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2017-2020, SORCERIAN Next Team
0 *** 序章 *** 天文22年(1553年)4月、武田晴信(後の信玄)は北信濃へ出兵し、村上義清の諸城を攻略。敗れた義清は越後へ逃れ、長尾景虎(後の上杉謙信)に支援を願った。 9月1日、景虎は自ら兵を率いて北信濃へ出陣。川中島で武田軍を撃退した。 さらに景虎は村上氏の全ての領土を取り戻すべく、天文24年(1555年)、弘治3年(1557年)にも出兵したが、武田軍との戦いは引き分けに終わっている。 そしてついに永禄4年(1561年)8月、上杉政虎(後の謙信)は武田との雌雄を決すべく、1万3000の大軍を率いて川中島近くの妻女山に本陣を構えた。 対する武田信玄は、兵2万を率いて妻女山の目と鼻の先にある海津城に陣取り、上杉軍と対峙した。 エティスは言った。 「全戦無敗という軍隊を持ちながら、戦国の世にあって領土の拡大を目的とせず、人を助ける戦いだけを何度も仕掛けているのは上杉だけじゃ。裏に何かあるのかもしれぬ」 ソーサリアンは上杉の秘密を探るため、川中島に向かった。 [冒険に出発する](2) 2 君は越後と信濃の国境にやってきた。 ここは犀川と千曲川が合流する平坦な土地、いわゆる中州である。 この中州は川中島と呼ばれているそうだ。 上杉軍と武田軍はこの地でにらみ合いを続けている。 この危険な土地で諜報活動をするのが君の任務だ。 何かの助けにと、出発前エティスは君に七惑星の欠片を託してくれた。 (君は全ての星を4保持しています) [妻女山へ行く](3) [海津城へ行く](4) 3 君は妻女山に登った。 頂上付近に指しかかろうとしたとき、山道に見張りの足軽が二人立っているのが見える。 君は山道をそれ、近くの茂みから足軽を観察した。 ここから先は砦になっており、木造の柵を槍で武装した兵士が護っているのが見える。 表に出ているのは二人だが、柵の中には同様の足軽が数名いるようだ。 さて君は、 [大声を出して突進する](6) [CHANGE-AIRを唱える](7 "mCHANGE-AIR") [EXPLOSIONを唱える](8 "mEXPLOSION") [NOILA-TEMを唱える](9 "mNOILA-TEM") [あきらめて海津城に向かう](4) 4 君は海津城に向かった。 海津城は千曲川を背にした平野に立つ平城である。 堀にも囲まれ、簡単に入ることはできなさそうだ。 城が見えるあたりまで来たとき、君の足元に矢が突き刺さった。 城には櫓があり、君は見つかってしまったのだ。 城まではまだ距離があり、このまま近づくのは危険だ。 [城に向かって突進する](5) [あきらめて妻女山に向かう](3) 5 君が城に突進すると、無数の矢が城の中から放たれた。 お忘れだろうか。城の中には2万の大軍がいるのだ。 これだけの矢を防ぐ方法はない。 君の冒険はここで幕を閉じる・・・ 6 君が大声を出して突進すると、足軽は慌てて柵の中へ助けを求めた。 すぐにそれに応じた無数の足軽と騎馬武者が砦から出てきた。 これだけの兵を一人で相手にすることはできない。 君は背を向けて走り出したが、もう遅い。 無数の槍が君を突き刺した。 君の冒険はここで幕を閉じる・・・ 7 君はCHANGE-AIRの呪文を唱えた。 君の姿は風のように消える・・・はずだった。 君が呪文を唱え終わる直前、突然君の頭上から網が落ちてきた。 網は丈夫な縄で編まれており、もがけばもがくほど君の身体は絡めとられる。 ほどなくして槍を持った足軽が数名、君の周りを取り囲んだ。 足軽たちは無言で君の身体を縄で縛り上げた。 乱暴なやり方だが、必要以上に危害を加える意図は感じられない。 「進め!」 その中の一人は初めて君に指示を出した。 [君は砦の中に連行された](10) 8 君はEXPLOSIONの呪文を唱えた。 君の攻撃で門番たちは倒れる・・・はずだった。 君が呪文を唱え終わる直前、突然君の頭上から網が落ちてきた。 網は丈夫な縄で編まれており、もがけばもがくほど君の身体は絡めとられる。 ほどなくして槍を持った足軽が数名、君の周りを取り囲んだ。 足軽たちは無言で君の身体を縄で縛り上げた。 乱暴なやり方だが、必要以上に危害を加える意図は感じられない。 「進め!」 その中の一人は初めて君に指示を出した。 [君は砦の中に連行された](10) 9 君はNOILA-TEMの呪文を唱えた。 君の攻撃で門番たちは倒れる・・・はずだった。 君が呪文を唱え終わる直前、突然君の頭上から網が落ちてきた。 網は丈夫な縄で編まれており、もがけばもがくほど君の身体は絡めとられる。 ほどなくして槍を持った足軽が数名、君の周りを取り囲んだ。 足軽たちは無言で君の身体を縄で縛り上げた。 乱暴なやり方だが、必要以上に危害を加える意図は感じられない。 「進め!」 その中の一人は初めて君に指示を出した。 [君は砦の中に連行された](10) 10 君は砦の中に連行され、縄をほどかれた。 束縛は解かれたが、二人の足軽が後ろに控えており、自由ではない。 そこに鎧兜を身に纏った一人の武将がやってきた。 「おお、異国の者じゃな。風変りじゃのう。 ・・・いや、失礼した。それがしは村上義清と申す。 そなたは武田の者ではなかろう。 何の為にここに来たのたのじゃ」 村上は友好的に見える。 君はどのように答えるか。 [上杉が戦う理由を探りに来た](11) [上杉に会わせてほしい](12) 11 君は正直にここに来た理由を話した。 村上は誇らしげに言った。 「この戦乱の世にあって、上杉殿は関東管領としての大義の為に戦っておるのじゃ。 関東を平定し、足利将軍家の秩序を取り戻そうとしておるのじゃよ。 上杉殿はそなたに面会を許された。ついてくるがよい」 村上の言葉に嘘は無さそうだ。君はついていくことにした。 [君は上杉の本陣に招かれた](13) 12 「良かろう。上杉殿もそなたに会いたがっておられる。ついてくるがよい」 村上の言葉に嘘は無さそうだ。君はついていくことにした。 [君は上杉の本陣に招かれた](13) 13 上杉軍の本陣には数多くの軍旗が掲げられていた。 その軍旗の全てに「毘」という大きな文字が描かれている。 上杉政虎は天幕の中で床几に座していた。 他の武将と同様に鎧兜に身を包み、臨戦態勢である。 「よく来たな、異国のお方。わしが上杉じゃ。 異国から不可思議な術の使い手が来ることは、『お告げ』で知っておった。 村上には砦の周辺で待ち伏せるように命じておったのじゃよ」 そうか、それで砦の入口で突然襲われた理由はわかった。 君は「お告げ」とは何のことか気になったが、まずは戦う理由を聞いてみた。 「わしはお人よしではない。 敵の間者かもしれぬおぬしに話す事などないわ。 ・・・と言いたいところだが、その術を使ってわしの為に働いてみぬか。 その結果次第では、そちの知りたい事を教えてやらんでもない」 君はどう答えるか。 [はい](14) [いいえ](15) 14 上杉は立ち上がり、遠方を眺めた。 視線の先には、千曲川を背にした城がある。 「この妻女山からは信玄の陣、海津城の様子がよく見える。 わしはずっと監視しているが、何の動きも無いのじゃ」 上杉は君に近づいて言った。 「海津城に潜入し、武田がいつ仕掛けてくるか調べるのじゃ。 そして、どんな作戦で攻めるつもりかを探れ。 信玄の側近、弟の信繁と軍師の山本勘助はその事を知っているはずじゃ。 敵陣に潜り込むのは容易ではない。 この旗を持っていくがよい」 君は、『風林火山の軍旗』を得た。 これは武田軍の軍旗だ。 [君は本陣を出た](16) 15 上杉は表情を変えなかった。 「そうか。ではこの異国の方をお送りせよ」 君は上杉の誘いには乗らなかった。丁寧に挨拶をし、本陣を出た。 その瞬間、君の後ろについていた足軽の槍が君の身体を貫通した。 ここは戦時中の本陣なのだ。敵に寝返るかもしれない人間をやすやすと送り出すわけがないのだ・・・ 16 君は上杉軍の砦を出て、山を下った。 山の中腹に差し掛かろうとした頃、木の陰から山伏姿の男が現れた。 君は身構えたが、山伏は両手を軽く上げ、危害を加えるつもりはない事を示した。 「私は僧侶で雲海といいます。あなたは異国の方ですな。 山の上から来られたようだが、上杉方なのですか」 君は何と答えるか。 [上杉の秘密を探りに来た](17) [武田の作戦を調べに行く](18) [お前こそ何をしておるのだ](20) [答えずに先を急ぐ](19) 17 君は、不敗の軍にも関わらず領土拡大をしない上杉の秘密を探りに来た、と答えた。 雲海はうなずいた。 「上杉は戦いの神、毘沙門天に帰依しています。 もしかするとそこに何か秘密があるのかもしれませんな」 そう言うと、雲海は懐から1枚の札を取り出した。 「これは、『帝釈天の護符』です。毘沙門天はもともと帝釈天に従う神でした。 何かの役に立つときが来るかもしれません」 君は、『帝釈天の護符』を得た。 [礼を言って立ち去る](19) 18 君は、武田の城に入り、作戦を探り出すつもりだと答えた。 雲海は表情を変えなかった。 「それは危険な任務ですな。 武田軍の作戦は山本勘助という軍師が立てているそうです。 何かのお役に立てればよいが」 [本当の目的は上杉の秘密を探る事だ](17) [先を急ぐ](19) 19 君は海津城に向かった。 海津城は千曲川を背にした平野に立つ平城である。 堀にも囲まれ、簡単に入ることはできなさそうだ。 城が見えるあたりまで来たとき、君の足元に矢が突き刺さった。 城には櫓があり、君は見つかってしまったのだ。 城まではまだ距離があり、このまま近づくのは危険だ。 [『風林火山の軍旗』を掲げる](21) [城に向かって突進する](5) 20 雲海は君の質問に答えた。 「異国の方、この日本の国はもともと和を尊ぶ国でした。 それが今や血で血を争う戦いの国になってしまった。 私はこの裏には何かあると予感しているのです。 その何かを探し出し、戦乱の世を終わらせたい・・・。 だからこうして戦場に足を運び、戦いをつぶさに見ておるのですよ。 あなたはこの国の戦乱とは無関係のはずだ。 もしかして・・・私と同じ何かを探しに来たのですかな?」 [上杉の秘密を探りに来た](17) [武田の作戦を調べに行く](18) [答えずに先を急ぐ](19) 21 君は『風林火山の軍旗』を掲げ、城に向かって進んだ。 この軍旗を掲げていれば、城内から矢が放たれる事はない。 君が城のそばまで来ると、城門が開いた。 城のあちこちに同じ軍旗が掲げられている。 城門から槍を持った足軽が二人出てきた。 君が日本人ではなかったことに驚いていたようだ。 「怪しい奴め! 名を名乗れい!」 [大声を出して突進する](5) [CHANGE-AIRを唱える](22 "mCHANGE-AIR") [EXPLOSIONを唱える](23 "mEXPLOSION") [NOILA-TEMを唱える](24 "mNOILA-TEM") 22 君はCHANGE-AIRの呪文を唱えた。 君の姿は風のように消えた。 驚いて辺りを見回している足軽たちを横目に君は城内に潜入した。 入ってしまえばこっちのものだ。2万人もの武士たちに紛れ込むことができる。 君は姿が消えている間に、櫓門の下にある小門の閂をそっと外しておいた。 これでいつでもすぐに脱出できる。 さて君は、 [武田信繁を探す](25) [山本勘助を探す](26) [武田信玄を探す](27) 23 君は、EXPLOSIONを唱えた。 威嚇していた二人の兵士は君の魔法で倒れた。 が、同時に城内から放たれた無数の矢が君を襲った。 お忘れだろうか。城内には2万の大軍がいるのだ。 これだけの矢を防ぐ方法はない。 君の冒険はここで幕を閉じる・・・ 24 君は、NOILA-TEMを唱えた。 威嚇していた二人の兵士は君の魔法で倒れた。 が、同時に城内から放たれた無数の矢が君を襲った。 お忘れだろうか。城内には2万の大軍がいるのだ。 これだけの矢を防ぐ方法はない。 君の冒険はここで幕を閉じる・・・ 25 武田信玄の弟、信繁は城の二の丸にいた。 そこには何百人もの足軽や騎馬武者が座していた。 信繁は二の丸御殿の前に立ち、兵を鼓舞する演説を行っていた。 君は興奮した武士たちを避けながら、信繁の声が聞こえる位置まできた。 信繁の演説は絶頂を迎えていた。 「皆の者! 今こそ信濃守護の大義の為、お館様の力となり、上杉を殲滅しようぞ! わしは勝利を確信した! 明日の日が昇る頃には勝利の美酒に酔おうぞ!」 武士たちは拳を突き上げ、雄たけびを上げた。 君ははっきりと聞いた。武田軍の出陣は明日の、それも日が昇る前だ。 [城から脱出する](28) [山本勘助を探す](30) [武田信玄を探す](29) 26 君は山本勘助の寝所を尋ねたが、当人は不在だった。 近くにいた足軽に訊いてみたが、勘助は作戦立案のために忙しく、一所にじっとしていないのだそうだ。 [武田信繁を探す](25) [武田信玄を探す](27) 27 君は信玄が居るとされる城の本丸に向かった。 本丸は内堀に囲まれ、警備が厳しい。 近くにいた足軽に訊いてみるが、最近、信玄は姿を見せないらしい。 [武田信繁を探す](25) [山本勘助を探す](26) 28 この城で必要な情報を得ることができた。 君は日暮れを待ち、あらかじめ小門の閂を外しておいた櫓門へ向かう。 周辺を慎重に見まわし、足軽が近くにいない事を確認すると、さっと小門を出た。 君は闇に紛れて静かに城を離れた。 [再び妻女山の陣へ](31) 29 君は信玄が居るとされる城の本丸に向かった。 本丸は内堀に囲まれ、警備が厳しい。 近くにいた足軽に訊いてみるが、最近、信玄は姿を見せないらしい。 君があてもなく城内にある巨木の側を歩いていると、木の陰から一人の武将が姿を現した。 鎧は立派だが、びっこを引き、隻眼の為か黒い眼帯で右目を覆っている。 この武将、挙動がおかしい。 木の周りをぐるぐる回ったり、枝をじっと眺めていたりする。 君は武将に近づき、何をしているのかと尋ねた。 「おお。異国の者か。最近はわが軍にもいろいろな兵がおるのう。 実はな、困っておるのじゃよ。 お館様から上杉を打ち破る策を日が沈むまでに考えよと命じられてな。 しかしな・・・上杉軍は強い。そう簡単に攻略できぬ。 もうひと月もにらみ合いを続けておるのじゃよ。 異国の者、何か良い策は無いかのう」 策などあろうはずもない。君は天を仰いだ。 すると、君の視線の先で「コンコンコン」という音がした。 武将も上を向く。 音の正体はキツツキだった。 キツツキは、木の幹をつつくと、出てきた虫を咥えて飛び去った。 それを見ていた武将は、「オウッ!」と叫んだ。 「そうか、キツツキじゃ。ひらめいたぞ! 名付けて 『啄木鳥戦法』じゃ!」 武将はびっこを引きながら君から離れていった。 君は、彼の背中に名を問うた。 「わしの名は、山本勘助!」 武将は立ち去った。 [城から脱出する](28) 30 君は山本勘助の寝所を尋ねたが、当人は不在だった。 近くにいた足軽に訊いてみたが、勘助は作戦立案のために忙しく、一所にじっとしていないのだそうだ。 [城から脱出する](28) [武田信玄を探す](29) 31 君は再び妻女山の頂上にたどり着いた。 村上義清が君を出迎えた。 「ご苦労であった。上杉殿がお待ちかねじゃ」 君は義清に連れられ、本陣に入った。 上杉は君を見ても厳しい表情を崩さなかった。 君は、信繁の演説から武田軍は明日の未明に出陣するはずだと伝えた。 上杉は答えた。 「うむ。よく分かった。実はな、わしもその事はうすうす感じておったのじゃ。 海津城から立ち上る炊事の煙が今日はいつもより多かった。 これで敵は明日出陣する事が読めたのじゃ」 君は上杉の戦における勘の鋭さに驚かざるを得なかった。 上杉は鋭い眼光で君を見つめた。 「海津城で他に気づいたことなないか」 [山本勘助に会った時の事を話す](32 "f02") [他には無かったと答える](33) 32 君は山本勘助がキツツキの餌を取る様子を見て、何か閃いたようだと伝えた。 上杉は目を閉じ、それを静かに聞いていた。 君の話が終わると、おもむろに目を開き、立ち上がった。 「勘助め、わしの背後をキツツキのように突き、虫のように驚いて 飛び出したところを叩く作戦じゃな! 読めたぞ! 異国の方、よくぞ勘助の秘密を探り出した。 褒美を与える。 これは幼少の頃、わしの師であった天室光育から与えられた護符じゃ。 受け取るがよい」 君は『魔除けのお札』を得た。 上杉は近くに控えていた村上に言った。 「武田は背後と正面に兵を分け、挟み撃ちにする作戦じゃ。 わしは背を突かれる前に出陣し、武田の本陣を攻める。 おぬしは甘粕、高梨と共に背後の敵を待ち伏せよ。 勝利は見えたぞ! 全軍に伝えよ! 夜半に出陣じゃ」 「オオッ! 全軍待ちかねておりましたぞ!」 村上は出ていった。 本陣は上杉と君だけになった。 「さて・・・異国の方、約束を果たさなければならぬな」 上杉は背後に立てかけてあった弓を持ち、君に差し出した。 「わしは戦で負けることはない。その弓で射てみよ」 そんな馬鹿なことをできるはずもない・・・が、上杉の目は真剣で、迫力があった。 「大丈夫じゃ! やってみよ」 そう言うからには何かあるに違いない。君は矢をつがえ、上杉に向けて放った。 矢は唸りを上げて上杉に向かい・・・命中する直前で方向を変え、背後の柱に突き刺さった。 君は唖然とした。何か超自然の力が働いているようだ。 「見たか・・・これが毘沙門天の庇護の力じゃ。わしは戦で死ぬことはないのじゃよ。 そして、わしは毘沙門天の『お告げ』を聞く唯一の人間じゃ」 『お告げ』とは上杉の心に宿る神託の事らしい。 上杉が無敗の理由はここにあったのだ。だがなぜ執拗に武田を攻めるのか。 「・・・信玄には邪鬼の一族・阿修羅が憑いておるのじゃ。あのように戦いを好み、領土の拡大を続けておるのはそのせいじゃ。 毘沙門天は上古の時代より、邪鬼の眷属と戦い続け、奴らを一掃することをこの世の目的としておる。 毘沙門天の『お告げ』はわしを導くのじゃ。信玄を倒し、邪鬼をこの世から祓え、とな」 君は『邪鬼』と言ったときの上杉の目が、何かに取り憑かれているように感じた。 上杉は言葉を続けた。 「おぬしがここに来ることもわしは『お告げ』で知っておった。 毘沙門天はわしに『明日の朝は霧が出る』と告げた。奇襲にもってこいの日じゃ。 おぬしは戦わずともよい。わしの後についてくるのじゃ。 わしの戦いを見とどけ、故国に広めるのじゃ。そしてこの国に正義があることを伝えよ」 上杉は名刀『小豆長光』を取り、栗毛の愛馬に跨った。 「ついてくるがよい!」 [こうして、決戦の火蓋は切られた](34) 33 君の話が終わると、上杉は近くに控えていた村上に言った。 「わしは敵が来る前に出陣し、武田の本陣を攻める。 敵は気づいておらぬ! 勝利は見えたぞ! 全軍に伝えよ! 夜半に出陣じゃ」 「オオッ! 全軍待ちかねておりましたぞ!」 村上は出ていった。 本陣は上杉と君だけになった。 「さて・・・異国の方、約束を果たさなければならぬな」 上杉は背後に立てかけてあった弓を持ち、君に差し出した。 「わしは戦で負けることはない。その弓で射てみよ」 そんな馬鹿なことをできるはずもない・・・が、上杉の目は真剣で、迫力があった。 「大丈夫じゃ! やってみよ」 そう言うからには何かあるに違いない。君は矢をつがえ、上杉に向けて放った。 矢は唸りを上げて上杉に向かい・・・命中する直前で方向を変え、背後の柱に突き刺さった。 君は唖然とした。何か超自然の力が働いているようだ。 「見たか・・・これが毘沙門天の庇護の力じゃ。わしは戦で死ぬことはないのじゃよ。 そして、わしは毘沙門天の『お告げ』を聞く唯一の人間じゃ」 『お告げ』とは上杉の心に宿る神託の事らしい。 上杉が無敗の理由はここにあったのだ。だがなぜ執拗に武田を攻めるのか。 「・・・信玄には邪鬼の一族・阿修羅が憑いておるのじゃ。あのように戦いを好み、領土の拡大を続けておるのはそのせいじゃ。 毘沙門天は上古の時代より、邪鬼の眷属と戦い続け、奴らを一掃することをこの世の目的としておる。 毘沙門天の『お告げ』はわしを導くのじゃ。信玄を倒し、邪鬼をこの世から祓え、とな」 君は『邪鬼』と言ったときの上杉の目が、何かに取り憑かれているように感じた。 上杉は言葉を続けた。 「おぬしがここに来ることもわしは『お告げ』で知っておった。 毘沙門天はわしに『明日の朝は霧が出る』と告げた。奇襲にもってこいの日じゃ。 おぬしは戦わずともよい。わしの後についてくるのじゃ。 わしの戦いを見とどけ、故国に広めるのじゃ。そしてこの国に正義があることを伝えよ」 上杉は名刀『小豆長光』を取り、栗毛の愛馬に跨った。 「ついてくるがよい!」 [こうして、決戦の火蓋は切られた](35) 34 永禄4年(1561年)9月9日深夜、武田軍は海津城を出陣した。 信玄率いる武田軍本体8000は、川中島に布陣する。 それより多い1万2000の別動隊は妻女山の裏手に向かった。 武田家遺臣・小幡景憲が編纂した軍学書「甲陽軍鑑」によると、この作戦は軍師・山本勘助が「啄木鳥戦法」と名付け、信玄に提案したものだったという。 武田の別動隊は、夜明けを待ち、上杉の本陣を背後から奇襲した。 ・・・が、そこはもぬけの殻だったのだ。 上杉は武田の作戦を読み切っていた。武田の別動隊が妻女山を登る前に上杉軍1万3000は妻女山を降り、川中島に向かっていた。 その行軍は一切の物音を立てず、ひそかに行われていたのだ。 このときの様子を幕末の歴史家・頼山陽が「日本外史」に遺している。 鞭声粛々夜過河(べんせいしゅくしゅくよくかわをわたる) 暁見千兵擁大牙(あかつきにみるせんぺいたいがをようするを) 遺恨十年磨一剣(いこんじゅうねんいっけんをみがき) 流星光底逸長蛇(りゅうせいこうていちょうだをいっす) 千曲川を越えて川中島に着いた後、村上義清、甘粕景持、高梨政頼は1000の兵を与えられ、山を下ってくるであろう武田の別動隊に備えた。 上杉政虎の軍勢1万1000は川中島に布陣し、夜明けを待った。 川中島は濃い霧に包まれていた。上杉が言った通りである。 毘沙門天の「お告げ」は確かに未来を読む力があるのだ。 永禄4年(1561年)9月10日早朝、川中島を包む深い霧から敵の姿が浮かび上がった時、ついに決戦の火蓋は切られた。 別動隊と挟み撃ちにする作戦だった武田軍本体8000は、完全に裏をかかれた形となった。 上杉軍は、動揺する武田軍に襲い掛かった。 君は、上杉政虎の本陣にいた。 霧はまだ完全に晴れていない。その不明瞭な視界の中で武士たちの雄たけびと軍馬の嘶き、そして刀剣が交わる音、全て同時に君の耳に入ってきた。 どちらが優勢かも分からない乱戦である。 上杉は馬上で目を閉じ、何かを念じているようだった。 しばしの後、不思議な事が起きた。 本陣の周辺の霧が流れを変え、洞穴のように道をかたち作ったのだ。 上杉は目を開けると同時にすらりと剣を抜き、叫んだ。 「毘沙門天の『お告げ』があったぞ! 霧の道の先が信玄の本陣じゃ!」 周辺の騎馬武者が一斉に雄たけびを上げる。「オオー!」 上杉を先頭に、10騎の武者が霧の道に突入していった。 霧の道の奥からは、敵の武将が応戦してきた。 毘沙門天の加護により、上杉の身体に敵の刃が触れる事はない。 上杉の名刀・小豆長光は次々に敵を倒していった。 だが、味方の武将には毘沙門天の加護は及んでいないようだ。 徐々に落馬し、数を減らす。 上杉は共の武将が2騎になっても立ち止まることなく、霧の道の奥へ進んでいく。 君はその後を追った。 君の足元には敵味方の屍がごろごろと転がっている。 その中からうめき声が聞こえた。 まだ生きている者がいたのだ。 君は立ち止まり、その武将の顔を見た。隻眼に無数の傷、この顔には見覚えがある。 山本勘助だ。身体が不自由な軍師まで戦いに出ているとは、信玄の本陣は近いのだろう。 勘助はすでに致命傷を負っていたが、君の顔を見ると声を出した。 「・・・おお、異国の者か・・・。おぬし、上杉方じゃったとはな・・・ぬかったわ・・・」 勘助は絶命した。 そのとき、霧の道の奥から声がした。 「お館様が信玄を討ち取ったぞ!」 [君は霧の道の奥に進んだ](36) 35 永禄4年(1561年)9月9日深夜、武田軍は海津城を出陣した。 信玄率いる武田軍本体8000は、川中島に布陣する。 それより多い1万2000の別動隊は妻女山の裏手に向かった。 武田家遺臣・小幡景憲が編纂した軍学書「甲陽軍鑑」によると、この作戦は軍師・山本勘助が「啄木鳥戦法」と名付け、信玄に提案したものだったという。 武田の別動隊は、夜明けを待ち、上杉の本陣を背後から奇襲した。 ・・・が、そこはもぬけの殻だったのだ。 上杉は武田の作戦を読み切っていた。武田の別動隊が妻女山を登る前に上杉軍1万3000は妻女山を降り、川中島に向かっていた。 その行軍は一切の物音を立てず、ひそかに行われていたのだ。 このときの様子を幕末の歴史家・頼山陽が「日本外史」に遺している。 鞭声粛々夜過河(べんせいしゅくしゅくよくかわをわたる) 暁見千兵擁大牙(あかつきにみるせんぺいたいがをようするを) 遺恨十年磨一剣(いこんじゅうねんいっけんをみがき) 流星光底逸長蛇(りゅうせいこうていちょうだをいっす) 千曲川を越えて川中島に着いた後、村上義清、甘粕景持、高梨政頼は1000の兵を与えられ、山を下ってくるであろう武田の別動隊に備えた。 上杉政虎の軍勢1万1000は川中島に布陣し、夜明けを待った。 川中島は濃い霧に包まれていた。上杉が言った通りである。 毘沙門天の「お告げ」は確かに未来を読む力があるのだ。 永禄4年(1561年)9月10日早朝、川中島を包む深い霧から敵の姿が浮かび上がった時、ついに決戦の火蓋は切られた。 別動隊と挟み撃ちにする作戦だった武田軍本体8000は、完全に裏をかかれた形となった。 上杉軍は、動揺する武田軍に襲い掛かった。 君は、上杉政虎の本陣にいた。 霧はまだ完全に晴れていない。その不明瞭な視界の中で武士たちの雄たけびと軍馬の嘶き、そして刀剣が交わる音、全て同時に君の耳に入ってきた。 どちらが優勢かも分からない乱戦である。 上杉は馬上で目を閉じ、何かを念じているようだった。 しばしの後、不思議な事が起きた。 本陣の周辺の霧が流れを変え、洞穴のように道をかたち作ったのだ。 上杉は目を開けると同時にすらりと剣を抜き、叫んだ。 「毘沙門天の『お告げ』があったぞ! 霧の道の先が信玄の本陣じゃ!」 周辺の騎馬武者が一斉に雄たけびを上げる。「オオー!」 上杉を先頭に、10騎の武者が霧の道に突入していった。 霧の道の奥からは、敵の武将が応戦してきた。 毘沙門天の加護により、上杉の身体に敵の刃が触れる事はない。 上杉の名刀・小豆長光は次々に敵を倒していった。 だが、味方の武将には毘沙門天の加護は及んでいないようだ。 徐々に落馬し、数を減らす。 上杉は共の武将が2騎になっても立ち止まることなく、霧の道の奥へ進んでいく。 君はその後を追った。 君の足元には敵味方の屍がごろごろと転がっている。 そのとき、霧の道の奥から声がした。 「お館様が信玄を討ち取ったぞ!」 [君は霧の道の奥に進んだ](36) 36 霧の道はそこで途切れており、小さな部屋のようになっていた。 そこに片膝をつき、血のついた刀剣をもつ上杉がいた。 その傍らには仰向けに倒れた武将がいる。周辺に床几と軍配がバラバラに散らばっていた。 武将は髭をたくわえ、頭から血を流していた。目は開いたままで絶命している。 「倒したぞ! ついに・・・信玄を・・・」 上杉も右腕に手傷を負ったようだ。激しい戦闘で落馬したのだろう。 君は倒れた武将の顔を見た時、ハッとした。この顔には見覚えがある。 確か・・・海津城の二の丸で兵たちを鼓舞していた武将だ。 この男は信玄ではない。弟の信繁だ! 君はその事を率直に上杉に伝えた。 「そうか・・・信玄め、弟を影武者にするとは・・・やりよるわ」 そのとき、霧の壁から大音量の笑い声が聞こえてきた。 「グハハハ、上杉よ、これまでじゃな」 霧の壁を突き破り、一人の武将が現れた。 鎧兜に身を包み、軍配を右手に持っている。 顔には髭をたくわえ、その目は、、、獣のように青白く輝いていた。 「信玄! 覚悟!」 上杉配下の2人の武将が切りかかった。 しかし、その攻撃は見えない力によってはじき返されたのだ。 信玄が念じると霧の壁から無数の槍が飛来し、2人の武将はくし刺しになって絶命した。 これは・・・上杉と同じだ。何かが信玄を守護しているのだ。 「グハハハ・・・人間にわしは倒せぬ。喰ろうてやるわ!」 信玄はこの世のモノとは思えない声を発した。 上杉は言った。 「あれは阿修羅だ。信玄は身体を乗っ取られているのだ」 上杉は立ち上がろうとしたが・・・ぐらつき、再び片膝をついた。 「どうやらわしの武運もここまでのようじゃ・・・おぬし、わしの代わりに戦えるか。 毘沙門天はそれを望んでおる・・・」 [君は阿修羅とどう戦うか](37) 37 阿修羅に取り憑かれた武田信玄は君の目の前に迫る! 君はどう戦うか。 [上杉の剣、小豆長光で斬る](38) [LIGHT-CROSSを唱える](39 "mLIGHT-CROSS") [NOILA-TEMを唱える](40 "mNOILA-TEM") [『帝釈天の護符』を掲げる](41 "i02") [『魔除けのお札』を掲げる](42 "i03") 38 君は、上杉の名刀・小豆長光を取り、信玄に切りかかった。 が、君の攻撃は見えない力に弾き返された。 「グハハハ、愚か者め!」 信玄が念じると地面から無数の槍が突き出し、君をくし刺しにした。 君の冒険はここまでだ・・・ 39 君はLIGHT-CROSSの呪文を唱えた。 輝く聖印が空中に現れ、一直線に進んだ。 だが、聖印は信玄の前で砕け散った。 「フハハハ・・・このような術はわしには効かぬわ!」 [君の次の手は?](37) 40 君はNOILA-TEMの呪文を唱えた。 光線が一直線に信玄に向かった。 が、光線は信玄の身体に届く前に力を失い、消滅した。 見えない力に護られているのだ。 「フハハハ・・・このような術はわしには効かぬわ!」 [君の次の手は?](37) 41 君は、雲海から貰った『帝釈天の護符』を掲げた。 が、阿修羅には何の効果も無かったようだ。 「グハハハ、愚か者め!」 阿修羅が念じると地面から無数の槍が突き出し、君をくし刺しにした。 君の冒険はここまでだ・・・ 42 君は、『魔除けのお札』を掲げた。 信玄の表情が歪んだ。 「きさま・・・許さんぞ・・・」 効果があるようだ。君は『お札』持ったまま信玄に歩み寄った。 「グ・・・グアア」 さらに君は『お札』を信玄に近づける。 「この怨み、忘れはせぬぞ・・・」 信玄は後ずさりし、霧の壁に逃げ帰った。 難敵は去ったのだ。 [君は振り向いた](43) 43 上杉政虎は片膝をつき、苦しそうに喘いでいる。 君が駆け寄ると、上杉は思わぬことを口走った。 「信玄を・・・取り逃がしたか・・・きさまが次の下僕となるのだ・・・」 次の瞬間、君は上杉の身体から何かが抜け出てくるのを見た。 その姿は右手の宝塔、左手に宝棒を持ち、古代中国の鎧を身に纏っていた。 これは・・・毘沙門天だ。 毘沙門天は傷ついた上杉の身体を捨て、君に取り憑こうとしているのだ。 ![毘沙門天](399px-Todaiji05s3200.jpg) [上杉の剣、小豆長光で斬る](44) [LIGHT-CROSSを唱える](45 "mLIGHT-CROSS") [NOILA-TEMを唱える](45 "mNOILA-TEM") [『帝釈天の護符』を掲げる](46 "i02") [『魔除けのお札』を掲げる](47 "i03") 44 君は、上杉の名刀・小豆長光を取り、毘沙門天に切りかかった。 が、君の攻撃は毘沙門天には効かなかった。 それどころか、身体が動かなくなったではないか。 意識が遠くなる。 君は・・・上杉謙信として毘沙門天に操られることになるのだ・・・ 45 君は呪文を唱えた。 が、君の魔法は毘沙門天には効かなかった。 それどころか、身体が動かなくなったではないか。 意識が遠くなる。 君は・・・上杉謙信として毘沙門天に操られることになるのだ・・・ 46 毘沙門天が空中に浮かびながら、君に迫る! 取り憑かれる寸前、君は『帝釈天の護符』を毘沙門天の額に当てた。 「グオオオ! こ、これは・・・」 毘沙門天は空中で苦しみもがきながら、天に昇って行った。 危機は去ったのだ。 朦朧としていた上杉は我に返ったようだ。 「な、なんと・・・身体を乗っ取られていたとは・・・」 上杉は近くにいた栗毛の愛馬に跨ると、霧の道を戻って行った。 [霧がすうっと晴れていった](48) 47 君は『魔除けのお札』を掲げた。 が、毘沙門天には効果が無かった。 それどころか、身体が動かなくなったではないか。 意識が遠くなる。 君は・・・上杉謙信として毘沙門天に操られることになるのだ・・・ 48 永禄4年(1561年)9月10日午後、戦いは終わり、生き残った兵は自陣に帰還した。 君は川中島に一人、残された。 周辺は兵の遺体で埋め尽くされている。 そんな中、読経の声が聞こえる。 一人の山伏が死者を供養しているのだ。 君が近づくと山伏は振り向いた。 「ご無事でしたか」 この男には見覚えがある。妻女山にいた雲海という名の僧侶だ。 「上杉、武田は二人とも魔性の神に取り憑かれ、戦って・・・いや、戦わされていました。 もしかすると、全ての戦国大名の裏には何かが潜んでいるのかもしれませぬ。 信玄を追い払ったお札を見せて頂けませんか」 君は『魔除けのお札』を雲海に渡した。 「うむ。この札の霊力を鍛えれば信玄に取り憑いた阿修羅を祓えるかもしれません。 私に預けて頂けぬでしょうか」 君はうなずいた。 「かたじけない。私は信玄を追い、魔の根源を探ります。 では、あなたも道中お気をつけて」 雲海は立ち去った。 「甲陽軍鑑」によると、このときの戦いで両軍合わせて7000の兵が討ち死にしたとされている。 上杉政虎はその後、輝虎、謙信と改名し、多くの戦場で名を馳せたが、この戦いの後、自ら敵陣に斬り込んだという記録は無い・・・