SGML(Sorcerian Gamebook Markup Language) Initialized...
Presented By SORCERIAN Next team.
シェア
Tweet
2017-2020, SORCERIAN Next Team
0 ### プロローグ 君は、キングドラゴン復活を阻止するため、各地へ赴き竜を退治しようと決意したソーサリアンの一人だ。 先日、ペンタウァの宿屋の一室にて旅支度を整えていた君のもとに一通の手紙が届いた。 送り主は、かつてペンタウァのはずれにある暗き沼に住み、「結婚詐欺に遭っている娘の目を覚まさせて欲しい」と依頼してきた『グンダ』という男だ。 あの依頼のことはよく覚えている……と言うよりも、あまりに理不尽な展開が強く印象に残ってしまっていた、と言い換えてもいい。 そう。君は前に請けた依頼で、美丈夫に化けて若い娘を騙すのが趣味という意地の悪い老齢の**レッドドラゴン<フラジオレ>**を斃し、その竜に騙されていた娘を粘り強く説得したりと、なかなかに骨が折れる思いをしていたのだ。 君はあの時の苦労を思い出して、思わず渋い顔をしてしまった。 さて、何だか嫌な予感がするが、縁のある人物からの依頼なのだ。君は手紙を開封しなければならない。 ……ゴクリ。 君は緊張で喉を鳴らすと、意を決して手紙を開封したのだった。 ### 冒険の目的 君は暗き沼に住んでいた精霊グンダからの手紙を受け取った。 そこに書かれていたのは、君に助けを求める内容であった。 どうやらこの依頼には、『竜』も一枚噛んでいるようだ。 君は再び暗き沼へと向かわなければならない。 ![イメージ画像](marsh01.png) [冒険に出発する……しかないよなぁ……](1) 1 暗き沼と呼ばれた沼地へと向かい、グンダの家の前に到着した君は、今、信じられないものを目にして言葉を失っている。 声もなく、ただぱくぱくと動く口は、まるで陸に上げられた魚のようだった。 「お待ちしておりました、ソーサリアン様」 君を出迎えたのは、以前この沼地で聞いたことがあるグンダ……の声ではなく、低く、くぐもった声だった。 それもそのはず。君の目の前に鎮座しているのは、黄色い巨大なガマ蛙だったのだから。 君が絶句していることに気付いた黄色いガマ蛙は、「私です、グンダですよ」と言葉を付け加えた。 すっかり短くなってしまった手で、滑りのあるだぶついた腹を掻き、目を細めた。 その仕草は、人間でいうところのバツが悪そうな様子を何となく連想させる。 「ソーサリアン様が驚くのも無理からぬことです。 何せ、今度は私までこんな姿にされて しまったのですから」 ゲコ、と。力なく鳴いて説明する姿は、何とも哀れを誘う。 [すっかり変わり果ててしまって……](2) 2 グンダの手紙にも書いてあったのだが、どうやらこの暗き沼は今、混沌と悪意で満ちているらしい。 それは、ソーサリアンに討伐されたフラジオレの怨念と、沼に染み付いたフラジオレの魔力、そしてキングドラゴンの影響で生じた${混沌|カオス}が混ざり合ったためだ。 確かに、この場所に近づくにつれて淀んだ空気が漂っているのは感じていたが、事は君の予想以上に深刻なようだ。 「この沼は、怨讐の沼となり広がりつつあります。 現在も魔物や亡者、狂暴化した昆虫などの動きが 活発になっているのです。 このままでは暗き沼に住まうものはみな死に絶え、 それはいずれペンタウァ全土にまで拡大するでしょう……」 つまり、一行でまとめると? 「フラジオレの怨念のせいでペンタウァがヤバイ、ですな」 **よーし解かった! フラジオレをブッ斃そう!!** あの結婚詐欺師ならぬ結婚詐欺竜が、此度のキングドラゴンの件に関係あるのならば、もう一度遠慮なくブッ斃すのみである。 パシンッという小気味よい音を立て、君は胸の前で両手を打ち鳴らした。 そんな君の様子を頼もしいと思ったのか、グンダは瞳を潤ませながら君の手を取り、「ありがとうございます!」と感謝の言葉を口にするのだった。 なんだか若干ひんやりねっちょりしてる……。 [という訳で。](3) 3 フラジオレを討伐して暗き沼を平和な姿へと戻す。 そう決めたからには、まずはグンダから更に詳しい話を訊こう。 「今のこの場所は、呪いが掛けられた状態です。 私も沼地の異常を感じて地上に降りてきたまでは よかったのですが、想像以上に汚染が酷く……。 そうして二の足を踏んでいる内に、 フラジオレの呪いでこのような姿に変えられて しまったのです……」 グンダは一旦言葉を切ると、縋るような目で君を見つめた。 「この変わり果てた姿では、 貴方様をフラジオレの居場所まで ご案内することは敵いませんが……」 **「そこでわたしの出番ってわけ」** 突然何処からか聞こえた声に、君の心臓が跳ね上がる。 しかし、何だか聞き覚えが……と君が記憶を探っていると、その記憶に辿り着く前に答えが君の目の前に現れた。 桃色の肌をした、ふてぶてし……愛嬌のある顔のガマ蛙。 それが巨大なガマ蛙へと変わり果てたグンダの頭の上に這い上がってきたのだ。 [こ、このガマ蛙は!!](4) 4 **リーザ!?** ……なのだろうか? 君は桃色ガマ蛙を見つめながら呆然として呟いた。 『リーザ』というのは、グンダの娘の名前だ。 彼女は以前、人間の青年(イケメン)に化けたフラジオレに結婚しようと騙され、結婚条件として自ら進んでガマ蛙になった。 そこでグンダの依頼を受けて説得しにきた君の口から真相を知るや否や、元の姿へと戻ることを承諾し、父グンダと共に天界へと帰っていった。 そう、この桃色ガマ蛙は、あの時のリーザとそっくりなのだ。 唯一違っていたのは、目の前の桃色ガマ蛙が手のひらサイズになっている、というところだ。 「そうよ、小さくなってはいるけど、 わたしはリーザよ。 あの時はお世話になったわね、ソーサリアンさん」 やっぱりあのリーザだったらしい。 何故小さくなっているのかは、二人にも解らないようだったが、親子揃ってガマ変化とは難儀なものだ。 さて、話を戻そう。 この地は今や魔物や亡者、更には狂暴化した昆虫などの動きが活発になり、大変混沌としているらしい。 そこで、古くからこの沼地に住む精霊であるリーザ(ミニ)が君のサポート役兼道案内役を買って出てくれた、という訳だ。 道中は危険だが大丈夫なのかと訊ねたが、リーザは「わたしもあの男を一発引っ叩いてやりたいと思ってたところなのよフフフ」と暗き沼もビックリなダークな顔で笑っていたので、まあ、大丈夫だろうと彼女の申し出を受け入れることにした。 君はミニ桃色ガマ蛙を肩に乗せた。オウ! ジャストフィット! 「お気をつけて」とグンダがしっとりとした手をフリフリして見送る中、君とガマコンビは、どんよりとした暗き沼の湿地帯へと足を踏み入れたのだった。 [ソーサリアン&ガマ子が往く!](5) 5 沼を三つ飛び越えた君は、そのまま沼地を前進する。 「そう、そうよ。 あそこに洞窟の入口が見えるでしょう? あっちからフラジオレの魔力を感じるわ」 リーザはしっとりとした手で君の頬をぺちぺちし、遥か前方にある洞窟の入り口を指し示す。 彼女の言う通り洞窟の入口が見えるが―― 突如、地面がぼこりと盛り上がった。 それが何か所にも及び、盛り上がった土を突き破るように『手』が生えた。 肉が腐り落ち、黄ばんだ骨が見え隠れする。<ゾンビ>の手だ。 君達の行く手を阻むように、ゾンビの集団が姿を現した。 以前もフラジオレは沼地で死んだ人間の腐乱死体を操っていた。 フラジオレを斃してからは、みな静かな眠りについていたのだろうに。 「ソーサリアンさん、あの子達を眠らせてあげて」 リーザの言葉に、君は深く頷いた。 [ゾンビを斃した(次へ進む)](6) 6 ゾンビの集団を斃した君は、扉を開けて洞窟の中に入った。 此処は洞窟でもあり、沼の中でもある。 以前も不思議に思ったが、この洞窟は扉を開けても内部の水が飛び出さず、まるで水の塊のようになっているのだ。 どういう仕組みなのかは不明だが、まあ、何か不思議な力が働いているのだろう。細かいことはキニシナイ。 さて、そんな場所に入って大丈夫なのかと心配されるかもしれないが、そこは何といっても剣と魔法の国に集う勇者、ソーサリアン。 防具に刻まれた精霊の加護により、結界に包まれている君は呼吸可能なのだ。 更に、今回は精霊であるリーザの加護も加わっている。 混沌と混ざり合い、沼底から湧き出す命ある泡<バブラー>の体当たり程度では痛くもなく(逆に凝りがほぐれる感じ)、まるで地上を歩いているような感覚で水中探索をしていた。 暗く濁った水の中でも、澄んだ湖の中を泳いでいるように視界が明るいのもありがたかった。 そっかー、リーザって本当に精霊だったんだなぁ……。 「何か言ったかしら?」 耳元で若干低めのトーンで呟かれた声が聞こえた。 しまった、つい声に出してしまっていたようだ。 君はハハハと笑ってその場を誤魔化した。 ……のだが、君は豪快に何かに足をぶつけて呻いた。 加護が効いている故の不幸な事故であった。 ぐぅう……思いっきり小指辺りをぶつけただけに、ダメージもそれなりだ……。 「これは薬草入れね。 以前フラジオレが薬草を入れていた箱だわ。 今もそのまま残っていたのね」 君はじんじんと痛む足先を撫でつつ、そういえばそんなこともあったな、と思い出す。 薬草入れを開けると、瓶詰めにされている薬草がまだ残っていた。 これは<トリカブト>だ。 さて、君は<トリカブト>を…… [持っていく](7) [持っていかない](8) 7 もしかしたら何かの役に立つかもしれない。 君は<トリカブト>を持っていくことにした。 だが、君はふとリーザの反応が気になって手を止める。 「……今回は泥棒扱いなんてしないわよ」 それを聞いて安心だ。 君はホッとしながら<トリカブト>の入った瓶を道具袋にしまい込んだのだった。 **◆<トリカブト>を手に入れた!** [探索続行](9) [洞窟から出る](11) 8 確かに<トリカブト>は珍しい薬草ではあるが、フラジオレと戦う時に必要なのかは甚だ疑問だ。 「持っていかないの?」 リーザが不思議そうに訊ねてくる。 君は<トリカブト>を持っていくかどうか悩んだが、荷物がかさ張りそうだと判断し、やっぱり持っていかないことにした。 [探索続行](9) [洞窟から出る](12) 9 沼の中を探索していると、もう一つ薬草箱を見つけた。 中に入っていたのは、<マンドラゴラ>の瓶詰めだ。 こいつは引っこ抜いた時に呪いの悲鳴を発するらしいが、その悲鳴を聞くと絶命すると言われている。かなり危険な植物だ。 とはいえ、耳栓をしっかり装着してから<マンドラゴラ>を引っこ抜けば、死に至らずに済むのだともっぱらの噂だ(ただし、周囲に人や動物などがいないか細心の注意を払うこと!)。 実際に試したことはないが、薬屋に行けば大体吊るされているのを見る限りは、何らかの対処法があるのだろう。 おっと、少し話が逸れた。 君はこの<マンドラゴラ>を持っていくこともできるし、持っていかなくてもいい。 さて、君は<マンドラゴラ>を…… [持っていく](10) [持っていかない](11) 10 もしかしたら何かの役に立つかもしれない。 君は<マンドラゴラ>を持っていくことにした。 だが、君はふとリーザの反応が気になって手を止める。 ${if !i02} 「……今回は泥棒扱いなんてしないわよ」 ${/if} ${if i02} 「……だから、今回は泥棒扱いなんてしないわよ」 ${/if} それを聞いて安心だ。 君はホッとしながら<マンドラゴラ>の入った瓶を道具袋にしまい込んだのだった。 **◆<マンドラゴラ>を手に入れた!** [洞窟から出る](12) 11 <トリカブト>同様、<マンドラゴラ>も非常に珍しい薬草ではある。 しかし、果たしてフラジオレと戦う時に必要なのだろうか。 それに、以前真っ先にこの薬草を取ってリーザの下に向かった際、彼女に泥棒呼ばわりされて話も聞いてもらえず、渋々この箱まで戻しに行ったことがある。 その時に、物事には順序があるのだといたく痛感したものだ。 「別に泥棒なんて言わないわよ?」 リーザは君が考えていたことを察したようだ。 君は内心ギクリとしつつ、荷物がかさ張りそうだからと<マンドラゴラ>を持っていかないことにしたのだった。 [洞窟から出る](12) 12 君はリーザの案内に従い、以前リーザが住んでいた館に向かった。 元々はフラジオレが所有していた館だったらしいが、今はリーザが帰省した際の別荘としてちゃっかりいただいてしまっているようだ。 彼女曰く、「いしゃりょー代わりだからいいのよ」とのことだった。 そして今、暗き沼の館に到着した君達は、ベッドに腰掛け、休憩している。 「フラジオレの魔力は、以前の居場所の方角から感じるわ。 とりあえず、わたし達はフラジオレの根城に いつでも行ける状態ではあるのだけれども、 ソーサリアンさんは何か作戦を考えておいでかしら?」 君の膝の上に乗って問い掛けてくるリーザ。 確かに、フラジオレがいるらしい沼というのは、特に障害がなければそのままフラジオレに殴り込みをかけられるだろう。 ……しかし、何だか心許ない。ような気がしないでもない。 幸い、この館には<魔女の大鍋>がある。 あとは<ジャックの炎>という種火と材料さえ揃えられれば、材料を煮込んで薬を作ることもできるのだ。 ただし、薬を作るなら炎と材料の調達もあり、その後も薬を絶えずかき混ぜ続ける必要がある。 小さなリーザに材料を煮込むことはできない。となると、君がやるしかないのである。 さて、君の取る作戦は…… [フラジオレ討伐に向かう](13) [薬を作る](14 "!(f01&f02)") [薬を作る](15 "f01&f02") [SAVE POINT](82) 82 ### 【作戦を決める前に】セーブデータ作成推奨ポイント ここでセーブデータを作成することを推奨しています。 全滅して新たな冒険が始まった場合に、事前に作成していたセーブデータを読み込むことで、セーブデータを作成したSceneから冒険を再開することができます。 ※セーブデータの作成自体は、どのSceneからでも行なうことが可能です %blue% 【セーブデータの作成方法】%/% ①メニューボタンの【Backup&Restore】を選択 ②【Backup】を選択してセーブデータ作成 %blue% 【セーブデータを読み込んで冒険を再開する方法】%/% ①メニューボタンの【Backup&Restore】を選択 ②【Restore】から再開したいSceneのセーブデータを読み込む ③「リストアに成功しました。ゲームを再起動します。」 と表示された後に【OK】を選択 ④【続きから】を選択して冒険を再開 【セーブデータを読み込まない場合は】 冒険中に全滅した際にセーブデータを読み込まない場合、 再び冒険に挑むソーサリアンは、**新規作成**となります。 なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に「続きから開始しますか?」の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 ご不明な点は、メニューボタンの【HELP】を選択し、 プレイヤー向けマニュアルをご参照ください。 [冒険に戻る](12) 13 それは作戦とは言えず、本来の目的を改めて口にしたに過ぎない。 そんな君にリーザは呆れたようにため息をついたが、その動作に反して彼女の口の端は上がっていた。 笑っていたのだ。ニッと不敵にふてぶてしく。 「正直言うと準備不足な気はしているのよ。 でもね、そんな自信満々な顔して言われたら、 割と何とかなるんじゃないかって、 そう思えてくるのが不思議よね」 そんなリーザの謎の自信に満ち溢れた言葉に、君も同じく不敵に笑った。 無策だというのに、この自信は一体どこから湧いてくるのだろうか。 これこそ神のみぞ知る、というやつなのか。 『ワシも知らんぞ』 あっ、そうですか。 君は膝上にいるリーザを肩に乗せ、立ち上がった。そして、ドアを開ける。 **「行くわよ!」** 肩に乗る桃色ガマ蛙の勇ましい声。 逆光の中に映える一人と一匹の頼もしい背中。 確かな足取りで赤き亡竜が待つ地へと向かうその姿は、伝説に語り継がれる英雄の如き神々しさすらも(無駄に)感じさせるものであった。 **――フラジオレ、斃しちゃいますか!** ……と、勇者とヒロイン(?)的に何だか無駄にいい感じにフラジオレの元へと向かった君達だったが。 まあ、ドラゴン退治はそう甘くはないという訳でして。 後日、ペンタウァの城に見たこともない巨大なガマ蛙が一匹、熨斗を付けられた状態で送られてきて大騒ぎになったらしい。 その巨大ガマ蛙は**「自分はソーサリアンだ」**などと供述しており、王宮では現在その真偽を確かめている最中だとかなんとか。 **「やっぱり無策はだめね……」** **%purple%BAD END【無策は策には入りません】%/%** 14 やっぱり用心するに越したことはない。 せっかく此処には<魔女の大鍋>もあるのだし、材料を煮込んで薬を作ってみることにした。 「じゃあ、<ブラックポーション>を作りましょう」 何が「じゃあ」なのかは分からないが、この沼で取れる材料で作れる代表的な物といえば、確かに<ブラックポーション>に間違いない。 因みにブラックポーションというのは、黒くてドロドロしてヤバイ臭いがするヤバイ液体のことだ。 「別に適当なことを言ったんじゃないわよ。 もしわたしが前みたいに<ブラックポーション>を 飲んで元の姿に戻れたら、 本来の精霊としての力を発揮できるんだから、 戦力アップにも繋がるでしょ?」 なるほど、それには一理ある。 今のフラジオレがどれくらいの力を持っているのか判らないのだ。戦力アップは大歓迎である。 しかし、それならそうと最初から言ってくれれば……と君が視線をやると、リーザはスゥ……と目を逸らした。 あっ これは『ついさっき思いついた』って顔だ。 「ごほん。 そうと決まったら早速準備に取り掛かりましょう。 えーと、<魔女の大鍋>は此処にあるから、 あとは薬を煮込むための<ジャックの炎>と <各種材料>が必要ね。 そうそう、素材を取るために 必要なアイテムもあるから、それも忘れずにね」 という訳で、君達は必要な物を取りに行くことにした。 [<トリカブト>を取りに行く](18 "!i02") [<マンドラゴラ>を取りに行く](19 "!i03") [<ジャックの炎>を取りに行く](21 "i01") [<ジャックの炎>を取りに行く](22 "f08") [<蜂の巣>を取りに行く](23 "!f07") [<蜂の巣>を取りに行く](24 "!f04&f07") [<蜂の巣>を取りに行く](25 "i04,i07") [<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を取りに行く](26 "!f07") 15 やっぱり用心するに越したことはない。 せっかく此処には<魔女の大鍋>もあるのだし、材料を煮込んで薬をつくってみることにした。 「じゃあ、<ブラックポーション>を作りましょう」 何が「じゃあ」なのかは分からないが、この沼で取れる材料で作れる代表的な物といえば、確かに<ブラックポーション>に間違いない。 因みにブラックポーションというのは、黒くてドロドロしてヤバイ臭いがするヤバイ液体のことだ。 「別に適当なことを言ったんじゃないわよ。 もしわたしが前みたいに<ブラックポーション>を飲んで 元の姿に戻れたら、本来の精霊としての力を 発揮できるんだから、戦力アップにも繋がるでしょ?」 なるほど、それには一理ある。 今のフラジオレがどれくらいの力を持っているのか判らないのだ。戦力アップは大歓迎である。 しかし、それならそうと最初から言ってくれれば……と君が視線をやると、リーザはスゥ……と目を逸らした。 あっ これは『ついさっき思いついた』って顔だ。 「ごほん。 そうと決まったら早速準備に取り掛かりましょう。 えーと、<魔女の大鍋>は此処にあるから、 あとは薬を煮込むための<ジャックの炎>と <各種材料>が必要ね。 そうそう、材料を取るために 必要なアイテムもあるから、それも忘れずにね」 という訳で、君達は必要な物を取りに行くことにした。 [<他の薬草>を取りに行く](20 "!f04") [<ジャックの炎>を取りに行く](21 "i01") [<ジャックの炎>を取りに行く](22 "f08") [<蜂の巣>を取りに行く](23 "!f07") [<蜂の巣>を取りに行く](24 "!f04&f07") [<蜂の巣>を取りに行く](25 "i04,i07") [<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を取りに行く](26 "!f07") 16 <ブラックポーション>を作るために、材料などの必要な物を集めよう。 えーと、あとは何が必要だったかな……? [<トリカブト>を取りに行く](18 "!i02") [<マンドラゴラ>を取りに行く](19 "!i03") [<ジャックの炎>を取りに行く](21 "i01") [<ジャックの炎>を取りに行く](22 "f08") [<蜂の巣>を取りに行く](23 "!f07") [<蜂の巣>を取りに行く](24 "!f04&f07") [<蜂の巣>を取りに行く](25 "i04,i07") [<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を取りに行く](26 "!f07") [<ブラックポーション>を作ろう!](37 "i02,i03,i05,i06") 17 <ブラックポーション>を作るために、材料などの必要な物を集めよう。 えーと、あとは何が必要だったかな……? [<他の薬草>を取りに行く](20 "!f04") [<ジャックの炎>を取りに行く](21 "i01") [<ジャックの炎>を取りに行く](22 "f08") [<蜂の巣>を取りに行く](23 "!f07") [<蜂の巣>を取りに行く](24 "!f04&f07") [<蜂の巣>を取りに行く](25 "i04,i07") [<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を取りに行く](26 "!f07") [<ブラックポーション>を作ろう!](37 "i02,i03,i05,i06") 18 そういえば<トリカブト>もブラックポーションを作るのに必要じゃないか……。 しかし、それに気付いても後の祭り。 ${if !i03} はぁ、これはまるで当時の再現のようだ……。 ブラックポーションを作るために、再び沼の中へと戻って薬草を回収したあの日……。 再び沼の中に飛び込んだ君は、そんなことを思いながら、トリカブトを回収したのだった。 こんなことなら、最初から持っていけば良かったなぁ……今回は泥棒扱いされてなかった訳だし……。 ${/if} ${if i03} 再び沼の中に飛び込んだ君は、しょんぼりしながらトリカブトを回収したのだった。 ほんと、こんなことなら、最初から持っていけば良かったなぁ……今回は泥棒扱いされてなかった訳だし……。 ${/if} **◆<トリカブト>を回収した……。** [もう少し探索する](19 "!i03") [もう少し探索する](20 "i03") 19 そういえば<マンドラゴラ>もブラックポーションを作るのに必要じゃないか……。 しかし、それに気付いても後の祭り。 ${if !i02} はぁ、これはまるで当時の再現のようだ……。 ブラックポーションを作るために、再び沼の中へと戻って薬草を回収したあの日……。 再び沼の中に飛び込んだ君は、そんなことを思いながら、マンドラゴラを回収したのだった。 こんなことなら、最初から持っていけば良かったなぁ……今回は泥棒扱いされてなかった訳だし……。 ${/if} ${if i02} 再び沼の中に飛び込んだ君は、しょんぼりしながらマンドラゴラを回収したのだった。 ほんと、こんなことなら、最初から持っていけば良かったなぁ……今回は泥棒扱いされてなかった訳だし……。 ${/if} **◆<マンドラゴラ>を回収した……。** [もう少し探索する](18 "!i02") [もう少し探索する](20 "i02") 20 ${if !f03} もしかしたら<トリカブト>や<マンドラゴラ>以外に薬草が必要になるかもしれない。 そう考えた君は、それらの貴重な薬草が貯蔵されていた洞窟に向かった。 ${/if} ${if f03} もしかしたら<トリカブト>や<マンドラゴラ>以外に薬草が必要になるかもしれない。 そう考えた君は、洞窟内を更に探索することにした。 ${/if} この辺に何かないかな……? おっ、あったあった! 君は宝箱を見付けると、それをパカリと開けた。 中には瓶に詰められた草が入っていたのだが……これって何だか見覚えがあるような? 「これは砂漠にあるオアシスに生えている 薬草を乾燥させた物ね。 人間には薬となる草で、燃やすと独特な 香りの煙が出るのよね」 難しい顔をしていた君を見かねて、リーザが草について説明してくれた。 すると、君はスッキリとした顔をしてポンと手を打った。 君は過去に依頼を受けて、仲間と共に交易都市ヴァラージとペンタウァの中間に位置するオアシスに行ったことがある。 その時にオアシスに住む少女から、この薬草を分けてもらったことがあったなと思い出したのだ。 ……ついでに、砂漠のはずれにある砂漠王ルワンの城で起こった悲劇も思い出した。 **石化恐いし、バジリスクに気を付けて進もう……。** **ちょっ、位置がズレて上手く部屋に入れな……!?** **うああああ石化はいやだーーーーーーー……** **『ぼうけんにしっぱいしました。』** **(♪ちゃららら~ら ちゃららら~ら……)** ![せきかこわい](marsh02.png) 「ソーサリアンさん、大丈夫? なんだか顔色が悪いわよ?」 ハッ、と意識が現実に戻ってきた。 リーザが心配そうに君の頬をペタペタと触っている。 君はリーザに大丈夫だと笑ってみせると、若干震える手で<オアシスの薬草>が入った瓶を道具袋の中に入れたのだった。 今はこのリーザの手のひんやりぺっちょり感に、生きているという実感が湧いてくる……。 嗚呼、バジリスクがいないって素晴らしい……! **◆<オアシスの薬草>を手に入れた!** [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 21 <ジャックの炎>を取りに行くぞい! ……と勢い良く向かったまではよかったのだが、ジャックの炎がある場所を物陰からちらりと覗くと、そこには<ウォーターシェリー>(角と尻尾を生やした水辺に潜む小悪魔)の集団がひしめいているのが見えた。 どのくらいひしめいているかと言うと、英雄の凱旋などの際に民が所狭しとぎゅうぎゅうに集まっている様子をイメージしてもらえれば分かり易いだろうか。 一匹一匹の戦力は大したことはないのだが、数が数だ。流石にこれほどの集団となると、数で圧倒されてしまう可能性が高い。 というか、なんでこんなに集まっているんだ……これも混沌の影響なのか……? 「強行突破は厳しいわね……。 此処は後回しにしましょう。 もしかしたら、数が少なくなって いるかもしれないし……」 うーん、悔しいが無理はできないのは確かだ。 君とリーザは苦い顔をしながらも、その場を後にした。 [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 22 ${if !f16} <ジャックの炎>を取りにきたぞい! という訳で、リーザを肩に乗せた君は、ジャックの炎が燃えている場所にやってきた。 以前はウォーターシェリーがわんさか出現した場所なのだが、何故か辺りはシンと静まり返っている。 もしかしたら、<NEKO-KAN>に味をしめて缶詰探しでもしているとか、そういうことなのだろうか? ${/if} ${if f16} 今度こそ<ジャックの炎>を取りにきたぞい! という訳で、リーザを肩に乗せた君は、ジャックの炎が燃えている場所に再びやってきた。 だが、驚いたことに、あれだけ大量にひしめいていたウォーターシェリーが綺麗さっぱりいなくなり、辺りもシンと静まり返っている。 もしかしたら、<NEKO-KAN>に味をしめて缶詰探しでもしているとか、そういうことなのだろうか? ${/if} 「まあ、ジャックの炎が楽に手に入るのなら、 それに越したことはないんじゃないかしら」 う、うむ、確かにそのとーり。 君はちょっと戸惑いつつも、うんうんと頷いた。 そのまま進むと、ジャックの炎が燃えている折れた柱のところまですんなりと行くことができた。 途中で折れて短くなっている柱の上で燃えているジャックの炎を、君はそっと手で持ち上げた。 おいおい、炎を手で持つなんてクレイジーだぜ……と思われるかもしれないが、実はこの炎、手に持っても熱くない鬼火なのである。 つまり、触れたものを焼かないということなのだが……しかし、なんでそんな炎で大鍋に放り込んだ材料が煮込めるのか不思議でならない。 「魔法的なアレよ、アレ」 アレですか、リーザさん。 正直なところ、何がアレでアレが何なのかは分からない。 だが、まあ、魔女の大鍋は神秘の力を秘めているようだし、それと炎の魔力が反応して、そこで初めて熱が云々ということなのかもしれない。 君はそんな適当なことを考えながら、手にしたジャックの炎をリーザの頭の上に乗せるのだった。 熱くないから大丈夫。 **◆<ジャックの炎>を手に入れた!** [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 23 <蜂の巣>を採りに行くぞい! ……と言いたいところだが、実は蜂の巣がある場所へ行くには、封印されている扉を開ける必要がある。 つまり、その封印を解くアイテムを先に入手していなければいけないのだ。 ははは、すっかり忘れてたわー。 「うっかりなひとね。 まずは鍵となる<ムーンストーン>と <ブラッドストーン>を取りに行きましょう」 [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 24 <蜂の巣>を採りにやって来たぞい! という訳で、リーザを肩に乗せた君は、蜂の巣がある場所までやってきた。 此処への扉は、通常は閉ざされているのだが、鍵となる<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を、扉の左右に生えている大樹にはめ込んで開錠という訳だ。 さて、君の目の前には蜂の巣がある訳だが、その蜂の巣のでっかいことでっかいこと。 文字だといまいち分かりにくいとは思うが、一つの巣穴の大きさが、人間がまるっと入れるくらいのサイズなのだ。巣の異様なほどの巨大さも想像に難くないだろう。 とはいえ、この巨大な巣を丸々貰う必要は断じてない。 ナイフやなんかで一部を切り取らせてもらえれば、それだけで十分なのだ。 **ブーーーーーーーーーーーン** 「……やっぱり、いるわよねぇ」 ええ、そうですねリーザさん。 君は上空に集まってきた<ワスプ>(巨大化した獰猛なススメバチ)の大群を見上げながら、虚無の顔をして返事をするのだった。 [ひえー、スタコラサッサとひとまず退散!](16 "!f05") [ひえー、スタコラサッサとひとまず退散!](17 "f05") 25 **ええい、いぶしてやるー!!** 君は束ねて地面に置いた<オアシスの薬草>に火打ち石で火をつけた。 オアシスの薬草は勢いよく燃え出した。君は外套で薬草をバタバタと仰ぎ、立ち上る薬臭い白煙を蜂の巣に向かって送ってゆく。 立ち込める煙に盛大にむせるやら、目から涙が出るわで散々だが、どうやら効果はあったようだ。 その証拠に、<ワスプ>が煙を嫌って次々と飛び去っている。 よしよし、この調子で追い払お**ゲホゲホ!** 君はめちゃめちゃ咳き込みながらも、煙でワスプを追い払うのに成功した。 焚いていた薬草の方はというと、地面の上で燻っている。それを踏みつけたり、土を掛けたりして念入りに消火した。火事対策もばっちりだ。 「けほっ……これで蜂の巣が採れるわね」 やや咳き込みながらも、チャンスを伝えるリーザに、君もまた咳き込みながら頷いた。 君はナイフで蜂の巣の一部を切り離し、ようやく蜂の巣を手に入れることができた。 中には黄金色にてらてらと光る蜂蜜が見えるが、なんだか煙臭そうなので、味見は止めておいた。 君はちょっと残念そうにしながらも、携帯していた別の袋の中に蜂の巣を入れたのだった。 **◆<蜂の巣>を手に入れた!** **◆<オアシスの薬草>は灰になった……。** [おや、リーザが君の頬をぺちぺちしている](36 "i05") [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 26 君はリーザの案内に従い、洞窟に幾つかある扉の一つから外に出た。 沼の濁った水が君の全身から滴るが、張られた結界のおかげでまったく濡れていない。精霊様のご加護様様だ。 空は相変わらずどんよりと曇り、沼地にいた時よりも空気が重々しい。 周囲をぐるりと見回すと、森の木々や草花が見えた。 そして建物の残骸や折れて倒れた石柱も。 冒険仲間が噂していた。 この森一帯は、元々城が建っていたらしい。 相当昔に建てられ、主を失い、朽ちていったのだろう。今では見る影もないほどだ。 「さて、と。 <蜂の巣>を手に入れるためには、 <ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を 持ってこないといけないわね」 <ムーンストーン>と<ブラッドストーン>は、いわば鍵のようなものだ。 この二つの宝石を特定の場所にはめ込むことで、蜂の巣がある場所へと行けるという訳だ。 だが、この二つの宝石の入手方法を思い出した君の目は遠い。 マッピングしなくてもいけるだろうと高をくくって森の中の迷路へと入り、最終的にはマッピングを余儀なくされた当時の自分を思い出すと、本当に憂鬱なのだ。はぁ……。 「ため息なんかついちゃって。 大丈夫よ、ソーサリアンさん。 わたしが案内するから迷うことなんてないわ」 **リ、リーザさま~~~~~!!!** 雨雲並みの君の杞憂は、リーザの頼もしい言葉によって一気に晴れたのだった。 [迷路に入る](27) 27 **『ため息なんかついちゃって。 大丈夫よ、ソーサリアンさん。 わたしが案内するから迷うことなんてないわ』** あの言葉は幻聴だったのだろうか……? 君は己の正気を疑い始めていた。 何故なら、一向に<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>の在り処が分からないからだ。 「うそ、うそよ……。 そんなはずないわ……。 以前の迷路だったら迷うはずなんて……」 肩の上に乗っているリーザは、信じられないという語調で嘆いている。 この辺一帯を案内してくれているリーザに悪いと思い、持参した旧マップは開いていなかったが、こうなっては致し方ない。 君はリーザに謝った後、旧マップを開いて、今回念のために書いてた新マップと照らし合わせた。そして、現状に納得した。 旧マップと見比べると、この迷路は以前の迷路と構造が異なっていたのだ! 更に運が悪いことに、所々の区画を警備している番兵<モンスターガード>(兜を被り、槍を携えたリザードマンに似た石像の兵士と言えば分かりやすいだろうか)の配置も変わっており、思うように進めない。 さて、どうしたものか……? [姿を消して番兵の脇をすり抜ける](28) [番兵に通してくれと頼む(色仕掛け)](29) [番兵に通してくれと頼む(物理)](30) [地道に探索する](31) 28 STextでお馴染み、困った時のお助け魔法<${CHANGE AIR|自己の空気化}>の出番である。 **『 CHANGE AIR 』** **◆<CHANGE AIR>を唱えた** 君は早速<CHANGE AIR>を唱えて姿を消すと、番兵の脇をすり抜けようとするが……刹那、破裂音と共に姿が露わになってしまったのだ! 「我々が気づかないとでも思ったのか! お前達の考えなどお見通しだ! 帰れ!」 どうやら<CHANGE AIR>対策は万全だったらしく、君は猫さながらにつまみ出されてしまった。にゃーん……。 [番兵に通してくれと頼む(色仕掛け)](29) [番兵に通してくれと頼む(物理)](30) [地道に探索する](31) 29 よーし、ダメで元々! 君は番兵に此処を通してくれないか頼み込んでみることにした。 ${if xFEMALE} あ〜ら、そこのおにいさ〜ん。 ちょっとそこを通してくれないか・し・ら?? ${/if} ${if xMALE} ヘイ! ソコノ、オニーサン! ワタシ、ソコ、トオリタイ、デース! ${/if} 「気味の悪い奴め! 寝ぼけたことを言うな! 何故お前達を通さねばならんのだ! 帰れぃ!」 ダメですか……。 **「だめなひとね……」** がっくりとうなだれる君に、リーザの辛辣な言葉と冷ややかな視線が突き刺さった。 [姿を消して番兵の脇をすり抜ける](28) [番兵に通してくれと頼む(物理)](30) [地道に探索する](31) 30 ええーい、こうなったら強行突破! 魔法だと派手だから物理攻撃だよ!! **「ちょっ、ちょっと何をするつもり!?」** 慌てて制止するリーザの声を振り切り、君は武器を固く握り締めてモンスターガードに向かっていった。 ……果たして結果は散々なものだった。 君の先制攻撃は成功したが、相手に応援を呼ばれてしまったのだ。 大勢のモンスターガードに囲まれた君達は、奮闘空しく捕らえられてしまったのである。 暗き沼の迷路。 そこの何処かにある朽ちかけた門に、ミノムシの如く吊るされてぷらぷらしているどこぞの脳筋勇者の姿と、恨めしそうな目をした桃色ガマ蛙の姿があったとかなかったとか。 **「うそ うそよ こんなエンディング……」** **%purple%BAD END【のうきんなひとね】%/%** 31 まあ、地道にやるか……。 一つ考えもあることだし。 君は地道にマッピングしつつ、時折り物陰に隠れながらモンスターガードの様子もよく観察することにした。 異なる種族同士だと誰が誰なのか見分けがつかないといったケースは、多種多様な種族が入り混じるペンタウァではよくある。 だが、それでもじっくり観察していると、顔つきや立ち居振る舞いから、個性を感じ取ることができるのである。 例えば、先程の区画にいたモンスターガード。 アイツは目つきが鋭く、物音がすればすぐにでも視線を向け、武器を構える。油断も隙もない、まさに番兵の鑑と言ってもいい。 しかし、今いる区画に立っているモンスターガードはどうだ。 大口を開けてあくびをしたり、かと思えば突然キョロキョロしたりと番兵にしては随分と緩い印象だ。 ……つまり、交渉するならこの番兵、という訳だ。 [俺が、私が、ワシが交渉人<ネゴシエーター>だ!](32) 32 君は狙いを定めると、まるで今ここに来たかのようなさりげなさで姿を現し、緩い番兵に「やあ」と笑顔で話しかけた。 緩い番兵は驚いたのかビクリと派手に肩を跳ねさせる。 しかし、君がニコニコとしているのを見て、少し警戒心が解けたのだろう。ふぅと息を吐いて「なんだ、さっきからウロウロしてる奴じゃないか。驚かせるなよ」と苦笑する。 君が明るい調子で謝ると、緩い番兵は「ま、いいけどな」と少し偉そうぶった風に君を許した。 「それにしてもお前ら、此処で何やってんだ?」 **来た!!** 君は緩い番兵がこちらに興味を持ったのを確信した。 そして、よくぞ聞いてくれましたとばかりに、此度のキングドラゴンの件……に止まらず、これまでに経験した冒険のことまで話した。 なんだかリーザの**(そこまで話す必要ないんじゃない?)**という視線が痛かったが、これも計画通りという訳で勘弁願いたい。 ……まあ、話しているうちに熱が入ってしまい、予定よりも長くなってしまったのはここだけの話なのだが。 [(夢中になるとよくあることさ……)](33) 33 さて、緩い番兵の方はというと。 最初は君の話に半信半疑といった様子だったが、話が佳境に差し掛かる頃には、真剣な様子で身を乗り出すようにして話を聞いていた。 よし、掴みはオッケーだ(手でOKサインをしながら)。 「つまり、お前らはキングドラゴン討伐のためにも この沼地の平和を取り戻す必要があって、 だけど情けねーことに迷子になってたって訳だな」 いやぁ、お恥ずかしい話ながら。 君がぽりぽりと後ろ頭を掻きながら答えると、それが可笑しかったのか緩い番兵は楽しげに笑った。だが、その表情が急に曇り出す。 君は心の中で**「おっ」**と声を上げた。 番兵はひとしきり辺りを伺った後、君の耳元に顔を近づけると、自分の口元に手を添えた。 どうやら、『ここだけの話』というのを聞かせてくれるようだ。 「実はさ、モンスターガード使いが荒い…… あ、『あの方』……が斃されてから、 俺も仲間達も此処でのんびり暮らしてたんだよな。 それなのに、今度は『こんなこと』に なっちまってさぁ……」 なるほど、モンスターガードはモンスターガードで上司(?)のことで苦労しているようだ。 よしよし、それなら話は早い。 [それじゃあ、また平和な地で暮らしたくない?](34) 34 君も声を潜めて「また平和な地で暮らしたくはないか」と訊ねると、番兵は「そりゃあ暮らしたいさ」と答えた。 「ああもう! 間怠っこしいわね! 要は『アイツ』を斃して沼を平和にするから、 そのために協力してってことよ!」 ガマだけにがま……ごほん。我慢も限界とばかりにリーザがさくっと要件を言い放った。 君と番兵は息が止まるくらい驚いて硬直したが、君はこれを好機と見るや一気に畳み掛けることにした。 **「キングドラゴンを斃さなきゃ沼地や森どころか世界がヤバイぞ」と。** 緩い番兵は君とリーザの波状攻撃に思考が追いついておらず、顔は引きつり、腰までも引けていた。 君達は暫くその状態で見つめ合っていたが、番兵は長考の果て、ゴクリと喉を鳴らして頷いた。 「わ、解った……。 お前らを追い出したところで 今の下僕生活が終わる訳でもないし、 終わるのは世界の方だっていうんだから、 まったく馬鹿げてるよな……。 ……いいぜ、お前達に協力してやるよ」 そう言った番兵の顔は若干引きつっていたが、それでもなお、迫り来る終焉への不安を押し隠すように片目を瞑って笑ってみせていた。 **よし! 交渉成立!!** 君は番兵と固く握手を交わした後、不敵に微笑むリーザの小さな手にタッチして交渉の成立を喜び合うのだった。 [そして約一時間後……](35) 35 迷宮を後にした君の道具袋の中には、<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>が収まっていた。 あの緩い番兵が友人を説得し、二手に分かれてそれぞれ宝石を持ってきてくれたのだ。 その途中で事情を知らない仲間達に怪しまれたそうだが、その場は何とかやり過ごし、宝石の片方を持ってきてくれた友人と合流して宝石を受け取った後、急いで君達の元に戻ってきてくれたのだという。 二つの宝石を手にした君とリーザは、彼等の行動にいたく感激した。 滝のような涙を流しながらヒンヒンと鼻をすすって感謝する姿は、緩い番兵が思わず引いてしまうくらいだった。 それから、君は何かお礼になるものはないかと道具袋を探っていたが、特にこれといった物がなく申し訳なさそうにしていた。 しかし、番兵の彼は君が取り出した物の中から缶詰を見つけ、「それ、魚の絵が描いてあるし、珍しそうなモンだな。貰っていいか?」と訊いてきたのだ。 君は少し驚きながら肯定したが、番兵は気にした風もなく、君に開封方法を教わって蓋を開けた。 蓋が開くと、蒸した魚の優しく食欲をそそる香りがふわりと漂ったのだが、その瞬間、何処からともなく現れた<ウォーターシェリー>(角と尻尾を生やした水辺に潜む小悪魔)の集団が押し寄せてきて、蒸し魚の荒ほぐしを食べ散らかして去っていったのは衝撃的だった。 この時、番兵に『すごい食べっぷりだったが、これはなんていう缶詰なんだ?』と訊かれて、君は呆然としながらも「ね、ねこかん……」と呟いていたのだった(実は、ペンタウァで出逢ったとあるネコチャンへのお土産であった)。 ……とまあ、少し予想外のことが起こりもしたが、こうして君は<ムーンストーン>と<ブラッドストーン>を無事入手できたのである。 『俺に出来るのはここまでだ。 丸投げしちまってすまねぇけどよ、 あとは任せたぜ勇者さんよ! お互い生きていたら、 今度はキングドラゴン退治の話を土産に 此処まで遊びに来いよな!』 そう言って送り出してくれた彼の笑顔を思い出すと、胸の中がじんわりと温かくなる。 「よかったわね」 穏やかな声色で紡がれたリーザの言葉に、君は満足げに頷くのだった。 **◆<ムーンストーン>を手に入れた!** **◆<ブラッドストーン>を手に入れた!** **◆<NEKO-KAN>を開けた!……けど、良かったんだろうか……?** [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 36 「ねぇ、あれは何かしら?」 ジャックの炎を頭の上に乗せたリーザが、ぬちょるんとした手で何かを指し示した。 君は何だろうと目を細め、指し示された先を見つめる。すると、そこにキラキラとした七色の美しい輝きが見えた。 **あっ! あの輝きは……!!** 君はその輝きが何であるのかに気付くと、草むらの中へと分け入ってゆく。 そしてしゃがみ込んで草を掻き分けると、そこには大量の<七惑星の欠片>が固まって落ちていた。 「なるほど、欠片が炎の光を反射していたのね」 君の肩の上に乗っているリーザが納得したように頷いた。 これは<ジャックの炎>とリーザの観察眼がなければ気が付かなかっただろう。 君が<七惑星の欠片>を拾い上げると、全種類が二個ずつ落ちていたことが分かった。 落ち方がやや不自然なようにも思えるが、辺りを見回しても何かある訳でもなく、何かが起こるような気配も感じられない。 もしかしたら、キングドラゴンに挑まんとする者を応援する神のお恵みなのかもしれない。 まぁ、真偽のほどは不明だが、君は<七惑星の欠片>をありがたく頂戴することにした。 …………んっ? 遠方から視線を感じて振り返ったところ、子供より更に小さな影を視界の端に捉えたが、その影はすぐに見えなくなってしまった。 君はリーザに影を見なかったかと訊ねたが、リーザは首を横に振っただけだった。 「子供より小さな影ねぇ……。 案外、ウォーターシェリーが さっきの欠片を置いていったのかもね」 もしそうだとしたら、缶詰のお礼とか、そういう感じなのだろうか。 君はリーザの言葉にほっこりしながらも、<七惑星の欠片>を道具袋に仕舞ったのだった。 **★<七惑星の欠片セット>を手に入れた!**%red% ※作者の都合によりアイテム扱いになっています%/% [来た道を戻る](16 "!f05") [来た道を戻る](17 "f05") 37 よし、<ブラックポーション>の材料が集まったぞ! 「お疲れ様ね。 でも、これはまだフラジオレと戦う前の準備よ。 気を引き締めてブラックポーションを作りましょう」 た、確かに……。 なんかもうお使い的な往復に、そろそろシナリオクリアBGMとか流れる頃合いだと錯覚していたが、これはまだ物語の序盤が終わったに過ぎない。 さあ、暗き沼の館に戻ろう! [ブラックポーション職人の行動は速い](39) [SAVE POINT](38) 38 ### 【ポーションを作る前に】セーブデータ作成推奨ポイント ここでセーブデータを作成することを推奨しています。 全滅して新たな冒険が始まった場合に、事前に作成していたセーブデータを読み込むことで、セーブデータを作成したSceneから冒険を再開することができます。 ※セーブデータの作成自体は、どのSceneからでも行なうことが可能です %blue% 【セーブデータの作成方法】%/% ①メニューボタンの【Backup&Restore】を選択 ②【Backup】を選択してセーブデータ作成 %blue% 【セーブデータを読み込んで冒険を再開する方法】%/% ①メニューボタンの【Backup&Restore】を選択 ②【Restore】から再開したいSceneのセーブデータを読み込む ③「リストアに成功しました。ゲームを再起動します。」 と表示された後に【OK】を選択 ④【続きから】を選択して冒険を再開 【セーブデータを読み込まない場合は】 冒険中に全滅した際にセーブデータを読み込まない場合、 再び冒険に挑むソーサリアンは、**新規作成**となります。 なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に「続きから開始しますか?」の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 ご不明な点は、メニューボタンの【HELP】を選択し、 プレイヤー向けマニュアルをご参照ください。 [冒険に戻る](37) 39 **◆<ジャックの炎>をかまどにブンッ!** **◆<トリカブト>を大鍋にボチャン!** **◆<マンドラゴラ>を大鍋にボチャン!** **◆<蜂の巣>を大鍋にボチャン!**%red% ※沼の水【濁】を予め注ぎ込んだ状態です%/% 暗き沼の館に戻った君は、リーザ指導の下、<ブラックポーション>作りに取り掛かった。 だが、君は以前にもブラックポーションを作ったことがある。そう、経験者なのだ。 そんな訳で、リーザは思いのほか、君に教えることがなかったらしい。今はお昼寝タイムと決め込み、ベッドの上でお昼寝の真っ最中だ。 三角に折った布で簡易的なマスクをした君は、小さなガマ蛙の高いびきを聞きながら、異様な臭いが立ち込める魔女の大鍋の中身を絶えず掻き混ぜ続けている。 つ、つらい……。 [そのまま掻き混ぜ続ける](40) [もうひと手間加えてみる](41 "i09") [こっちも休みたい……](42) 40 君は魔女の大鍋の中身を混ぜた。 ただひたすら無心で混ぜた。 そうでなければ精神がやられてしまうと思ったのだ。 ――そして、とうとう。 で、でき、た……。 (げっそり顔をした)君の努力と我慢の甲斐もあり、魔女の大鍋の中には、それはそれは見事なブラックポーションがボコボコと不吉な音を立てて煮えていた。 その見た目を一言で表すならば――**漆黒の闇**。 そして、その臭いは……**ドブ水と焦げた肉と腐った魚とそこら辺に生えてる草**と……こちらはもう一言では言い表せないほどの強烈な悪臭を放っていた。 一応、マスクは装着しているし、換気の面だって問題はない。 だがしかし、この悪臭の前では、マスクをしてるとかしてないとか、そういう次元の話ではなかった。 まあ、途中で鼻がおかしくなったのが幸い(?)したのか、何とか生きてはいるが、よく気絶せずにいられたな、と己を褒めたいくらいだ。 **それでも、きついものはきついわ……!!!** 君は館の外へ飛び出て暫く深呼吸を繰り返し、館の中の臭いが多少落ち着いた頃を見計らい、再び館の中に入った。 さて、こんな状況でも寝ている剛の者を起こすとするか……。 [おーい、リーザ起きろ~(つんつん)](62) 41 大鍋の中でぐつぐつと煮えたぎっている不吉な黒い液体を見つめていると突然の閃きが脳裏を駆け巡った。 **『この黒き液体に神秘の力を混ぜ込めば、より強力な<ブラックポーション>を完成させることができるのではないか』**――と。 神秘の力とは、神々の力。すなわち、<七惑星の欠片>のことだ。 それを何かいい感じに混ぜ込むことにより、<ブラックポーション【極】>みたいなものが出来上がるんじゃないかと。そう思った訳ですよ。 因みに、何が強力なのかと言うと、例えば、ほら、リーザの**%red%呪い%/%**が解けて元の姿に戻ることにプラスして、蘇ったらしいフラジオレを楽々斃せるミラクルなパワーを得られるとか、そんな感じのやつが良いなと。そう夢想している訳です。 ……という訳で? [混ぜようぜ! 七惑星の欠片!!](43) [やっぱり止めておくかぁ……](58) 42 こんなの……こんなのあまりにも拷問でしょ……。 <ブラックポーション>を作るべく大鍋の中身をかき混ぜていた君だったが、この世のものとは思えない臭いを発する漆黒の液体に、精神をだいぶやられてしまっていた。 それというのも、今回は素材調達に手間が掛かったことに加え、使った水の影響なのか、前回のブラックポーションよりも臭いがきついからだ。 選択肢はなかったと言えど、これこそが混沌に汚染されている、ということなのかもしれない。 このままでは自分のドラゴンモードが始まる前に終わってしまう……それはマズイ……。 君は本気で命の危険を感じていた。寧ろ、感じるのが遅過ぎたと言ってもいい。 やはり適度な休憩は必要だと判断した君は、大鍋に木蓋をし、<ジャックの炎>をその辺の床石の上に置いた後、ふらふらとした足取りでベッドに倒れ込む。 ああ……ふかふかベッド最高か……。 君はそんなことを呟きながら、高いびきをかいている小さなガマ蛙の横で泥のように眠るのだった。 * * * そうしてうっかり深く眠ってしまった君は、一足早く起きたリーザに声を掛けられて飛び起きた。 君は大慌てでブラックポーション作りを再開したが、時既に遅く……。 それはもう見事に失敗作を生成してしまった君は、泣きべそをかきながら暗き沼で再び材料集めに奔走する羽目になるのだった……。 **%purple%BAD END【さぼりはだめね】%/%** 43 君は天啓を得たと言わんばかりの自信に満ちた表情で、<七惑星の欠片>を大鍋に投入してみることにした。 何となくBGMも変えてアイテムを合成している感を出してみたのは、『まずは形から入る』という先人の教えに従ったものだ。特に深い意味はない。 さて、気分も何となく盛り上がってきたところだ。 **<月の欠片>**を投入してみようかな? [<月の欠片>を投入する](44) [<月の欠片>を投入しない](45) [う~ん、やっぱり止めておくかぁ……](58) 44 君は大鍋に<月の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 液体の色が%blue%僅かに変わってきた(程度:小)%/%。 **<火星の欠片>**を投入してみようかな? [<火星の欠片>を投入する](46) [<火星の欠片>を投入しない](47) [これ以上は止めておこう……](59) 45 君は大鍋に<月の欠片>を投入するのは止めた。 液体の色は黒い。 **<火星の欠片>**を投入してみようかな? [<火星の欠片>を投入する](46) [<火星の欠片>を投入しない](47) [これ以上は止めておこう……](59) 46 君は大鍋に<火星の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 液体の色は黒い。 **<水星の欠片>**を投入してみようかな? [<水星の欠片>を投入する](48) [<水星の欠片>を投入しない](49) [これ以上は止めておこう……](59) 47 君は大鍋に<火星の欠片>を投入するのは止めた。 ${if f11} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:小)%/%。 ${/if} ${if !f11} 液体の色は黒い。 ${/if} **<水星の欠片>**を投入してみようかな? [<水星の欠片>を投入する](48) [<水星の欠片>を投入しない](49) [これ以上は止めておこう……](59) 48 君は大鍋に<水星の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 ${if !f11} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if f12&f11} 液体の色が%blue%かなり変わってきた(程度:中)%/%。 ${/if} **<木星の欠片>**を投入してみようかな? [<木星の欠片>を投入する](50) [<木星の欠片>を投入しない](51) [これ以上は止めておこう……](59) 49 君は大鍋に<水星の欠片>を投入するのは止めた。 ${if !f11} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if f11} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:小)%/%。 ${/if} **<木星の欠片>**を投入してみようかな? [<木星の欠片>を投入する](50) [<木星の欠片>を投入しない](51) [これ以上は止めておこう……](59) 50 君は大鍋に<木星の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 液体の色は黒い。 **<金星の欠片>**を投入してみようかな? [<金星の欠片>を投入する](52) [<金星の欠片>を投入しない](53) [これ以上は止めておこう……](59) 51 君は大鍋に<木星の欠片>を投入するのは止めた。 ${if !f11&!f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if !f11&f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if f11&!f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:小)%/%。 ${/if} ${if f11&f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:中)%/%。 ${/if} **<金星の欠片>**を投入してみようかな? [<金星の欠片>を投入する](52) [<金星の欠片>を投入しない](53) [これ以上は止めておこう……](59) 52 君は大鍋に<金星の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 液体の色は黒い。 **<土星の欠片>**を投入してみようかな? [<土星の欠片>を投入する](54) [<土星の欠片>を投入しない](55) [これ以上は止めておこう……](59) 53 君は大鍋に<金星の欠片>を投入するのは止めた。 ${if !f11&!f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if !f11&f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if f11&!f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:小)%/%。 ${/if} ${if f11&f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:中)%/%。 ${/if} **<土星の欠片>**を投入してみようかな? [<土星の欠片>を投入する](54) [<土星の欠片>を投入しない](55) [これ以上は止めておこう……](59) 54 君は大鍋に<土星の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 ${if !f11&!f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if f13&f11&!f12} 液体の色が%blue%かなり変わってきた(程度:中)%/%。 ${/if} ${if f13&!f11&f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if f13&f11&f12} 液体の色が**%blue%七色に変わった!(程度:大)%/%** ${/if} **<太陽の欠片>**を投入してみようかな? [<太陽の欠片>を投入する](56) [<太陽の欠片>を投入しない](57) [これ以上は止めておこう……](59 "-f11,f12,f13") [ここで欠片の投入ストップ!](61 "f11,f12,f13") 55 君は大鍋に<土星の欠片>を投入するのは止めた。 ${if !f13&!f11&!f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if !f13&f11&!f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:小)%/%。 ${/if} ${if !f13&!f11&f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if !f13&f11&f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:中)%/%。 ${/if} **<太陽の欠片>**を投入してみようかな? [<太陽の欠片>を投入する](56) [<太陽の欠片>を投入しない](57) [これ以上は止めておこう……](59) 56 君は大鍋に<太陽の欠片>を投入してみた。 欠片がボチャンという音を立てて液体の中へと消えていった。 液体の色は黒い。 [さて、結果は……](60 "-f11,f12,f13") [さて、結果は……](61 "f11,f12,f13") 57 君は大鍋に<太陽の欠片>を投入するのは止めた。 ${if !f13&!f11&!f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if !f13&f11&!f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:小)%/%。 ${/if} ${if !f13&!f11&f12} 液体の色は黒い。 ${/if} ${if !f13&f11&f12} 液体の色は%blue%変わったままだ(程度:中)%/%。 ${/if} ${if f13&f11&f12} 液体の色が**%blue%七色に変わったままだ!(程度:大)%/%** ${/if} [さて、結果は……](60 "-f11,f12,f13") [さて、結果は……](61 "f11,f12,f13") 58 ……いや、やっぱり余計なことはせずに、このまま混ぜておくか……。 冒険こそソーサリアン、ソーサリアンこそ冒険と言っても過言ではない。 しかし、予定にはない物を混ぜ込むという冒険をしたばかりに、大鍋の中身が大爆発でもしたら、それこそフラジオレ退治どころではない。 今回ばかりは流石の君も冒険することは止めておいたのだった。 * * * 君は魔女の大鍋の中身を混ぜた。 ただひたすら無心で混ぜた。 そうでなければ精神がやられてしまうと思ったのだ。 ――そして、とうとう。 で、でき、た……。 (げっそり顔をした)君の努力と我慢の甲斐もあり、魔女の大鍋の中には、それはそれは見事なブラックポーションがボコボコと不吉な音を立てて煮えていた。 その見た目を一言で表すならば――**漆黒の闇**。 そして、その臭いは……**ドブ水と焦げた肉と腐った魚とそこら辺に生えてる草**と……こちらはもう一言では言い表せないほどの強烈な悪臭を放っていた。 一応、マスクは装着しているし、換気の面だって問題はない。 だがしかし、この悪臭の前では、マスクをしてるとかしてないとか、そういう次元の話ではなかった。 まあ、途中で鼻がおかしくなったのが幸い(?)したのか、何とか生きてはいるが、よく気絶せずにいられたな、と己を褒めたいくらいだ。 **それでも、きついものはきついわ……!!!** 君は館の外へ飛び出て暫く深呼吸を繰り返し、館の中の臭いが多少落ち着いた頃を見計らい、再び館の中に入った。 さて、こんな状況でも寝ている剛の者を起こすとするか……。 [おーい、リーザ起きろ~(つんつん)](62) 59 ……いや、これ以上の余計なことはせずに、このまま混ぜておくか……。 冒険こそソーサリアン、ソーサリアンこそ冒険と言っても過言ではない。 しかし、予定にはない物を混ぜ込むという冒険をしたばかりに、大鍋の中身が大爆発でもしたら、それこそフラジオレ退治どころではない。 今回ばかりは流石の君も、これ以上の冒険をすることは止めておいたのだった。 * * * 君は魔女の大鍋の中身を混ぜた。 ただひたすら無心で混ぜた。 そうでなければ精神がやられてしまうと思ったのだ。 ――そして、とうとう。 で、でき、た……。 (げっそり顔をした)君の努力と我慢の甲斐もあり、魔女の大鍋の中には、それはそれは見事なブラックポーションがボコボコと不吉な音を立てて煮えていた。 その見た目を一言で表すならば――**漆黒の闇**。 そして、その臭いは……**ドブ水と焦げた肉と腐った魚とそこら辺に生えてる草**と……こちらはもう一言では言い表せないほどの強烈な悪臭を放っていた。 一応、マスクは装着しているし、換気の面だって問題はない。 だがしかし、この悪臭の前では、マスクをしてるとかしてないとか、そういう次元の話ではなかった。 まあ、途中で鼻がおかしくなったのが幸い(?)したのか、何とか生きてはいるが、よく気絶せずにいられたな、と己を褒めたいくらいだ。 それでも、きついものはきついわ……!!! 君は館の外へ飛び出て暫く深呼吸を繰り返し、館の中の臭いが多少落ち着いた頃を見計らい、再び館の中に入った。 さて、こんな状況でも寝ている剛の者を起こすとするか……。 [おーい、リーザ起きろ~(つんつん)](62) 60 君はあれから独自にアレンジを加えた。 しかし、君のポーション職人としての勘はさほどでもないのか、大鍋の中身に何一つ変わった様子はない。真っ黒だった。 世の中、そう何でも上手くはいかないぜ、という教訓なのかもしれない。 とほほ……仕方がない、このまま混ぜよう……。 * * * 君は魔女の大鍋の中身を混ぜた。 ただひたすら無心で混ぜた。 ――そして、とうとう。 で、でき、た……。 (げっそり顔をした)君の努力と我慢の甲斐もあり、魔女の大鍋の中には、それはそれは見事なブラックポーションがボコボコと不吉な音を立てて煮えていた。 その見た目を一言で表すならば――**漆黒の闇**。 そして、その臭いは……**ドブ水と焦げた肉と腐った魚とそこら辺に生えてる草**と……こちらはもう一言では言い表せないほどの強烈な悪臭を放っていた。 一応、マスクは装着しているし、換気の面だって問題はない。 だがしかし、この悪臭の前では、マスクをしてるとかしてないとか、そういう次元の話ではなかった。 まあ、途中で鼻がおかしくなったのが幸い(?)したのか、何とか生きてはいるが、よく気絶せずにいられたな、と己を褒めたいくらいだ。 **それでも、きついものはきついわ……!!!** 君は館の外へ飛び出て暫く深呼吸を繰り返し、館の中の臭いが多少落ち着いた頃を見計らい、再び館の中に入った。 さて、こんな状況でも寝ている剛の者を起こすとするか……。 [おーい、リーザ起きろ~(つんつん)](62) 61 君のポーション職人としての勘が冴えたのか、大鍋の中身は七色に輝いている! こ、これぞ神秘の力というやつなのか!? 『気紛れで七色にしてみた』 えっ、気紛れなのGOD……? まあいいや。何はともあれ、これは大成功の予感だ! 気が付けば悪臭も薄らいでいる気がするし、よーし、この調子で混ぜるぞ~!! 君は喜々として魔女の大鍋の中身を混ぜた。 ただひたすら七色に輝くヤベー液体をぐるぐる混ぜた。 ――そして、とうとう。 **で、できたぞーーーッ!!** 君の努力の甲斐もあり、魔女の大鍋の中には、それはそれは見事な七色のポーションがポコポコと音を立てて煮えていた。 その見た目を一言で表すならば――**レインボー**。 そして、その臭いは……**ない。** なんとも信じられないことなのだが、驚いたことに**無臭**なのだ。 とりあえず、この七色のポーションは<レインボーポーション>と名付けよう。 効果はまったくもって不明だが、<七惑星の欠片>の配分は、一応<UN-CURCE>(解呪の魔法)と同じだ。 これが上手く作用していれば良いのだが。 ――さて、寝ているリーザを起こすとするかな! 完成したのは明らかに<ブラックポーション>じゃないから、リーザに何て言われるのかドキドキしてるけどねッ! [おーい、リーザ起きろ~(つんつん)](64) 62 君はベッドの上でぐっすりと寝ているリーザの手を指でつんつんと突きながら、雑に呼び掛ける。 一度は彼女のしっとりした手で指を払い除けられたものの、君はめげずに声を掛けてつんつんした。 すると、リーザは重たそうに瞼を上げると、眠たげな目を擦りながら起き上がった(?)。 「あら、ソーサリアンさん。 <ブラックポーション>はもうできたの?」 **はい、できました!(鍋ごとブラックポーションを見せる)** 君が早速できたてホヤホヤの<ブラックポーション>を見せると、リーザは漆黒の液体を品定めするかのように厳しい視線で見つめた。 その匠さながらの視線に、君は緊張でごくり、と唾を呑み込む。 暫くの沈黙の後、リーザは表情を緩めて「合格ね」とニヤリと笑った。 君は無事<ブラックポーション>を完成させられたという安堵感から、同じく表情を緩めてホッと息をつくのだった。 「じゃあ、スプーンを持ってきてちょうだい。 流石にこの小さな身体じゃあ、 お鍋から直接<ブラックポーション>を 飲むことはできないわ」 リーザに乞われ、君は道具袋から金属のスプーンを取り出した。 今もなお悪臭を放つブラックポーションの中にスプーンを入れた瞬間、君は頭の片隅で、これはもう食事には使えないな……、とそんなことを考えたが、世界平和のための尊い犠牲として納得する。 「ソーサリアンさん、あーん」 リーザが大きく口を開けた。 スプーンでブラックポーションを掬った君は、それを飲ませるのを一瞬ためらったものの、以前ガマ蛙と化した彼女がブラックポーションを飲んでいた様子を思い出した。 まあ、リーザなら大丈夫かな。…………多分。 君はリーザにブラックポーションを飲ませた。 [はい、あーん。](63) 63 <ブラックポーション>を口に含んだリーザのたるみのある黄色掛かった喉元を、君は真剣な眼差しで凝視する。 **ゴクリ。** ・・・・・・・・・・・・・・・。 お互いに言葉はない。 だが、暫く待ってみてもリーザの身体に変化は起きていない。 「おかしいわねぇ……。 量が足りないのかしら……?」 リーザと君は顔を見合わせて首を傾げる。 彼女が言うとおり、もしかしたらブラックポーションの摂取量が問題なのかもしれない。 君は大鍋の中身が空っぽになるまで、リーザにブラックポーションを飲ませ続けた。 * * * ダメだ……元に戻らない……。 中身が空っぽになった大鍋の横で、青い顔をした君は、頭を抱えてうなだれた。 ベッドの上でお腹がぽっこりと膨れているリーザの方も、「うそ……うそよ……」と掠れた声で呟いていた。 リーザは確かにブラックポーションを全て飲み干した。 しかし、ガマ蛙となった彼女の呪いは解けていない。 そこから導き出される仮説は…… 「もしかしたらだけど、フラジオレの呪いの力は、 以前よりも強力になっているのかもしれないわね……」 彼女の言葉に、君も頷いて「恐らくは……」と苦々しく呟いた。 [あの老いぼれレッドドラゴンめ~……](69) 64 君はベッドの上でぐっすりと寝ているリーザの手を指でつんつんと突きながら、雑に呼び掛ける。 一度は彼女のしっとりした手で指を払い除けられたものの、君はめげずに声を掛けてつんつんした。 すると、リーザは重たそうに瞼を上げると、眠たげな目を擦りながら起き上がった(?)。 「あら、ソーサリアンさん。 <ブラックポーション>はもうできたの?」 **スッ……(鍋ごとレインボーポーションを見せる)** 君が早速できたてホヤホヤの<レインボーポーション>を無言で見せると、リーザは大きく目を見開いて**「はぁ!? なにこれ!!?」**と驚愕の声を上げた。 ですよね~~~!! ソーサリアンがブラックポーションを作っていると思っていたら、何故か七色に輝くヤベー液体を作っていた。 まったく意味が分からない展開に、リーザはひどく混乱していたが(そりゃそーだ)、君が経緯を説明すると、彼女は呆れた様子で深いため息をついた。 「まったく……。 そういう閃きアレンジで 料理に失敗するパターンってあるでしょ? それとまったく同じで、 今回はたまたまポーションらしきものが 出来上がったから良かったものの、 爆発でもしたらどうするつもりだったのよ?」 ごめんなさい……まったくもってそのとおりですリーザ先生……。 ジト目で睨まれながらのお説教に、君は正座をして身を縮こまらせていた。 そんな君の猛省している様子を見たリーザは、もう一度小さくため息をつくと、苦笑して「今度からは気を付けなさいな」と優しい声色で声を掛けた。 君は顔を上げて、彼女の言葉に力強く頷くのだった。 [良い子の勇者は、危険物の取扱には気を付けよう!](65) 65 リーザが改めて<レインボーポーション>を見たところ、その奇抜過ぎる見た目に反して、特に嫌な感じはしなかったらしい。 寧ろ、(何とも信じがたいことなのだが)清浄な魔力を感じたとのことだった。 この沼地の精霊として薬草や薬品にも詳しい彼女は、長年の経験からこの七色のポーションを飲もうと決意したようだ。男前……。 「じゃあ、スプーンを持ってきてちょうだい。 流石にこの小さな身体じゃあ、 お鍋から直接<レインボーポーション>を 飲むことはできないわ」 リーザに乞われ、君は道具袋から金属のスプーンを取り出した。 今もなお七色に輝くレインボーポーションの中にスプーンを入れた瞬間、君は頭の片隅で、今後、このスプーンを食事に使うのはちょっと恐いな……、とそんなことを考えたが、世界平和のための尊い犠牲として納得する。 「ソーサリアンさん、あーん」 リーザが大きく口を開けた。 スプーンでレインボーポーションを掬った君は、それを飲ませるのを一瞬ためらったものの、以前ガマ蛙と化した彼女がブラックポーションを飲んでいた様子を思い出した。 まあ、リーザなら大丈夫かな。…………多分。 君はリーザにレインボーポーションを飲ませた。 [はい、あーん。](66) 66 <レインボーポーション>を口に含んだリーザのたるみのある黄色掛かった喉元を、君は真剣な眼差しで凝視する。 **ゴクリ。** リーザの喉元が動き、嚥下する音が響いた――まさにその瞬間だった! なんと、彼女の身体が七色の光を放ち始めたのだ!! そのあまりの眩しさに、君はリーザを直視することができず、目を閉じた状態で「リーザ!?」と名前を呼んだ。 しかし、彼女からの返事はなかった。 部屋中に眩い光が溢れ、それが収束した頃。 君は恐る恐る瞼を上げた。そして、目を見開く。 緩やかなウェーブを描き、ふわりと柔らかそうな長い金髪。 宝石のように美しく煌めく大きな青い瞳に、紅くふっくらと色付いた頬。 白く透き通った瑞々しい素肌に、半透明の長めのショールを羽織った純白のドレス姿。 ベッドに座っていたのは、目の覚めるような美しい女性――つまり、本来の姿に戻った精霊リーザだったのだ! ![精霊リーザ](marsh03.png) [やったーーー!!](67) 67 七色のヤベーやつの奇跡で本来の姿に戻ったリーザ。その美貌は、女神も斯くやと言うほどだ。 だからこそ、彼女がまさか腹をポリポリと掻いていたガマ蛙に姿を変えられていたとは信じがたいものがあるが、しかし、君は彼女の呪いが解けた瞬間を見たのはこれで二回目だ。 つまり、これが現実なのだと受け入れざるを得ないのである。 「……何か失礼なことを考えてなかった?」 ジロリ、と君を睨むリーザの不機嫌そうな表情に、君は顔を引きつらせて首を横方向にブンブンと振った。 そんな彼女に何処となくガマ蛙の面影を感じた君は、やっぱりリーザはリーザなのだと納得するのだった。 「まっ、いいわ。 貴方のおかげで、わたしも元の姿に戻ることが できた訳だしね。 ありがとう、ソーサリアンさん」 君はリーザのお礼の言葉と優しげな微笑みに、いやぁと照れながら頬をぽりぽり。 そんな君の様子にふふっと小さく笑ったリーザは、次に両手を握ったり開いたり、ベッドから降りてくるりと一回転。どうやら身体の調子を確認しているようだった。 [ど、どうですかね……?](68) 68 「そうね、身体の調子も悪くはないし、 これならフラジオレとの戦いでも、 貴方をサポートしてあげられるわ」 自信たっぷりのリーザの言葉に君は安堵し、嬉しげに表情を緩めた。 前回はブラックポーションを飲んでいきなり天界に行ってしまった彼女だが、今回は一緒に戦ってくれるというのだから心強い。 そうしてフラジオレ戦での行動や連携について話し合った君とリーザ。 余ったレインボーポーションは瓶に詰めて、念のために二人とも持っていくことにした。 ……と書きたかったのだが、リーザに「貴方も飲むのよ?」と満面の笑みでレインボーポーションを差し出され、それを作った張本人である君はNoとも言えず、泣く泣く七色のヤベー液体を飲むことになったという。 まあ、無味無臭で体調に変化もなかったことが逆に恐ろしいような気もするが、とりあえずは無事ということでヨシとしよう……。うん……。 さて、(ちょっとしたハプニングこそあったものの)作戦会議も準備も滞りなく終わった。 あとはフラジオレのいる沼に殴り込みをかけるのみ! 「さぁ、行きましょう! 蘇ったフラジオレを斃しに!」 **よーし、首を洗って待ってろよ! フラジオレ!!** **◆<レインボーポーション>を手に入れた!** [殴り込む!!](70) 69 君の脳裏に、ハハハ愚か者めと嘲笑を浮かべるフラジオレの姿(人間の魔法使いVer)が浮かび、悔しげにギリィ……と奥歯を噛み締める。 だが、悔しいのはリーザも同じだ。ぬっちょりしている手を握りしめ(?)、わなわなと震えている。 「ふ、ふふふ……やってくれるじゃない……。 いいわ、望みどおりこの姿のまま 殴り込んでやるわよ……」 小さな体躯から大きな怒りのオーラを放つリーザの目は、その口から洩れる笑い声とは対照的にまったく笑ってはいなかったのだった。 そうしてフラジオレ戦での行動や連携について話し合った君とリーザ。 作戦会議も準備も滞りなく終わった。あとはフラジオレのいる沼に殴り込みをかけるのみ! 「さぁ、行きましょう! 蘇ったフラジオレを斃しに!」 **よーし、首を洗って待ってろよ! フラジオレ!!** [殴り込む!!](70) 70 太陽が隠れ、厚い雲が空を覆っている。 君はリーザの道案内に従い、フラジオレの気配を強く感じる場所――すなわち、かつてフラジオレが住処としていた沼へと急いだ。 沼に近づくにつれ、混沌の気配が強くなり、<ゾンビ>や<マッドマン>(生きている泥の集合体)といった敵に襲われることも頻発した。 しかし、それらは君達の進行を止めるほどのことではなかった。 君とリーザの歩みが止まる。その眼前には、黒い気体が湧き出している暗き沼が広がっていた。 そして、沼の中央に立つ柱の上には、真紅の外套を羽織り、暗い青色のローブを身に纏った魔法使いの男が佇んでいた。 少々翳りのある端麗な容姿は、一目見た者全てに美の化身としか考えられないといった印象を抱かせることだろう。 首元まで掛かる長さの絹のような銀髪に、すらりとした体躯、そして、その気品を漂わせる顔付きと、まさに乙女の理想を詰め込んだような美丈夫なのだから。 ――だが、男が纏う気配は、気分が悪くなるほど死臭が濃い。 こちらを睨め付ける涼やかな瞳は、赤く邪悪な光を宿していた。 [フラジオレ!!](71) [早送り▶▶](73 "r14:marsh") 71 怪しげな魔法使いが言った。 「旅人……いや、ソーサリアンよ、 貴様なら再び此処に来るだろうと思っておったぞ」 フラジオレは「それに」と付け加える。 「やはり『その女』も連れてきたか」 口の端を愉快げに歪め、喉の奥で低く笑う。 彼の言う『その女』とは、紛れもなくリーザのことだ。 だが、リーザも負けてはいない。 「『その女』とは、随分とご挨拶ね。 聞けばアンタ、年老いたレッドドラゴンらしいじゃない。 いい歳こいてセコいことしているから、 ソーサリアンさんに成敗されちゃうのよ」 嫌味には嫌味で返す。 リーザの言葉もまた痛烈なものだ。 それでもフラジオレは彼女の言葉を負け惜しみと取ったのだろう。形の良い整った眉を片方だけ上げ、人を小馬鹿にした表情をして鼻で笑う。 「ははは、言ってくれるなガマの女。 心地の良い言葉に酔い、醜いガマになることを 自ら望んだ愚か者が、今更なにを言っておるのだ」 流石にこの言葉にはリーザもやや怯んだように言葉を詰まらせる。 しかし、それも一瞬のことだ。 「……確かにっ、確かにあの時のわたしは 愚かだったわ。 でもね、ソーサリアンさんのおかげで、 アンタが人の純情を平気で踏みにじり、 陰で嘲笑う性悪だって分かって、 正気に戻ったのよ」 今のリーザは、過去から目を背けることなく、真正面からそれを受け止めていた。 だからこそ、彼女はフラジオレの辛辣な言葉に屈することなく、今こうして言葉を繋いでいる。 さあ、反撃よ。――そうとでも言うように、リーザは目の前の男を睨み付け、口の端を上げて不敵に笑った。 「それに、愚かだと言うのなら、 竜としての誇りも忘れ、人を騙すことで 憂さ晴らしをして、最後には勇者に斃された アンタだって、相当に愚かじゃないかしら?」 **よく言ったリーザ!!** 君はリーザが放った会心の反撃に歓声を上げた。 だが、その直後、その場の空気が凍り付いた。 見れば、フラジオレが殺気をみなぎらせた形相でこちらを睨み付けていたのだ。 その顔に先程までの余裕などなく、どうやらリーザの反撃は奴の逆鱗に触れたようだった。 **「言わせておけば、ガマ女風情が調子に乗りおって! 混沌により蘇った私の力、とくと味わうがよい!!」** 空間が震えるような憤怒の叫びを上げたフラジオレの姿が、本来の姿――レッドドラゴンへと変わってゆく。 **「いくわよ! ソーサリアンさん!!」** 君は突然リーザに声を掛けられてビクリと肩を震わせた。 だが、すぐに表情を引き締め、手に持った武器を握り締めると、赤き亡竜に向かって駆け出した! [フラジオレ! 覚悟しろッ!!](72) 72 こうして、本来の姿に戻ったレッドドラゴン<フラジオレ>との戦いが幕を開けた。 混沌によって蘇ったフラジオレは、以前よりも強くなっていることは君も実感していた。 だが、フラジオレは混沌の力を得たとは言っても、空を飛んでいる訳でもなければ、ましてや以前よりも素早いという訳でもない。 ${if !i10} それに、作戦もしっかり練ってきたことに加え、今回はリーザの強力な加護もあって沼の水に足を取られることもなく、非常に戦い易かった。 更に付け加えるならば、君自身も初めてフラジオレと戦った時から、既に数々の冒険を経験してきている。当時の君との経験の差も大いに関係していることだろう。 ${/if} ${if i10} それに、作戦もしっかり練ってきたことに加え、今回はリーザの強力な加護もあって沼の水に足を取られることもなく、非常に戦い易かった。 更に付け加えるならば、君自身も初めてフラジオレと戦った時から、既に数々の冒険を経験してきている。当時の君との経験の差も大いに関係していることだろう。 ……あと、なんとなく魔法への耐性が強くなっているような気がするのだが、もしかしてこれって<レインボーポーション>の効果だったりするのだろうか……? ${/if} ――とまあ、そんな様々な条件が重なったことで、今のフラジオレの戦闘力自体は、今の君にとってはそこまで脅威と言えるものではなかったのである。 ザンッ、という小気味良い音を立て、君の持った武器が赤き亡竜の胴体を薙いだ。 フラジオレは顎が外れんばかりに口を開け、耳障りな悲鳴を上げながら沼の奥へと後退してゆく。 君によって赤い体躯に刻まれた傷口からは、鮮やかな赤い血ではなく、緑色の腐臭を放つ汁が、粘り気を伴って流れ落ちていた。 **観念するんだな! フラジオレ!!** 君が声高らかに叫び、フラジオレにトドメの一撃を喰らわせようとした、その時だ。 フラジオレの身体が眩い光を放ったかと思ったのも束の間、次の瞬間には、沼の表面に浮きながら倒れ伏す魔法使いの男の姿があった。 フラジオレは何を思ったのか、急に人間の姿へと変化したのだ! [これは一体……!?](73) 73 魔法の力か何かなのだろうか。フラジオレは、沼の表面に浮いた状態で倒れている。 その姿は泥に塗れ、衣服もあちこちが破れていたりと、対面した時の小綺麗さは影を潜めていた。 だが、傷付き、苦しげに息を荒げ、振り乱された銀髪から覗く顔は、悔し過ぎるほど絵になっている。……なんて、そんなことを思ってしまったのは、己のことながら誠に遺憾である。 腐ってもイケメンということか、くっ……。 「い、一体なんのつもりよ……?」 リーザが狼狽えたように呟く。君もフラジオレの動きに警戒し、眼光鋭く睨み付ける。 フラジオレはリーザの言葉に反応したように、弱々しい動作で顔を微かに君達の方へと傾けた。 髪の一房が目元を覆い隠しているが、自分達を見上げているであろうことは、君とリーザにも容易に想像できた。 「私は二度目の死を迎えようとしている。 だが、今際の際になって、ようやく気付いたのだ。 リーザ、私はそなたを本気で愛していたのだと……」 フラジオレの突拍子のない言葉に、リーザも君も己の耳を疑う。 「えっ……」 あまりの動揺に目を見開いたリーザの口から、乾いた声が転がり落ちた。 [えっ……?](74) 74 暫しの沈黙が流れ、リーザは言葉の意味をようやく理解した。 あまりにも真実味がなさすぎるフラジオレの言葉に脳が混乱し、内容をすぐに理解できなかったのだ。 リーザは目を吊り上げ、怒りで顔を真っ赤に染めて、拳を強く握りしめていた。 その拳は、激情と羞恥で細かく震えている。 **「ばっ、馬鹿にしないで!! そんなこと言ったって、もう騙されないんだから!」** 怒鳴りつけるリーザとは正反対に、フラジオレの方は落ち着いていた。 フラジオレは僅かに頭を振り、彼女の言葉を否定した。 汚れた銀髪の間から覗くフラジオレの片目が、息巻くリーザを真剣に見上げている。 「嘘ではない。この言葉は真だ。 初めは沼で見掛けた若い娘を 少しからかってやろうとしていたのは事実だ。 だが、一途に私を慕い、共に生きるためならば、 醜いガマになることも厭わぬ そなたの優しく純粋な想いに、 私の孤独は次第に薄らいでいったのだ」 **「うそ、うそよ、そんなこと!!」** ${if !i10} リーザは目をきつく閉じ、両手で側頭部を押さえるようにして、イヤイヤと首を横に振る。 フラジオレは彼女の反応に胸を痛めているとでもいった様子で、自らの胸を手で押さえ、服をぎゅっと握りしめた。 ${/if} ${if i10} リーザは目をきつく閉じ、両手で耳を塞ぐようにして、イヤイヤと首を横に振る。 フラジオレは彼女の反応に胸を痛めているとでもいった様子で、自らの胸を手で押さえ、服をぎゅっと握りしめた。 ${/if} 「……すぐに信じてもらえぬのも致し方ない。 私は私自身の中に湧き上がった想いに戸惑い、 幻想だと己に言い聞かせ、そなたを忘れようと 酷い言葉を並べ立てていたのだからな。 まったく……私も愚かなことをしたものだ」 フラジオレは顔にかかった髪を振り払い、リーザを再び真っ直ぐ見上げる。 「リーザよ、我が愛しき人よ。 今までの非礼を許してくれとは言わぬ。 だが、最期に我が想いを聞いておくれ。 今まですまなかった。 そして、私は今でもそなたを愛している」 今生の別れに今一度、フラジオレはリーザに愛の言葉を捧げる。 その双眸からは、何処か弱々しさや哀れさすらも感じられた。 「そんな……そんなこと……」 ${if !i10} リーザが側頭部に当てていた両手が少しずつ下がってきた。 苦しげに細められた瞳でフラジオレを見つめ、震える声で同じ言葉を繰り返している。 ${/if} ${if i10} リーザが耳に当てていた両手が少しずつ下がってきた。 苦しげに細められた瞳でフラジオレを見つめ、震える声で同じ言葉を繰り返している。 ${/if} [リーザ!!](75 "!i10") [リーザ!!](76 "i10") 75 「さあ、最期にそなたの愛らしい顔を 近くで見せておくれ、リーザ」 優しく、それこそ愛を囁く恋人のような声色で、フラジオレはリーザに向かって片手を伸ばしている。 君は「貴様……!」と怒りで声を荒げ、フラジオレに武器を突きつけた。 罵詈雑言からの甘言など、到底信じられるものではない! よくもまあ、いけしゃあしゃあと……! 腹わたが煮えくりかえるような思いで、君はフラジオレの言葉を突っぱねる。 だがしかし、肝心のリーザは、君の肩の上で苦しげに呻き、震えている。 このままではリーザが迷ってしまうかもしれない。 そう考えた君は、武器を振り上げ、フラジオレにトドメを刺そうと決意した。 ……のだが、そこで信じられないことが起こった。リーザが君の肩から飛び降り、フラジオレの手に乗ったのだ! **リ、リーザ……!?** 武器を振り上げた体勢のまま、君は上擦った声で彼女の名を呼んだ。 しかし、彼女はフラジオレの手に乗ったまま、こちらを振り向こうともしない。 君が更に彼女の名を呼ぼうとした時、君の足はずぶずぶと沼へと沈み始めていた。 突然のことに思考が追い付かない。 君は混乱しながら必死になってもがいた。だが、もがけばもがくほど、君の身体は沼へと沈み込んでゆく。 それは、君の身体からは既に、リーザによる精霊の加護が消えてしまっていることを意味していた。 沼の中で必死にもがく姿を目の前にして、フラジオレはリーザを肩に乗せて立ち上がり、声高らかに笑った。 「こんなにあっさりと<${魅了の魔法|チャーム}>に 掛かるとはな!! 本当に何処までも愚かなガマの女よ!! まあ、混沌の影響で少しばかり 魔法の効力が強くなってはいたがな、ははは……!」 **貴様ァ……! 一度ならず二度までもリーザを弄んだなッ!!** 君は射殺さんばかりの殺気と憤怒に満ちた瞳で、フラジオレを睨め付け、怒号を発する。 しかし、既に君は首まで沈んでいた。そんな君を見下すフラジオレは、まるで虫ケラでも見るような目をしていた。 「哀れよなぁ、ソーサリアンよ? 愚かなガマの女に振り回され、 果てには裏切られたのだからなァ!」 嘲りの言葉と共に、君は思いっきり頭を踏みつけられた。 咄嗟に目は瞑ったが、口と鼻の中に沼のドロドロとした濁った水が入り込む。 しかし、それを排出することは許されず、君はとうとう頭まで沼に沈んでしまった。 苦しみ、もがきながら沼の冷たい奥底へと沈みゆく君が最期に見たのは、妖しい赤い光を目に宿したフラジオレの崩れた顔と、君をぼぅっと見つめる虚ろな目をしたリーザの姿であった……。 **%purple%BAD END【おろかなひとね……】%/%** 76 **「誰が信じるか結婚詐欺竜がぁぁーーーーーッッ!!!」** 凄まじい形相で絶叫したリーザが、<レインボーポーション>の入った瓶でフラジオレを殴打すると、それはそれは盛大な音を立てて瓶が砕け散り、七色の液体が弾けた! ![乙女の怒り(物理)](marsh04.png) **「ぐあああああああああーーーーーーーーーッッ!!?」** レインボーポーションをまともに浴びたフラジオレは、絶叫して両手で目を覆い、しゅうしゅうと白煙を上げながら悶え転がっている。 その内に姿が年老いたレッドドラゴンに戻ったのを見て、リーザは振り返って叫んだ。 **「今よ! ソーサリアンさん!!」** おっ、おっ……おう!!! **フラジオレ、覚悟ぉぉおおおんどりゃーーーーッッ!!!** 急に話を振られてやや挙動不審な君だったが、そこは流石のソーサリアン。 しっかりばっちり決めちゃいます。 そんな訳で、君の渾身の一撃を叩き込まれたレッドドラゴンは、恨み言を吐きながら浄化されたのでした。ちゃんちゃん。 [フラジオレ討伐完了!](77) 77 不吉な灰色の雲が去り、清々しい青い空がそこに在った。 フラジオレを斃した君とリーザは、森の中で何ともお気楽な会話をしながらグンダの家を目指して歩いていた。 太陽の暖かな光に照らされた森や沼地からは、今まで息を潜めていた虫や動物達の気配が辺りに戻ってきているのを感じる。 君は森の中を歩きながら、この地一帯から不自然な静寂が去ったことを実感した。 それは、フラジオレが討伐されたことで、辺り一帯に漂っていた邪悪な気配が消え、混沌の濃度も限りなく薄まったからだった。 亡竜として蘇ったフラジオレに操られていた<ゾンビ>の姿が消えていたのも、まさにその影響である。 これで死者も再び安らかな眠りにつくことができただろう。 どうか安らかに。――君は心の中でそっと祈りを捧げた。 こうして、君とリーザは何事もなくグンダの待つ家へと戻ることができた。 君は道中、グンダが無事に元の姿に戻れているか気掛かりだったが、それは杞憂に終わった。 彼は人の姿で君と娘のリーザを温かく迎えてくれたのだ。 人間、安心した途端にどっと疲れが出ることもある。 疲労困憊している君は、グンダの気遣いに甘んじて、彼の家で一晩休ませてもらうのだった。 [夜が明けて……](78) 78 グンダの部屋の窓から朝日が差し込んでいた。 グンダとリーザと共に早めの朝食をとった君は、旅立ちの支度を整えて家の外に出ていた。 沼地特有の湿度の高さは感じるものの、本来あるべき姿へと戻った沼地の様子に、向かい合って立っている三人の表情は明るい。 「ソーサリアン様、 二度も我々をお救いくださり、 本当にありがとうございました」 グンダが君の手を自らの両手で包み込みながら、深々と頭を下げて礼を言う。 リーザも父と同じように礼を言い、深々と頭を下げた。 君はいえいえと言った後、続けて「これもリーザのお蔭ですよ」と感謝の言葉を述べた。 すると、リーザも少し照れたように口元に手を当てて微笑した。 晴々とした笑みが溢れる中、君はグンダの手がぬっちょりしっとりしていないことに安堵し、昨日フラジオレを斃したことは夢ではなかったのだと改めて実感していた。 「それでは、我々は再び天界に戻ります」 グンダの言葉に君は頷き、天界でもお元気でと祈りの言葉を掛けた。 親子は晴れやかな笑みを浮かべて頷く。 「貴方はペンタウァの王都に戻って 今回のことを報告するんだったわよね?」 そう訊ねるリーザに、君は力強く頷いた。 彼女の言うとおり、君はこれから王都に帰還し、レッドドラゴンを斃したことを国王に報告するつもりだった。 「そう……じゃあ、これでお別れね。 ちょっと不謹慎かもしれないけれど、 わたしね、貴方と一緒に冒険ができて、 とても楽しかったのよ。 ありがとう、ソーサリアンさん」 一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべたリーザだったが、彼女はすぐににっこりと微笑む。 君にとってもリーザとの冒険は、(色々とハプニングには見舞われたものの)共に騒ぎ、笑い、助け合うという、己の冒険人生においてとても楽しい一時であったと笑顔で応えた。 途端にリーザの頬が少し赤く色付いたように見えたが、気のせいだろうか? そんな二人のやり取りを眺めていたグンダは、その微笑ましい姿に頬を緩めるのだった。 [そして……](79) 79 「おぉ、お引き留めして申し訳ない。 そろそろお開きとしましょうか」 グンダの言葉に君も賛成だと頷く。名残惜しいが、互いに帰るべき場所があるのだ。 君と向かい合っているリーザとグンダは、表情を引き締め、祈りを捧げるように胸の前で手を組んだ。 「キングドラゴンに干渉するということは、 それだけ多くの苦難に立ち向かうということです。 しかし、歴戦の勇者である貴方なら、 数々の苦難に打ち勝ち、 必ずや使命を果たせることでしょう」 リーザは厳かな口調でそこまで言うと、グンダと共に君に向かって微笑んだ。 「ペンタウァの勇者よ、貴方に精霊の祝福を」 リーザとグンダの祈りの言葉を胸に、君もまた二人の幸せを祈ると、笑顔で別れを告げた。 君は二人に背を向けると、ペンタウァに向かって歩き出すのだった。 次にリーザ達と逢える機会は、きっとキングドラゴンの復活を阻止して、ペンタウァに平和が訪れた後になるだろう。 それはどれほどの未来の話になるのかは、今の時点ではまるで見当も付かない。 しかし、生きている限り、顔を合わせるのはこれが最後という訳ではない。 だからこそ、次の再会を願って、笑顔で別れ、そして各々の道に進むのである。 [さあ、王都に帰って報告しよう!](80) 80 少し肌寒さを感じた朝の空気が、次第に暖まってきたのを感じる。 朝日を一身に浴びながら歩く君の表情は、とても晴れやかだ。 これでキングドラゴンの復活も遅らせることができただろう! 君はそんな心地良い達成感に気を良くしながら、軽い足取りで帰路を歩いていた。 ――そんな時だった。 白い鳩が一羽、君の頭の上に降り立ったのだ。 君は突然のことに驚くが、ソフトタッチで鳩を頭の上から下ろすと、その足に小さな金属製の筒が取り付けられているのを見付けた。どうやら伝書鳩のようだ。 君は筒の中から巻物のように巻かれた小さな紙を取り出して、頭の上にそっと鳩を乗せた。 それから、その小さな紙を慎重に開いてゆくと、光を伴った文字がふわりと空中に浮き出し始めた。 限られた者しか読めない魔法の仕掛けが施された手紙。 その送り主は、やはりと言うべきか、ペンタウァの王宮に仕えし偉大なる魔法使いエティスであった。 ふーむ、なになに……? 君はしげしげと手紙の内容に目を通す……のだが、信じられない一文に目を見開いた。 その視線が下がってゆくにつれて、顔が強張り、凍りついてゆく。 ``` 『此度のレッドドラゴン討伐、誠にご苦労。 しかし、その竜について残念な知らせがある。 ワシはそなたが個人的な依頼で沼地へと 旅立ったことを後から知り、 こちらでも沼地の竜について調べてみたのだが…… その結果、此度のキングドラゴンの件とは 何の関係もない竜であると判明したのだ。 疲れているところ誠に申し訳ないが、 そなたには、そのまま<盗賊たちの塔>へと 向かって欲しいのだ。 実は、塔の地底洞窟に封印されている <シャドードラゴン>が(中略) よろしく頼むぞ、ソーサリアンよ! (エティスより) 追伸: 王都にウォーターシェリーの大群が押し寄せ、 猫用の缶詰を強奪しようとしておったが、 そなたは何か・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・』 ``` 君は手紙を持って茫然と立ち尽くす。 手紙の後半部分の内容は、はっきり言って頭の中に入ってこなかった。 ……フラジオレが、無関係って……。 [うそ、うそだ、そんなの……](81) 81 こうして、一人の勇者の竜を巡る冒険への第一歩は、残念ながら不発に終わってしまった。 しかし、君の活躍によって救われた者達がいることを忘れてはならない。 そう。リーザとグンダの親子、そして沼地や森に暮らす者達にとって、君は紛れもなく悪しき亡竜フラジオレを斃した最高の勇者なのである。 そんな訳で、誉れ高き勇者よ。肩を落とさずにこれからも頑張って欲しい。 さてさて。 この後の展開についてだが、一人の勇者がとぼとぼと<盗賊たちの塔>に向かってシャドードラゴンを斃したとも、こんなモンやってられるかーと役目を辞退したとも言われている。 ――だが、実際にはどうだったのか? ${if r10:shadow} それは、この物語よりも先に、人と竜の在り方を綴った英雄譚第一章『常闇から来たる影』を読んでくれた『君』ならばご存知のとおり、という訳だ。 ${/if} ${if !r10:shadow} それは、この物語を読んでくれた『君』次第という訳だ。 ${/if} **%blue%HAPPY(?) END【いそがしいひとね】%/%**