでグリメルムにまんまと踊らされている場合ではない。 そうとなれば、一旦体勢を整え、冷静な思考を以って突破口を探るべきだろう。 君はそう決めると、兵士の人形の間からチラチラと見えていた上り階段へ向かって走り出したのだった。 [次へ進む](11700) ※モンスターが<七惑星の欠片>をドロップした場合、 ドロップアイテムボタンを押して欠片の数を増やすこと 11700 階段を駆け上がった君は、見慣れた水晶柱のところまで行くと足を止めた。 そこで勢い良く振り向いてみるが、人形達が追ってきている様子はない。 理由は分からないが、どうやら人形達は此処までは追ってこないようだ。 更に辺りを見回すが、この場所は小部屋のようで水晶柱以外には何も見当たらない。 君は人形達に警戒をしつつも、一旦この部屋で休憩することにした。 %blue%**▲HPとMPが3回復した!**%/% [次へ進む](11800) 11800 小部屋で休憩した君は、呼吸が落ち着き、体が少しだけ楽になったのを感じた。 人形達が追いかけてこないという安心感も気力と体力の回復に影響したのだろう。 精神的にも余裕が出てきた君は、小部屋の中を改めて調べてみることにした。 [次へ進む](11900) 11900 小部屋の中を歩き、何か仕掛けがないかと調べていた君だったが、やはりと言うべきか水晶柱以外のものは見つからなかった。 水晶柱に触れてみたり、ポーラスの名前を書いた魔法の紙を水晶柱に貼り付けてみたりもしたが、そのどちらも沈黙したきりだ。 ……となると、だ。 人形達のいる部屋の前の部屋にあった石板が、現状を打開する何らかの謎掛けになっている可能性がある。 どうしてグリメルムはわざわざご丁寧にも侵入者に謎掛けしてくるのか、それこそ謎掛けというものだが、まあ魔族のやることなのだから、ただ単に余興であったり暇つぶしだったりするのだろう。 そう考えると若干もやっとしなくもないが、今考えるのはそこではない。謎掛けについて考えなければ。 君は石板に刻まれていた言葉を思い出す……。 [思い出した!](12000) 12000 石板に刻まれていた言葉は確か―― **『月が昇り 陽は沈む 散らばる星は数え切れぬ』** そう。こうだったはずだ。 この言葉が謎掛けだと考えると、気になるのは『月』『陽』『星』という部分なのだが。 さて、君は何か閃めいただろうか? **DEXまたはINTで判定「う~ん・・・」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~5の場合](12100) [▲6~22の場合](12200) 12100 **なるほど、わからん!!** 君は特に閃くことはなく、だがしかし何故か自信たっぷりにわからないと胸の中で豪語した。いっそ潔いとは正にこのことだろう。 謎を謎のままとしてしまった君ではあるが、はてさて、次の行動は? [▼MPを手動で1減らし、もう少し考えてみる](12000) [人形の部屋に戻ってみる](12300) 12200 **閃いた! それはすなわち人形だ!** 思い返してみれば、あの人形はそれぞれ『月』と『陽』と『星』の要素が含まれた造形をしていた。 つまり、『月』は皇女の人形のことを表し、『陽』は皇帝の人形のことを表し、『星』は兵士の人形のことを表しているのだろう。 そうなると、後はあの人形をどうするか、ということなのだが……。 君は更に閃くことはあっただろうか? **DEXまたはINTで判定「うう~ん・・・」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~10の場合](12400) [▲11~22の場合](12500) 12300 **ごちゃごちゃ考えているよりも体当たりだ!** 考えることを止めた君は、再び人形の部屋まで戻ることにした。 そこではやはりというべきか、先程見た人形がいたのだが、驚いたことに人形は全て動き出す前の状態に戻っていた。 つまり、壊れたはずの皇女と皇帝の人形が元通りの姿で佇み、無尽蔵に湧き出ていたはずの兵士の人形がある程度の数を残して消えていたのだ。 人形が全て元通りになり、元の配置で静かに佇んでいることに不気味さを感じなくもなかったが、兵士人形の海を覚悟していただけに、そうでなかったことに安堵する。 それでも警戒を怠らず、武器を構えたまま人形に近付くと……。 ザッと。そう、ザッと一斉に人形達が君の方を向いたのだ! **またこのパターンなのか!!** 君は再び人形達と戦うことになってしまった……。 [再び撤退!](12600) ※モンスターが<七惑星の欠片>をドロップした場合、 ドロップアイテムボタンを押して欠片の数を増やすこと 12400 **なんか閃きそうだったが、そんなことはなかった!!** 君は特に閃くことはなく、だがしかし何故か自信たっぷりに閃かなかったと胸の中で豪語した。いっそ潔いとは正にこのことだろう。 答えが出掛かっているような気がするのだが、はてさて、次の行動は? [▼MPを手動で1減らし、もう少し考えてみる](12700) [人形の部屋に戻ってみる](12800) 12500 **そうだ! あれは人形の数だ!** それぞれの人形を『月』『太陽』『星』と見立ててみれば、皇女と皇帝の人形が一組であることや、兵士が無尽蔵に湧き出していたことにも説明がつく。 『月』が昇るということは、**昇る月は空に1つだけ輝いている。** 月の皇女の人形は5体であるから、倒して1体にしてしまえばいい。 『陽』が沈むということは、**沈んでしまった太陽は見えない。** 太陽の皇帝の人形も5体であるから、全て倒して0体にしてしまえばいい。 『星』は無数ということは、**満天の星空のことだろう。** 星の兵士の人形は無尽蔵に湧き出るのだから、そのまま湧き出させておけばいい。 **そう、あの石板の謎掛けは、人形達を倒す数を示していたのだ!** [次へ進む](12900) 12600 必死に小部屋へと撤退した君は、謎掛けについて最初から考えることにした。 とりあえず、君は再び石板に刻まれていた言葉を思い出す……。 [思い出した!](12000) 12700 君は先程**「それはすなわち人形だ!」**と閃いた。 さて、もう一度考えを整理してみよう。 思い返してみれば、あの人形はそれぞれ『月』と『陽』と『星』の要素が含まれた造形をしていた。 つまり、『月』は皇女の人形のことを表し、『陽』は皇帝の人形のことを表し、『星』は兵士の人形のことを表しているのだろう。 そうなると、後はあの人形をどうするか、ということなのだが……。 君は更に閃くことはあっただろうか? **DEXまたはINTで判定「むむむ~~!?」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~10の場合](12400) [▲11~22の場合](12500) 12800 **ごちゃごちゃ考えているよりも体当たりだ!** 考えることを止めた君は、再び人形の部屋まで戻ることにした。 そこではやはりというべきか人形がいたのだが、驚いたことに人形は全て動き出す前の状態に戻っていた。 つまり、壊れたはずの皇帝の人形と皇女の人形が元通りの姿で佇み、無尽蔵に湧き出ていたはずの兵士の人形がある程度の数を残して消えていたのだ。 人形が全て元通りになり、元の配置で静かに佇んでいることに不気味さを感じなくもなかったが、兵士人形の海を覚悟していただけに、そうでなかったことに安堵する。 それでも警戒を怠らず、武器を構えたまま人に近付くと……。 ザッと。そう、ザッと一斉に人形達が君の方を向いたのだ! **またこのパターンなのか!!** 君は再び人形達と戦うことになってしまった……。 [再び撤退!](12600) ※モンスターが<七惑星の欠片>をドロップした場合、 ドロップアイテムボタンを押して欠片の数を増やすこと 12900 謎掛けの答えを導き出した君は、今度こそ確信めいた予感と共に人形達が待つ部屋へと向かった。 またしても人形達が一斉に襲いかかってきたが、今は心の余裕が違う。 君は人形達の動きを冷静に見極めながら攻撃する。 月の皇女が月の杖から放つ魔法をひらりひらりと華麗に避け、1体だけ残して倒した。 太陽の皇帝が剣から放つ太陽光線も若干身を焦がしつつも直撃は避け、全て倒した。 星の兵士は無視! **徹底的に無視!!** よし、これで目標は達成だ。次は水晶柱に変化があるか確認しなければ。 君は階段を一気に駆け上がった。 %red%**▼HPとMPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](13000) 13000 階段を駆け上がった先に君が見たものは、眩く輝く水晶柱だった。 更に水晶柱の前には、<月の欠片>と<太陽の欠片>が2個ずつ落ちていた。 きっと「おめでとう」という意味なのだろう。 **やった! 大当たりだ!!** 光量が強くなった水晶柱の前で足を止める。 君は謎が解けた嬉しさで、つい自然と口元が緩めながら月の欠片と太陽の欠片を拾っていたが、上体を起こした頃には既にその表情は引き締まっていた。 此処はグリメルムの根城だということを忘れてはならない。 よし、油断せずに進もう! 水晶柱に触れた君の体は、一瞬にして光に包まれ、そして新たな場所へと飛ばされた。 **★<月の欠片>と<太陽の欠片>を【2個ずつ】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片が自動加算される [次へ進む](13100) 13100 強い光が瞼を照らす感覚にも、この移転方法にも慣れた。 君はふっと瞼を上げ、まずは周囲を確認する。 この部屋は先程の部屋よりも広さがあるが、上り階段も下り階段もなければ、今までの移動手段でもある水晶柱すらない。 そして目の前には石板が設置されていて、もう少し進んだ先には何やら意味ありげな2枚の扉が見えた。 この石板にも重要なことが書かれているに違いない、と君は石板を調べてみる。 **『真実は闇の中』** 石板には、この短い一節だけが刻まれていた。 どうやらまた謎解きをしなければいけないようだ。 刻まれた言葉は何やら不穏だが、まあ、気を引き締めて謎解きをしよう。 [次へ進む](13200) 13200 『真実は闇の中』ということなのだが、一体どういうことなのやら。 君はとりあえず順番に辺りを調べてみることにした。 [次へ進む](13300) 13300 君は扉を調べることにした。 **DEXで判定「あやしい とびら だ」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~10の場合](13400) [▲11~22の場合](13500) 13400 最初に左の扉を調べてみたが、罠らしいものは見つからない。 続いて右の扉も調べてみたが、こちらも罠らしいものは特に見つからなかった。 いまいち自信はないが、どちらの扉にも罠は仕掛けられていないと思う。うん。 [次へ進む](13600) 13500 最初に左の扉を調べてみたが、罠らしいものは見つからない。 続いて右の扉も調べてみたが、こちらも罠らしいものは特に見つからなかった。 どちらの扉にも罠は仕掛けられていないようだ。 [次へ進む](13600) 13600 君は床を調べることにした。 **DEXで判定「あやしい ゆか だ」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~12の場合](13700) [▲13~22の場合](13800) 13700 何か落ちていないか、何か仕掛けはないか。 君は細心の注意を払って床を調べた。 しかし、その努力も空しく特に何も見つからなかった。 [次へ進む](13900 "-f11") [次へ進む](15800 "f11") 13800 何か落ちていないか、何か仕掛けはないか。 君は細心の注意を払って床を調べた。 ……が、この部屋はどうにも薄暗い。 それもその筈で、照明の数が他の部屋に比べて明らかに少ないのだ。 [LIGHT CROSSを唱える](14000 "mLIGHT-CROSS") [もっとよく調べる](14100 "-mLIGHT-CROSS") 13900 君は壁を調べることにした。 **DEXで判定「あやしい かべ だ」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~10の場合](14200) [▲11~22の場合](14300) 14000 君は手持ちの<七惑星の欠片>を確認し、この場で役に立ちそうな呪文が唱えられると確信した。 火星の欠片をふたつ、神に捧げよう。 木星の欠片をふたつ、神に捧げよう。 土星の欠片をひとつ、神に捧げよう。 闇を切り裂く聖なる十字を切り、 神の御業を乞う人の子の言霊を紡ぐ。 偉大なる神々よ――光の十字架を今、此処に! **『 LIGHT CROSS 』** **◆<LIGHT CROSS>を唱えた** ※ステータスSTARの欠片が<LIGHT CROSS>発動に必要な分だけ 自動減算される 呪文の詠唱が終わった次の瞬間、<七惑星の欠片>が粉々に砕け散った。 そして、君の頭上に光を放つ巨大な十字架が顕現した! 部屋は辺り一面が光で照らし出され、陰になっていた箇所もよく見える。 <LIGHT CROSS>は、敵対する邪悪なるものには全てを焼き払う無慈悲な光を放つ。 しかし、術者には深き闇を切り裂き、立ちはだかる邪を滅し、光の標を示す慈愛の奇跡となるのである。 [次へ進む](14400) 14100 光源は少ないが、まあ、仕方がない。 目を凝らして、もう一度じっくりと調べてみよう。 **DEXで判定「なにか ないかな・・・」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+DEXの合計値が……%/% [▼2~17の場合](14500) [▲18~22の場合](14600) 14200 何かヒントはないか、何か仕掛けはないか。 君は細心の注意を払って壁を調べた。 おっ、<木星の欠片>と<土星の欠片>を1個ずつ見つけたぞ! ラッキー! 壁を一通り調べたが、<木星の欠片>と<土星の欠片>を見つけたこと以外には、 特にこれといった発見はなかった。 **★<木星の欠片>と<土星の欠片>を【1個ずつ】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片が自動加算される [次へ進む](14700) 14300 何かヒントはないか、何か仕掛けはないか。 君は細心の注意を払って壁を調べた。 おっ、<木星の欠片>と<土星の欠片>を2個ずつ見つけたぞ! ラッキー! 壁を一通り調べたが、<木星の欠片>と<土星の欠片>を見つけたこと以外には、特にこれといったヒントや仕掛けのようなものはなかった。 ……それにしても、どうしてこの部屋は他の部屋よりも照明の数が少ないのだろうか? **グリメルムの嫌がらせ?** ――うん。そう考えるとしっくりくる。 **★<木星の欠片>と<土星の欠片>を【2個ずつ】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片が自動加算される [次へ進む](14700) 14400 <LIGHT CROSS>の光の十字架により、薄暗くて調べにくかった箇所もよく見える。 早速、部屋の奥にある陰になっていた床を調べてみると、床石の1つに謎の文字が描かれているのを発見した! 彫刻だったら手触りで分かったかもしれないが、流石にインクか何かで描かれたような文字を触って見つけるのは至難の業だろう。 床石に描かれた謎の文字は、彫刻ではないものの、水晶柱に彫られた文字と同じように見える。 それならば、と君は道具袋から取り出した魔法の紙にポーラスの名前を書き、床石に貼り付けた。 すると、壁が突如バラバラに崩れ出したかと思えば、虚空に溶けるようにすぅっと消えたではないか! 突然のことに驚いた君だったが、消えた壁の先に上り階段があるのを認めて歓声を上げた。 [次へ進む](14800 "-f12") [次へ進む](16500 "f12") 14500 暗い陰の中、君は更に注意を払って床を調べ続けた。 しかし、やはり何の収穫もなかった。 あー……なんかどっと疲れた……。 %red%**▼MPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](14700 "-f11") [次へ進む](15800 "f11") 14600 **んんっ?!** 部屋の奥にある床を這うように調べていた君は、指先が少しだけ滑ったことに違和感を覚えた。 他の床石はざらついた感触だというのに、違和感のある床石は一部分だけ指先が滑るのだ。 指先の匂いを嗅いでみると、何だかインクのような匂いがした。 そこで閃いた君は、陰の中で手探りで魔法の紙と魔法のペンを取り出してポーラスの名前を書くと、その紙を違和感を覚えた床石に貼り付ける! すると魔法の紙が発光し、壁が突如バラバラと崩れ出したかと思えば、虚空に溶けるようにすぅっと消えたではないか! 突然のことに驚いた君だったが、消えた壁の先から照明の明かりが漏れ、上り階段が見えて思わず歓声を上げた。 魔法の紙は既に光を失っていたが、崩れた壁から明かりが見えるから問題はない。 ……と、思い出したように床石に貼った魔法の紙を剥がしてみると、そこには謎の文字が描かれていた。 水晶柱に刻まれていた文字とよく似ているが、こちらはインクか何かで描かれているようだ。 これが見つけられたというのは、相当に運が良かったと言えるだろう。 [次へ進む](14900) 14700 この部屋の中で気になるところを一通り調べ終えた。 しかし、君はこの2つの扉以外には、移動できそうなものが見つからなかった。 やはりこの2つの扉の内、どちらかが正解ということになるのだろう。 君は扉を開けることに決めた。 さて、どちらの扉を開ける? [←左の扉を開ける](15000) [→右の扉を開ける](15100) 14800 **『真実は闇の中』とは、まさにそのままの意味だったのだ!** 真実はいつもひとつ! 君は謎が解けてスッキリとした気分で上り階段を上ろうと歩き出す。 脳裏に一瞬だけ「これは罠なのでは?」という不安が過ったような気もしたが、まあ、闇の中にあったのだから正解だろう! 光の十字架もその効力を失い、部屋は再び薄暗くなるが、上り階段からは明かりが漏れている。 君は天の神々に感謝しつつ、次の階へと進むのだった。 [次へ進む](16600) 14900 **『真実は闇の中』とは、まさにそのままの意味だったのだ!** 真実はいつもひとつ! 君は謎が解けてスッキリとした気分で上り階段を上ろうと歩き出す。 脳裏に一瞬だけ「これは罠なのでは?」という不安が過ったような気もしたが、まあ、闇の中にあったのだから正解だろう! 君は剥がした魔法の紙を貼り直した後、次の階へと進むのだった。 [次へ進む](16600) 15000 君は左の扉を開けることに決めた。 鍵も掛かっておらず、罠も仕掛けられていない扉は、何の問題もなく開いた。 扉を開けた先には、十分な光量で明るさが保たれた空間が広がっているのが見て取れる。 部屋自体は横幅が狭い長方形のような形状で、その場で四方の壁が見えるくらいには小さい部屋と言えるだろう。 部屋の最奥には水晶柱が輝いており、こちらが正解ルートに通ずる扉だったと確証を得た。 ……しかし、そうとなればもう片方の扉の先が気になるというのが人間の『サガ』というもの。 君は開けなかった扉の先が気になり、そちらへと移動しようとした……その時だ! **突如君の体は扉を開けた部屋に向かって足が、手が、体が、引きずり込まれる!!** 必死に抗おうと試みるも、見えない無数の手に全身が絡め取られているように身動きができない! そして――部屋が消えた。 [しまった!罠か!!](15200) 15100 君は右の扉を開けることに決めた。 鍵も掛かっておらず、罠も仕掛けられていない扉は、何の問題もなく開いた。 扉を開けた先には、十分な光量で明るさが保たれた空間が広がっているのが見て取れる。 部屋自体は横幅が狭い長方形のような形状で、その場で四方の壁が見えるくらいには小さい部屋と言えるだろう。 部屋の最奥には水晶柱が輝いており、こちらが正解ルートに通ずる扉だったと確証を得た。 ……しかし、そうとなればもう片方の扉の先が気になるというのが人間の『サガ』というもの。 君は開けなかった扉の先が気になり、そちらへと移動しようとした……その時だ! **突如君の体は扉を開けた部屋に向かって足が、手が、体が、引きずり込まれる!!** 必死に抗おうと試みるも、見えない無数の手に全身が絡め取られているように身動きができない! そして――部屋が消えた。 [しまった!罠か!!](15300) 15200 君は今、身動きの取れない状態のまま、暗闇の中を風の抵抗を感じながら高速で落ちている。 扉自体に罠がなくても、その先に罠があるとか酷い……。 自分が先程までどのくらいの高さにいたのか、明確な階数なんかは分からない。 だが、底に叩きつけられれば間違いなく死ぬ。これだけははっきりと分かる。 抗おうにも体は見えない力で束縛され、指先を動かすことくらいしかできない。 君は己の迂闊さに奥歯を強く噛み締めた。 **すまない、ポーラス。 君との約束は果たせそうにない……。** %blue%ダイスを1回振り、それぞれのダメージ式ボタン(3L)を押した結果がHPとMPに受けるダメージとなる。%/% [次へ進む](15400) 15300 君は今、身動きの取れない状態のまま、暗闇の中を風の抵抗を感じながら高速で落ちている。 自分が先程までどのくらいの高さにいたのか、明確な階数なんかは分からない。 だが、底に叩きつけられれば間違いなく死ぬ。これだけははっきりと分かる。 抗おうにも体は見えない力で束縛され、指先を動かすことくらいしかできない。 君は己の迂闊さに奥歯を強く噛み締めた。 **すまない、ポーラス。 君との約束は果たせそうにない……。** %blue%ダイスを1回振り、それぞれのダメージ式ボタン(3R)を押した結果がHPとMPに受けるダメージとなる。%/% [次へ進む](15400) 15400 カッと目を見開く。……が、全身に感じる鈍い痛みに君は顔をしかめた。 そこで君は初めて自分が石畳の上に仰向けで倒れていることに気がついた。どうやら意識を失っていたようだ。 天井にはぽっかりと四角い穴が開いている。きっとあの穴から落ちてきたのだろう。 君が上体を起こして辺りを見回すと、背後には壁、前方の少し先には水晶柱という、此処が見覚えのある場所だと分かる。 そう、此処はグリメルムの根城スタート地点だったのだ。 体は痛いには痛いが、あの罠部屋から落ちてきたというのに、死んでいないということには驚いた。 一体何が……と君が首を傾げていると、床の上に何か落ちているのに気付き、それを拾い上げた。 長細くて平べったい、ボロボロになった青い布。見た目こそ無残なものだが、これはポーラスのリボンだ。 身に着けているリボンは無事なことから、これは七惑星の欠片が入った袋に使われていた方のリボンだろう。 そういえば、落ちている途中で一瞬、ふわりとした浮遊感のようなものを感じた覚えがあるが、そうか、そういうことか。 **君が助けてくれたのか。ありがとう……!** 姿も見えない。声も聞こえない。それでも、こんなにも心強い。 君はボロボロになったリボンを大事に道具袋の中に仕舞うと、罠の扉があった部屋まで戻ろうと歩き出した。 [次へ進む](15500) 15500 人形達の部屋を越えた先にある小部屋まで戻れた。 あの人形達は既に消えていたが、此処まで戻ってくるのは流石に疲れた。一旦休憩しよう。 %blue%**▲HPとMPが5回復した!**%/% [次へ進む](15600) 15600 何とか元いた部屋まで戻ってこれたぞ! 君はようやく2枚の扉がある部屋まで戻ることができて、心身共に疲れもあってか大きく息を吐いた。 しかし、そう安心してもいられない。 君は再び正解のルートを探さなければならないのだ。 [次へ進む](15700) 15700 嫌だなぁと思いつつも、君は開けていない方の扉を調べた。 しかし、と言うべきか。やっぱり、と苦笑するべきか。 扉自体には罠は仕掛けられていなかった。 こちらの部屋は正解なのだろうか? それともまた罠部屋なのだろうか? 開けてみなければ分からないというのだから、理不尽にも程があるというものだ。 [次へ進む](13600) 15800 君は再び壁を調べてみた。 しかし、今度は何も見つからなかった。 <七惑星の欠片>もないのか~……。 [次へ進む](15900) 15900 この部屋の中で気になるところを再び調べ終えた。 しかし、君はこの開けていない方の扉以外には、移動できそうなものが見つからなかった。 やはりこの扉が正解ということになるのだろうか……? 乗り気はしなかったが、君は扉を開けることに決めた。 [開けていない方の扉を開ける](16000) 16000 ・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・ 君は今、身動きの取れない状態のまま、暗闇の中を風の抵抗を感じながら高速で落ちている。 **本日二回目の落下である。** 自分が先程までどのくらいの高さにいたのか、やはり明確な階数なんかは分からない。 だが、底に叩きつけられれば今度こそは間違いなく死ぬ。流石にそう何度も奇跡は起こらないものだ。 ダメだ……。抗おうにも体は見えない力で束縛され、また指先を動かすことくらいしかできない。 ![DRAGON SLAYER 5 ~そして最下層へ~](hero03.png) **おお、ペンタウァの勇者よ! 同じ罠に掛かってしまうとは情けないぞよ!** 何だか王様っぽい格好をした誰かにそう言われたような気がした。 幻聴だとは思うが、再び同じ罠に掛かってしまったのは事実だ。返す言葉もない。 君は己の不甲斐なさに再び奥歯を強く噛み締めた。 **またこんなことになってすまない、ポーラス。 やっぱり君との約束は果たせそうにない……。** %blue%ダイスを1回振り、それぞれのダメージ式ボタン(5L+5R)を押した結果がHPとMPに受けるダメージとなる。%/% [▲HPまたはMPのどちらかが1以上残っている場合](16100) [▼HPまたはMPのどちらかが0になってしまった場合](16100) %red%※戦闘でダメージ計算ボタンを押した後、%/% %red%HPまたはMPが0を下回ってマイナスになった場合は、%/% %red%手動で0になるよう修正すること%/% 16100 ![生死の境目](hero.n.b4.clear.png) 今までに体験したことがない衝撃が君の体に叩きつけられる! 否、君自身が床石に叩きつけられたのだ! ――耳障りな音がした。 体のあっちからもこっちからも、とにかく複数箇所から音がして、体のどこがどうなっているのか把握し切れない。 何だろう、耳から何か漏れ出しているのか、周りの音が聞こえにくい。こんなの初めての経験だ。 口の中に急激に溜まる液体に喉を詰まらせ、そのままの体勢で咳き込むと、顔面や髪に『何か』が降り注いだ。まるで雨だ。 あぁ、口の中どころか鼻からも、生温かくて鉄錆びのような臭いの『何か』が溢れだしてくる。 目からも『何か』が溢れ出してきているようだが、それは透明ではなく、赤い。 天井に空いた穴の輪郭もぼやけ、全てが真っ赤に染まる……寒い……。 あぁ……あぁ……声が……出ない……。 ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ **『ソーサリアン様!!』** 急激に薄れゆく意識の中で、君は少女の悲痛な呼び声を聞いた。そんな気がした。 [・・・・・・。](16200) 16200 ふっと目を開けると、見慣れない天井が目に入った。 体全体が柔らかい何かの上に横たえられているようで、とても心地が良い。 そこで声が聞こえた気がして横を向く。そこには不安げな表情をした銀髪の少女がいた。 少女はやや疲れた様子だったが、君に名前を呼ばれて安堵したのか「よかった……」と目に涙を浮かべて君の手を優しく握った。 しかし、『君の今の姿』を見た少女の顔が次第に曇ってゆく。 彼女は顔を伏せると、その小さく華奢な肩を震わせた。 「ごめんなさい……。 ソーサリアン様を、こんなにも危険な目に 遭わせてしまって……私っ……」 切なげに、嗚咽で声を震わせながら。 少女は自分の顔を両手で覆って君に謝っていた。指の隙間からキラキラとした雫が零れ落ちてゆくのが見える。 君は彼女と初めて会話をした時には、その丁寧で落ち着いた物腰から、気丈な少女という印象を持っていたのだが、どうやらそれは単に彼女が気を張っていただけのようだ。 今、君の横で泣いている少女は、どんなに特殊な力を持っていようとも、やはり一人の小さな女の子なのだ。 君が少女の肩に優しく触れると、少女は驚いたように顔を上げる。紫水晶の色をした大きな瞳が、赤く色付いた頬が、涙で濡れていた。 声は出ない。だから、君は首を横に振った後、穏やかな笑みを浮かべた。 そんな君の笑みを見た少女は、まるで幼子が泣くのを我慢しているような表情をして君をじっと見つめている。 あぁ、彼女をもっと安心させたいのに。こちらこそ心配を掛けてしまって謝りたいのに。『泣かないで』と言いたいのに。 困ったことに、この重たくなってきた意識が、体が、そうさせてくれそうにない。 ――だから、せめて。 君は震える手で少女の大粒の涙を優しく拭うと、再び深い眠りへと落ちていったのだった。 [・・・・・・。](16210) 16210 此処はポーラスの部屋。君はベッドに寝かされていた。 ポーラスから話を訊くと、どうやら彼女が君の命の危機を察してこの部屋に呼び戻してくれたらしい。 それから瀕死の重傷を負っていた君の介抱もしてくれた、ということのようだ。 かなりの長い時間眠り続けていたらしいが、彼女の献身的な介抱のお蔭で、今の君は体も心も随分と楽な筈だ。君はポーラスに詫び、礼を言った。 ……そういえば、と。 ポーラスが元の調子で喋っていたので、君は『もしかしたらあれは夢なのではないか?』と思いつつ、ポーラスに確認するように「落ち着いた?」と訊ねてみた。 君にそう訊ねられたポーラスは、君のまさかの不意打ちに目を見開き、顔を赤らめて俯くと、今にも消え入りそうな声で「は、はい……」と答えたのだった。 うむ、うむ。よきかな、よきかな。 ポーラスの反応を見て、うむうむと満足げに頷いていた君は、次にグリメルムの根城であったことを話した。 それから再びグリメルムの根城へと向かう準備を整えていると、ポーラスが君に声を掛けてきた。彼女は既に落ち着いたいつもの表情だ。 「あの……ソーサリアン様に教えていただいた罠の扉が ある部屋の謎掛けについて考えていたのですが」 **ひょっとすれば、部屋の陰になっている箇所に 真実が隠されている**のかもしれません」 %blue%**▲HPとMPが50回復した!**%/% ※最大HPまたは最大MPを超えて回復した場合は、 手動で最大HPまたは最大MPまでになるよう減らすこと [次へ進む](16300) 16300 「謎を解くのにこちらの欠片がお役に立つかもしれません。どうぞお持ちください」 ポーラスはそう言って<火星の欠片>と<木星の欠片>と<土星の欠片>をそれぞれ2個ずつ持たせてくれた。 貴重な物だというのに、ありがたい限りだ……。 斯くして、ポーラスの助言を念頭に置いた君は、再びグリメルムの根城へとワープするのだった。 「ソーサリアン様……どうかご無事で……」 **★<火星の欠片>と<木星の欠片>と<土星の欠片>を【2個ずつ】補充した** ※ステータスSTARの欠片が自動加算される ※補充した欠片は【次のシーンに進むまで使用不可】とする [次へ進む](16400) 16400 罠の扉の部屋まで戻ってくることができた。 流石に三度目ともなれば慣れたものだ。 君は罠の扉を忌々しげに睨んだ後、ポーラスの言葉を思い出しながら部屋の陰に視線を向ける。 前にも散々調べてはいたが、手元が暗いというだけでも正確さにマイナスの補正が掛かる。 そうだ! それならば、光で照らしてしまえばいいのだ! 君は先程ポーラスから貰った<七惑星の欠片>を取り出した。 [LIGHT CROSSを唱える](14000 "mLIGHT-CROSS") 16500 **『真実は闇の中』とは、まさにそのままの意味だったのだ!** 真実はいつもひとつ! 君は謎が解けてスッキリとした気分で上り階段を上ろうと歩き出す。 光の十字架もその効力を失い、部屋は再び薄暗くなるが、上り階段からは明かりが漏れている。 君はポーラスと天の神々に感謝しつつ、次の階へと進むのだった。 [次へ進む](16600) 16600 隠された階段を上った先は、水晶柱が中央に置かれた小部屋だった。 だが、其処には上半身は美しい人間の女、下半身は丸太のように太くて長い大蛇の尾を持つ魔物が鎮座していた。 上下で相反する容姿は、見た者を石化するという伝説の魔物メデューサにもよく似ている。 その蛇女の下半身は水晶柱を守るように一巻きしており、その美しい顔には妖艶な笑みを浮かべて君の方を見つめている訳だが、これでは先に進むことはできない。 さぁ、武器を手に戦うのだ! [次へ進む](16700) 16700 君が敵対の意思を見せた途端、蛇女の顔がぐしゃりと醜く歪む。その形相は美女とは程遠い。 蛇女は胸の前で両手の指を組んで祈るような構えを取った。 [攻撃する](16800) [警戒する](16900) 16800 隙だらけの蛇女の姿を見て好機と捉えた君は、武器を握り締め、蛇女へと一気に駆け出した! しかし、振り上げた武器が無防備な蛇女へと届く寸前、目を見開いた蛇女が大口を開けて叫んだ! 否、歌った! 刹那、耳をつんざくような蛇女の声が、衝撃波となって君を襲った! 君はその衝撃波をまともに喰らい、後方へと吹っ飛ばされてしまう。 その攻撃自体には殺傷能力はなく、君は慌てて立ち上がることはできたものの、耳鳴りが酷い。 更に、魔法を唱えることへの強い抑止力を感じる。 どうやらあれは呪いの歌だったようだ。 **呪いに掛かってしまった!** ※ステータスのSTATEで【呪い】にチェックを入れる %red%**▼MPに5ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](17000) 16900 確かに今の蛇女は無防備に見える。 だが、蛇女に警戒していた君は、蛇女の口が裂けるように開き、大きく息を吸ったのを見て、次の行動を瞬時に見抜いた。 **アイツは大声を発するつもりだ!!** 君が耳を塞ぎ、身を固くした直後、『ソレ』は君を襲った! 耳を塞いでいても分かる不快な音の波。それが衝撃となって全身に叩きつけられる!! 衝撃波が止み、君は耳から手を離した。 耳はやや痛いが、咄嗟に機転を利かせたことで敵の特殊攻撃に耐えることができたという意味は大きかった。 %red%**▼MPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](17100) 17000 蛇女の先制攻撃に出鼻を挫かれたが、もう油断はしない。 君はお返しとばかりに蛇女の尾を攻撃する。 鱗が剥がれ、血が噴き出し、蛇女の絶叫が部屋の空気を震わせるが、君は攻撃の手を休めない。 激高した蛇女は冷静さを欠いているのか、それとも本能のまま動いているのか、尾を振り上げて君を叩き潰そうとするが、狭い部屋ではそう上手くいくものではない。 思うように身動きの取れない蛇女は再び歌おうと例の構えを取るが、させるものか! **でぇええええーーい!!!** 君は渾身の力を籠め、蛇女に一撃を叩き込んだ! %red%**▼HPとMPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](17200) 17100 蛇女の先制攻撃を見事に防いだ君は、お返しとばかりに蛇女の尾を攻撃する。 鱗が剥がれ、血が噴き出し、蛇女の絶叫が部屋の空気を震わせるが、君は攻撃の手を休めない。 激高した蛇女は冷静さを欠いているのか、それとも本能のまま動いているのか、尾を振り上げて君を叩き潰そうとするが、狭い部屋ではそう上手くいくものではない。 思うように身動きの取れない蛇女は再び歌おうと例の構えを取るが、させるものか! **でぇええええーーい!!!** 君は渾身の力を籠め、蛇女に一撃を叩き込んだ! %red%**▼HPとMPに3ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](17200) 17200 最後の一撃は見事に決まった! 蛇女は血泡を吐き散らしながら甲高い悲鳴を上げると、そのまま倒れ伏し、暫し痙攣した後に絶命した。 君は蛇女に勝利したのだ! ……と、先程から蛇女と連呼しているが、メデューサとよく似た魔物の中に、歌声で人間を魅了するラーミアという魔物がいる。 上半身が人間の女で下半身が大蛇という容姿や、歌声で攻撃するという共通点から、きっとこの魔物はラーミアと判断しても良いだろう。 ただし、この蛇女改めラーミアは、魅了されることなんて有り得ないと思うほどの殺人的歌声(デス・ボイス)の持ち主だった訳だが、まあ、ラーミアにも色々いるのだろう。 そんなことを考えていた君は、ふと部屋の端でキラキラとした光を見つけた。 近づいてみると、そこには小さな宝石が落ちていた。そう、<七惑星の欠片>のことだ。 やった! <七惑星の欠片>が落ちている!! 君は思わぬご褒美にニンマリしながら、拾った<七惑星の欠片>を道具袋にしまい込んだ。 **★<水星の欠片>を【1個】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片が自動加算される [次へ進む](17300) 17300 ラーミアの死骸を跨ぎつつ、君は慣れた手つきで魔法の紙にポーラスの名前を書くと、それを水晶柱に貼り付けた。 その瞬間、今までと同じように辺りが眩い光に溢れ、君の体は光に包まれたのだった。 [次へ進む](17400) 17400 今度は一体何が待ち受けているのだろう? 君は瞼を上げた。 君の視界に入り込んできたのは、代わり映えのしない、いつもと同じ照明や石造りの壁や床だ。 更に君のすぐ横には見慣れた例の石板もあり、きっと今回も謎掛けでアレコレするのだろうということは容易に想像できた。 [またこのパターンか、というヤツである](17500) 17500 はいはい、謎掛け謎掛け。 同じパターンが続いていることで慣れっこになっている君は、疲れもあってかやや投げやりな心持ちで石板を調べた。 **『映し身を7の鏡へ。映し身は右に1進む。 ただし、左が2以上空けば、左へ2進む。 解決に力は不要。望まれるは知略のみ。』** 石板にはこう刻まれている。 今回はどうやら鏡を使った謎掛けのようだ。 [次へ進む](17600) 17600 石板の配置場所から少し歩き、立ち止まる。 なるほど、確かに大きな四角い鏡が横一列均等に並んでいるようだ。 試しに1枚目の鏡の前に立ってみる。鏡の上部の壁に『Ⅰ』と刻まれた金のプレートがはまっていた。 君は鏡を覗き込んでみるが、その鏡は別に何か特別という訳でもなく、ただ君の姿が映っているだけだ。鏡の中の君におかしなところは何もない。 [次へ進む](17700) 17700 映し身が進むとは一体どういうことだろうか? そんな疑問を抱きながら、君が鏡に映る渋い表情をした自分の姿を眺めていた時だった。 突然、鏡の中の君がニヤリと笑ったかと思うと、横に移動して消えてしまったのだ! **はぇっ?!** あまりにも突然のことに奇怪な声を上げてしまった君だったが、目の前で鏡の中の自分が消えてしまったのだから、そんな声を上げてしまっても仕方がない状況と言えるだろう。 君はもしやと思い、1番目の鏡から二歩分ほど離れた壁に設置されている2番目の鏡の前に行き、その鏡を覗き込む。 すると、そこには動揺した表情の君が鏡を覗き込んでいる態勢のまま映っていたが、鏡の中の君はニヤリと意地悪な笑みを浮かべると、やはり横に移動して消えてしまった。 1番目の鏡に映る姿を7番目の鏡に移動させろというのは、そういうことか……。 [次へ進む](17800) 17800 君は1番目から7番目まで全ての鏡を一通り覗き込み、映し身が鏡の中をスイスイ移動しているのを確認した。 その見事な横移動と瞬間移動はJAPANのNINJAのようだ。 きっとこの鏡の不思議な仕様もグリメルムの魔力が絡んでいるに違いない。 そうなれば、ポーラスから貰った魔法の紙と魔法のペンが鏡の謎を解き明かす鍵になると思うのだが。 そんなことを考えながら魔法の紙と魔法のペンを持って鏡の前をウロウロしていると、何か気配を感じて顔を上げた。 そこには鏡に映った自分がいる訳なのだが、何ともおかしなもので、ソイツは魔法の紙とペンも持っておらず、引き攣った表情でこちらを見ているのだ。 勿論、自分はそんな顔なんてしていないし、そもそも鏡の中の自分が魔法の紙と魔法のペンを持っていないというのは、どう考えても普通ではない。 君が思い付いたように魔法の紙と魔法のペンを鏡に近付けると、映し身の方は露骨に嫌な顔をして隣の鏡の方へと一目散に逃げてしまったのだった。 **この習性を利用しない手はない!** [次へ進む](17900) 17900 君は映し身の移動の仕方と、この魔法の紙を嫌がるという習性に注目し、一旦情報を整理することにした。 ![七枚の鏡](hero04.png) ■映し身は基本的に**右側の鏡に向かって1回移動する。** ただし、**左側に2枚以上の鏡がある場合**は、**左の鏡に 向かって2回移動する。** ■映し身は魔法の紙を嫌がるが、紙を持っているだけでは 映し身の移動を制限することはできない。 ポーラスの名前を書いた魔法の紙を鏡に貼る必要がある。 ■最終的には、映し身を一番右端にある7番目の鏡に移動 させなければならない。 これらの要素から導き出される答えはつまり―― **ポーラスの名前を書いた魔法の紙で映し身の移動を制限し、7番目の鏡に追い詰めればいいのだ!** [次へ進む](18000) 18000 君は早速映し身を追い詰める作戦を考える。 乱暴な話、6番目の鏡まで魔法の紙を貼ってしまえば簡単に解決する訳なのだが、石板の最後の一文で釘を刺されているからには、こんな力押し作戦は通用しないだろう。 そもそも、魔法の紙も既に残り3枚しかないのだから、力押しなどできよう筈もないのだが。 暫く作戦を考えていた君は、最終的に2つの作戦に絞った。 さて、その作戦とは……? ![七枚の鏡](hero04.png) [2番目と4番目の鏡に魔法の紙を貼る](18100) [2番目と4番目と5番目の鏡に魔法の紙を貼る](18200) 18100 **2番目と4番目の鏡に魔法の紙を貼ろう!** ![七枚の鏡](hero05.png) この作戦を実行することに決めた君は、早速2枚の魔法の紙にポーラスの名前を書き入れた。 魔法の紙はこれで残り1枚だ。何とも心許ないが、こればかりは致し方ない。 次に映し身を1番目の鏡まで移動させて……よし、準備は整ったぞ! さあ、作戦開始だ!! [次へ進む](18300) 18200 **2番目と4番目と5番目の鏡に魔法の紙を貼ろう!** ![七枚の鏡](hero06.png) この作戦を実行することに決めた君は、早速3枚の魔法の紙にポーラスの名前を書き入れた。 魔法の紙はこれで終わってしまう訳だが、それもまた致し方ない。 次に映し身を1番目の鏡まで移動させて……よし、準備は整ったぞ! さあ、作戦開始だ!! [次へ進む](18400) 18300 ![七枚の鏡](hero05.png) 準備を整えた君は、まず1番目の鏡の前に立った。 それから映し身が2番目の鏡へ移動したのを確認して、2番目の鏡の前で立った。 映し身が3番目の鏡へと移動するのを見届けた後、君はペタリと魔法の紙を貼り付けた。 すると君が3番目の鏡の前に立った時、映し身は露骨に嫌そうな顔をして4番目の鏡へと移動した。よしよし、計画通りだ。 本来、左側に2枚以上の鏡がある状態であれば、映し身は1番目の鏡へと移動しようとするのだろうが、君の読み通り、映し身は魔法の紙を嫌がって右の4番目の鏡へと移動せざるを得なかった、という訳だ。 これで確証を得た。映し身は行動が完遂できない時には、本来の行動を止め、逆の方向へと移動するのだと。 こうなればあとは簡単だ。 君は4番目の鏡の前に立つ。映し身は左側には行けずに右側の5番目の鏡へ移動する。 そこで4番目の鏡に魔法の紙をペタリと貼って、5番目の鏡の前に立てば、映し身は6番目の鏡にしか移動できなくなる。 最後に君が6番目の鏡の前に立てば―― [次へ進む](18500) 18400 ![七枚の鏡](hero06.png) 準備を整えた君は、まず1番目の鏡の前に立った。 それから映し身が2番目の鏡へ移動したのを確認して、2番目の鏡の前で立った。 映し身が3番目の鏡へと移動するのを見届けた後、君はペタリと魔法の紙を貼り付けた。 すると君が3番目の鏡の前に立った時、映し身は露骨に嫌そうな顔をして4番目の鏡へと移動した。よしよし、計画通りだ。 本来、左側に2枚以上の鏡がある状態であれば、映し身は1番目の鏡へと移動しようとするのだろうが、君の読み通り、映し身は魔法の紙を嫌がって右の4番目の鏡へと移動せざるを得なかった、という訳だ。 これで確証を得た。映し身は行動が完遂できない時には、本来の行動を止め、逆の方向へと移動するのだと。 こうなればあとは簡単だ。 君は4番目の鏡の前に立つ。映し身は左側には行けずに右側の5番目の鏡へ移動する。 そこで4番目の鏡に魔法の紙をペタリと貼って、5番目の鏡の前に立てば、映し身は6番目の鏡にしか移動できなくなる。 あとはこの魔法の紙を―― ふと。そこで君は動きを止めた。 本当に5番目の鏡に魔法の紙を貼り付ける必要があるのだろうか、と。 [魔法の紙を貼る](18600) [魔法の紙を貼らない](18800) 18500 行き場を失った映し身がとうとう7番目の鏡へと移動した! 君はすかさず7番目の鏡の前に立つ。そこには苦悶の表情を浮かべている映し身がいた。 映し身は鏡の外に立っている君に向かってもがきながら手を伸ばすが、その手は鏡の外の君に届く筈などなかった。 鏡に貼られた魔法の紙が一層激しい光を放つと、映し身は漆黒の霧へと姿を変え、鏡を引っ掻いたような耳障りな悲鳴を上げて消滅したのだった! [次へ進む](18700) 18600 君は頭を振った。 今更何を不安になっているのだ。 魔法の紙は3枚ある。それならば、確実性のある方法を取るのが良い。 君は手の持った3枚目の魔法の紙を、トドメとして5番目の鏡に勢いよくペタリッと貼った。 そして最後に君が6番目の鏡の前に立てば―― [次へ進む](18900) 18700 目の前の鏡には、安堵して笑みを浮かべる君の姿が映っていた。今度こそは本当の自分の姿が映っているのだ。 よし! 無事に映し身を7番目の鏡に移動させることができたぞ! 見れば鏡が次第に光を帯びてきているのが分かる。 光よ、次なる道へとこの身を導け! 達成感に溢れた清々しい気持ちの君は、鏡が放つ光に包まれたのだった。 [次へ進む](19100) 18800 君は思いとどまり、頷いた。 映し身は行動が完遂できない時には、本来の行動を止める。 現在6番目の鏡にいる映し身は、5番目の鏡から4番目の鏡に移動しようとしても魔法の紙に阻まれる。まさに本来の行動を止めざるを得ない状況に追い込まれている訳だ。 ――ということは、映し身は「逆の方向」へ移動するしかない。 つまり、魔法の紙を1枚温存できるということだ。この1枚の差は大きい。 君は手に持っていた魔法の紙を道具袋にしまい込んだ。 そして最後に君が6番目の鏡の前に立てば―― [次へ進む](18500) 18900 ![七枚の鏡](hero06.png) 行き場を失った映し身がとうとう7番目の鏡へと移動した! 君はすかさず7番目の鏡の前に立つ。そこには苦悶の表情を浮かべている映し身がいた。 映し身は鏡の外に立っている君に向かってもがきながら手を伸ばすが、その手は鏡の外の君に届く筈などなかった。 鏡に貼られた魔法の紙が一層激しい光を放つと、映し身は漆黒の霧へと姿を変え、鏡を引っ掻いたような耳障りな悲鳴を上げて消滅したのだった! [次へ進む](19000) 19000 目の前の鏡には、安堵して笑みを浮かべる君の姿が映っていた。今度こそは本当の自分の姿が映っているのだ。 よし! 無事に映し身を7番目の鏡に移動させることができたぞ! 見れば鏡が次第に光を帯びてきているのが分かる。 光、次なる道へとこの身を導け! ……あっ。 勢いよく6番目の鏡にも魔法の紙を貼っちゃったけど、2枚だけでも十分だったかも……? 頭の片隅でそんなことを考えながら、君は鏡が放つ眩い光に包まれたのだった。 [次へ進む](19100) 19100 固い足場に着地した感覚の後、徐々に光が弱まってゆく気配を感じた。 だが、瞼は柔らかな光を感じ続けている。今までとは何かが違うような気がした。 そんな疑問を抱きつつ、君はゆっくりと瞼を上げる。 瞼が上がるにつれて差し込んでくる光に眉をしかめ、手をかざして光を軽減する。 光に慣れてきた。とうとう瞼が上がりきり、かざした手を下す。 そこで君は眼前に広がる信じられない光景に目を丸くした。 **青空が、見える……!?** 君は今、ガラスと思しき透明な天井や壁越しに青い空を見ている。柔らかな光はそこから降り注いでいたのだ。 慌てて周囲を見回せば、此処は通路のように長い一本道になっているのが判る。 通路の端と思われる扉の前までは、見たこともない美しい花が道に沿って両脇に植えられていることも判った。 宙には幾つものガラス玉のような球体も見える。それも花同様に通路に沿って浮いており、その中には玩具のようなものが入っているのが見て取れた。 普段ならば、この美しい光景は非常に心安らぐものになっただろう。 しかし、此処は先程までいた石で造られた薄暗くて陰鬱な建物とは見た目と雰囲気があまりにもかけ離れている。とてもではないが、心が安らぐなんてものではなかった。 [次へ進む](19200) 19200 此処には敵はいないようだが、こんなにも雰囲気が変化したのだ。油断はしない方がいい。 君は警戒を解かぬまま、まっすぐに続く通路を歩く。 床もガラスのような透明な素材で作られていて、恐ろしいことに床の下も見える訳なのだが、何か霧のようなものが浮遊しているのか、下界(?)は見通せない。 君は自分の足の下が一体どうなっているのか全く解らなかった。 逆に解ったこともあった。 何とも信じがたいことなのだが、この通路の両端は何らかの建物にくっ付いている訳ではなく、つまりは浮いているようなのだ。知らない方が幸せだったかもしれない。 一体どういう原理なのかは不明だが、とりあえずのところ、君は急に通路ごと落下という事態にならないようにと切実に祈りながら歩くよりほかなかった。 君は慎重な足取りで歩を進める。 次第に宙を浮かぶ球体との距離も近くなり、改めて目を凝らして球体を見た。 そこで君は球体の中にある『玩具のようなもの』の正体に気付き、思わず息を詰まらせてしまった。 **こ、これはまさか、小さくされた村や町だというのか!?** 一見するとこれらは精巧に作られた模型だと思うだろう。だが、『違う』のだ。 この、小さな建物の近くで何かから必死に逃げているかのような恰好の『人形のようなもの』の恐怖に歪んだ表情が、目が、訴えかけてくる。 **「助けてくれ」と。** この『人形のようなもの』だって、本当は人形ではない。生きていた人間だった筈だ。 ポーラスから話は聞いていたが、実際にグリメルムの『収集物』を目の当たりにし、あまりにも異常で不自然な在り方に背筋がぞくりと粟立つのを感じた。 これがグリメルムの『収集物』ならば、そろそろグリメルムが近いのかもしれない。 気を引き締めて先に進もう……! %red%**▼MPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](19300 "-f13") [次へ進む](19310 "f13") 19300 とうとう扉の前まで来た。 扉を近くで見てみると、大きさこそ人一人が立って出入りできる普通のものだが、金や宝石など凝った装飾が施された豪奢な扉であることが判る。 しかし、ここは『やはり』と言うべきか。 通路の両端が何物にも接していないと気付いた時点である程度の察しはついていたが、この扉は透明なガラスのような壁に取り付けられていた。 つまり、扉を開けずとも扉の先が見える状態という訳なのだが、上には空が、下には霧が見えるだけで、一見すると何処にも繋がっていないようにしか見えないのである。 普通に考えれば、扉を開けたところで空か霧が見えるだけで、部屋や続きの通路などないのだが……。 君は怪訝な顔をしつつ、罠はないかと時間を掛けて念入りに調べてはみたが、扉自体に罠は仕掛けられていなかった。 念の為にもう一度耳をそばだてて扉の先の音を聞こうとするが、風の吹く音どころか何の音も聞こえはしない。 そうとなると、後は扉を開けてからのお楽しみ(何も楽しみではないが!)という選択肢しか残されていない。 そう、『この扉を開けない』という選択肢はないのだ。 君は念のために、魔法のペンと既に1枚だけになってしまった魔法の紙を取り出して、ポーラスの名前を書き入れる。 きっと戦いになれば、悠長に名前を書き入れる時間なんてない筈だ。念には念を入れておいた方が良い。 最後の1枚となった魔法の紙に名前を書き入れた君は、それを大事に道具袋の中に仕舞いこんだ。 そして、君は深呼吸を数度繰り返す。 いつでも攻撃ができるか? ――いつでもできる。 いつでも回避ができるか? ――こっちも大丈夫だ。 もしも危なくなったなら? ――そりゃあ勿論逃げるが勝ちよ! 心も体も準備はできた。 君は緊張した面持ちでゆっくりと扉を開けたのだった。 [次へ進む](19400) 19310 とうとう扉の前まで来た。 扉を近くで見てみると、大きさこそ人一人が立って出入りできる普通のものだが、金や宝石など凝った装飾が施された豪奢な扉であることが判る。 しかし、ここは『やはり』と言うべきか。 通路の両端が何物にも接していないと気付いた時点である程度の察しはついていたが、この扉は透明なガラスのような壁に取り付けられていた。 つまり、扉を開けずとも扉の先が見える状態という訳なのだが、上には空が、下には霧が見えるだけで、一見すると何処にも繋がっていないようにしか見えないのである。 普通に考えれば、扉を開けたところで空か霧が見えるだけで、部屋や続きの通路などないのだが……。 君は怪訝な顔をしつつ、罠はないかと時間を掛けて念入りに調べてはみたが、扉自体に罠は仕掛けられていなかった。 念の為にもう一度耳をそばだてて扉の先の音を聞こうとするが、風の吹く音どころか何の音も聞こえはしない。 そうとなると、後は扉を開けてからのお楽しみ(何も楽しみではないが!)という選択肢しか残されていない。 そう、『この扉を開けない』という選択肢はないのだ。 君は深呼吸を数度繰り返す。 いつでも攻撃ができるか? ――いつでもできる。 いつでも回避ができるか? ――こっちも大丈夫だ。 もしも危なくなったなら? ――そりゃあ勿論逃げるが勝ちよ! 心も体も準備はできた。 君は緊張した面持ちでゆっくりと扉を開けたのだった。 [次へ進む](19400) 19400 扉を開けた君の目に映ったのは真っ暗闇だった。 そう、空でもなければ霧でもない、何が飛び出してくるのか分からない漆黒がそこにあった。 君は武器を構え、耳を澄ませて闇を注視する。 そんな時、君の視界の端に何かがひらりひらりと横切った。 ――蝶。そう、それは金色に淡く輝く一羽の小さな蝶だった。 発光する蝶は優雅に、軽やかに君の横を舞いながら通り過ぎ、そのまま闇の先へと飛んで行く。 その様子はまるで君を誘っているようにも見えた。 罠である可能性は否定できない。が、此処で立ち尽くしている訳にもいかない。 君は先を舞う蝶を追うように、一歩、また一歩と闇の中を進んでいった。 [蝶は一体何処へ……?](19500) 19500 静寂に包まれた闇の中に、君の足音だけが反響する。 蝶を追って闇の中を進んでいた君は、自分より少し先の中空で蝶が同じ場所を何度も舞い、そして止まったのを見た。 君がそこまで到達して立ち止まると、君のすぐ目の前に一つのぼんやりとした淡い光が灯った。 **何だッ!?** 一体何事かと思わず身構える。そこには一人の少女がランタンを持って立っていた。 頼りない明りに照らし出された少女の姿は、暗色のワンピースに白いフリル付きのエプロンを身に着けていて、頭には白いフリルのカチューシャを着けていた。まさに給仕といった姿だ。 光量が足りず髪色はよく判らないが、光の反射具合から見て、色素の薄い髪のようだ。それが肩の上くらいで切り揃えられている。 少女の肩口を見やった時、先程の蝶が留まっていることに気が付いた。翅を休めているのだろうか。 少女は何をするでもなく、何を言うでもなく、君を静かに見つめている。 幼さの残る顔をしている少女なのだが、その顔に表情は無く、君を真っ直ぐに見つめる瞳にも生気はない。ただ、君の方を黙したまま見つめているだけだ。 どうやら敵意はないようだが、一体どうして少女がこんなところに……? 君は少女に声を掛けようとして、気が付いた。 ランタンを持つその指が、関節が、小さな球体によって繋がっている。 少女もまた人形だったのだ。 [次へ進む](19600 "-f13") [次へ進む](19610 "f13") 19600 人形の少女は黙したまま端に避けると、その華奢な指で自らの後ろの空間を指さした。すると、指が示す場所にぽうっと光が灯った。 あそこに進めということだろうか? 人形の少女に問いかけると、彼女は返事の代わりにお辞儀をした。『行ってらっしゃいませ』と言っているかのように。 その所作はあまりにも機械的で、感情など皆無だった。だが、違う階層で見た殺気に満ち満ちた人形ではない、人間と見紛うばかりのこの少女と戦いたくはないと思ったのだから、これでいいのだ。 君は人形の少女に礼を言うと、彼女が指し示した光へと進む。 一歩、また一歩と進むごとに緊張で心臓の鼓動が速まるのを感じる。 強敵との戦いが目前に差し迫る今、見えない圧力が君を押しつぶそうとする。 しかし、君は歩みを止めない。 何故なら、君はペンタウァの勇敢なる者『ソーサリアン』その人なのだから。 **そこにいるというのかグリメルム! 待っていろ、望み通り行ってやるぞ!!** 強い意志を瞳に宿し、力強い歩みで光の中に突き進む。 君の体は光の中へと消えた。 [いざ征けソーサリアンよ!](01114 "f6,f7,f8") [いざ征けソーサリアンよ!](01184 "-f6,f7,f8") 19610 人形の少女は黙したまま端に避けると、その華奢な指で自らの後ろの空間を指さした。すると、指が指し示す場所にぽうっと光が灯った。 あそこに進めということだろうか? 人形の少女に問いかけると、彼女は返事の代わりにお辞儀をした。『行ってらっしゃいませ』と言っているかのように。 その所作はあまりにも機械的で、感情など皆無だった。だが、違う階層で見た殺気に満ち満ちた人形ではない、人間と見紛うばかりのこの少女と戦いたくはないと思ったのだから、これでいいのだ。 君は人形の少女に礼を言うと、彼女が指し示した光へと進む。 一歩、また一歩と進むごとに緊張で心臓の鼓動が速まるのを感じる。 強敵との戦いが目前に差し迫る今、見えない圧力が君を押しつぶそうとする。 しかし、君は歩みを止めない。 何故なら、君はペンタウァの勇敢なる者『ソーサリアン』その人なのだから。 **そこにいるというのかグリメルム! 待っていろ、望み通り行ってやるぞ!!** 強い意志を瞳に宿し、力強い歩みで光の中に突き進む。 君の体は光の中へと消えた。 [いざ征けソーサリアンよ!](01794 "f6,f7,f8") [いざ征けソーサリアンよ!](01797 "-f6,f7,f8") 01114 **【最上階前】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【01114】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくることが できます。 ステータスのMEMOS等に【01114】とメモを取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※冒頭シーンで本の直撃により受けたダメージは反映しないこと なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](19700) 01184 **【最上階前】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【01184】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくることが できます。 ステータスのMEMOS等に【01184】とメモを取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※冒頭シーンで本の直撃により受けたダメージは反映しないこと なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時の【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](19700) 01794 **【最上階前】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【01794】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくることが できます。 ステータスのMEMOS等に【01794】とメモを取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※冒頭シーンで本の直撃により受けたダメージは反映しないこと なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時の【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](19700) 01797 **【最上階前】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【01797】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくることが できます。 ステータスのMEMOS等に【01797】とメモを取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※冒頭シーンで本の直撃により受けたダメージは反映しないこと なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時の【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](19700) 19700 光を抜けたその先に。 君は気が付けば明るい空間の中に立っていた。 球体が浮く通路と同じく、全面がガラスらしき透明な素材で覆われた大きな部屋の中に、赤い絨毯の上に、君は一人立っていたのだ。 鳥のさえずりが聞こえる。 天井を見やると、晴天には白い小鳥の群れが楽しげに飛んでいた。 水の流れる音が聞こえる。 周囲を見やると、部屋中を飾るようにして生える名も知らぬ美しい草木が見て取れた。 前方へと歩みを進め、草木の生え際近くを見てみると、磨き上げられた床石には細長い溝ができており、そこに透き通った水が流れていた。 なんと美しい場所なのだろうか。神聖さすら感じるこの空間は、まるで楽園のようであった。 **「異界から遥々会いに来てくれたんだね。 ありがとう、そしてお疲れ様、ソーサリアンくん」** ――それはあまりにも突然だった。 君の心臓は瞬時に跳ね上がり、呼吸をすることさえも忘れた。 一体誰の声なのかとか、そんなことを気にしての行動ではなく、君はただただ反射的に声がした方向へと振り向いた。 部屋の奥、その中央。 数秒前には確かに『何もいなかったし、何もなかった』。その筈だった。 だが、今は違う。 横を向いて流水を見ていた君が再び前を向いた時には、『そこ』に白いクロスが掛けられた丸いテーブルが1つと椅子が2つ。 そして、2つある椅子の片方に座り、君に向かって笑顔で小さく手を振る1人の男がいたのだった。 [次へ進む](19800) 19800 紫紺の外套を羽織り、黒衣を身に纏う男は、青年と言えるくらいの歳に見える。やや離れた位置からでも判るほどに見目麗しい男だ。 モノクル(片眼鏡)から覗く瞳は紅玉の如き紅さで煌き、柔和な笑みを浮かべる顔は白く透き通り、目鼻立ちも整っている。その美貌はエルフに近いものを感じた。 そして、青みがかった艶やかな銀色の長い髪も目を引いた。男はその長く伸びた艶やかな髪を赤いリボンで1つにまとめ、肩口に流している。 だが、その美しい髪以上に目を引いたのは、銀髪から覗く尖った耳と、羊の角にも似ている紫紺の角だ。 その身体的特徴が、この男は人外の者であることを物語っていた。 君は男を鋭く睨みつけながら一つの問いを投げかけた。 「お前がグリメルムなのか?」と。 すると男は満面の笑みを浮かべ、低音のよく通る声で答えた。 「あぁ、そうだよ。私が時空を操る魔族、収集家グリメルムだ。 かれこれ数百年は生きているけど、彼の地で有名な勇者くんと こうして会えるなんて光栄だよ」 この最上階らしき部屋にいる時点でそんな気はしていたが、これで確定である。 やはりこの男はグリメルムだったのだ! ![収集家グリメルム](hero07.png) [次へ進む](19900) [07974,09113,09122,01114,01184,01794,01797,333221,543210,332211,654321](X) 19900 グリメルムが何故村や町を襲うのか。その理由が知りたく、君は続けざまにグリメルムに問いを投げかけようと口を開く。 だが、それは目の前にいる男の楽しげに弾む声によって阻まれた。 「此処まで来るのはとても疲れただろう? それに、君はこの塔を登る間に何も食べていなかったのだから、 お腹も空いていれば、喉も渇いているんじゃないかな? でも心配はいらないよ。 勇気ある君のために、美味しいお茶とお菓子を用意していたんだ。 さぁ、まずは**お茶会**といこうじゃないか」 ……は?? 急に何言ってんだこの男……? グリメルムのまさかの提案に、君は呆気にとられてしまった。 今までのことを考えれば、それも無理はないだろう。 先ほどまでは緊張によってグリメルム以外のものに集中している余裕すらなかったが、よく見てみれば確かにテーブルの上には高級そうな作りのティーポットやら美味しそうな大量の菓子が置かれている。 それにしたって、この男は急に何を言い出すんだ……。 普通、此処まで散々謎掛けやらトラップでこちらを苦しめておいて、今度は突然お茶会で労おうとしているとか、まるで意味が分からないのだが……。 [って思ったけどお茶会で休憩しちゃおっ……か、な……?](20000) [おいおいおいおい!絶対に罠だろこれーーー!!](20100) 20000 なんかもう色々とツッコミどころ満載であるし、此処まで散々苦労させやがってこの片眼鏡角ヤローと文句を言いたい気持ちもある。あるのだが……ッ! **ぐぅ~……。** ……まあ、お腹の虫さんは情けない声でこう言っている訳でして。 だって! テーブルの方から流れてくる紅茶の良い匂いだとか、菓子の甘い匂いだとか、はっきり言ってズルい! こんなの反則だ!! こっちは飲まず食わずでよく分からん場所を行ったり来たりして、大量の人形と戦うはめになったり、謎解きで頭も体も運も使ってきたというのに、そんな苦労人の前で美味しそうな茶と菓子を見せつけてくるとか! この人でなしー! って、本当に人じゃないけど、そんなのは些細な問題であって、とにかくズルいのだ! こんなの見せつけられたら……こんなに良い匂いがしていたら……。 **「お菓子、食べるかい?」** ニッコリと微笑みながら訊ねてくる男に、君は**「うん……」**と素直に頷くしかなかったのだった……。 これもすべて空腹が悪いんだ……。 [奇妙なお茶会スタートだよッ!!(ヤケクソ)](20200) 20100 **こんなに露骨な罠に引っ掛かってたまるか!!** 君はお茶会の誘いを突っぱねた。 あんなに意地の悪い謎掛けを用意していたグリメルムのことだ、人の好さそうな顔をしてこちらを油断させておいて、菓子をパクッと食べた瞬間にニヤリと笑って『愚かな人間よ、此処で死ぬがよい!』と態度を豹変させて殺しにかかってきても不思議ではない。 明らかに警戒し、武器を構えて睨みつけてくる君を見たグリメルムは肩をすくめた。 「罠じゃあないんだけどなぁ。 謎掛けと称して**暇つぶ**……人間を試すことはあっても、 用意したお茶やお菓子に毒を盛るだなんてことはしないさ。 私も高位魔族の誇りを持っているからね、 此処まで来てくれた君にそんな無粋な真似をするつもりはないよ」 なんか暇つぶしって言いかけていたような気がするが、まあ、それは置いといて。 目の前の男は、高位魔族の誇りとか言っているけど、それだって本当のことか疑わしいものだ。 グリメルムは君が一切聞く耳を持たない、と言わんばかりに眼光鋭く睨みつけてくるのを認めると、「まあ、君が警戒する気持ちも解らなくはないけどね」と涼やかに笑った。 そして席を立った男が優美な所作でテーブルと椅子を覆うように外套を広げ、それを元に戻すと―― **なっ……!?** 君は思わず声を上げてしまった。 何故なら、テーブルと椅子が綺麗さっぱり消えていたのだから! [次へ進む](20300) 20200 君が素直に頷いてから少し時間を送ったところで話を再開しよう。 **美味い……悔しい……でも美味い……。** 君は今、収集家と自称する高位魔族グリメルムの向かい側に座り、己の内の葛藤を表す憮然とした表情のまま黙々と茶を啜り、黙々と菓子を食べていた。 現在はケーキを食べている真っ最中だ。 魔族と言えば新鮮な血肉を求め、人間を食い殺すか生き血を啜るといった血生臭いイメージが先行するが、どうやら目の前の男は(別に食べる必要はないのだが、香りや味が良いからと)人間の食べ物を嗜んでいるらしい。 『らしい』というのは、グリメルムが自主的に語ったことだからだ。 こちらは流石にこんな状況では気まず過ぎるというか、プライドはもうめちゃくちゃというか、とにかくそんな感じなので質問はしていない。 だが、グリメルムはそんなことなど気に掛けた様子もなく、気さくに色んなことを話している。 先程の食べ物の好みについても、その話題の中の一つだったという訳だ。 他にも茶葉の説明やら謎掛けについても懇切丁寧に解説してくれたが、正直なところ空腹を満たすのに必死でほぼ右から左へと流してしまった。 あと……なんだっけ。確か数年来だか、数十年来だか……いや、数百年来だったか……? まあ、いいや。とにかく**『知り合い』**に変人だと思われてるっぽいだかなんだかで、「**『彼』**の方がよっぽど変人なのにさぁ、心外だよねぇ」とかニコニコしながら言っていたような気もするが、変人は変人である自覚が案外なかったりするものなのだなと思いつつ、やっぱりこちらも軽く流してしまったのだった。 それでも目の前の魔族は気を悪くした風でもなく、喜々として語り続けているので問題はないと思える。 てか、あの右と左の扉がデストラップ過ぎるだろ……こえー……。 ・・・・・・ ・・・ それにしても茶と菓子が美味い……。 こんなに美味い茶や菓子を口にしたのは、生まれて初めてかもしれない。 どうやら上流階級の人間しか口にすることを許されないような貴重で高価なものらしく、確かに茶も香り高く、菓子も上品な味わいとどちらも最高級品であった。 しかも、いつの間にか空腹どころか疲労やら何やら体の不調が吹っ飛んでいるのだから、上流階級の食の力ってすごいなぁと思いつつ、最後に香りの良いミルクティーを堪能したのだった。 ごっつあんです……。 %blue%**▲HPとMPが全回復した!**%/% %blue%**▲状態異常が治った!(手動で正常に戻す)**%/% [次へ進む](20400) 20300 「驚かせてしまったかな? 私はこういう風に物を消したり、 逆に物を出したりすることもできるんだ。 種を明かすと、君に声を掛ける直前にも この力を使ったという訳さ」 涼やかに笑うグリメルムは、さも当たり前のように普通でないことを口にする。 この男にとってこの尋常ならざる能力は、わざわざ容易だとすら思わないほどに自然なことなのだと、男が浮かべる余裕の笑みが、そう物語っていた。 君は途端に体が強張り、背中に冷たい汗が一筋流れるのを感じた。 だが、本来の目的は勿論忘れてはいない。 目の前の男を名指した後、君は威嚇するように「何故お前は村や町を襲うんだ!」と鋭く問うた。 問われたグリメルムは一瞬目を瞬いた後、「ああ」と得心いったというように頷く。 それから彼は喜々としてこう言い放ったのだ。 **「言っただろう、収集家だって」** [次へ進む](20500) 20400 グリメルムは君の空腹が満たされたのを確認して満足そうに頷いた。 これにてお茶会は終了である。 君は席から立った後、グリメルムがにこやかな表情をして指さす先――お茶会前に君が立っていた場所だ――まで歩き、くるりと彼のいる方へと向き直る。 ジェスチャーで「OK?」と訊くとグリメルムはニコニコとして頷いた。 **……という訳で、Take2!** 何事もなかったかのように君とグリメルムは対峙する。 そう、何もなかったのだ。なかったことにして欲しい。 そして席を立ったグリメルムが優美な所作でテーブルと椅子を覆うように外套を広げ、それを元に戻すと―― **なっ……!?** 君は思わず声を上げてしまった。 何故なら、テーブルと椅子が綺麗さっぱり消えていたのだから! [力押しの展開であるが気にせず次へ進む](20600) 20500 グリメルムは言葉を続ける。 「私はね、人間達が知識を得て、新しいものを造り出す姿を 何百年と見てきたんだ。 人間観察は私を飽きさせない唯一つの楽しみだからね、 君達人間のことは、とても愛おしく思っているよ」 そう言う男の紅い瞳は何処までも真面目に見えた。嘘を言っているようにも見えない。 だが、そこまで言ったグリメルムは肩をすくめた。 「だけど人間は愚かだ。 人間の寿命で言えばそれなりに長い時間を掛け、 財も労力も費やして造り上げたものだというのに、 同じ種同士で醜く争って滅茶苦茶にしてしまうんだからね。 そんなのどう考えたって勿体無いだろ? だから私は人間達が作り上げたものを『保存』しているんだよ。 異次元に存在する、この塔にね」 **『保存』。** その一言に、君の脳裏に透明な球体の中に閉じ込められた人間の表情が鮮烈に浮び、奥歯をぐっと噛み締める。 グリメルムは自らの趣味の為に、人間が造り上げたものを『保存』する。 たとえそこに生きた人間がいようとも、そんなことなどお構いなしに『保存』するのだ。 そこに憎しみはない。 収集の判断に善も悪も何も関係ない。 気に入ったら収集する。そんな純粋な収集欲だ。 だからこそ、何もかもを収集の対象にし得るこの男は恐ろしい。 [次へ進む](20700) 20600 「驚かせてしまったかな? 私はこういう風に物を消したり、 逆に物を出したりすることもできるんだ。 種を明かすと、君に声を掛ける直前にも この力を使ったという訳さ」 涼やかに笑うグリメルムは、さも当たり前のように普通でないことを口にする。 この男にとってこの尋常ならざる能力は、わざわざ容易だとすら思わないほどに自然なことなのだと、男が浮かべる余裕の笑みが、そう物語っていた。 君は途端に体が強張り、背中に冷たい汗が一筋流れるのを感じた。 だが、本来の目的は勿論忘れてはいない。……茶や菓子を貪っていた間だって、目的は忘れていなかった……と言い張る! 内心ちょっぴり自信なさげにしながらも、君は男を名指した後、「何故お前は村や町を襲うんだ!」と問うた。 問われたグリメルムは一瞬目を瞬いた後、「ああ」と得心いったというように頷く。 それから彼は喜々としてこう言い放ったのだ。 **「言っただろう、収集家だって」** [次へ進む](20500) 20700 グリメルムの言うことは、納得できるところも一部ではあるが確かに存在する。 人間は時に争い、同じ種である人間を殺し、故郷に火を放ち、築き上げてきたもの全てを破壊することもある。 肉体を殺し、魂を殺し、文化を殺す。そんな戦いの歴史の中で、一体幾つの『もの』が破壊され続けてきたのだろうか。 数百年も生きてきたというこの男であれば、そんな行いを幾度となく傍観してきたことだろう。だからこそグリメルムはそれを『愚かな行い』と言っているのだ。 だが、グリメルムのいう『愚かな行い』を悔い、正しくあろうと新たに歩み出すのもまた人間という生き物である。 その機会を奪い、自らの欲を満たす為だけに人々を襲うグリメルムの凶行を…… **ソーサリアンの名に懸けて認める訳にはいかない!** 君はグリメルムの言葉に対し、凛然として己の言葉を放った。 グリメルムにとっては趣味の一端であろうとも、その行いで不幸が連鎖するのであれば、人間として、ソーサリアンとして、それを決して認めるわけにはいかないのだ。 一方のグリメルムは、君の言葉を遮ることもせず、ただ黙って聴いていた。 腹部辺りに回した腕の上に肘を乗せ、軽く指を畳んだ片手を顎の下に添えた体勢で、ただ純粋に「なるほど」と納得している風であった。 「まあ、人である君がそう言うのも無理はないと思うよ。 私にとってみれば、大切なのは『人間が造り出したもの』のみで、 収集物ごと人間も保存しているのは、あくまでも 『たまたま其処に人間が居た』というだけだからね。 現に、消費した魔力を回復させる一環として、 保存した人間の魂を幾つか頂戴してしまっていることも 否定するつもりはないよ」 更に一言。グリメルムは穏やかに言った。 **「人間は愛おしいが、この感情は慈悲ではない。好奇なんだ」** 言葉を交えても擦れ違い相容れない存在。 理解しているようで真に互いを理解できない思考。 ――ああ、やはり。 グリメルムと名乗る収集家は『魔族』なのだ。 [次へ進む](20800) 20800 グリメルムは肩をすくめ、溜息をつく。 「さぁ、気は済んだかい? 遠くまで来てもらって何だけど、 ようやく『次の収集物』が決まってね、 君の相手をしている時間はなくなってしまったんだ」 グリメルムの紅き瞳が妖しく輝き、薄い唇が半月の如き笑みを浮かべる。 その含みを持たせた言葉に、君の脳内は直感的に警鐘をけたたましく鳴り響かせていた。 君は喉元をせり上がってくる緊張感と嫌な予感を抑え込み、武器を構えてグリメルムを睨み付ける。 あくまでも冷静に、しかし獣の唸り声を彷彿とさせる低い声で君が「次の収集物とは何だ」と問うと、グリメルムは「**『剣と魔法の王国』**……と言えば、分かると思うけど」と妖しく笑ってみせた。 **まさか、ペンタウァか!?** 君が声を荒げて『ペンタウァ』と口にすると、グリメルムは表情を輝かせて「ご名答っ!」と楽し気に答えた。 「じゃあ機会があったらまた会おう、ソーサリアンくん!」 そう言うが早いか、グリメルムの体はふわりと宙に浮き始める。 君は制止の声を上げながら駆け、必死に手を伸ばすが、その手は空しく宙を切った。 **グリメルムを止めることはできないのか!?** ――そう思われた、まさにその時、君の体の一部が眩い光を放つ! それが一体何なのかと君が理解する間もなく、状況は一変した。 [な、何だ……!?](20900 "-f13") [な、何だ……!?](20910 "f13") 20900 布が擦れ、解ける微かな音を耳の端で捉えたかと思った時には、『それ』はグリメルムへと向かって飛び、片方の角に巻き付いていたのだ! **あれは……ポーラスのリボンだ!!** 君が身に着けていたポーラスのリボンは、グリメルムの片角にきつく巻き付くと、より一層輝きを増した。 「うっ……力が、抜ける……だと!?」 グリメルムの表情からは、先程までの余裕は既に消え失せていた。 紅い瞳をクワッと見開き、驚愕の表情でリボンを引き剥がそうとするが、リボンに触れようとした手は光に弾かれ、まともに触れることも出来ないようだった。 グリメルムは無表情でリボンに弾かれた己の手を見ている。 君からは魔族の手がどのような状態になっているのかまでは確認できなかったが、その指先からは煙が立ち上っていた。 暫しの間、空間が沈黙する。 ……が、それを突き破ったのは、グリメルムの高らかな笑い声であった。 [次へ進む](20901) 20901 **「は、ははっ、はははは! これは予想外だったな! まさか私の魔力に干渉してくるとはね!」** 男は湧き上がる笑いを堪え切れないのか、くつくつと愉快そうに肩を震わせながら、ゆったりとした速度で降下し、君から10ライ(10メートル)ほど離れた位置にふわりと着地する。 瞬間、男の足元に青い光を放つ魔法陣が展開され、部屋全体の構造が、空気が、一瞬にして『変わった』。 君がその異常に気付いて周囲を見回すと、正方形の石が敷き詰められた床は淡く光を放ち、天井と壁があった場所には、満天の星空が拡がり、青く冷たい満月までもが輝いていた。 部屋という概念すら放棄した空間の果ては――見えない。 「そうか、どうやら君と『あの娘』が出逢ったことは、 この私の趣味に於いて少々無視し難い問題のようだ。 分かった、分かったよ、 私は異界に行く力を取り戻す為に君の相手をしよう。 これで君が望む展開になった訳だが、文句はあるまいね?」 高揚した口調で捲し立てるグリメルムからは、先程までの優美さや穏やかさは剥がれ落ちていた。 『そこ』に在るのは、魔族としての狂暴性と一握りの理性である。 急激に存在感を増す殺気は、人間である君を容赦なく呑み込まんとする。 しかし、君の内側から燃え上がる闘争心が呑み込まれることはない。 迷いなき戦人の瞳が放つ鋭利な光は、人ならざる者を真っ直ぐに射抜いていた! **「ああ、お前が此処で足を止めてくれるならばそれで十分! おしゃべりはここまでだ、行くぞッ!!」** [最終決戦へ!](21200) [声が……聞こえる……](21000 "f14") [声が……聞こえる……](21100 "-f14") 20910 布が擦れ、解ける微かな音を耳の端で捉えたかと思った時には、『それ』はグリメルムへと向かって飛び、片方の角に巻き付いていたのだ! **あれは……ポーラスのリボンだ!!** 君が身に着けていたポーラスのリボンは、グリメルムの片角にきつく巻き付くと、より一層輝きを増した。 「うっ……力が、抜ける……だと!?」 グリメルムの表情からは、先程までの余裕は既に消え失せていた。 紅い瞳をクワッと見開き、驚愕の表情でリボンを引き剥がそうとするが、リボンに触れようとした手は光に弾かれ、まともに触れることも出来ないようだった。 グリメルムは無表情でリボンに弾かれた己の手を見ている。 君からは魔族の手がどのような状態になっているのかまでは確認できなかったが、その長い指先からは煙が立ち上っていた。 暫しの間、空間が沈黙する。 ……が、それを突き破ったのは、グリメルムの高らかな笑い声であった。 [次へ進む](20911) 20911 **「は、ははっ、はははは! これは予想外だったな! まさか私の魔力に干渉してくるとはね!」** 男は湧き上がる笑いを堪え切れないのか、くつくつと愉快そうに肩を震わせながら、ゆったりとした速度で降下し、君から約10ライ(10メートル)ほど離れた位置にふわりと着地する。 瞬間、男の足元に青い光を放つ魔法陣が展開され、部屋全体の構造が、空気が、一瞬にして『変わった』。 君がその異常に気付いて周囲を見回すと、正方形の石が敷き詰められた床は淡く光を放ち、天井と壁があった場所には、満天の星空が拡がり、青く冷たい満月までもが輝いていた。 部屋という概念すら放棄した空間の果ては――見えない。 「そうか、どうやら君と『あの娘』が出逢ったことは、 この私の趣味に於いて少々無視し難い問題のようだ。 分かった、分かったよ、 私は異界に行く力を取り戻す為に君の相手をしよう。 これで君が望む展開になった訳だが、文句はあるまいね?」 高揚した口調で捲し立てるグリメルムからは、先程までの優美さや穏やかさは剥がれ落ちていた。 『そこ』に在るのは、魔族としての狂暴性と一握りの理性である。 急激に存在感を増す殺気は、人間である君を容赦なく呑み込まんとする。 しかし、君の内側から燃え上がる闘争心が呑み込まれることはない。 迷いなき戦人の瞳が放つ鋭利な光は、人ならざる者を真っ直ぐに射抜いていた! **「ああ、お前が此処で足を止めてくれるならばそれで十分! おしゃべりはここまでだ、行くぞッ!!」** [最終決戦へ!](21200) [声が……聞こえる……](21110 "f14") [声が……聞こえる……](21111 "-f14") 21000 **・・・・・・・・・!** **・・・・・・?** **・・・??** 君は気がつけば満天の星空の中に浮遊していた。 だが、今の君は精神体。そう、精神だけの存在になっていた。 はぁ!? どうしてこんな状態に!?!? あまりの超展開に君が混乱し出したその時、突然聞き覚えのあるような……ないような……とにかく、そんな不思議で温かな声が聞こえた。 ------------------------------------------------------------ **久しぶりじゃな、ペンタウァの勇者よ。** 最終決戦前にお主の意識だけを引っ張ってきておる。水を差してすまんのぅ。 しかし、儂も出番が……ごほん、あの『すかした魔族』を出張らせておく訳にもいかんからのぅ。 ……何? 儂のことを知っているような知らないような、記憶が何とも曖昧でふわふわとしておるじゃと? まあ、この物語は幾多の道筋が存在するでな、そういうこともあるじゃろうて。 さて、お主の時間を借りたのも用向きがあってのこと。 お主の時間をちょいと借りて説明するぞ。心して聴くのじゃ。 もしもお主が「『げぇむおーばー』の度に選択肢もない、あの『すかした魔族』の長話シーンを何度も見るのは、正直なところとてもしんどい」と思ったのなら、シーン【00600】または【19800】にある空白にこう入力するとよい。 **%blue%【333221】%/%** とある洞窟の謎掛けが元になっているのじゃが、まあ、今は置いておくとするかの。 この『秘密の暗号』を入力すれば、お主は最終決戦まで戻れるという寸法じゃ。 お主にとって現在のステータス情報も必要ならば、今の内にメモを取るとよいじゃろう。 そうそう。お主に佳き知らせじゃ。 お主は今のところ**%blue%『佳き未来』%/%**に向かっておる、その調子で進むがよい。 ご褒美として、最終決戦前のお主の道具袋に<七惑星の欠片>を合計で【7個】入れておこう。 良いか、【欠片の組み合わせはお主の自由】じゃが、【合計で7個】ということを忘れてはならぬぞ。欲張りは『メッ』じゃ。 **★全種類の欠片の中から必要な欠片を【合計で7個】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片の数を手動で増やす 因みに、お主が「最終決戦に水を差されたくない」と感じたのであれば、最終決戦前の選択肢で**【最終決戦へ!】**を選ぶとすぐに最終決戦に挑めるぞ。 ただし、その場合は残念ながら【七惑星の欠片は補充できない】からの、ゆめゆめ忘れぬようにな。 **それでは、健闘を祈るぞ。ペンタウァの勇者よ。** ------------------------------------------------------------ 謎の声が遠退いてゆく……。 そして、君の意識は元の時間軸へ……。 [冒険に戻る](21200) 21100 **・・・・・・・・・!** **・・・・・・?** **・・・??** 君は気がつけば満天の星空の中に浮遊していた。 だが、今の君は精神体。そう、精神だけの存在になっていた。 はぁ!? どうしてこんな状態に!?!? あまりの超展開に君が混乱し出したその時、突然聞き覚えのある声が聞こえた。 ------------------------------------------------------------ **やあ、最終決戦前に君の意識だけを引っ張ってきてごめんね?** ――ああ、心配しなくてもいいよ。 今こうして君に語り掛けている私は『君の知らない私』だからね。 なぁに、これもちょっとした暇つぶ……賢人の真似事というヤツさ。 それでは、少しだけ君の時間を借りて説明するよ。 もしも君が「Game Overの度に選択肢もない長話シーンを何度も見るのは、正直なところとても疲れる」と思ったのなら、シーン【00600】または【19800】にある空白にこう入力するといい。 **%blue%【543210】%/%** この『秘密の暗号』を入力すれば、君は最終決戦まで戻れるという寸法さ。 君にとって現在のステータス情報も必要なら、今の内にメモを取るといいだろう。 えっ、秘密という割には適当じゃないのかって? いやぁ、君さ、%red%『横道に逸れてしまった』%/%からねぇ。 ――ん? ああ、こちらの話さ。 特に深い意味はないから、気にしないでおくれ。 因みに、君が「最終決戦に水を差されたくない」と感じたのであれば、最終決戦前の選択肢で**【最終決戦へ!】**を選ぶと、物語が盛り上がったまま最終決戦に挑めるよ。 私としては、此処に来てもらえないのは残念なことだけど、『最終決戦の雰囲気作り』っていうのも大事だからね。仕方がないさ。 **それでは、健闘を祈るよ。ペンタウァの勇者くん。** ------------------------------------------------------------ 聞き覚えのある声が遠退く……。 君の意識は元の時間軸へ……。 [冒険に戻る](21200) 21110 **・・・・・・・・・!** **・・・・・・?** **・・・??** 君は気がつけば満天の星空の中に浮遊していた。 だが、今の君は精神体。そう、精神だけの存在になっていた。 はぁ!? どうしてこんな状態に!?!? あまりの超展開に君が混乱し出したその時、突然聞き覚えのあるような……ないような……とにかく、そんな不思議で温かな声が聞こえた。 ------------------------------------------------------------ **久しぶりじゃな、ペンタウァの勇者よ。** 最終決戦前にお主の意識だけを引っ張ってきておる。水を差してすまんのぅ。 しかし、儂も出番が……ごほん、あの『すかした魔族』を出張らせておく訳にもいかんからのぅ。 ……何? 儂のことを知っているような知らないような、記憶が何とも曖昧でふわふわとしておるじゃと? まあ、この物語は幾多の道筋が存在するでな、そういうこともあるじゃろうて。 さて、お主の時間を借りたのも用向きがあってのこと。 お主の時間をちょいと借りて説明するぞ。心して聴くのじゃ。 もしもお主が「『げぇむおーばー』の度に選択肢もない、あの『すかした魔族』の長話シーンを何度も見るのは、正直なところとてもしんどい」と思ったのなら、シーン【00600】または【19800】にある空白にこう入力するとよい。 **%blue%【32211】%/%** とある洞窟の謎掛けが元になっているのじゃが、まあ、今は置いておくとするかの。 この『秘密の暗号』を入力すれば、お主は最終決戦まで戻れるという寸法じゃ。 お主にとって現在のステータス情報も必要ならば、今の内にメモを取るとよいじゃろう。 そうそう。お主にちょいと佳き知らせじゃ。 お主は今のところ**苦戦するかもしれぬが%blue%『佳き未来』%/%**に向かっておる、その調子で進むがよい。 ご褒美として、最終決戦前のお主の道具袋に<七惑星の欠片>を合計で【5個】入れておこう。 良いか、【欠片の組み合わせはお主の自由】じゃが、【合計で5個】ということを忘れてはならぬぞ。欲張りは『メッ』じゃ。 因みに、お主が「最終決戦に水を差されたくない」と感じたのであれば、最終決戦前の選択肢で**【最終決戦へ!】**を選ぶとすぐに最終決戦に挑めるぞ。 ただし、その場合は残念ながら【七惑星の欠片は補充できない】からの、ゆめゆめ忘れぬようにな。 **★全種類の欠片の中から必要な欠片を【合計で5個】手に入れた** ※ステータスSTARの欠片の数を手動で増やす **それでは、健闘を祈るぞ。ペンタウァの勇者よ。** ------------------------------------------------------------ 謎の声が遠退いてゆく……。 そして、君の意識は元の時間軸へ……。 [冒険に戻る](21200) 21111 **・・・・・・・・・!** **・・・・・・?** **・・・??** 君は気がつけば満天の星空の中に浮遊していた。 だが、今の君は精神体。そう、精神だけの存在になっていた。 はぁ!? どうしてこんな状態に!?!? あまりの超展開に君が混乱し出したその時、突然聞き覚えのある声が聞こえた。 ------------------------------------------------------------ **やあ、最終決戦前に君の意識だけを引っ張ってきてごめんね?** ――ああ、心配しなくてもいいよ。 今こうして君に語り掛けている私は『君の知らない私』だからね。 なぁに、これもちょっとした暇つぶ……賢人の真似事というヤツさ。 それでは、少しだけ君の時間を借りて説明するよ。 もしも君が「Game Overの度に選択肢もない長話シーンを何度も見るのは、正直なところとても疲れる」と思ったのなら、シーン【00600】または【19800】にある空白にこう入力するといい。 **%blue%【654321】%/%** この『秘密の暗号』を入力すれば、君は最終決戦まで戻れるという寸法さ。 君にとって現在のステータス情報も必要なら、今の内にメモを取るといいだろう。 えっ、秘密という割には適当じゃないのかって? いやぁ、君さ、%red%『横道に逸れてしまった』%/%からねぇ。 ――ん? ああ、こちらの話さ。 特に深い意味はないから、気にしないでおくれ。 因みに、君が「最終決戦に水を差されたくない」と感じたのであれば、最終決戦前の選択肢で**【最終決戦へ!】**を選ぶと、物語が盛り上がったまま最終決戦に挑めるよ。 私としては、此処に来てもらえないのは残念なことだけど、『最終決戦の雰囲気作り』っていうのも大事だからね。仕方がないさ。 **それでは、健闘を祈るよ。ペンタウァの勇者くん。** ------------------------------------------------------------ 聞き覚えのある声が遠退く……。 君の意識は元の時間軸へ……。 [冒険に戻る](21200) 333221 **おっと、此処に来てしもうたか。** まあ、あの『すかした魔族』の戦闘もやたらと長……ごほん。 せっかく此処に来たのじゃ、落ち着いて戦いの準備を整えていくがよい。 ああ、『ふらぐ』というんじゃったか。 それもアイテムと一緒に必要なものだけ残しておいたからの、心配は無用じゃよ。 緊張感の欠片もないお茶会とやらは飛ばしてしまうことになるが、まぁ、特に問題はないじゃろう。 あの『すかした魔族』の酔狂じゃからのぅ、飛ばしてしまっても構わん構わん。 ただ、あのお茶会にもそれなりに利点はあるでな。 お茶会を飛ばしてしまう代わりに、七惑星の欠片とかHPとMPのこととか、『げぇむおーばー』前の記憶を引き継いでも構わぬし、引き継がずに物語を読み進めても構わぬ。 全てはお主の判断に任せるよ。 おぉ、おぉ、年寄りは話が長くなっていかんな。すまんすまん。 **引き続き物語の続きを楽しむがよい、ペンタウァの勇者よ。** [冒険に戻る](21200) 543210 **おやおや、本当に此処に来てしまったみたいだね。** それじゃあ、此処で戦いの準備を整えていくといい。 ああ、所持していたアイテムかい? それも必要なものだけ残しておいたから、心配しなくても大丈夫だよ。 お茶会は飛ばしてしまうことになるけど、長話スキップも言わばサービスみたいなものだからね。それくらいは仕方がないよね。 その代わりに、<七惑星の欠片>とかHPとMPのこととか、Game Over前の記憶を引き継いでも構わないし、引き継がずに物語を読み進めてもいい。 君の判断に任せるよ。 おっと、また長話になるところだったね。 **引き続き物語の続きを楽しんでおくれ。ペンタウァの勇者くん。** [冒険に戻る](21200) 332211 **おっと、此処に来てしもうたか。** まあ、あの『すかした魔族』の戦闘もやたらと長……ごほん。 せっかく此処に来たのじゃ、落ち着いて戦いの準備を整えていくがよい。 ああ、『ふらぐ』というんじゃったか。 それもアイテムと一緒に必要なものだけ残しておいたからの、心配は無用じゃよ。 緊張感の欠片もないお茶会とやらは飛ばしてしまうことになるが、まぁ、特に問題はないじゃろう。 あの『すかした魔族』の酔狂じゃからのぅ、飛ばしてしまっても構わん構わん。 ただ、あのお茶会にもそれなりに利点はあるでな。 お茶会を飛ばしてしまう代わりに、<七惑星の欠片>とかHPとMPのこととか、『げぇむおーばー』前の記憶を引き継いでも構わぬし、引き継がずに物語を読み進めても構わぬ。 全てはお主の判断に任せるよ。 おぉ、おぉ、年寄りは話が長くなっていかんな。すまんすまん。 **引き続き物語の続きを楽しむがよい、ペンタウァの勇者よ。** [冒険に戻る](21200) 654321 **おやおや、本当に此処に来てしまったみたいだね。** それじゃあ、此処で戦いの準備を整えていくといい。 ああ、所持していたアイテムかい? それもフラグと一緒に必要なものだけ残しておいたから、心配しなくても大丈夫だよ。 お茶会は飛ばしてしまうことになるけど、長話スキップも言わばサービスみたいなものだからね。それくらいは仕方がないよね。 その代わりに、<七惑星の欠片>とかHPとMPのこととか、Game Over前の記憶を引き継いでも構わないし、引き継がずに物語を読み進めてもいい。 君の判断に任せるよ。 おっと、また長話になるところだったね。 **引き続き物語の続きを楽しんでおくれ。ペンタウァの勇者くん。** [冒険に戻る](21200) 21200 **「この戦い……ただの封印解除の時間にだけはしてくれるなよ、 ペンタウァの名高き人の子よッ!!」** ――今此処に、一つの戦いの始まりが告げられた。 君は武器を手にして地を駆けた。 刹那の間に距離を詰め、手にした武器を一閃! ……させるも、グリメルムの氷上を滑っているかのような後方移動によりあっさりと躱されてしまう。 新たに開いた距離は50ライ(50メートル)ほど。 一撃目は相手のことを探る目的もあった為に、躱されたことにはあまり驚きはない。予測の範囲内と言えるだろう。 だが、相手の攻撃手段がはっきりと解っていない上に、これだけの距離を開けられたのだ。次に取る行動は、攻撃にも回避にも防御にも即座に転じられるものであるべきだ。 君は状況に応じてすぐに己の行動を変えられるよう身構えた。 一方のグリメルムは、即座に左手で外套を持ち上げるようにして広げてみせる。 注意深く動向を見ていた君は、男の外套から煌めく無数の何かが浮き出してくるのが見えた。 その冷たい無数の輝きを目にし、戦人としての君の勘が告げていた。 **「避けろ」、と。** [次へ進む](21300) 21300 グリメルムの外套から出現したのは光輝く刃――魔力の短剣とでも呼ぼうか――だった。切っ先は全て君に向いている。 それが僅かな時間差をつけて勢いよく射出されようとしている、まさにその瞬間、君は走り出していた! さぁ、お待ちかねのダイス判定だ!! **DEXとKRMで判定「あたって たまるか!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、短剣の本数が少ない選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、ダメージ式ボタン(3L+3R-DEX-KRM)を押した結果が命中した短剣の本数(HPダメージ)となる。%/% [■全て回避した場合](21400) [▼命中したのが1~10本の場合](21500) [▼命中したのが11~25本の場合](21600) [▼命中したのが26~36本の場合(被ダメージ分、手動で元に戻す)](21700) 21400 君は必死に地を走り、宙を飛び跳ね、また地を転がって魔力の短剣を避ける! 空気を切り裂きながら飛んでくる短剣を避けようと奮闘した君は、なんと奇跡的にも全ての短剣を避けきったのだった! 「ほう! 人の身で全ての刃を避けきるとは! 勇ある者は優れた技量に天運をも味方につけると言うが、 なるほど、まさに君のような者のことを言うのだろうな!」 称賛するグリメルムの声に歓喜と好奇の色が入り混じる。 激しく肩を上下させている君は、そんな楽し気で余裕ぶった魔族をキッと睨み付けた。 この無傷という結果が己の技量によるものであろうが、神々の気紛れによるものであろうが、グリメルムの攻撃を避け切ったという事実に変わりはない。 それに、戦いはまだ始まったばかりなのだ。そう簡単に終わって堪るものか! さぁ、今度はこちらの番だッ! [君はグリメルムに向かって駆け出した!](21800) 21500 君は必死に地を走り、宙を飛び跳ね、また地を転がって魔力の短剣を避ける! 空気を切り裂きながら飛んでくる短剣を避けようと奮闘した君は、数本ほど避け損なってしまったものの、どの傷も浅く、被害は最少と言ってもいい。 「ほう、人の身でそこまで避けたか! 勇者の為せる業か、それとも神の気紛れか。 どちらにせよ、なかなかのものだ」 称賛するグリメルムの声に好奇の色が混ざる。 激しく肩を上下させている君は、そんな余裕ぶった魔族をキッと睨み付けた。 短剣に切り裂かれた箇所は痛むが、射出された本数から考えれば、軽傷に留められたのだから運が良い。 それに、戦いはまだ始まったばかりなのだ。そう簡単に終わって堪るものか! さぁ、今度はこちらの番だッ! [君はグリメルムに向かって駆け出した!](21800) 21600 君は必死に地を走り、宙を飛び跳ね、また地を転がって魔力の短剣を避ける! 空気を切り裂きながら飛んでくる短剣を避けようと奮闘した君だったが、それはあまりにも数が多く、数本ほど避け損なってしまった。 切り裂かれた傷の中には肉を抉り取るような深いものもあり、傷口から焼けるような熱さを感じた君は顔を歪める。 「ふむ、人の身では健闘した方だと言うべきか。 君ならもっと避けられると思ったのだが、 まあ、これが人の限界というものなのだろうな」 君の様子にグリメルムは肩をすくめる。 激しく肩を上下させている君は、そんな余裕ぶった魔族をキッと睨み付けた。 短剣に切り裂かれた箇所は軽傷とは言い難いが、射出された本数から考えれば、これだけの傷に留めたのだから、これでもマシな方だと言うのに! ええい、勝手にハードル上げるな! 今度はこちらの番だーッ! [君はグリメルムに向かって駆け出した!](21800) 21700 空気を切り裂きながら飛んでくる魔力の短剣を避けようと奮闘した君だったが、それはあまりにも数が多く、とても避けきれるようなものではなかった。 硬い床石の上に広がり続ける血だまりの中、うつ伏せで倒れている君の息は荒く、速い。 噎せ返るほどに濃厚な血の臭いに吐き気を催したが、喉元まで込み上げていた血を飲み込んで堪えた。 辛うじて顔を上げることはできたが、視界が揺れ、ぼやけ、目に映る倒すべき魔物の姿すら輪郭を留めていない。 しかし、武器だけは放すまいと、武器を握り締める君の血塗れの手はきつく握られている。その手でさえも無数の傷を負って血を流し、微細な痙攣を起こしていた。 **立たなければ! 立って戦わなければ!!** そんな燃えるような闘志とは裏腹に、肢体にはまったく力が入らず、床を支えに立ち上がろうとした君の足は自身の血で滑り、何度も腹這いになり、そしてとうとうそれすらも出来なくなってしまった。 今もなお溢れ続ける血が作り出す血だまりは温かかったが、それを流し続ける体の方が寒くて堪らない。震えは酷くなる一方だ。 立つことも叶わず倒れ伏している君の防具は削られ、衣服は裂かれ、肌は刻まれ、全てが紅で染め上げられている。 そのボロ布のような様相は、勇者としてはあまりにも無惨であった。 だが、立てぬならば虫の如く地を這ってでも立ち向かわなければならない。 君の脳裏に浮かぶ少女の笑顔が、言葉が、限界を超えてもなお君を突き動かしていた。 痛みと寒さで痙攣して強張った腕を必死に伸ばし、重石と化した全身を腕の力だけで引き摺る。 遅い。あまりも遅い。 だが、君は倒すべき魔族へと近づこうと必死に腕を伸ばし、爪が割れて指先が石で削れようとも構わず地を這った。 グリメルムとの距離が縮まる度に、君は己の魂が削り取られてゆくのを感じていた。 遠い。あまりにも遠い。 走れば一瞬で縮まる距離が、今はただひたすらに長く、遠かった。 ・・・・・・ ・・・ 君が這うことすら出来なくなった頃、君のすぐ近くにグリメルムが降り立った。 その表情からは狂気の色が抜け落ち、足元に倒れ伏した君を優しげに見下ろしている。 片角に巻き付いていたリボンは既に消えていた。 君の命の灯火に呼応し、封印の力が弱まった結果だった。 「流石に人の身ではこれが限界か。 だが、その生への執着、義への想いは、人であればこそ。 長き時を生きる魔族の私は持ち得ないものだ。 ――故に、人の子は愛おしい。 短くも楽しいひと時をありがとう、ソーサリアンくん。 せめて最期は、君が生まれ出でた世界で迎えるといい」 [・・・・・・。](21900 "-mREJUVENATE") [七惑星の欠片が、光っている……!](22000 "mREJUVENATE") 21800 君は雄たけびを上げてグリメルムに向かって駆ける! グリメルムの外套からは、再び幾つもの魔力の短剣が飛んできたが、君は勢いを殺さぬまま短剣を避け、叩き落とし、駆ける速度を緩めない! 見れば、グリメルムは片角を封印されている影響なのか、苦しそうに呻いて動きを止めている。 今が反撃のチャンス! きつい一撃をお見舞いしてやるのだ!! **STRまたはINT(+KRM)で判定「ちょうしに のるなよ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+STRまたはINTの合計値で判定する。 その結果、「▲」のついた選択肢の合計値に足りていない場合、KRMを足して判定しても良い。%/% [▼2~15の場合](22100) [▲16以上の場合](22200) 21900 風の、歌を聴いた気がした。 青い、草の匂いがしたような気がした。 瞼を、上げた。 晴れ渡った青空。青々とした草が風に揺れる草原。 小高い丘に生えた一本の木の根元に、君は力なく座っていた。 痛みもない。寒くもない。何も感じない。 全身はピクリとも動かず、君はただ目を開けているだけにすぎない。 「見てごらん」 君は優しく語り掛ける声を聞いたような気がした。 首は動かない。だが、そもそも首を動かす必要はなかった。 光のない瞳が見つめる先にあるのは、君がよく見知ったものだ。 命を懸けて守ろうとした、君にとってとても大切な場所だ。 「おや、泣いているのかい?」 分からない、と。 そう呟けたのかどうかも君には分からない。 ただ、美しいと感じたのかもしれなかった。 ただ、懐かしいと感じたのかもしれなかった。 だから、もしかしたら泣いているのかもしれなかった。 「君は此処でゆっくり休むといい。 それでは、君とは此処でお別れだ。 さようなら、ペンタウァの勇者くん」 別れの言葉を聞いた気がした。 だが、君は美しき都ペンタウァをただただ見つめ続けていた。 収集家を名乗る魔族に狙われたペンタウァはどうなったのか。 君に助けを求めた綴り手の民の少女はどうなったのか。 黙した屍は何も知らない。 ![その瞳はもう何も映さない](hero.n.b2.clear.png) **%purple%BAD END「その瞳はもう何も映さない」%/%** ※シナリオを最初から始める際、シナリオ各所にあるフォームに移動可能なページ番号を指定して飛ぶと、冒険を途中からやり直すことができます 22000 こんな…… こんな、ところで…… 何の……目的も……果た、せ……ず…… このまま……死を待つだけ、なのだろう、か……? …………否、それは、できない……。 たった一人……孤独に耐え、なが、ら…… 必死で足掻き……未来を……託して、くれた…… 女の子、一人……救えないまま…… こんな、ところで……! こんなところで……ッ! **死んでなど……いられるものかァアアアアーーーーーッッ!!!** %red%**▼MPに8ダメージを受けた!**%/% [<REJUVENATE>が発動した](22300 "-f17") [<REJUVENATE>が発動した](22310 "f17") ※ステータスSTARの欠片が<REJUVENATE>発動に必要な分だけ 自動減算される 22100 君は額を抑えて呻いているグリメルムに向かって一撃を放つ! ……が、一撃がグリメルムにまともに入る寸前、グリメルムは額を抑えていない方の手で攻撃を払いのけた! その防衛で生じた微小な魔力の刃が君の頬と手を浅く切る。 更に続けて魔力の短剣が一撃、二撃と放たれ、君は短剣を躱しながら慌ててグリメルムから距離を取った。 「ははっ、惜しかったな」 攻撃をいなし、君の方を向いたグリメルムは不敵に笑っていた。 どうやらリボンの魔力干渉による妨害から復帰してしまったようだ。 封印自体は解けていないようだが、妨害からの復帰が思ったより早かったのは誤算だった。 しかし、そのショックを引き摺っている暇などない。 グリメルムに再び隙が生じたその時には、今度こそ重い一撃を叩き込んでやるのだ! %red%**▼HPとMPに2ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](22400) 22200 君は額を抑えて呻いているグリメルムに向かって一撃を放つ! グリメルムは魔力干渉によって動きを制限されているのか、君はその無防備な上体に一撃を加えることに成功した! **まずは一撃、確かに入れたぞッ!** 君は確かな手応えに自信が湧き上がってくるのを感じつつ、グリメルムの間合いから素早く離脱する。 だが、そんな君を追うようにグリメルムが額を抑えていない方の手を横に薙ぐと、微小な魔力が風に乗り、君の衣服の一部を易々と切り裂いた。 更に一撃、二撃、とグリメルムの外套から魔力の短剣が放たれるが、君は後退しながらそれを武器で防ぎ、身を躱す。 もし君が追い打ちをかけようとしていたら、今の追撃は躱せなかっただろう。やはり深追いは禁物だ。 「ほう、賢明な判断だ。それでいい。 勇者たるもの、そうでなくてはな」 グリメルムはリボンの魔力干渉による妨害から復帰したのか、額から手を離して不敵に笑っていた。 だが、君の攻撃によって切り裂かれた、若しくは焼き切れた上体の衣服の隙間からは傷が見えている。その事実が君に希望を与えた。 相手は無敵でもなければ、こうして傷を負わせることもできるのだ、と。 幸いにも現在のグリメルムはポーラスのリボンによって弱体化している。 さあ、この調子で確実にグリメルムを追い詰めてゆくのだ! [次へ進む](22400) 22300 消えゆく魂すらも燃やしているかのような君の強き意志に呼応し、<七惑星の欠片>が激しく光り出す! 瀕死の重傷を負っていた君が<七惑星の欠片>の温かな光に包まれると、魔力の短剣によって刻まれた傷が尋常ではない速度で再生されてゆく。 否、再生されているのではない。『時間が巻き戻っている』のだ! **「おお! おおおッ! 死に瀕して運命に抗うか人の子よッ!! このグリメルムの眼前でッ! 時を戻すというのかッ!! はははははははッ! 佳い! 実に佳いッ!! ペンタウァの勇者と呼ばれし者よ! その体、その執念、その魂! 己が全て燃え尽きるまで抗うがいいッッ!!」** [君の『時』が――巻き戻るッ!!](22500 "-f16") [君の『時』が――巻き戻るッ!!](23700 "f16") 22310 消えゆく魂すらも燃やしているかのような君の強き意志に呼応し、<七惑星の欠片>が激しく光り出す! 瀕死の重傷を負っていた君が<七惑星の欠片>の温かな光に包まれると、魔力の短剣によって刻まれた傷が尋常ではない速度で再生されてゆく。 否、再生されているのではない。『時間が巻き戻っている』のだ! **「おお! おおおッ! 死に瀕して運命に抗うか人の子よッ!! このグリメルムの眼前でッ! 時を戻すというのかッ!! はははははははッ! 佳い! 実に佳いッ!! ペンタウァの勇者と呼ばれし者よ! その体、その執念、その魂! 己が全て燃え尽きるまで抗うがいいッッ!!」** [君の『時』が――巻き戻るッ!!](24300 "f17") 22400 再びグリメルムとの間合いを詰めて攻撃を仕掛ける君であったが、グリメルムはそれを難なく躱す。 君は間髪入れずに流れるような動きで追撃するが、グリメルムは君の攻撃をひらりとかわしたかと思うと、次の瞬間には高く飛び上がっていた。 目を見開いた君は、慌ててグリメルムを視線で追い、顔を上げる。 グリメルムは翼でも生えているかのように軽々と飛び、天上の星々を背にして中空で停止すると、そのまま浮遊して君を見下ろしていた。 「ふふっ、今の洗練された連撃は、なかなかに美しかった! だが、そう簡単に何度も当たるとは思わないことだ!」 グリメルムは口の端を歪めて笑うと、外套を勢いよく左右に広げた。 ――刹那、君は上空から見えない手で全身が圧し潰されてでもいるような重い衝撃を受け、視界がぶれる! **体が……! 否、周囲が、おも、い……!!** 顔を上げ続けていることもできなければ、走り出すこともできない。 見えない『何か』に抗おうとすればするほど、全身の血管が隆起し、きつく噛み締めた奥歯が軋む。 ついには頭がガクリと下がり、自分の足が視界に入った。 体を支える足は細かく震え、思わず両膝を着きそうになるが、反射的に武器を床石に突き立てて片膝を着くに止めた。あまりにも重過ぎる! 見えない『何か』はますます重くなり続け、君の体だけでなく武器をも軋ませている。 果たして君は、この危機的状況を脱することができるのか!? **KRMで判定「おぉ! かみ よ・・・!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+KRMの合計値が……%/% [▼2~10の場合](22600) [▲11~22の場合](22700) 22500 **君の『時』が巻き戻ったッ!** グリメルムの外套から出現したのは光輝く刃――魔力の短剣とでも呼ぼうか――だった。切っ先は全て君に向いている。 それが僅かな時間差をつけて勢いよく射出されようとしている、まさにその瞬間、君は走り出していた! さぁ、お待ちかねのダイス判定だ!! **DEXとKRMで判定「あたって たまるか!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、短剣の本数が少ない選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、ダメージ式ボタン(3L+3R-DEX-KRM)を押した結果が命中した短剣の本数(HPダメージ)となる。%/% [■全て回避した場合](21400) [▼命中したのが1~10本の場合](21500) [▼命中したのが11~25本の場合](21600) [▼命中したのが26~36本の場合(被ダメージ分、手動で元に戻す)](21700) 22600 君が歯を食いしばりながら見えない何かの力に耐えていると、ふっとその力が弱まったのを感じた。 思わず脱力し、息を吐く。だが、やはり全身は重く、重石でも着けられているような感覚だ。 そんな奇妙な感覚に戸惑っている君に、頭上からグリメルムの楽し気な声が降ってきた。 「体が重いと感じるのだろう? ああ、そうだ。目には見えないだろうが、 今の君の体には、加重による負荷が掛かっている。 さて、その枷を着けた身でどこまで抗えるかな?」 **なんと、君は<加重状態>に陥ってしまったのだ!** この状態から解放されるまで、君の行動には制限が掛かってしまう。 だが、グリメルムは待ってなどくれない。 グリメルムは、君がどこまで戦えるのかを試したくて仕方がない、といった面持ちで再び外套を広げた。 その外套から小さな光が浮かぶのを見た君は、よろめきながらも立ち上がり、魔力の短剣を警戒するが……! [回避するしかない!](22800) [閃いた!](22900 "mNOILA-TEM") [七惑星の欠片を種類を問わず3個以上所持している](23000 "s3") 22700 君が歯を食いしばりながら見えない何かの力に耐えていると、ふっとその力が消え去ったのを感じた。 先程まで感じていた異常な重苦しさは気のせいだったのではないのか。そんな風に錯覚してしまうほどに、今は全身が軽い。思わず脱力し、息を吐く。 だが、今は戦闘中だ。気を抜いている暇などない。 君はハッとして頭上で浮遊しているグリメルムに注意を向けた。 しかし、当のグリメルムは再び額に手を当てて呻いている。先の攻撃が止んだのも、魔力干渉が強まったことによる強制的な中断に違いなかった。 「くっ……君はよほど七惑星の神々に気に入られているらしい……。 わざわざ異界に飛ばされた君に肩入れするとは、 天上の神というのも、存外暇なようだ……。 まあ、よい……。 七惑星の神々よ、せいぜい好きにするがいい……」 グリメルムは忌々しげに呟くと、再び外套を広げる。 その外套から幾つもの小さな光が浮かぶのを見た君は、開幕時に放ってきた魔力の短剣を警戒するが……! [回避するしかない!](23100) [閃いた!](23200 "mNOILA-TEM") [七惑星の欠片を種類問わず3個以上所持している](23300 "s3") 22800 またあの大量の短剣を躱さなければいけないかと思うとうんざりするが、相手はこちらの武器が届かない高さにいるのだ。回避に徹するしかない。 次第に数を増してゆく魔力の光を見ると、先程の数よりも多い。 体がこんな状態で、果たして生きていられるのだろうか。 しかし、やらねばならぬのだ。 君は覚悟を決めた。 **加重状態によりKRMのみで判定「きあい で がんばれ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、短剣の本数が少ない選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、ダメージ式ボタン(4L+4R-3KRM)を押した結果が命中した短剣の本数(HPダメージ)となる。%/% [■全て回避した場合](23400) [▼命中したのが1~10本の場合](23500) [▼命中したのが11~25本の場合](23600) [▼命中したのが26本以上の場合(被ダメージ分、手動で元に戻す)](21700) 22900 君は脳裏に閃くものがあり、後ろ手で道具袋の中をやや乱雑に漁る。 そこで『目的の物』に指が触れると、君はやや俯いて意識をグリメルムから『目的の物』へと集中させる。口の中だけで小さく呟いている、その口の動きは少しぎこちない。 早口のつもりのようだが、全身に掛かる負荷が君の思考を鈍らせているのか、言葉がすっと出てこないのだ。 「さぁ、今度は何本躱せるかな?」 グリメルムは不敵に笑うと、空中に制止させていた魔力の短剣を一斉に解放した! [……ダメだ! 間に合わない!](23800) 23000 君は脳裏に閃くものがあり、後ろ手で道具袋の中をやや乱雑に漁る。 そこで<七惑星の欠片>に指が触れると、君はそれを強く握り込んだ。 一体どの欠片を握り込んだのかは判らないが、今はあまり関係ないので気にしない。 少々乱暴な手ではあるし、本来の使い方とは違うことも重々承知している。 だが、時間がない以上、今の体の状態でやれるとしたら『これ』しかないのだ。 君は目を伏せ、口の中だけで小さく何かを呟く。 手の中の物が仄かに熱を帯び始めると、途端に体から『吸い取られた』のが解った。 それは次第に炎を握っていると錯覚するほどに君の手の中で発熱し、君は苦痛に顔を歪める。きっと手は焼けただれ始めていることだろう。 しかし、それを手放すのは……! 「さぁ、今度は何本躱せるかな?」 グリメルムは不敵に笑うと、空中に制止させていた魔力の短剣を一斉に解放した! %red%**▼HPに10、MPに5ダメージを受けた!**%/% [……ッ! 今だ!!](23900) 23100 またあの大量の短剣を躱さなければいけないかと思うとうんざりするが、相手はこちらの武器が届かない高さにいるのだ。回避に徹するしかない。 次第に数を増してゆく魔力の光を見ると、先程の数よりも多い。 今度は果たして生きていられるのだろうか。 しかし、やらねばならぬのだ。 君は覚悟を決めた。 **DEXとKRMで判定「そんな オマケは いらん!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、短剣の本数が少ない選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、ダメージ式ボタン(4L+4R-DEX-2KRM)を押した結果が命中した短剣の本数(HPダメージ)となる。%/% [■全て回避した場合](24000) [▼命中したのが1~10本の場合](24100) [▼命中したのが11~25本の場合](24200) [▼命中したのが26~48本の場合(被ダメージ分、手動で元に戻す)](21700) 23200 君は脳裏に閃くものがあり、後ろ手で道具袋の中をやや乱雑に漁る。 そこで『目的の物』に指が触れると、君はやや俯いて意識をグリメルムから『目的の物』へと集中させる。口の中だけで小さく呟いている、その口の動きは速い。 とにかく速く、少しでも速く、言霊を紡がねばならなかった。 「さぁ、今度は何本躱せるかな?」 グリメルムは不敵に笑うと、空中に制止させていた魔力の短剣を一斉に解放した! [全てを滅する無慈悲なる光よ――穿てッ!](24400) 23300 君は脳裏に閃くものがあり、後ろ手で道具袋の中をやや乱雑に漁る。 そこで<七惑星の欠片>に指が触れると、君はそれを強く握り込んだ。 一体どの欠片を握り込んだのかは判らないが、今はあまり関係ないので気にしない。 少々乱暴な手ではあるし、本来の使い方とは違うことも重々承知している。 だが、時間に余裕がない以上、何もできずに終わる可能性を選ぶよりも、『これ』を選んだ方がいい。そう思った。 君は目を伏せ、口の中だけで小さく何かを呟く。 手の中の物が仄かに熱を帯び始めると、途端に体から『吸い取られた』のが解った。 それは次第に炎を握っていると錯覚するほどに君の手の中で発熱し、君は苦痛に顔を歪める。きっと手は焼けただれ始めていることだろう。 しかし、それを手放すのは……! 「さぁ、今度は何本躱せるかな?」 グリメルムは不敵に笑うと、空中に制止させていた魔力の短剣を一斉に解放した! %red%**▼HPに10、MPに5ダメージを受けた!**%/% [……ッ! 今だ!!](24500) 23400 君は再び必死に地を走り、宙を飛び跳ね、また地を転がって魔力の短剣を避ける! そして、君はなんと加重状態を物ともせず、魔力の短剣を全て避けきったのだ! 加重状態も何のその! やってやれないことはない! 君の頭上から小気味よい拍手が聞こえてくる。 勿論、拍手をしているのはグリメルムだ。 「はははっ! 枷を着けていても全て避けるか! 素晴らしい! まったく素晴らしいな、君は! 私をここまで楽しませてくれた者は、 長き時を生きてきて君が初めてだッ!!」 グリメルムは、人の未知なる可能性を目の当たりにしたことで興奮し、心底楽しげに君を称賛する。 勝手なことばかり言いやがって! こちとらお前を楽しませる為に戦ってる訳じゃない! [君は体勢を整えた](24600) 23500 君は再び必死に地を走り、宙を飛び跳ね、地を転がって魔力の短剣を避ける! そして、君は加重による負荷が掛かっている状態にもかかわらず、魔力の短剣の大半を避けきったのだ! 流石に何本かは当たってしまったが、深手は何とか避けねばと努力した甲斐もあり、負った傷はそれほど深くない。今まで魔力の短剣を何本も避けていた経験が活きたに違いなかった。 君の頭上から小気味よい拍手が聞こえてくる。 勿論、拍手をしているのはグリメルムだ。 「ほう、枷を着けた状態でそこまで避けるか。 君は人の子の中でも特に優れた者のようだな。 しかし、どこまで耐えられるものかな」 グリメルムは、目を細めてくつくつと笑い、心底楽しげな様子で君を称賛する。 勝手なことばかり言いやがって! こちとらお前を楽しませる為に戦ってる訳じゃない! [君は体勢を整えた](24600) 23600 君は再び必死に地を走り、宙を飛び跳ね、地を転がって魔力の短剣を避ける! そして、君は加重による負荷が掛かっている状態ではあったが、魔力の短剣を幾つか避けることができた。 流石に体が上手く動かない状態だったこともあり、かなりの本数が当たってしまったし、中には深い傷も幾つかある。 それでも、切り刻まれてボロ布のようにはならなかったのだから、きっと今まで魔力の短剣を何本も避けていた経験が活きたに違いなかった。 君の頭上からグリメルムの声がした。 「枷を着けた状態では、流石の君も苦戦するようだな。 まあ、本数を少しばかり増やしたことも、 今回の結果に影響しているのかもしれないが。 さて、次はどこまで耐えられるものかな」 グリメルムは、荒い呼吸をしながら立っている君を見て、愉快そうにニヤリと笑った。 あれのどこが『少しばかり』なんだ!? いい加減にしろっての!! [君は体勢を整えた](24600) 23700 **君の『時』が巻き戻ったッ!** 君が歯を食いしばりながら見えない何かの力に耐えていると、ふっとその力が弱まったのを感じた。 思わず脱力し、息を吐く。だが、やはり全身は重く、重石でも着けられているような感覚だ。 そんな奇妙な感覚に戸惑っている君に、頭上からグリメルムの楽し気な声が降ってきた。 「体が重いと感じるのだろう? ああ、そうだ。目には見えないだろうが、 今の君の体には、加重による負荷が掛かっている。 さて、その枷を着けた身でどこまで抗えるかな?」 **なんと、君は<加重状態>に陥ってしまったのだ!** この状態から解放されるまで、君の行動には制限が掛かってしまう。 だが、グリメルムは待ってなどくれない。 グリメルムは、君がどこまで戦えるのかを試したくて仕方がない、といった面持ちで再び外套を翻した。 その外套から小さな光が浮かぶのを見た君は、よろめきながらも立ち上がり、魔力の短剣を警戒するが―― [回避するしかない!](22800) [閃いた!](22900 "mNOILA-TEM") [七惑星の欠片を種類問わず3個以上所持している](23000 "s3") 23800 魔力の短剣が放たれる直前、君は魔法が完成させられないことを悟った。即時に詠唱を中断し、回避へと移行する。 だがしかし、重力の枷を着けられた体の反応は鈍過ぎた。こんな状態で回避へと移行するには、あまりにも時間が足りなかった。 魔力の短剣はまるで雨のように君へと降り注ぐ。 それを避けようと走れば足に、叩き落そうと武器を振るえば腕に、立ち上がろうとすれば背中に。研ぎ澄まされた刃のような鋭い光が掠り、あるいは突き刺さる。 魔力の刃に抉られた傷口は、鮮やかな紅い飛沫を上げ、細かな肉片が床石に飛び散る。その度に君は小さな呻きや悲鳴を上げた。 それでも君は魔力の短剣を避けようと、ただひたすらに走り、がむしゃらに武器を振るった。 [無慈悲な光の雨は、まだ止まない](21700) 23900 魔力の短剣が解放された瞬間、君は道具袋の中で握り締めていた<七惑星の欠片>を降り注ぐ魔力の短剣に向かって投擲した。 体の負荷により投擲はやや遅れたが、魔力を帯びた『魔法のなり損ない』は、光の尾を引いて魔力の短剣に接触する! 突如、光が弾けた。 目を潰さんばかりの激しい閃光。全身を激しく打ち据える爆風と爆発音。手足が引き千切られんばかりの衝撃。 それらが君とグリメルムの間で巻き起こり、君は遥か後方に吹っ飛ばされてしまった。 腕で顔を庇うようにして吹っ飛ばされた君は、背中を床石に激しく叩きつけられ、息を詰まらせる。 爆発によって砕けた床石の細かな破片が、爆発の余波と共に君の全身を容赦なく打った。とても目など開けてはいられなかった。 [光が収まるのを待つ……](23910) 23910 ・・・・・・ 一体どのくらいの時が流れたのか。 凄まじい爆発の余波に巻き込まれて吹っ飛んだ訳だが、いまいち時間の感覚がはっきりしない上に、耳にもまだ違和感がある。 だが、『あれだけのこと』をやったのだ。不具合のあれもこれも仕方がない。命があっただけマシと考えるべきだろう。 **「ふっ……くっ、くくくっ、君もなかなかに、無茶をする……」** すぐ近くで聞こえた笑い声に、君のぼんやりとしていた意識が急に覚醒する。君は目を見開き、全身の鈍い痛みを忘れたかのように素早く立ち上がった。 君の視線の先には、今まさにゆるりとした速度で降りてくるグリメルムが見えた。 コトッ、と小さな音を立て、グリメルムが君からやや離れた位置に着地する。 その身に纏っている黒衣も外套もあちこちが焼き焦げ、引き千切れていた。 髪も多少は乱れているようだったが、顔は庇ったのか傷一つないのが何だか腹立たしい。しかし、口の端からは一筋の血が伝っていた。 こちらも無傷とはいかなかったが、どうやら多少なりとも奴に一矢報いることができたようだ。 「人の子が詠唱を省く目的で欠片に魔力だけを込め、 それを魔法という形にせずに『魔法のなり損ない』を 撃ち出そうとは……乱暴にもほどがある」 **そうしなければいけない状況を作り出した奴が何を言う。** 君はジト目でグリメルムを睨むが、グリメルムは愉快げに目を細めただけだ。 「魔法の名を定めず、詠唱による魔力の制御も放棄し、 ただ一方的に魔力を欠片に注ぎ込めば、 欠片は際限なく代償を求め、形の定まらない魔力は 安定性を欠いたまま肥大化する。 状況を打開する為とはいえ、人の子が制御不能な 魔力の塊を投げつける強硬手段に出るとは、 天上の神々ですら想定外だっただろうな」 グリメルムはそう言うと口の端を手の甲で拭い、ニィッと獣じみた狂暴な笑みを浮かべる。 「これだから、人間という生き物は面白い」 その見開かれた双眸が、鮮血色の月の如く狂気と歓喜に染まった。 **「ペンタウァの名高き人の子よ、 命を散らして名もなき亡者となり果てるか、 魔を討ち滅ぼして救国の英雄と謳われるか、 その勇壮なる魂を以て、己が行く末を選び取るがよい」** そう言い残し、グリメルムは君から遠く離れた場所へと一気に飛び退った。 %red%**▼HPに8ダメージを受けた!**%/% [行く先など、最初から決まっているッ!!](24700) %blue%※右のダイスを3回振り、下記の出目に対応した<七惑星の欠片>を 【1個ずつ】減らすこと。 ただし、右のダイスの出目が所持していない欠片を示している場合に 限り、ダイスを振り直す、または太陽の欠片を減らすこと。%/% ・1,3,5(奇数)=月、水星、金星のいずれか ・2,4,6(偶数)=火星、木星、土星のいずれか ・振り直し=太陽 24000 君は再び必死に地を走り、宙を飛び跳ね、地を転がって魔力の短剣を避ける! そして、君はなんと魔力の短剣を全て避けきったのだ! 短剣の本数も何のその! やってやれないことはない! 君の頭上から小気味よい拍手が聞こえてくる。 勿論、拍手をしているのはグリメルムだ。 「はははっ! あの数の刃を全て避けるか! 素晴らしい! まったく素晴らしいな、君は! 私をここまで楽しませてくれた者は、 長き時を生きてきて君が初めてだッ!!」 グリメルムは、人の未知なる可能性を目の当たりにしたことで興奮し、心底楽しげに君を称賛する。 勝手なことばかり言いやがって! こちとらお前を楽しませる為に戦ってる訳じゃない! [君は体勢を整えた](24800) 24100 君は再び必死に地を走り、宙を飛び跳ね、地を転がって魔力の短剣を避ける! そして、君は魔力の短剣の本数を増やされていたにもかかわらず、その大半を避けきったのだ! 流石に何本かは当たってしまったが、深手は何とか避けねばと努力した甲斐もあり、負った傷はそれほど深くない。今まで魔力の短剣を何本も避けていた経験が活きたに違いなかった。 君の頭上から小気味よい拍手が聞こえてくる。 勿論、拍手をしているのはグリメルムだ。 「ほう、人の身でありながらそこまで避けるか。 君は人の子の中でも特に優れた者のようだな。 しかし、どこまで耐えられるものかな」 グリメルムは、目を細めてくつくつと笑い、心底楽しげな様子で君を称賛する。 勝手なことばかり言いやがって! こちとらお前を楽しませる為に戦ってる訳じゃない! [君は体勢を整えた](24800) 24200 君は再び必死に地を走り、宙を飛び跳ね、地を転がって魔力の短剣を避ける! そして、君は魔力の短剣の本数を増やされていたものの、魔力の短剣を幾つか避けることができた。 加重による影響はなかったが、流石にあの本数が一気に飛んできたのだ。かなりの本数が当たってしまったし、中には深い傷も幾つかある。 それでも、切り刻まれてボロ布のようにはならなかったのだから、きっと今まで魔力の短剣を何本も避けていた経験が活きたに違いなかった。 君の頭上からグリメルムの声がした。 「そうか、流石の君も苦戦するようだな。 まあ、本数を少しばかり増やしたことも、 今回の結果に影響しているのかもしれないが。 さて、次はどこまで耐えられるものかな」 グリメルムは、荒い呼吸をしながら立っている君を見て、愉快そうにニヤリと笑った。 あれのどこが『少しばかり』なんだ!? いい加減にしろっての!! [君は体勢を整えた](24800) 24300 **君の『時』が巻き戻ったッ!** 君が歯を食いしばりながら見えない何かの力に耐えていると、ふっとその力が消え去ったのを感じた。 先程まで感じていた異常な重苦しさは気のせいだったのではないのか。そんな風に錯覚してしまうほどに、今は全身が軽い。思わず脱力し、息を吐く。 だが、今は戦闘中だ。気を抜いている暇などない。 君はハッとして頭上で浮遊しているグリメルムに注意を向けた。 しかし、当のグリメルムは再び額に手を当てて呻いている。先の攻撃が止んだのも、魔力干渉が強まったことによる強制的な中断に違いなかった。 「くっ……君はよほど七惑星の神々に気に入られているらしい……。 わざわざ異界に飛ばされた君に肩入れするとは、 天上の神というのも、存外暇なようだ……。 まあ、よい……。 七惑星の神々よ、せいぜい好きにするがいい……」 グリメルムは忌々しげに呟くと、再び外套を広げる。 その外套から小さな光が浮かぶのを見た君は、魔力の短剣を警戒するが―― [回避するしかない!](23100) [閃いた!](23200 "mNOILA-TEM") [七惑星の欠片を種類問わず3個以上所持している](23300 "s3") 24400 魔力の短剣が解放された瞬間、君は武器をかざして『その名』を声高らかに唱えた! **『 NOILA-TEM 』** **◆<NOILA-TEM>を唱えた** ※ステータスSTARの欠片が<NOILA-TEM>発動に必要な分だけ 自動減算される 突如、破滅の光が生まれた。 目を潰さんばかりの激しい閃光。轟々と吹き荒れる嵐の如き風。その魔法はグリメルムに放ったというのに、破滅の光と嵐は瞬間的に君の視覚、聴覚、触覚を奪った。 何も見えない。何も聞こえない。風が吹き荒び、体を打つ感触もない。だが、途端に体が震え出し、腕で顔を覆った体勢のままで硬直している。 『あんなもの』がまともに直撃したら、人間は間違いなく『消滅する』。 魔族でさえも『あんなもの』を喰らっては、とても無傷ではいられない筈だ。 そんな魔法を、人である自分は放ったのだ。 大半の感覚が麻痺していても、あの光は『恐ろしい』と君は本能で悟っていた。 [光が収まるのを待つ……](24410) 24410 ・・・・・・ 一体どのくらいの時が流れたのか。 ようやく体の感覚が戻り、震えも収まった君は、大きく息を吐いて腕を下す。 空間を支配した光も、渦巻く風も既にない。そして、先程まで対峙していたグリメルムすらもいない。 グリメルムは消滅したのか? それとも何処かに潜んでいるのか? 君は警戒を解かぬまま周囲を見回そうとした。その時だ。 **「まさか<NOILA-TEM>まで使えるとは、な……」** すぐ近くで聞こえた掠れ声に、君は反射的に振り返って武器を振るう。しかし、振るわれた武器は空しく宙を切り、声の主に当たることはなかった。 君の視線の先には、今まさに君の一撃をゆらりと避けたグリメルムがいた。その、『人間の常識では有り得ない異常な様相』に、君は思わず表情を凍り付かせる。 俯いたまま立っているグリメルムの表情は見えないが、ズタズタに引き裂かれて焼き切れた外套と黒衣を纏った上半身は、左肩から脇腹にかけてごっそりと『なくなっていた』のだ。 人間ならば即死するような損傷だが、グリメルムのその断面からは肉も骨も見えず、ただただ黒い。損傷した箇所が炭化し、その周辺の衣服も焼き付いているのかもしれなかった。 「人が扱える魔法の中では最強と謳われているが…… 成程……これは受けるものでは、ない、な……。 『左』は持っていかれたが……ははっ、今の体では、 それすらも『運が良かった』と言える……」 その状態で『運が良かった』? 冗談じゃない! 魔族の感覚はどうなっているんだ!! そう叫び出したい思いに駆られた君の気配に気付いてか、グリメルムは残った右肩を揺らしてくつくつと低く笑った。 「そう、慢心が招いた結果が『これだけ』なのだから、『運が良かった』のだ」 ゆら……と顔を上げた隻腕の魔族の表情に笑みはない。その見開かれた双眸にすら歓喜の色はなく、そこにはただ底冷えするような凍てつく光だけが宿っていた。 **「ペンタウァの名高き人の子よ、 命を散らして名もなき亡者となり果てるか、 魔を討ち滅ぼして救国の英雄と謳われるか、 その勇壮なる魂を以て、己が行く末を選び取るがよい」** そう言い残し、グリメルムは君から遠く離れた場所へと一気に飛び退った。 %red%**▼MPに4ダメージを受けた!**%/% [行く先など、最初から決まっているッ!!](24900) 24500 魔力の短剣が解放された瞬間、君は道具袋の中で握り締めていた<七惑星の欠片>を降り注ぐ魔力の短剣に向かって投擲した。 魔力を帯びた『魔法のなり損ない』は、光の尾を引いて魔力の短剣に接触する! 突如、光が弾けた。 目を潰さんばかりの激しい閃光。全身を激しく打ち据える爆風と爆発音。手足が引き千切られんばかりの衝撃。 それらが君とグリメルムの間で巻き起こり、君は遥か後方に吹っ飛ばされてしまった。 腕で顔を庇うようにして吹っ飛ばされた君は、背中を床石に激しく叩きつけられ、息を詰まらせる。 爆発によって砕けた床石の細かな破片が、爆発の余波と共に君の全身を容赦なく打った。とても目など開けてはいられなかった。 [光が収まるのを待つ……](24510) 24510 ・・・・・・ 一体どのくらいの時が流れたのか。 凄まじい爆発の余波に巻き込まれて吹っ飛んだ訳だが、いまいち時間の感覚がはっきりしない上に、耳にもまだ違和感がある。 だが、『あれだけのこと』をやったのだ。不具合のあれもこれも仕方がない。命があっただけマシと考えるべきだろう。 **「ふっ……くっ、くくくっ、君もなかなかに、無茶をする……」** すぐ近くで聞こえた笑い声に、君のぼんやりとしていた意識が急に覚醒する。君は目を見開き、全身の鈍い痛みを忘れたかのように素早く立ち上がった。 君の視線の先には、今まさにゆるりとした速度で降りてくるグリメルムが見えた。 コトッ、と小さな音を立て、グリメルムが君からやや離れた位置に着地する。 その身に纏っている黒衣も外套もあちこちが焼き焦げ、引き千切れていた。 髪も多少は乱れているようだったが、顔は庇ったのか傷一つないのが何だか腹立たしい。しかし、口の端からは一筋の血が伝っていた。 こちらも無傷とはいかなかったが、どうやら多少なりとも奴に一矢報いることができたようだ。 「人の子が詠唱を省く目的で欠片に魔力だけを込め、 それを魔法という形にせずに『魔法のなり損ない』を 撃ち出そうとは……乱暴にもほどがある」 **そうしなければいけない状況を作り出した奴が何を言う。** 君はジト目でグリメルムを睨むが、グリメルムは愉快げに目を細めただけだ。 「魔法の名を定めず、詠唱による魔力の制御も放棄し、 ただ一方的に魔力を欠片に注ぎ込めば、 欠片は際限なく代償を求め、形の定まらない魔力は 安定性を欠いたまま肥大化する。 状況を打開する為とはいえ、人の子が制御不能な 魔力の塊を投げつける強硬手段に出るとは、 天上の神々ですら想定外だっただろうな」 グリメルムはそう言うと口の端を手の甲で拭い、ニィッと獣じみた狂暴な笑みを浮かべる。 「これだから、人間という生き物は面白い」 その見開かれた双眸が、鮮血色の月の如く狂気と歓喜に染まった。 **「ペンタウァの名高き人の子よ、 命を散らして名もなき亡者となり果てるか、 魔を討ち滅ぼして救国の英雄と謳われるか、 その勇壮なる魂を以て、己が行く末を選び取るがよい」** そう言い残し、グリメルムは君から遠く離れた場所へと一気に飛び退った。 %red%**▼HPに5ダメージを受けた!**%/% [行く先など、最初から決まっているッ!!](24900) %blue%※右のダイスを3回振り、下記の出目に対応した<七惑星の欠片>を 【1個ずつ】減らすこと。 ただし、右のダイスの出目が所持していない欠片を示している場合に 限り、ダイスを振り直す、または太陽の欠片を減らすこと。%/% ・1,3,5(奇数)=月、水星、金星のいずれか ・2,4,6(偶数)=火星、木星、土星のいずれか ・振り直し=太陽 24600 魔力の短剣を回避し終えて息つく暇もなく、グリメルムは君に向かって急降下してきた! 黒衣と外套を激しくはためかせながら飛翔するその姿は、獲物を狙う鷹のようだ。 一方、急降下してくるグリメルムと対峙する君は、加重による負荷が不安要素ではあったが、武器を構えて迎え撃つ! **加重状態によりSTRまたはINTから2減らして判定「きやがったか!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+(STR-2またはINT-2)の合計値が……%/% [▼2~9の場合](25000) [▲10~20の場合](25100) 24700 飛び退ったグリメルムは、君から100ライ(100メートル)ほど離れた地に降り立った。 グリメルムは君から距離を置いたかと思うと、片手で外套を広げた状態で動きを止める。 また短剣でも飛ばしてくるのかと思い、君は身構えたが、グリメルムはただ立っているだけだ。何もしてこない。 そこで君は、先程まで感じていた負荷がふっとなくなったことに気が付いた。 グリメルムが君への加重を解いたとみて間違いないのだろうが、それが意図的なのか、そうでないのかは、君には解らなかった。 ――さて、此処で君に言うべきことがある。 ペンタウァが誇る勇敢なる者、ソーサリアンよ。 君はこれから何回かに亘って『重大な選択』をすることになる。 幾つもの道が示す先は『生』か、或いは『死』か。 それは君の全てを賭して、君自身が確かめなければならない。 だが、たとえ君の行きつく先がどのようなものであろうとも、 幾多の試練を乗り越えし誉れ高き勇者の決断に敬意を払おう。 **さあ、選択の時が来た。 ソーサリアンよ、己が信じる道を選ぶのだ!** [武器を手に地を駆ける!](25200) [冷静に出方を窺う!](25300) 24800 魔力の短剣を回避し終えて息つく暇もなく、グリメルムは君に向かって急降下してきた! 黒衣と外套を激しくはためかせながら飛翔するその姿は、獲物を狙う鷹のようだ。 一方、急降下してくるグリメルムと対峙する君は、望むところだと不敵に笑い、武器を構えて迎え撃つ! **STRまたはINTで判定「こうかい するなよ!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+STRまたはINTのどちらかの合計値が……%/% [▼2~12の場合](25400) [▲13~22の場合](25500) 24900 飛び退ったグリメルムは、君から100ライ(100メートル)ほど離れた地に降り立った。 グリメルムは君から距離を置いたかと思うと、片手で外套を広げた状態で動きを止める。 また短剣でも飛ばしてくるのかと思い、君は身構えたが、グリメルムはただ立っているだけだ。何もしてこない。 ――さて、此処で君に言うべきことがある。 ペンタウァが誇る勇敢なる者、ソーサリアンよ。 君はこれから何回かに亘って『重大な選択』をすることになる。 幾つもの道が示す先は『生』か、或いは『死』か。 それは君の全てを賭して、君自身が確かめなければならない。 だが、たとえ君の行きつく先がどのようなものであろうとも、 幾多の試練を乗り越えし誉れ高き勇者の決断に敬意を払おう。 **さあ、選択の時が来た。 ソーサリアンよ、己が信じる道を選ぶのだ!** [武器を手に地を駆ける!](25200) [冷静に出方を窺う!](25300) 25000 空間に甲高く響く金属音、もしくは鈍くて低い衝突音! 君の武器とグリメルムの片手の爪先がぶつかり合い、その凄まじく重い衝撃に、君は床石と靴とが擦れる音を立てながら後方へと押し出されてしまう。 危うく武器を折るかと思ったが、そこは流石のペンタウァ製。折れることも欠けることもなく、グリメルムの一撃に耐え切ってくれた。 グリメルムは着地したかと思うと地を蹴って、突風のような勢いで君に接近する。 その勢いで繰り出された爪での連撃は、一撃一撃に速さも力も乗ったもので、君は身を躱したり、武器で受け流したりするも、加重の影響もあって何度も体に傷を負う。 更に、運が悪いことに、グリメルムの下から上へと斬り上げるような一撃に、君の武器が跳ね上げられてしまった! 武器はクルクルと宙を舞い、床石へと落下する。お互い、そのままの体勢でピタリと動きが止まった。 目の前に立つ魔族がニヤリと口元を歪める。 **絶体絶命万事休す!?** 君は表情を引き攣らせて己の冒険の終わりを予感する。……が、その瞬間、唐突に脳内で過去の記憶が流れ出した。 %red%**▼HPとMPに5ダメージを受けた!**%/% [あれは何年か前のこと……](25010) 25010 あれは何年か前、ペンタウァで武器と防具の店を営む男ボブ――口は悪いが、仕事は確かで人情味のある中年の男である――と酒場で酒を飲んでいた時だったか。 あの時はお互いにかなり酔っていて、昔話や土産話に花を咲かせて上機嫌に笑い合っていた覚えがある。 その会話の中、ボブは酔いが回った赤ら顔のまま、己の逞しい腕を一叩きしてこう語っていたのだ。 ------------------------------------------------------------ 「俺の店にある武器と防具は、ペンタウァいち…… いや、全大陸一と自負してるぜ。 だがな、どんなに優れた武器であろうが、 時には折っちまったり、なくしちまったりするこたぁ いくらだってあるだろうよ。ひっく。 ……でだ、そういう時に運悪くモンスターと 出くわしちまったらなぁ……」 **「その1、ぐずぐずしねぇでとっとと逃げろ! ぐずはきらいだぜ!!」** **「その2、四の五の言わずにとっとと逃げ……** アァン? それはもう言ったってェ? 大事なこたぁ何度言ったって足りねぇンだよ!」 「……ってもよぉ、状況によっちゃあ どうしたって逃げられねぇなんてこともあるよな? そういう時はな、へへっ……」 ボブはそこまで言うと、急にグイッと肩を組んできて、不敵な笑みを浮かべながらこう言ったのだ。 「**『こいつ』**をガツーンとしてやればいい」 ------------------------------------------------------------ あの時のボブは何処までが本気だったのかは解らない。 もしかすれば、あれは自分の酔いが見せた愉快な夢だったのかもしれない。 だが、この状況に陥って解ったことが一つある。それは。 **『こいつ』をガツーンとする時が来た、と!** [ガツーンとする!!](25011) 25011 **ガツーン**と。 それはそれは盛大に、君はグリメルムの額に頭突きしていた。 一切の手加減なく、それこそ自分の額が割れるのではないかという無茶な一撃を、高位魔族にガツーンと喰らわせたのである。 正直に言おう、**めちゃくちゃ痛い!!** 頭突きを喰らった当の本人ならぬ本魔族はというと、君の全身全霊を傾けた無茶苦茶な一撃の勢いで顔が上を向いた状態で止まっている。 ……が、次第に肩が震え出したかと思えば、次の瞬間には声高らかに笑い出していた。いわゆる『爆笑』というヤツである。 君は驚いてグリメルムから離れるが(そのついでに武器も拾った)、グリメルムはそんなことなど気にならない様子で、とにかくただただ笑っていた。魔族にバカウケである。 ・・・・・・ はぁ、一体どのくらいの時が流れたのか。 グリメルムはようやく落ち着いたのか、君の方を向いた。前髪に隠されて額は見えないが、鼻の辺りが若干赤くなっているように見える。 ただ、グリメルムは君の顔を見たことで再び笑いがこみ上げてきたのか、今も微妙に笑っている。その様子は最初に顔を合わせた時の雰囲気に近かった。 「ふっ……くっ、くくくっ、ふふふっ、 私も長く時を生きてきたが、人の子から 頭突きをされるなんて、くっ、ふくく、 思ってもみなかったよ。 まったく、長生きはしてみるものだね」 グリメルムは穏やかな口調でそう言うと、ニィッと口の端を吊り上げ、喜々とした笑みを浮かべる。 「これだから、人間という生き物は面白い!」 その見開かれた双眸が、鮮血色の月の如く狂気と歓喜に染まった。 **「ペンタウァの名高き人の子よ! 命を散らして名もなき亡者となり果てるか、 魔を討ち滅ぼして救国の英雄と謳われるか、 その勇壮なる魂を以て、己が行く末を選び取るがよい!」** そう言い残し、グリメルムは君から遠く離れた場所へと一気に飛び退った。 怒ったのか喜んでいるのか判断しづらい反応だったが、まあ、アレだ。 %red%**▼HPに4ダメージを受けた!**%/% [行く先など、最初から決まっているッ!!](24700 "f16") [行く先など、最初から決まっているッ!!](24900 "-f16") 25100 空間に甲高く響く金属音、もしくは鈍くて低い衝突音! 君の武器とグリメルムの片手の爪先がぶつかり合い、その凄まじく重い衝撃に、君は床石と靴とが擦れる音を立てながら後方へと押し出されてしまう。 危うく武器を折るかと思ったが、そこは流石のペンタウァ製。折れることも欠けることもなく、グリメルムの一撃に耐え切ってくれた グリメルムは着地したかと思うと地を蹴って、突風のような勢いで君に接近する。 その勢いで繰り出された爪での連撃は、一撃一撃に速さも力も乗ったもので、君は加重の影響を加味した動きで攻撃を躱したり、武器でそれを受け流す。 その時にグリメルムの隙を逃さず反撃できたのは、我ながら流石である。 **よしっ! なかなかに調子が良い!** だが、そこでまさかの事態が起こった。運が悪いことに、グリメルムの下から上へと斬り上げるような一撃に、君の武器が跳ね上げられてしまったのだ! 武器はクルクルと宙を舞い、床石へと落下する。お互い、そのままの体勢でピタリと動きが止まった。 目の前に立つ魔族がニヤリと口元を歪める。 **絶体絶命万事休す!?** 君は表情を引き攣らせて己の冒険の終わりを予感する。……が、その瞬間、唐突に脳内で過去の記憶が流れ出した。 %red%**▼MPに3ダメージを受けた!**%/% [あれは何年か前のこと……](25010) 25200 先手必勝! 攻撃を仕掛ける! 君は武器を手にグリメルムへ向かって駆け出した。 この一撃で決着をつける。それほどの気概を以て君は力強い足取りで駆けた。 グリメルムはやはり外套を広げたままの状態で立っている。あの魔法の短剣の時のような光球も見えない。 だが、グリメルムとの距離が縮まってゆけばゆくほど、気温が下がってゆくのを感じるのだ。 緊張感によって気温の感じ方がおかしくなっている、という可能性もあるのだが…… **<太陽の欠片>の所持数が【1個以上】の場合は、 KRMで判定「太陽神APOLLOよ……」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+KRMの合計値が……%/% [▼2~10の場合](25600 "s0:0:0:0:0:0:1") [▲11~22の場合](25700 "s0:0:0:0:0:0:1") [太陽の欠片を所持していない場合](25800 "-s0:0:0:0:0:0:1") 25300 一体何を仕掛けてくるのか解らない。 君は逸る気持ちを押さえつけながらも、目を凝らしてグリメルムの様子を窺うが…… **GM「目星で振ってください」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、【▼】の選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%【1】(2つのダイスの合計値-2)×10の合計値が、 DEX×10の合計値を **超えていない**または**同値**であれば『▼』の選択肢を、 **超えていれば**『▲』の選択肢を選ぶこと。%/% %blue%【2】目星は**『2回まで』**振り直すことができ、 1回目は『DEX×10の合計値に+10』、 2回目は『DEX×10の合計値に+20』といったように**プラス補正**を 入れて判定すること。%/% %blue%この判定にファンブルやクリティカルといったものは存在しない。 TRPGに詳しい勇者は、この事実に安心、もしくはガッカリしてもよい。%/% [▼目星に成功した](25900) [▲目星に失敗した](26000) 25400 空間に甲高く響く金属音、もしくは鈍くて低い衝突音! 君の武器とグリメルムの片手の爪先がぶつかり合い、その凄まじく重い衝撃に、君は床石と靴とが擦れる音を立てながら後方へと押し出されてしまう。 危うく武器を折るかと思ったが、そこは流石のペンタウァ製。折れることも欠けることもなく、グリメルムの一撃に耐え切ってくれた。 グリメルムは着地したかと思うと地を蹴って、突風のような勢いで君に接近する。 その勢いで繰り出された爪での連撃は、一撃一撃に速さも力も乗ったもので、君は身を躱したり、武器で受け流したりするも、捌ききれなかった攻撃が体に傷を刻んだ。 更に、運が悪いことに、グリメルムの下から上へと斬り上げるような一撃に、君の武器が跳ね上げられてしまった! 武器はクルクルと宙を舞い、床石へと落下する。お互い、そのままの体勢でピタリと動きが止まった。 目の前に立つ魔族がニヤリと口元を歪める。 **絶体絶命万事休す!?** 君は表情を引き攣らせて己の冒険の終わりを予感する。……が、その瞬間、唐突に脳内で過去の記憶が流れ出した。 %red%**▼HPとMPに5ダメージを受けた!**%/% [あれは何年か前のこと……](25010) 25500 空間に甲高く響く金属音、もしくは鈍くて低い衝突音! 君の武器とグリメルムの片手の爪先がぶつかり合い、その凄まじく重い衝撃に、君は床石と靴とが擦れる音を立てながら後方へと押し出されてしまう。 危うく武器を折るかと思ったが、そこは流石のペンタウァ製。折れることも欠けることもなく、グリメルムの一撃に耐え切ってくれた。 グリメルムは着地したかと思うと地を蹴って、突風のような勢いで君に接近する。 その勢いで繰り出された爪での連撃は、一撃一撃に速さも力も乗ったものではあったが、君は攻撃を躱し、武器で受け流す。 その時にグリメルムの隙を逃さず反撃できたのは、我ながらナイス腕前だ。 **よしっ! なかなかに調子が良い!** だが、そこでまさかの事態が起こった。運が悪いことに、グリメルムの下から上へと斬り上げるような一撃に、君の武器が跳ね上げられてしまったのだ! 武器はクルクルと宙を舞い、床石へと落下する。お互い、そのままの体勢でピタリと動きが止まった。 目の前に立つ魔族がニヤリと口元を歪める。 **絶体絶命万事休す!?** 君は表情を引き攣らせて己の冒険の終わりを予感する。……が、その瞬間、唐突に脳内で過去の記憶が流れ出した。 %red%**▼MPに3ダメージを受けた!**%/% [あれは何年か前のこと……](25010) 25600 急激な気温の変化に嫌な予感がした君は、意識を<太陽の欠片>に集中し、生きとして生けるものを暖かな光で照らす生命の源、太陽をイメージする。 **太陽神APOLLOよ……我に加護を!** 君の呼び掛けに応え、太陽神の力が……**みなぎる様子はない。** 体には別に何か変化があった訳でもなく、グリメルムに近付けば近付くほど、時間が経てば経つほどに、凍えそうな冷気が強くなるのも変わらない。いつの間にか吐く息も白くなっている。 残念ながら、太陽神は君の祈りに応えてはくれなかったようだ。 そう上手くはいかないか……。 君は寂しそうに胸の中で呟いた。神も必ずしも人の味方をするとは限らないし、気分屋のところもあるのだから、これもまた仕方がないことだ。 突き刺すような冷気をその身に受けながら、君は一気に駆けた。 [……っ、行くぞッ!!](26100) ※<太陽の欠片>は消費しなくてもよい 25700 急激な気温の変化に嫌な予感がした君は、意識を<太陽の欠片>に集中し、生きとして生けるものを暖かな光で照らす生命の源、太陽をイメージする。 **太陽神APOLLOよ……我に加護を!** 君がそう念じたと同時に、君の周囲に火の粉が舞い、体が温かく柔らかな光に包まれた。 先程まで感じていた凍えるほどの寒さを、今では一切感じない。寧ろ、体の奥底から湧き上がってくる活力が体の隅々にまで行き渡り、体がとても軽い。走る速度も自然と速くなる。 どうやら太陽神は君の祈りに応え、力を与えてくれたようだ。 **これなら、いけるッ!!** 太陽の輝きの如き光を瞳に湛え、君は一気に駆けた! [行くぞッ!!](26100) ※<太陽の欠片>は消費しなくてもよい 25800 急激な気温の変化に一瞬だけ嫌な予感がした君だったが、そんなことに怯んでいては、攻撃の切れが鈍ってしまう、と不安を振り払うように頭を振った。 グリメルムがたとえどんな攻撃を仕掛けてこようとも、勇者は怯むことなど許されず、この先にある決着という結果に向かって突き進むしかないのだ。 グリメルムに近付けば近付くほど、時間が経てば経つほどに、凍えそうな冷気が強くなる一方だ。いつの間にか吐く息も白くなっている。 突き刺すような冷気をその身に受けながら、君は一気に駆けた。 [勇者よ、突き進むのだ!](26100) 25900 目星に成功した君は、遠く離れている筈のグリメルムの様子も鮮明に見えたことだろう。とても視力が良いか、眼鏡か何かの補正が優秀といったところだろうか。 グリメルムが目を伏せたまま、片手で外套を広げた状態で立っているのは先程も把握していたところだが、よく見ればグリメルムの口が動いていることに気が付いた。 流石にこの距離では声も聞こえないし、あの格好からするとこちらに向けて語り掛けているといった風でもない。 ……と、そこで君は自分の吐く息が白くなり、全身が震えていたことを自覚する。 先程まではそんなことはなかった。故に、それは、この空間の温度が急激に下がっていることを意味していた。 そういえば、道中に仕掛けられていた罠の中には、迷いの魔法や人形召喚の魔法もあった。 水晶柱による移動も移転の魔法だし、今思い出してもヒヤリとするが、宙に浮かぶ通路なんかも魔法の類だろう。 更に、建物内の何か魔法的な仕掛けがあったところには、大体『解読不可能な謎の文字』が用いられていたことも覚えている。 つまり、グリメルムは魔法に造詣が深く、『現代のペンタウァには伝わっていない魔法』も扱える魔族ということだ。 まさか、と。君の中で嫌な予感が膨れ上がってゆく。 **『魔族が呪文を詠唱する』ということ。** 君はその意味を知っている。知っているからこそ、一瞬にして血の気が引いた。 『それ』は、恐るべきことが起こる前兆。 [次へ進む](26200) 26000 目星に失敗した君には、遠く離れているグリメルムの立ち姿から新たな情報を得ることはできなかった。 ……と、そこで君は自分の吐く息が白くなり、全身が震えていたことを自覚する。 先程まではそんなことはなかった。故に、それは、この空間の温度が急激に下がっていることを意味していた。 急激な温度変化。この異常な現象に、君は何か良くないことが起こっているのだけは感じ取っていた。 だがしかし、このままでは何が起こっているのかハッキリしない。 君は覚悟を決め、グリメルムに向かって走り出した! [とにかく走れッ!](26300) 26100 ぐんぐんとグリメルムに近付いている今、その姿が鮮明になってきた。 グリメルムを目に捉えながら走る君は、脳裏にふっと『ある話のこと』が浮かび上がるのを感じた。否、浮かんだと言うよりは、思い出したと言った方がいいだろうか。 **魔法を使う時、通常は<七惑星の欠片>と呪文の詠唱を必要とする。** 多大な生命力や生贄などの代償を払った場合、もしくは神の奇跡が起きた場合など、一部には例外も存在するが、基本的には使いたい魔法に合わせて<七惑星の欠片>を用意し、それを媒体として己の魔力を注ぎ込み、魔力を制御し顕現させるための呪文を唱える。 その一連の流れを経て、人は初めて魔法が使えるという訳だ(詠唱もなく魔力をただ注ぎ込んだ状態は『魔法のなり損ない』であって魔法ではない、と別物として分けられている。専門家は気難しいものだ)。 **しかし、魔族ともなると、人の魔法事情とは話が少々異なってくる。** 魔族の中でも特に高い魔力を持つ者は、<七惑星の欠片>も呪文の詠唱も用いることなく、七惑星の神々と呼ばれる神以外の力――例えば、精霊や邪神などが挙げられる――を借りて様々な魔法を使えるのである。 それが特に顕著なのは、魔力の消費が少ない初級魔法や中級魔法と呼ばれるもので、高位の魔族ともなれば、初級魔法も中級魔法もさしたる代償や時間を必要としないのだ。 それは、魔族は魔力を内包する為の容量が人よりも多く、魔法との相性も良い性質を持つ者が多いこと。 魔族は、<七惑星の欠片>ではなく、自身を魔法の媒体としていること。 魔族は、魔力を独自に変質させる力に長けていること。 そんな複合的な理由が大いに関係しているのだ。 だが、上級魔法や古代魔法、禁呪の類といった多大な魔力と生命力、場合によっては生贄を多量に消費する魔法ともなれば、それだけ呪文は長くなり、詠唱も複雑になってくる。 呪文の詠唱なしにそれらを顕現させることは、手の一振りで地上に裁きの雷を降らせるような存在――それこそ神にでもならなければ不可能と言っても過言ではないのだ。 ……と、ここまでが何処かで聞き覚えのある『魔法と魔族についての話』だ。 何故このタイミングでそんなことを急に思い出したのか。 **それは、グリメルムが目を伏せ、呪文を詠唱していることに気付いたからだ!** [させるかーーーァッ!!](26400 "f21") [させるかーーーァッ!!](26500 "-f21") 26200 グリメルムがこれからやろうとしていることを予想し、胸をざわめかせる君の脳裏に、何処かで聞いた話が淀みなく流れ始める。 **魔法を使う時、通常は<七惑星の欠片>と呪文の詠唱を必要とする。** 多大な生命力や生贄などの代償を払った場合、もしくは神の奇跡が起きた場合など、一部には例外も存在するが、基本的には使いたい魔法に合わせて<七惑星の欠片>を用意し、それを媒体として己の魔力を注ぎ込み、魔力を制御し顕現させるための呪文を唱える。 その一連の流れを経て、人は初めて魔法が使えるという訳だ(詠唱もなく魔力をただ注ぎ込んだ状態は『魔法のなり損ない』であって魔法ではない、と別物として分けられている。専門家は気難しいものだ)。 **しかし、魔族ともなると、人の魔法事情とは話が少々異なってくる。** 魔族の中でも特に高い魔力を持つ者は、<七惑星の欠片>も呪文の詠唱も用いることなく、七惑星の神々と呼ばれる神以外の力――例えば、精霊や邪神などが挙げられる――を借りて様々な魔法を使えるのである。 それが特に顕著なのは、魔力の消費が少ない初級魔法や中級魔法と呼ばれるもので、高位の魔族ともなれば、初級魔法も中級魔法もさしたる代償や時間を必要としないのだ。 それは、魔族は魔力を内包する為の容量が人よりも多く、魔法との相性も良い性質を持つ者が多いこと。 魔族は、<七惑星の欠片>ではなく、自身を魔法の媒体としていること。 魔族は、魔力を独自に変質させる力に長けていること。 そんな複合的な理由が大いに関係しているのだ。 **だが、上級魔法や古代魔法、禁呪の類といった多大な魔力と生命力、場合によっては生贄を多量に消費する魔法ともなれば、それだけ呪文は長くなり、詠唱も複雑になってくる。** 呪文の詠唱なしにそれらを顕現させることは、手の一振りで地上に裁きの雷を降らせるような存在――それこそ神にでもならなければ不可能と言っても過言ではないのだ。 ……と、此処までが以前聞いたことがある『魔法と魔族について話』だ。 君の視線の遥か先には、いまだに詠唱を続けているグリメルムがいる。 あの呪文の長さからすると、上級魔法か、あるいは古代魔法の可能性すらあるのだが、その効果や規模などは一切不明だ。 [一体どうすれば……どうすればいい……!?](26600 "-f13") [一体どうすれば……どうすればいい……!?](26700 "f13") 26300 君は武器を手にグリメルムへ向かって駆けている。 ぐんぐんとグリメルムとの距離が縮まりつつあるが、グリメルムはやはり外套を広げたままの状態で立っている。あの魔法の短剣の時のような光球も見えない。 だが、グリメルムとの距離が縮まってゆけばゆくほど、気温が下がってゆくのを感じるのだ。 嫌な予感がますます強くなってゆく…… **<太陽の欠片>の所持数が【1個以上】の場合は、** **KRMで判定「太陽神APOLLOよ……」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+KRMの合計値が……%/% [▼2~10の場合](25600 "s0:0:0:0:0:0:1") [▲11~22の場合](25700 "s0:0:0:0:0:0:1") [太陽の欠片を所持していない場合](25800 "-s0:0:0:0:0:0:1") 26400 君は強く地を蹴ると、疾風にでもなったかのような速さでグリメルムに突進した! 太陽神の加護によってみなぎる力が、君の燃え上がる闘志が、君の脚力を増幅させたのだ! 突如、君の眼下に出現した無数の雷がグリメルムの周りを駆け巡り、吹雪のような荒々しく冷たい風が轟々と吹き荒れる。 だがしかし、太陽神の加護を受けた君の体には、魔法発動前の溢れ出す魔力は一切届かない! 君が加護を受けていることに気付いたグリメルムが、驚愕の表情で君の一撃を躱そうとするが――遅いッ! ソーサリアンよ、これで全てを終わらせるのだ!! **「グリメルムーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」** [ ](26800) 26500 君は極寒の空間の中で、足をもつれさせそうになりながらも、呪文を詠唱するグリメルムに向かって全力で駆けた。 疾走して風に靡いていた筈の衣服が凍り付いてその動きを止め、心臓が張り裂けんばかりに荒々しく呼吸するも、呼吸すればするほどに体温を奪われていった。 全身を突き刺すような冷気に、全身の感覚は既にない。とにかく武器を握り締めている筈の手を更にきつく握り締め、死に物狂いで走るしかなかった。 グリメルムは目の前だ! ソーサリアンよ、走れ! そして、一撃を叩き込むのだッ!! **「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」** [ ](26900) 26600 ここで選択を誤れば、きっと自分の命はない! しかし、正体の判らない魔法にどう対抗すればいい……!? 早く行動しなければならないのに、迂闊に動けない状況が君の心を掻き乱す。 その間にも気温は下がり続け、君は極度の焦燥感も相まってか、武器を握り締める手がカタカタと小刻みに震え出していた。 何か、何かないのか!? そう胸の内で叫んだ時、君の頭の中で何かがチカッと煌めくのを感じた。 焦りで埋め尽くされた頭の中で、その煌めきは君を安心させるように瞬き、そして、それは『記憶』という形に変わっていった。 ポーラスと出逢い、共に戦おうと決めた、あの時の『記憶』へと。 『あの狡猾なグリメルムのことでしょうから、きっと様々な罠が 待ち受けているに違いありません。 ですから、もしグリメルムの力が働いている場所がありましたら、 そのペンで紙に私の名前を書いて貼り付けて下さい。 すると紙が私の魔力を増幅し、**グリメルムの力を弱めることも 可能となる**でしょう』 これは、君が魔法のペンと魔法の紙を受け取り、ポーラスがその使い方を教えてくれた時に言っていた言葉だ。 君はこの言葉を思い出し、ハッとして道具袋に手を入れた。指先にカサッ、とした薄い紙の感触が伝わってくる。 道具袋から取り出した魔法の紙は、幸いなことに既にポーラスの名を書き入れた状態だ。 **これを使えば……!!** [光明が見えたッ!](27000) 26700 ここで選択を誤れば、きっと自分の命はない! しかし、正体の判らない魔法にどう対抗すればいい……!? 早く行動しなければならないのに、迂闊に動けない状況が君の心を掻き乱す。 その間にも気温は下がり続け、君は極度の焦燥感も相まってか、武器を握り締める手がカタカタと小刻みに震え出していた。 何か、何かないのか!? そう胸の内で叫んだ時、君の頭の中で何かがチカッと煌めくのを感じた。 焦りで埋め尽くされた頭の中で、その煌めきは君を安心させるように瞬き、そして、それは『記憶』という形に変わっていった。 ポーラスと出逢い、共に戦おうと決めた、あの時の『記憶』へと。 『あの狡猾なグリメルムのことでしょうから、きっと様々な罠が 待ち受けているに違いありません。 ですから、もしグリメルムの力が働いている場所がありましたら、 そのペンで紙に私の名前を書いて貼り付けて下さい。 すると紙が私の魔力を増幅し、**グリメルムの力を弱めることも 可能となる**でしょう』 これは、君が魔法のペンと魔法の紙を受け取り、ポーラスがその使い方を教えてくれた時に言っていた言葉だ。 君はこの言葉を思い出し、ハッとして道具袋に手を入れ……ようとしたが、既に魔法の紙を使い切っていることも思い出した。 無駄遣いが過ぎたか……と、君は奥歯を噛み締め、その手を空しく元に戻す。 だが、ポーラスのことを思い出し、先程まで乱れていた思考が落ち着いたことは大きい。 そうだ、戦いはまだ終わってはいない。 今の自分に出来ることをやり、最後まで戦い抜くのだ! [苦境に抗えッ!](27100) 26800 咆哮と共に放たれた渾身の一撃が、グリメルムを覆っていた結界を砕く。 粉々になった結界は、氷の欠片となって煌めきながら君とグリメルムの周囲を舞った。 雷と嵐と光の中で、君の瞳とグリメルムの真紅の瞳が最も近くで重なり合う。 時間の流れが遅くなったのかと錯覚するが、全ては一瞬。 勇者の迷いなき一撃が魔族の胸を穿つ。 グリメルムと呼ばれし高位魔族の咆哮の如き絶叫が空間を震わせた。 [ ](27200 "f15,f19,f20,f22") [ ](27300 "-f15,f19,f20,f22") 26900 君は声にならない咆哮を上げ、グリメルムに向かって渾身の一撃を突き出す! しかし、突如出現した無数の雷がグリメルムの周りを駆け巡り、吹雪のような荒々しく冷たい風が轟々と吹き荒れた。 突進しながらの君の一撃は、無情にもグリメルムの周囲に吹き荒れる吹雪によって阻まれる。それは結界だった。 **しまっ……!?** 甲高い音を立て、君は武器ごと強い力で弾かれてバランスを崩す。 驚愕で表情は凍り付き、絶望に見開かれる瞳から溢れた涙は、一瞬にして氷の粒と化した。 その時、ゆらりと君の顔を見やったグリメルムは笑っていた。『残念だったね』と言わんばかりの楽しげな表情で。 ――気付いた時には、もう為すすべもなかった。 攻撃を弾かれた君は、そのままの体勢で吹っ飛ばされる。 それは時間にして一瞬の出来事の筈なのだが、君はまるでこの時間の流れが遅くなったかのように感じられた。 グリメルムの外套から文字のような光る紋様が円を描きながら浮かび上がり、その円の中心に現れた眩く冷たい光を放つ青白い光球が、吹雪と雷を伴って急速に膨れ上がってゆく。 そして、それがグリメルムの外套の中に収まりきらないほどの大きさに達した時、穏やかな表情で君を見つめるグリメルムの口がはっきりと動くのを見た。 **『 さ よ う な ら 』** 君がグリメルムの別れの言葉を把握した瞬間、青白い魔力球が弾け、辺り一面を覆い尽くすほどの光となって撃ち出された。 ペンタウァの名高き勇者であった『君』という存在は、極大の輝きの中で音もなく消滅したのだった。 ![高位魔族の古代魔法](hero.n.b3.clear.png) **%purple%BAD END「高位魔族の古代魔法」%/%** ※シナリオを最初から始める際、該当のページ数を指定して飛ぶと冒険を途中からやり直すことができます 27000 グリメルムの魔法に備え、君は光明を見つけて決意を固めたことだろう。 魔法発動までに残された時間は、少ない。 さあ、生き残る為に最善を尽くすのだ! [武器に魔法の紙を巻き付けて魔法に耐える](27400) **BONUS<鏡の盾>を所持しているのであれば、以下の選択肢を選んでもいい(真実の鏡? 対象外です!)** [鏡の盾に魔法を紙を貼り付けて魔法に耐える](27500) 27100 グリメルムの魔法に備え、君は苦境に抗おうと決意を固めたことだろう。 魔法発動までに残された時間は、少ない。 さあ、生き残る為に最善を尽くすのだ! [<HOLY WATER>を使って魔法に耐える](27600 "mHOLY-WATER") [魔法を回避する為にできるだけ遠くへ走る](27700) **BONUS<鏡の盾>を所持しているのであれば、以下の選択肢を選んでもいい(真実の鏡? 対象外です!)** [鏡の盾を使って魔法に耐える](27800) 27200 グリメルムの絶叫が途絶え、生まれ出でる寸前だった魔法は影も形もなく消失した。 星空に包まれた空間も冷気と共に一瞬にして消え失せると、君とグリメルムは再び塔の最上階に立っていた。 いつの間にか太陽神の加護も消えている。もう戦いは終わった、ということなのだろう。 君の武器に穿たれたままのグリメルムは、胸を血で紅く染め、口の端から紅い血を流し、その紅と同じ色の瞳を伏せて満足げに笑う。 「ぐっ……流石はソーサリアンくん…… いや、誇り高き者ソーサリアンだ……」 その口調は、最初に出会った頃と同じく穏やかなものだったが、真の意味で君をペンタウァの勇者として認めたのだろう。今の状態で呼び方を訂正したところに、この魔族の心境の変化を感じとることができた。 「ふふっ、力の一部を封印されていたなど…… 敗者の言い訳にしかならない……な。 いいだろう……収集物は全て解放しよう」 殺気の消えた声で言うグリメルムに、君は武器から手を離さぬまま「その言葉、嘘ではないな?」と問い掛ける。 すると、グリメルムは瞼を上げ、美しい煌めきを湛えた真紅の瞳で真っ直ぐに君を見据えた。 「高位魔族の誇りに誓って。 私をそこらの魔族と一緒にしないでもらおうか」 グリメルムは、何処までも真剣な眼差しと厳かな声色で答えた。戦っている時のような殺気はないが、その毅然とした彼の態度は、まさに高位魔族の誇りと威厳に満ちていた。 暫しの沈黙の後、君が確かに頷くと、グリメルムは腕を曲げて指を鳴らす。小気味よい音が空間に響いた。 突如、君と彼の周囲に球体に入れられた小さな村や町など、彼の『収集物』が幾つも現れた。その数たるや、一見しただけではとても数え切れないほどだ。 君が驚いた表情で浮遊する球体を見ていると、それらは淡い光を放ち、そのまま消えていった。 「これで……元の位置に戻っている筈さ……」 何処か寂しそうな、しかし、何処となく晴れ晴れとした心情すら感じさせるような声色で。グリメルムは、ふっと小さな笑みを浮かべながら呟いた。 [次へ進む](27900) 27300 **――だが、グリメルムの魔法はいまだに消えてはいない!** あと一撃! 決定打となる一撃が必要なのだ!! ${if f13} **KRMで判定「太陽神APOLLOよッ!!!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、2個のダイスの合計値+KRMの合計値が……%/% ${/if} [▼2~8の場合](28000 "f13") [▲9~22の場合](28100 "f13") [『ソーサリアン様!!』](28110 "-f13") 27400 この魔法の紙を武器に巻き付けて、グリメルムの魔法を受ければ! 勿論、君は今までに魔法の紙をこのような用途で使ったことはない。 しかし、魔法の紙は、ポーラスの力は、これまでにも何度もグリメルムの魔法を打ち破り、光明を見せてくれた。 だから、きっと今回も『大丈夫』。 それはとても直感めいたものであったが、今は不思議と落ち着いている。自信しかない。 今でも彼女はリボンを通してグリメルムの力を抑え続けてくれている。自分は彼女と一緒に戦っている。今、この瞬間も自分は一人ではないのだ。 君はポーラスの名前が書かれた魔法の紙を、武器に巻き付けた。魔法の紙は、今までと同じく自然と貼り付き、剥がれ落ちる様子もない。 見ればグリメルムの周囲には雷と嵐が渦巻き、広げられた外套辺りには大きな魔力球が発生していた。発動まで秒読みの気配だ。 君はグリメルムを真っ直ぐに捉えると、両足を広げて床石をしっかりと踏みしめた。そして、武器をきつく握り締めて構えると、前方を凛として見据えた。 轟々とした風の吹き荒れる音の中に、君が武器を握り締める低い音が微かに混じる。 **……来いッ!** 君が声を張り上げた直後、グリメルムの魔法が極大の光線となって撃ち出された。 [――ッッッ!!!](28200) 27500 おや? 君がその腕に装備しているのはただの飾りか? ――いや、違う。 **これは時に攻撃を防ぎ、時に相手をぶん殴る盾だ!** しかもこの盾は、かのメデューサの石化光線を防ぎ切ったという鏡の盾だ。 流石に表面が鏡となると物理攻撃には不向きなのだが、魔法であれば……! それに、今は魔法の紙もあるし、魔法の紙を貼り付けた鏡の盾なんて百人力じゃないか! 勿論、君は今までに魔法の紙をこのような用途で使ったことはない。 しかし、魔法の紙は、ポーラスの力は、これまでにも何度もグリメルムの魔法を打ち破り、光明を見せてくれた。 だから、きっと今回も『大丈夫』。 それはとても直感めいたものであったが、今は不思議と落ち着いている。自信しかない。 今でも彼女はリボンを通してグリメルムの力を抑え続けてくれている。自分は彼女と一緒に戦っている。今、この瞬間も自分は一人ではないのだ。 君はポーラスの名前が書かれた魔法の紙を、鏡の盾に貼り付けた。魔法の紙は、今までと同じく自然と貼り付き、剥がれ落ちる様子もない。 見ればグリメルムの周囲には雷と嵐が渦巻き、広げられた外套辺りには大きな魔力球が発生していた。発動まで秒読みの気配だ。 君はグリメルムを真っ直ぐに捉えると、両足を広げて床石をしっかりと踏みしめた。そして、鏡の盾をぐっと力を入れて構えると、前方を凛として見据えた。 轟々とした風の吹き荒れる音の中に、君が鏡の盾の持ち手を握り締める低い音が微かに混じる。 **……来いッ!** 君が声を張り上げた直後、グリメルムの魔法が極大の光線となって撃ち出された。 [――ッッッ!!!](28300) 27600 <HOLY WATER>とは、魔法の威力を半減させることができる魔法である。 魔法の紙を持っていない以上、君が頼れるのはこれくらいしかない。 逃げるという選択肢もあったが、此処がグリメルムの作った場所であれば、奴はそう易々と君を逃がしてはくれないだろう。 それに、魔法を阻止しようと今更走ったところで、グリメルムとの距離や詠唱が始まってからの時間を加味すれば、もう間に合いはしない。 君は覚悟を決めて、道具袋から<HOLY WATER>に必要な<七惑星の欠片>を取り出し、握り締めた。 そして、手の中にある<七惑星の欠片>に意識を集中し、呪文の詠唱を開始する。 水星の欠片をふたつ、神に捧げよう。 木星の欠片をふたつ、神に捧げよう。 知恵の神、魔力の神、神秘の女神に祈り、 魔を退けし聖なる水の力を乞い願わん。 偉大なる神々よ――聖水の障壁で我を守り賜え! **『 HOLY WATER 』** **◆<HOLY WATER>を唱えた** ※ステータスSTARの欠片が<HOLY WATER>発動に必要な分だけ 自動減算される 詠唱が終了し、魔法を発動させると、<七惑星の欠片>が光を放って砕け散る。同時に君を包み込むように、清浄なる水の結界が出現した。 あとは、この水の結界がグリメルムの魔法に通用するか否かだ。 見ればグリメルムの周囲には雷と嵐が渦巻き、広げられた外套辺りには大きな魔力球が発生していた。発動まで秒読みの気配だ。 君はグリメルムを真っ直ぐに捉えると、両手を前にかざした体勢で、床石をしっかりと踏みしめた。 こんな一か八かの賭けなど、恐ろしくない筈がない。気を抜けば今すぐにでも、この場から背を向けて逃げ出したくなる。 しかし、神の力を借りた手前、弱き心を神々に見せる訳にはいかない。それに、ポーラスに顔向けできなくなってしまう。君は前方を凛として見据えた。 轟々とした風の吹き荒れる音の中に、君の喉が唾を呑み込む音が微かに混じる。 **……来いッ!** 君が声を張り上げた直後、グリメルムの魔法が極大の光線となって撃ち出された。 [――ッッッ!!!](28400) 27700 こんなの逃げるしかない! 逃げるしかないじゃないか!! 『グリメルムが作った場所』だからなんだ!? そのまま突っ立っているよりも、グリメルムから少しでも離れた方がイイに決まってる! 魔法を受けようだとか、そんなことは正気の沙汰ではない!! よし、そうと決まれば早く離れよう! もう時間はないのだ! 君は後ろを向くと、背後に突き刺さるような冷気を感じながらも駆け出した。 少しでも、少しでも遠くへ……! 乾いた空気の影響で、呼吸をすると喉の奥からヒューヒューと音がする。苦しい。 喉が渇いてくっ付きそうになると、吐きそうになるほど咳き込んで、目に涙を浮かべながらも持ち直す。 どんなに苦しくても、この足を止めてはならない。止めたら、終わる。 満天の星空と青い満月の下を、死に物狂いで走る。 走っても走っても、見えるのは仄かに光る床石と、天上で瞬く幾多の星々だ。 始まりも見えなければ、終わりも見えない。何処まで走っても同じ光景しか見えない。 それでも、相手の魔法から逃れる為ならば、終わりが見えない方が何処までも距離を稼げる。 そうだ、この調子で、距離を――ッ!? 急に悪寒がした。 走りながら、後ろを振り向く。 遠く離れたグリメルム自体は既によく見えない。 しかし、巨大に膨れ上がった光だけが、鮮明に、恐ろしいほどによく見えた。 [あぁ、あぁあ!!?](28500) 27800 おや? 君がその腕に装備しているのはただの飾りか? ――いや、違う。 **これは時に攻撃を防ぎ、時に相手をぶん殴る盾だ!** しかもこの盾は、かのメデューサの石化光線を防ぎ切ったという鏡の盾だ。 流石に表面が鏡となると物理攻撃には不向きなのだが、魔法であれば……! 勿論、こんなことは一か八の賭けのようなものだ。恐くない訳がない。 しかし、魔法の紙を持っていない以上、君が頼れるのはこれくらいしかない。 逃げるという選択肢もあったが、此処がグリメルムの作った場所であれば、奴はそう易々と君を逃がしてはくれないだろう。 それに、魔法を阻止しようと今更走ったところで、グリメルムとの距離や詠唱が始まってからの時間を加味すれば、もう間に合いはしない。 君は、覚悟を決めた。 見ればグリメルムの周囲には雷と嵐が渦巻き、広げられた外套辺りには大きな魔力球が発生していた。発動まで秒読みの気配だ。 君はグリメルムを真っ直ぐに捉えると、両足を広げて床石をしっかりと踏みしめた。そして、鏡の盾をぐっと力を入れて構えると、前方を凛として見据えた。 轟々とした風の吹き荒れる音の中に、君が鏡の盾の持ち手を握り締める低い音が微かに混じる。 **……来いッ!** 君が声を張り上げた直後、グリメルムの魔法が極大の光線となって撃ち出された。 [――ッッッ!!!](28600) 27900 君は頷くと武器から手を放し、グリメルムから少し離れた。 先程まで本気で戦っていた相手ではあったが、今、この目の前にいる魔族は嘘を言っているようには見えなかった。だから、武器を手放したのだ。 君のそんな行動が意外だったのか、彼は一瞬驚いたような顔をしたが、「やはり、人間は……いや、君が特別に面白いのかもしれないな……。ああ、何者も狂わせる**『彼』**が君を見たら、一体何て言うのだろうね……ふふっ……」と独り言のように呟いた。その表情は、どこか懐かしんでいるようにも見えた。 そして、グリメルムは自らの胸に突き刺さった武器に手を掛けると、何の躊躇いもなくそれを引き抜いた。胸に空いた穴から血が溢れ、赤い絨毯に染み込んでゆくが、彼はそれに構わず君に武器を差し出している。 グリメルムの突然の行動を目の前で見ていた君は、思わず驚いて言葉を失った。しかし、グリメルムの落ち着いた表情を認め、すぐに頷いて武器をしっかと受け取ったのだった。 その時、君は道具袋がうごめくのを感じ、「なっ、なんだっ!?」と声を上げる。道具袋の中で動いていたのは、魔法のペンだったのだ。 魔法のペンは道具袋から出てふわりと宙に浮いたかと思うと、グリメルムの頭上で動きを止め、一冊の厚い本へと変化した。 浮遊する本がパサリと音を立てて開くと、グリメルムに向かって幾つもの光の帯が伸びてゆく。その意味を察したグリメルムは、ふっと笑った。 「封印……か。まあ、それもいいだろう。 私も長く生き過ぎた……。 最期を飾る戦いの相手が…… ソーサリアンであったことは……幸運だったよ」 そう言ってグリメルムは自らの片角に手を掛けて何かを呟くと、甲高い音と共に角が折れる。それを君に差し出した。 「これを持ってゆけ……私からの餞別だ……」 高位魔族の角は、その希少価値もさることながら、非常に強力な魔力を帯びていると聞く。それを折って差し出したということは、確かに餞別という意味なのだろう。 君は彼の名前を呟き、何かを言いかけて……止める。開きかけた口を閉じ、ただ頷いた。 互いに言葉はない。だが、君が折れた片角を受け取ると、グリメルムは満足そうに頷いたのだった。 [次へ進む](28700) 28000 **太陽神APOLLOよ、我に魔を討つ力を与え賜えッ!!** 君は今一度、太陽神に力を求める。 だが、太陽神は無情にも呼び掛けに応じない。 こんな時に限って……!! 君はあまりの悔しさに唇をきつく噛み締める。その唇から血がツゥ、と流れる。 あと一撃だと言うのに、その一撃が届かない! 必死になって武器を引き抜こうとしても、逆に押し込もうとしても、武器はしっかりとグリメルムの体を穿っているのか、まったく動こうとしない。 その時、君の手首に衝撃が走った。見れば、グリメルムの手が武器を握り締める君の片方の手首を掴んでいる。 掴まれた手首は、防具越しだろうがそうでなかろうが関係なく、微細な音を立てて圧迫されている。血がッ、止まりそうだ……! **「惜しかったね……ソーサリアンくん……」** 君がそんな楽しげな声を聞き、それがグリメルムの声だと理解した時には、君の体は武器ごと宙を舞っていた。 どんなに力を籠めてもまったく動かなかった武器が、今、中空に放り投げられた君の手の中にあるのだ。 [えっ……?](28800) 28100 **太陽神APOLLOよ、我に魔を討つ力を与え賜えッ!!** 君は今一度、太陽神に力を求める。 すると、**君の武器が聖なる炎をまとい、太陽の輝きを放ち始めた!** 炎はまるで意思を持っているかのようにうねり、火の粉を散らしているが、君の身を焼くことはない。 魔を滅しようと死闘を繰り広げてきた君の、その猛き想いが太陽神に届いたのだ! **これで最後だッ! グリメルム!!** 君の勇ましい咆哮に呼応し、聖なる炎が低く唸って一層激しく燃え盛る。 一振りの聖剣の如き炎に胸を焼かれた高位魔族は、仰け反りながら怒号とも悲鳴ともつかぬ叫びを上げたのだった。 [ ](27200) 28110 **『ソーサリアン様!!』** 綴り手の民ポーラスの声が、君の中で弾ける! 君が反射的に道具袋から魔法の紙を取り出すと、彼女の名前が光を放ち、明滅していた! **ポーラス! 最後の一撃は君と共にッ!!** ――それはまるで叩きつけるように。 君が魔法の紙を高位魔族の上体に勢いよく貼り付けると、ポーラスの魔力と君の魔力とが融合し、今までにないほどの美しい青き炎となって燃え上がる。 二人の魔力、そして二人の想いを込めた一撃は、今度こそ高位魔族を打ち破ることができたのであった。 [ ](27200) 28200 光を受けた途端、全身に大岩が衝突したかのような重い衝撃を受け、口から呻きが漏れ出た。 眩しくて前が見えない! だが、武器だけは手放さないよう、しっかりと握り締めて構え続ける。 目は開けられずにきつく閉じているが、武器や全身を打つ衝撃や風、そして手応えから、武器はグリメルムの魔法を切り裂いているようだった。凄い! しかし、そう楽観もしていられない。 魔法の紙がグリメルムの魔力に干渉することで、結界が張られているような状態なのだが、服が、防具が、猛吹雪によって真後ろに向かって激しく暴れ回り、全身が吹っ飛ばされそうになる。 猛吹雪を切り裂く武器をしっかりと握り締めて、位置を固定しているというのに、一瞬でも気を抜けば武器が弾かれかねない。 やはり、無茶をしていると痛感する。全身の関節がきしきしと悲鳴を上げ続けて止まない。 早く、早く、早く! 魔力の光よ、早く消え去れ! と、ただひたすらに願う。それだけしか考えられなくなりそうだ! 波動砲と化した猛吹雪を、武器と結界で遮り、切り裂く。吐く息が、白い。 凍えるような寒さに包まれ、足先の感覚が徐々に失われつつある。 地を噛む足が、僅かに押された。後退させられている。 早く、早く、早くッ!! この悪夢のような時間が早く終わってくれと、ただただ願い続ける。 冷たくなって感覚がなくなりつつある耳には、風が吹き荒れる音と、様々な物がはためく音が絶えず聴こえ続けている。 ――それはまるで冬の厳しさを耐え忍ぶ獣のように。 君は吹き荒れる魔力の奔流に耐え続けた。 [・・・・・・!](28900) 28300 光を受けた途端、全身に大岩が衝突したかのような重い衝撃を受け、口から呻きが漏れ出た。 服が、防具が、猛吹雪によって真後ろに向かって激しく暴れ回り、全身が吹っ飛ばされそうになる。 上半身を守るように身を硬くして、盾をがっちりと構えた状態でいるにもかかわらず、全身の関節がきしきしと悲鳴を上げ続けて止まない。 早く、早く、早く! 魔力の光よ、早く消え去れ! と、ただひたすらに願う。それだけしか考えられなくなりそうだ! 波動砲と化した猛吹雪を盾と結界で遮り、切り裂く。吐く息が、白い。 凍えるような寒さに包まれ、足先の感覚が徐々に失われつつある。 地を噛む足が、僅かに押された。後退させられている。 早く、早く、早くッ!! ――だが、光はまだ消えない。 早く、早く、早くーーーッ!! ――だが、光はまだまだ消えそうもない。 突如『ぷつり』と。君の中で何かが切れたような音がした。かもしれない。 **いい加減にッ! 消えろォおおおおおおおッ!!** 極度の緊張によって君は、キレた。 一体何処にそんな力が!? と自分でも驚くほどの力を以て、君は盾でグリメルムの魔法を押し返したのだった! [これが俗にいう火事場のナントカぢからである](29000) 28400 光を受けた途端、全身に大岩が衝突したかのような重い衝撃を受け、口から呻きが漏れ出た。 眩しくて前が見えない! だが、意識だけは手放さないようにと必死に両手をかざし続ける。 <HOLY WATER>の結界が威力を半減している筈なのだが、恐ろしいほどの冷気が全身に吹き付け、急速に体温が奪われてゆく。 さあ、君はこの猛吹雪に耐えられるか!? **INTとKRMで判定「むちゃ が すぎる!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) ※このダメージ式ボタンには<HOLY WATER>の効果が 反映されている為、<HOLY WATER>を二重に発動させないこと ※この攻撃は魔法扱いのため、<PROTECT>の使用は不可とする %blue%ダイスを1回振り、それぞれのダメージ式ボタン(8L+8R-INT-KRM)を押した結果がHPとMPに受けるダメージとなる。君はそのダメージに……%/% [▲耐えた……ッ!](29100) [▼耐えられなかった……](29200) 28500 **嫌だ! 嫌だ!! 嫌だッ!!** 君の頭の中は、恐怖と焦燥感に埋め尽くされていた。 現実から目を背けるように、君は遥か後ろに発生した巨大な光から目を背け、がむしゃらに走った。 斜めに。君は本能的に斜め前に向かって走っていた。魔法から逃れられる可能性を高めようと、体が勝手に動いていたのだろう。 こんなに、こんなに離れているのに! あの光は! あの巨大さは! 桁違いじゃないか……ッ!!! 走る。ただひたすらに走るしかない。それしか出来ない。 恐怖で見開かれた瞳からは涙が止めどなく溢れようとしていたが、それが頬の上を滑ると同時に凍っていた。 呼吸が、出来ない。呼吸をしている筈なのに、その呼吸によって取り入れた冷気が、君を体の芯から冷やし尽し、息苦しさと寒気しか感じなくなっていた。 もう何も考えられなかった。 ただ足だけが動いている状態で。 魔法だとか、逃げるだとか、そんなものは無意識に上書きされていた。 ただ走って、走って。終わりの見えない場所を延々と走って。 ガッ、という鈍い音がした。 君の体は前方へと傾き、勢いよく宙を舞った。 そして、君は転倒した。 君は体のあちこちを酷く床石に打ち付け、擦った。 痛みは既に感じない。ただ、『転んだ』という事実だけが理解できた。 体を起こそうとするが、まったく力が入らない。まるで全身が凍ってしまったかのようだった。 急速に眠気が襲ってきて、瞼が下がってくる。君はそれに抗えない。 とうとう瞼は完全に下がり、君の意識は暗闇の世界へと墜ちていった。 しかし、これは君にとって幸せなことなのかもしれない。 君は極大の光に呑み込まれたことを知らぬまま、新たな冒険へと旅立てるのだから。 ![新たなる冒険の始まり](hero.n.b3.clear.png) **%purple%BAD END「新たなる冒険の始まり」%/%** ※シナリオを最初から始める際、該当のページ数を指定して飛ぶと冒険を途中からやり直すことができます 28600 光を受けた途端、全身に大岩が衝突したかのような重い衝撃を受け、口から呻きが漏れ出た。 服が、防具が、猛吹雪によって真後ろに向かって激しく暴れ回り、全身が吹っ飛ばされそうになる。 上半身を守るように身を硬くして、盾をがっちりと構えた状態でいるにもかかわらず、全身の関節がきしきしと悲鳴を上げ続けて止まない。 早く、早く、早く! 魔力の光よ、早く消え去れ! と、ただひたすらに願う。それだけしか考えられなくなりそうだ! 波動砲と化した猛吹雪を盾で遮り、切り裂く。吐く息が、白い。 凍えるような寒さに包まれ、足先の感覚が徐々に失われつつある。 地を噛む足が、僅かに押された。後退させられている。 早く、早く、早くッ!! この悪夢のような時間が早く終わってくれと、ただただ願い続ける。 冷たくなって感覚がなくなりつつある耳には、風が吹き荒れる音と、様々な物がはためく音が絶えず聴こえ続けている。 ――それはまるで冬の厳しさを耐え忍ぶ獣のように。 君は吹き荒れる魔力の奔流に耐え続けた。 [・・・・・・!](29300) 28700 君がグリメルムから片角を受け取った直後、急に建物が揺れ始めた。 突然の揺れに驚いて周囲を見回す君とは逆に、グリメルムの方は落ち着いている。 しかし、その体は既に薄らと透け始めていた。 「私を失うことで、この塔は混沌へと還るだろう……。 だが、君の帰るべき場所は混沌ではない」 グリメルムは口の端に笑みを浮かべるが、それも一瞬のこと。 その消えかかっている手を君にかざし、グリメルムは声高らかに告げた。 **「さあ往け、勇敢なる人の子よ!」** 収集家と名乗り、人々に恐れられたグリメルムの姿は、降り注ぐ光の中へと消えた。 君が一人立つこの部屋も、端から光の欠片へと分解され――そして。 [光が……溢れる!!](29400 "f14") [光が……溢れる!!](29500 "-f14") 28800 せっかくここまで追い詰めたというのに……! あまりの悔しさに涙が溢れる。 太陽神の加護により、君の涙が凍り付くことはなかったが、その涙が煌めきながら飛び散る様を見ている方が辛かった。 高く放り投げられた君は落下し続ける。 それは時間にして一瞬の出来事の筈なのだが、君はまるでこの時間の流れが遅くなったかのように感じられた。 グリメルムの外套から文字のような光る紋様が円を描きながら浮かび上がり、その円の中心に現れた眩く冷たい光を放つ青白い光球が、吹雪と雷を伴って急速に膨れ上がってゆく。 そして、それがグリメルムの外套の中に収まりきらないほどの大きさに達した時、穏やかな表情で君を見つめるグリメルムの口がはっきりと動くのを見た。 **『 さ よ う な ら 』** 君がグリメルムの別れの言葉を把握した瞬間、青白い魔力球が弾け、辺り一面を覆い尽くすほどの光となって撃ち出された。 ペンタウァの名高き勇者であった『君』という存在は、極大の輝きの中で音もなく消滅したのだった。 ![届かぬ必滅の一撃](hero.n.b3.clear.png) **%purple%BAD END「届かぬ必滅の一撃」%/%** ※シナリオを最初から始める際、該当のページ数を指定して飛ぶと冒険を途中からやり直すことができます 28900 光が消えた中、君は最初にいた位置からかなり後ろのところに、武器を構えた状態で立っていた。 武器に巻き付けていた魔法の紙はなくなっていたが、そのお蔭なのか武器は折れてもいなければ、欠けの一つもない。 そう、君は光の彼方に消え去ることもなく、氷像に変わり果てることもなく、今もこうして立っている。君は間違いなく生きているのだ。 **ふおおおおおポーラスとボブ! ありがとおおおおおッ!!!** 君は心の中で猛烈にポーラスと武器と防具の店の店主ボブに感謝した。 あまりの興奮に語彙力が消失していて申し訳ないが、とにかくポーラスとペンタウァ製の武器が命の恩人過ぎてやばい。 しかし、君の思考はふっと冷静になる。もしグリメルムの力が封じられていなければ、あの攻撃が武器を折るどころか、結界もろとも消滅していたか、もしくは氷像になっていたかもしれないからだ。 そう考えると、君は一瞬にして額から汗が噴き出るのを実感した。 ……と、そこで君は気付いたことがある。 先程までは凍死しそうなくらいに冷え切っていた空間が、今ではその熱を取り戻しているのだ! ということは! 君は前方を確認し……目を見開いた。 遠く離れた位置にいても判る。手で額を押さえた状態で俯いていたのだ! 激し過ぎる光に目を閉じていた為に、グリメルムの変化には今気付いた訳だが、なるほど、あれだけの強大な魔法を使えば、グリメルムもただでは済まなかった、ということのようだ。 **今が好機ッ!** 今度は防御の為ではなく、攻撃の為に武器を構えて。君はグリメルムに向かって走り出した! %red%**▼MPに5ダメージを受けた!**%/% [勇者よ いそげ!](29600) 29000 光が消えた中、君は最初にいた位置からかなり後ろのところに、盾を構えた状態で立っていた。 盾の鏡面に貼っていた魔法の紙はなくなっており、その鏡面も複雑にひび割れ、既に魔力の大半を失っていることが窺える。 だが、君は光の彼方に消え去ることもなく、氷像に変わり果てることもなく、今もこうして立っている。君は間違いなく生きているのだ。 **うおおおおおポーラス! 鏡の盾!! ありがとおおおおおッ!!!** 君は心の中で猛烈にポーラスと鏡の盾に感謝した。感謝感謝の大感謝である。 しかし、もしグリメルムの力が封じられていなければ、あの攻撃が鏡の盾を貫通するどころか、自分は鏡の盾もろとも消滅していたか、もしくは氷像になっていたかもしれない。 そう考えると、君は一瞬にして額から汗が噴き出るのを実感した。 ……と、そこで君は気付いたことがある。 先程までは凍死しそうなくらいに冷え切っていた空間が、今ではその熱を取り戻しているのだ! ということは! 君は前方を確認し……目を見開いた。 遠く離れた位置にいても判る。グリメルムが片膝を着き、手で額を押さえた状態で俯いていたのだ! 盾を構えていた為に、跳ね返した魔法がグリメルムに直撃したかは見られなかったが、どうやらグリメルムは魔法を何とかしてしまったらしい。 だが、あれだけの強大な魔法を使い、それを何とかしてしまったのだ。消費した魔力は膨大な筈だ。 **今が好機ッ!** 今度は盾ではなく、武器を構えて。君はグリメルムに向かって走り出した! [勇者よ いそげ!](29700) 29100 光が消えると同時に、君は最初にいた位置からかなり後ろのところで、ぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返しながら力なく座り込んだ。 そう、君は光の彼方に消え去ることもなく、氷像に変わり果てることもなく、今もこうして立っている。君は間違いなく生きているのだ。 だがしかし、君はとても無事と言えるような状態ではなかった。 結界では防ぎきれない極寒の冷気に晒され続けていた君は、グリメルムの魔法の効果がもう少し長引いていたのならば、本当に氷像になっていたことだろう。 座り込んでいる君の全身は、まるで氷のように冷たく、全ての感覚がやたらと鈍い。ただ、息苦しさだけは嫌というほど感じていた。 **凍結状態に陥った!** ※ステータスのSTATEで【凍結】にチェックを入れる 君は荒く呼吸しながら思う。 グリメルムの力が封じられている状態でこのザマなのだ。もしグリメルムの力が封じられていなければ、自分は一瞬にして結界もろとも消滅していたか、もしくは氷像になっていたかもしれない。 本当に無茶をしたものだ。君は自分の無謀さに思わず自嘲する。 ……と、そこで君は次第に手足のむず痒さを自覚し、周囲の『ある変化』に気が付いた。 先程までは凍死しそうなくらいに冷え切っていた空間が、今ではその熱を取り戻していたのである。 そのお蔭で、今は冷え切った手をお湯の中に入れた時のような、そんなむず痒さに襲われているという訳だ。 ということは……? 君は未だに反応が鈍い体を叱咤し、何とか前方を確認した。そして、「あっ……」と掠れた声をもらす。 意識はぼんやりとしているが、遠く離れた位置にいても判る。グリメルムが手で額を押さえた状態で俯いていたのだ。 激し過ぎる光に目を閉じていた為に、グリメルムの変化には今気付いた訳だが、なるほど、あれだけの強大な魔法を使えば、グリメルムもただでは済まなかった、ということのようだ。 体の反応は未だに鈍い。意識もどことなくぼんやりとしている。 だが、戦いはまだ終わっていない。終わらせなければいけないのだ。 君は歯を食いしばり、武器を支えにして立ち上がる。 そして、その武器を改めて握り直すと、君は若干足を引きずるようにしながらも、グリメルムに向かって走り出した。 %red%**▼MPに10ダメージを受けた!**%/% [次へ進む](29600) 29200 様々な音が絶え間なく君の耳に聴こえてきていたが、そこに嫌な音が混じったのに気付いた。気付いてしまった。 水面に張った氷が圧迫されて軋むような音が、あちらこちらから聴こえてくることに。 これは、まさか―― 思わず眩しさも忘れ、瞼を上げた。そして、君は見た。見てしまった。 <HOLY WATER>によって作られた結界が、**氷のように砕け散った瞬間を。** 高位魔族が放つ強大な魔法の前では、人の子が扱う魔法などささやかな抵抗に過ぎない、ということなのだろうか。 結界を易々と破壊した極大の光に呑み込まれた君は、声を上げる時間も許されぬまま、跡形もなくこの世から消滅したのだった。 ![非情なる現実](hero.n.b3.clear.png) **%purple%BAD END「非情なる現実」%/%** ※シナリオを最初から始める際、該当のページ数を指定して飛ぶと冒険を途中からやり直すことができます 29300 光が消えた中、君は最初にいた位置からかなり後ろのところに、盾を構えた状態で立っていた。 盾の鏡面は複雑にひび割れ、既に魔力の大半を失っていることが窺える。 だが、君は光の彼方に消え去ることもなく、氷像に変わり果てることもなく、今もこうして立っている。君は間違いなく生きているのだ。 **ひゃっほおおおう! 鏡の盾ありがとおおおおおッ!!!** 君は心の中で猛烈に鏡の盾に感謝した。語呂は悪いが、『持ってて良かった鏡の盾』である。 しかし、もしグリメルムの力が封じられていなければ、あの攻撃が鏡の盾を貫通するどころか、自分は鏡の盾もろとも消滅していたか、もしくは氷像になっていたかもしれない。 そう考えると、君は一瞬にして額から汗が噴き出るのを実感した。 ……と、そこで君は気付いたことがある。 先程までは凍死しそうなくらいに冷え切っていた空間が、今ではその熱を取り戻しているのだ! ということは! 君は前方を確認し……目を見開いた。 遠く離れた位置にいても判る。手で額を押さえた状態で俯いていたのだ! 盾を構えていた為に、グリメルムの変化には今気付いた訳だが、なるほど、あれだけの強大な魔法を使えば、グリメルムもただでは済まなかった、ということのようだ。 **今が好機ッ!** 今度は盾ではなく、武器を構えて。君はグリメルムに向かって走り出した! %red%**▼MPに2ダメージを受けた!**%/% [勇者よ いそげ!](29600) 29400 光に包まれた君は、硬い足場にふわりと着地するような感覚を覚える。 君がゆっくりと瞼を上げると―― **「おかえりなさい!」** 銀髪の少女ポーラスが満面の笑みを浮かべながら、大きな声で君を出迎えてくれた。 ポーラスの表情が、瞳が、歓喜の光を浮かべてとてもキラキラと輝いていて。そんな彼女に迎えられた君も胸がいっぱいで堪らなくなって、笑顔で「ただいま、ポーラス」と再会の挨拶を返す。 目の前にポーラスがいるということは、此処は間違いなく彼女の部屋だ。 君は自分が無事この部屋に帰還できたことに安堵すると、ポーラスも同じように安堵した様子で頷いた。 「ええ……。良かった、本当に良かった……!」 彼女と青いリボンを介して繋がっていたとはいえ、互いに離れていた間は会話も出来ず、顔を見ることも出来なかったのだ。 それに、グリメルムとの戦いでは、彼女はグリメルムの魔力を封じ続けていた。その時に彼女は、君が相対するグリメルムの強大さを感じていたのだろうから、君が無事な様子で戻って来るまでは気が気ではなかったに違いない。 しかし、彼女のそんな不安な日々も、今日でおしまい。 君はポーラスに向かってニッと笑ってみせると、グリメルムが封印されたこと、そして今頃ポーラスの住む大陸には村や町が戻っていることを伝えた。 そう、君は見事にポーラスとの約束を果たすことができたのだ! 君からの朗報に、ポーラスは目を見開く。君の言葉が現実のものであると理解が追い付くにつれ、次第にその紫水晶の瞳は歓喜に細められた。 「あぁ……これで……これで私は帰れるんだ……」 ずっとずっと待ち続けていた言葉が、現実が、今ここに在る。その事実を一つ一つ飲み込むように、ポーラスは震える声でぽつりと呟いた。 君はポーラスの呟きに頷いて、「そうさ、君にはもう帰る場所があるんだよ」と優しく、自信に満ち溢れた声でも肯定する。 すると、ポーラスは大きな瞳を潤ませながら、君の瞳を見つめて微笑んだ。その微笑みからは、出逢ったばかりの頃にはあった憂いの色が消えていた。 「私、ソーサリアン様ならきっと、グリメルムに奪われた村や町を 取り戻して下さると信じていました! えっと……この胸の内を、絵本を書く時のように表せられないのが、 もどかしいのですが……」 スカートをきゅっと握り締めながら。ポーラスは、困ったような、照れているような、そんな感情で頬を紅潮させながら暫く言葉に詰まっていたが、意を決すると、彼女は顔を上げて―― **「本当に、ありがとうございました……!!」** それはとても礼儀正しく、とてもはっきりとした声で。 君の依頼主であったポーラスは、深々と頭を下げて君に感謝の気持ちを伝えたのだった。 [勇者と少女に暫しの休息を……](29800) 29500 ふっと目が覚めた。 どうやら自分は眠っていたらしい。 体を横たえた体勢のまま瞼を上げた君の目には、何処までも青く晴れ渡る空と、そこに流れる白い雲が見えた。 君は暫く呆けたように空を見つめていたが、急にガバッと上体を起こす。 辺りを見回すと、そこは一面が柔らかな草で覆われた小高い丘の上で、遠くにはペンタウァの王城が見えた。 つまり、君は本を開いた最初の場所で眠っていたのである。 **……本!!** 君は慌てて周囲を見るが、君が持っていた筈の本は何処にも見当たらない。 そんな!あれは全て夢だったと言うのか!? あの本の中の冒険も、少女と協力し合ったことも、高位魔族との死闘でさえも……!! 君は怒りにも似た感情に突き動かされ、拳を強く握りしめた。だが、目の前の平和な光景に現実を見て、拳の力が抜け落ちる。 急速に自分の感情がしぼんでゆくのが分かる。急な喪失感に襲われ、君は酷く落胆した。 しかし、急に思い出したように慌てて道具袋の中を探った。そして――安堵の表情を浮かべる。 道具袋の中には、青いリボンと紫紺の片角が入っていたのだ。 君は絵本の中を探索し、少女の願いを受けて敵の根城へと飛び、ついには手強い魔族を討ち倒した。その冒険譚が実際の出来事であることを、このリボンと角が証明している。 ――そう、君にとってあの冒険譚は、フィクションではなく、ノンフィクションなのだ。 希望を見い出したことで、先程までしぼんでいた気持ちが、今度は見る見るうちに膨らんでゆくのを感じる。 君は落ち着いた表情で、青いリボンを大切そうにそっと手に取る。 ついさっきのことのようで、昔のことのようでもある、そんな不思議な冒険譚を懐かしむように。 しかし、君はあの綴り手の少女のことを、『ポーラス』という名前以外は、何も知らないことに気が付いた。 今更ながら、少女にもっと詳しいことを訊いておけば良かった、と悔やむ。 そんな時、優しい風が吹いた。 手にしたリボンがそよ風に揺れる様子を、暫くじっとして見つめていた君は、自然と穏やかな気持ちになってゆくのを感じ、口元を綻ばせた。 ふわりとした柔らかな光が降り注ぐ青空の下、君はその空と同じ色をしたリボンをそっと掲げる。 そして、物静かな少女の可憐で優しい笑顔を思い出しながら、君は誓った。 **「君にお礼も別れの挨拶も言えないまま、こちらに飛ばされて しまったけど、たとえどんなに時間が掛かったとしても、 必ず君に逢いに行くよ、ポーラス」** 穏やかな風に乗ってひらひらと楽しげに揺れている少女のリボンは、君の言葉を喜び、歓迎しているように見えたのだった。 ![勇者は再会を誓いて](hero.clear2.png) **%blue%NORMAL END「勇者は再会を誓いて」%/%** 29600 武器を構えて走る君と、額を押さえて立っているグリメルムとの距離が狭まってゆく。 どうかそのままでいてくれよ、と願いながら走る君であったが、現実はそう甘くはなかった。 グリメルムは俯いたままであったが、君が迫り来る気配を察したのか、額に当てていた手を払うようにして外套を広げたのだ。 ばさりと音を立てて広げられた外套からは、やはり魔法の短剣の光が生み出されている。 ……が、その数は明らかに少ない。先程の魔法がそれだけ膨大な魔力を消費する代物だったということが窺える。 **DEXとKRMで判定「これならば!!」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、ダメージ式ボタン(L+R-DEX-KRM)を押した結果がHPに受けるダメージとなる。%/% [このまま決着をつけるッ!/STR>INTの場合はこちらを選ぶ](29900 "-f15,f19,f20,f22") [このまま決着をつけるッ!/INT>STRの場合はこちらを選ぶ](29901 "-f15,f19,f20,f22") ※STRとINTが同値ならば、どちらの選択肢を選んでも良い [このまま決着をつけるッ!](30010 "f15,f19,f20,f22") 29700 武器を構えて走る君と、片膝を着いて額を押さえているグリメルムとの距離が狭まってゆく。 どうかそのままでいてくれよ、と願いながら走る君であったが、現実はそう甘くはなかった。 グリメルムは俯いたままであったが、君が迫り来る気配を察したのか、ゆらりと立ち上がると、額に当てていた手を払うようにして外套を広げたのだ。 ばさりと音を立てて広げられた外套からは、やはり魔法の短剣の光が生み出されている。 ……が、その数は明らかに少ない。先程の魔法がそれだけ膨大な魔力を消費する代物で、それが跳ね返されたことで更に魔力を消費したのが窺える。 君は走る勢いを殺さぬまま、ひび割れた鏡の盾を使い捨てる勢いで魔法の短剣を弾き散らし、時には武器で叩き落しながら、着実にグリメルムとの距離を詰めていく! [このまま決着をつけるッ!!](30000) 29800 再会を喜び合った君とポーラスは、疲れを癒す合間に色んな話をしていた。 君がグリメルムの塔での出来事を話していると、ポーラスが様々な表情を見せてくれたり、食い入るように聴いてくれるのが嬉しくて、ついつい調子に乗ってしまった、と言い換えてもいいだろう。 冒険というのは不思議なもので、たとえどんなに死にそうな目に遭ったとしても、自分が、仲間が無事に生還したとなれば、それは酒の一杯でも引っ掛けながら話す土産話や、聞いた者が胸を躍らせるような冒険譚になってしまうのである。 勿論、此処に酒はないが、今、自分の目の前には小さなお客さんがいる。しかも、とびきり聞き上手なお客さんときたもんだ。 故に、ちょっとくらいお喋りになってしまうのも仕方がないのである。 君の冒険譚は、ようやくグリメルムとの戦いに差し掛かったところだ。君の芝居がかった語り口調にも自然と熱が入る。 語る君に、聞くポーラス。 楽しい時間を過ごす二人の表情は、とても生き生きとしていた。 しかし、その胸中は互いに同じであった。 [この時間が、もっと長く続けばいいのに……](30100) 29900 もはや魔法では君を止められない。グリメルムはそう悟ったのだろう。 グリメルムは顔を上げると、その真紅の双眸で君を真っ直ぐに見据え、上体を低くするとほぼ同時に地を蹴った。一蹴りした体勢のまま迫り来る、その速度たるや一陣の黒き風の如く。 君もそれに負けじと――否、応じるように、武器をきつく握り締め、グリメルムを睨み付けながら走る速度を上げる。 君の瞳にも、グリメルムの瞳にも、互いの姿しか映らない。 生か死か。 非常に単純で明解、だからこそ純粋で究極ともいえる命のやり取りだけが『そこ』にあった。 互いの必殺の一撃が繰り出され、交差した時、全てが決する。 **「「オオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」** 二つの咆哮が――重なるッ!! **STRとDEXで判定「生か死か」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、5L+5R-STR-DEXの結果がHPに受けるダメージとなる。君はそのダメージに……%/% [▲耐えた](30200) [▼耐えられなかった](30300) 29901 もはや魔法では君を止められない。グリメルムはそう悟ったのだろう。 グリメルムは顔を上げると、その真紅の双眸で君を真っ直ぐに見据え、上体を低くするとほぼ同時に地を蹴った。一蹴りした体勢のまま迫り来る、その速度たるや一陣の黒き風の如く。 君もそれに負けじと――否、応じるように、武器をきつく握り締め、グリメルムを睨み付けながら走る速度を上げる。 君の瞳にも、グリメルムの瞳にも、互いの姿しか映らない。 生か死か。 非常に単純で明解、だからこそ純粋で究極ともいえる命のやり取りだけが『そこ』にあった。 互いの必殺の一撃が繰り出され、交差した時、全てが決する。 **「「オオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」** 二つの咆哮が――重なるッ!! **INTとDEXで判定「生か死か」** ※アイテムや魔法を使用する場合は、合計値が高い選択肢を選ぶ (ただし、この戦闘では敵消滅系の効果は無効とする) %blue%ダイスを1回振り、5L+5R-INT-DEXの結果がHPに受けるダメージとなる。君はそのダメージに……%/% [▲耐えた](30200) [▼耐えられなかった](30300) 30000 もはや魔法では君を止められない。グリメルムはそう悟ったのだろう。 グリメルムは顔を上げると、その真紅の双眸で君を真っ直ぐに見据え、上体を低くするとほぼ同時に地を蹴った。一蹴りした体勢のまま迫り来る、その速度たるや一陣の黒き風の如く。 君もそれに負けじと――否、応じるように、武器をきつく握り締め、グリメルムを睨み付けながら走る速度を上げる。 君の瞳にも、グリメルムの瞳にも、互いの姿しか映らない。 生か死か。 非常に単純で明解、だからこそ純粋で究極ともいえる命のやり取りだけが『そこ』にあった。 互いの必殺の一撃が繰り出され、交差した時、全てが決する。 **「「オオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」** 二つの咆哮が、重なった。 [ ](30200) 30010 君は走る勢いを殺さぬまま、ひび割れた鏡の盾を使い捨てる勢いで魔法の短剣を弾き散らし、時には武器で叩き落しながら、着実にグリメルムとの距離を詰めていく! もはや魔法では君を止められない。グリメルムはそう悟ったのだろう。 グリメルムは顔を上げると、その真紅の双眸で君を真っ直ぐに見据え、上体を低くするとほぼ同時に地を蹴った。一蹴りした体勢のまま迫り来る、その速度たるや一陣の黒き風の如く。 君もそれに負けじと――否、応じるように、武器をきつく握り締め、グリメルムを睨み付けながら走る速度を上げる。 君の瞳にも、グリメルムの瞳にも、互いの姿しか映らない。 生か死か。 非常に単純で明解、だからこそ純粋で究極ともいえる命のやり取りだけが『そこ』にあった。 互いの必殺の一撃が繰り出され、交差した時、全てが決する。 **「「オオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」** 二つの咆哮が、重なった。 [ ](30200) 30100 君が壮大な冒険譚を話し終え、ポーラスが拍手する。 それから暫く、君は演技ミスや言い間違いの反省をして、ポーラスにクスクスと笑われたり慰められたり。 ポーラスは綴り手の民としての血が騒いだのか、怒涛の感想と質問攻めで、君は目を白黒させたり照れたりと。 そんな何とも賑やかで楽しい時間がもう少し続いた。 しかし、別れの時がついに来た。とうとう来てしまったのだ。 こうなることは、最初から解っていた。 それでも、いざその時が来るとやはり辛いものだ。君はそう胸の中で独り言つ。 今、君とポーラスは向かい合って立っている。君がこの部屋に呼ばれ、ポーラスと対面した時と同じ位置だ。 「それでは、ソーサリアン様を元の世界に戻します。 これで……お別れですね……」 『お別れ』。 君を見上げているポーラスの表情が、その言葉を口にした途端に曇り出す。彼女の声は、微かに震えていた。 そんな彼女を見た君は、先程までの話し振りは幻であったかのように、すっかり重たくなった口で「ああ」とだけ返事をする。 「私は……ソーサリアン様を元の世界に戻した後、 『レジェンバルド大陸』に…… 故郷の『リーディア村』に帰ります……。 きっとみんなが待っているから……。 ――でも……でもっ……!!」 帰るべき大陸の名を、故郷の村の名前を口にしたポーラスは、とうとう感情を堪えきれず、大粒の涙をポロポロと零して泣き出してしまった。それは拭っても拭っても頬を滑り落ちてゆく。 ずっとずっと帰りたいと思っていたのに。笑顔で勇者を送り出さなければいけないのに。 複雑な感情が彼女の中で混ざり、せめぎ合い、それが涙と嗚咽となって止まらない。自分ではもう止められなかった。 その姿があまりにも悲しくて。彼女に笑って欲しくて。 だから、君は。 「泣かないでおくれ、ポーラス」 それはとても優しく、聞く者を安心させる温かな声色で。 君はポーラスに視線を合わせるよう床にしゃがみ込むと、彼女に語り掛けた。 [これから話すことを、よぉく聞いて欲しい](30400) 30200 鈍い音と重い衝撃。 交差した双つの影。 そして、必殺の一撃が――勝敗を決した。 ![必殺の一撃](hero.n.b4.clear.png) 驚愕に目を見開く。 震える口からカハッ……と息が溢れ、鮮やかな紅色が飛び散った。 そこで勝者は聞く。必殺の一撃に貫かれた者の声を。 「これまで、か……」 背を突き破るほどに胸を深く穿たれ、掠れた声で一言呟いたグリメルム。 そんな彼の胸を貫く武器を、今もなお強く握り締めている勇者――そう、君こそが、この戦いの勝者であった。 [ ](30500) 30300 鈍い音と重い衝撃。 交差した双つの影。 そして、必殺の一撃が――勝敗を決した。 ![勇者の終わり](hero.n.b4.clear.png) 血走った目を見開く。 震える口からカハッ……と息が溢れ、鮮やかな紅色が飛び散った。 そこで敗者は聞く。己を破った者の声を。 「どうやら私の勝ちのようだね」 真っ赤に濡れた手を君の背中から突き出し、口の端を吊り上げて笑うグリメルム。 彼こそが、この戦いの勝者であった。 一体……何が起きた? 君は自分の身に起こったことに理解が追いつかない。 否、それを理解できるだけの時間など、胸を突き破られた時点でゼロだったのだ。 全身から力が、血が、熱が、魂が。その全て抜け落ちてゆく。 見開かれて涙を流す瞳に生はない。 確かに在った意識も疾うに消えていた。 ああ、ペンタウァの名高き人の子よ。 君は、此処で全てを『終えた』のだ。 だらりと下がった君の手から武器が滑り落ちる。 それが床石と接触し、倒れる音だけがしじまの中に虚しく響き渡った。 **%purple%BAD END「勇者の終わり」%/%** ※シナリオを最初から始める際、該当のページ数を指定して飛ぶと冒険を途中からやり直すことができます 30400 優しくあやすような君の声を聞き、ポーラスはしゃくり上げながらも君の顔を見つめた。 君は彼女の泣きはらした目と自分の視線とを合わせ、力強く微笑んで見せる。 「私が『レジェンバルド大陸』に渡った時は、 君が暮らす『リーディア村』に必ず往くよ。 そして君の名を呼ぼう、**ポーラス**と!」 今まさに彼女の故郷で彼女の名前を呼んでいるかのような明るい声で、君は彼女に再会の約束をした。 なんたって自分は**ソーサリアン!** 未知の大陸への冒険というだけでも胸が躍るのに、共に戦った仲間と再会するのに、何を迷う必要があろうか! それに、今回なんて絵本の中や異界にまで行ったのだ! もう何処へだって行けるさ! ……と、そこまで語った君は、目の前で泣いていたポーラスが「あっ……」と小さく呟き、ポカンとした顔をしているのに気が付いた。やや脱線してしまったか、と君は頬を掻きながら苦笑する。 しかし、それが逆に良かったのだろうか。先程まで泣いていたポーラスは、その泣き顔に少しずつ笑みを乗せ、そして「はい……!」と嬉しそうに頷いたのだ。 ポーラスは涙を拭うと、君にふわりと微笑みかける。 「いつでもリーディア村にお越し下さいね! 私、待っていますから……!」 ポーラスも明るく弾んだ声で、君と同じように再会の約束をする。その顔は涙で濡れていたが、もう心配はないだろう。 だって、彼女が浮かべている笑みは、まるで太陽のようにキラキラと眩しく輝いていたのだから。 君もポーラスの笑みを目にすると、「あぁ!」という風に力強く頷いて、ニッと明るく笑ってみせた。 そうさ。互いが無事に元の日常に戻り、それから再会しようと約束をしているのだから。 別れは一時。それなら、泣き顔よりも笑顔の方が絶対に好い。 冒険の度に、幾つもの出逢いと別れを繰り返してきたソーサリアンである君は、目の前で微笑む小さな少女を見つめながら、改めてそう感じたのだった。 そして、ポーラスはあの『消える本』を片手に抱きながら、君に向き直る。君を見上げる真剣な眼差しに、君も覚悟を決めたと頷いた。 ポーラスが静かに目を伏せ、何か呪文を唱えると、君の周囲に星屑を散りばめたかのような光の粒子が生まれ、それが光の柱となって君の体を包み込む。 足元から吹き上がる緩やかな風に仰がれ、君の衣服がはたはたと揺れ始める。 ポーラスが顔を上げた。その紫水晶の大きな瞳からは涙が零れていたが、彼女は朗らかに笑っていた。うん、やっぱりポーラスは笑顔が好い。 君も満足そうに顔をほころばせると、片手を顔の横まで掲げて『またね』と伝える。 ポーラスもニッコリと笑って、胸の前で手を振った。 **「さようなら……さようなら、ソーサリアン様……! また、いつか逢うその日まで……!!」** ポーラスの言葉に呼応するかのように、光の柱の輝きが強まり、君を取り巻く風も一層強まる。 幾千、幾万、幾億もの光の粒子が音もなく弾け、君は温かな光の流れに身を任せた。 一人の少女との約束を胸に、私は帰ろう。 [我が愛しのペンタウァへ!](30600) 30500 グリメルムはふっと体の力を抜くと、静かに腕を下した。 それと同時に星空に包まれた空間も一瞬にして消え失せる。そして、君とグリメルムは再び塔の最上階に立っていた。 空間に満ち満ちていた殺気も既に感じない。もう戦いは終わった、ということなのだろう。 君の武器に穿たれたままのグリメルムは、胸を血で紅く染め、口の端から紅い血を流し、その紅と同じ色の瞳を伏せて満足げに笑う。 「あぁ……流石はソーサリアンくん…… いや、誇り高き者ソーサリアンだ……」 その口調は、最初に出会った頃と同じく穏やかなものだったが、真の意味で君をペンタウァの勇者として認めたのだろう。今の状態で呼び方を訂正したところに、この魔族の心境の変化を感じとることができた。 「ふふっ、力の一部を封印されていたなど…… 敗者の言い訳にしかならない……な。 いいだろう……収集物は全て解放しよう」 殺気の消えた声で言うグリメルムに、君は武器から手を離さぬまま「その言葉、嘘ではないな?」と問い掛ける。 すると、グリメルムは瞼を上げ、美しい煌めきを湛えた真紅の瞳で真っ直ぐに君を見据えた。 「高位魔族の誇りに誓って。 私をそこらの魔族と一緒にしないでもらおうか」 グリメルムは、何処までも真剣な眼差しと厳かな声色で答えた。戦っている時のような殺気はないが、その毅然とした彼の態度は、まさに高位魔族の誇りと威厳に満ちていた。 暫しの沈黙の後、君が確かに頷くと、グリメルムは腕を曲げて指を鳴らす。小気味よい音が空間に響いた。 突如、君と彼の周囲に球体に入れられた小さな村や町など、彼の『収集物』が幾つも現れた。その数たるや、一見しただけではとても数え切れないほどだ。 君が驚いた表情で浮遊する球体を見ていると、それらは淡い光を放ち、そのまま消えていった。 「これで……元の位置に戻っている筈さ……」 何処か寂しそうな、しかし、何処となく晴れ晴れとした心情すら感じさせるような声色で。グリメルムは、ふっと小さな笑みを浮かべながら呟いた。 [次へ進む](27900) 30600 懐かしき香りを感じ、瞼を上げる。 君は視界に入った光に短く呻き、思わず眉をしかめる。 今度はゆっくりと瞼を上げた。 その視界に映ったのは、太陽の光に照らされて生き生きとした草花の海。 視線を上げると、何処までも青く晴れ渡る空と、そこに流れる白い雲も見えた。 緩く穏やかな風に草花や木々の葉が揺られ、波のようにさざめく音が聴こえる。 そこは一面が柔らかな草で覆われた小高い丘の上で、振り返ると遠くにはペンタウァの王城が見えた。 つまり、君は本を開いた最初の場所に立っていたのだ。 此処は……そうか、元の世界に帰ってきたのだな……。 君は自分がペンタウァに帰ってきたのだと把握し、安堵する。 ――と、そこで君は奇妙な違和感に気付いて手元を見る。 その手はいつの間にか一冊の厚い本を持っていた。 それは焦げ茶の本皮が張られた高価そうな分厚い本で、作り自体は絵本の世界に行く前に持っていた本と同じようだが、何故か雰囲気が少し異なっているように感じる。 本を両手で持ち、表紙を確認する。そこには―― えっと……**『英雄の絵本』**と書かれているな。 ぽつりと本の題名を呟く。本の表紙には、金色の文字でそう書かれていたのだ。 君は本をゆっくりと慎重に開き、ぱらり、ぱらりとページを捲ってゆく……。 本を開いた君は、瞬く間にその物語に夢中になった。それこそ時間も何もかもを忘れて本を読むのに没頭した。 『英雄の絵本』。そこには君と同じ名前の勇者が角を持った魔族と戦い、一つの大陸と多くの人を救ったという物語が綴られていた。 物語の結末まで読み、君は最後のページを捲る。 本の最後のページに書き入れられた著者の名前は――言うまでもないだろう。 君は本を閉じ、物語の余韻に浸りながら両手で大切そうに本を抱えた。 そして、一人の少女の優しい笑みを思い描きながら、空を見上げる。 **「いつの日か、君と再会したその時に、 この絵本のお礼も、感想も、必ず伝えるよ。 だけど、今此処でも言わせておくれ。 最高の絵本をありがとう、ポーラス!」** ![綴り手の民の少女](hero.clear1.png) **%blue%TRUE END「少女は英雄を語りて」%/%**