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2017-2020, SORCERIAN Next Team
0 君の眼前には、天を衝くが如くそびえ立つ塔がある。 それは旧カルーン王国の城であり、今では『盗賊たちの塔』と呼ばれていた。 今より遥か昔のこと。 当時のカルーン王国は、元々が魔法国家として大いに栄えた国であった。 しかし、王に仕える家臣が誤って召喚した悪しき竜<シャドードラゴン>により、カルーン王国の栄華は終わりを告げた。 無限の命を持つ竜は、昼夜問わずカルーン王国で暴れ続け、破壊の限りを尽した。 そんな圧倒的な力を前に人々は成す術もなく、誰もが国の滅亡を覚悟し始めた頃、賢人達の手により、<聖なる力を持つ首飾り>が完成したのである。 カルーン王家の巫女が首飾りの力を使うと、シャドードラゴンは城の地下――地底へと封印された。 こうしてカルーンの人々は、永遠に続くかと思われた災厄に終止符を打つことができたのだった。 しかし、それまでに払った犠牲は、決して少なくはなかった。 多くの者が命を落とし、城は無残な姿へと変わり果てていたのだ。 カルーン王国の人々は、戦いで散った者達の想いと、深き悲しみを胸に刻み、半壊した城を放棄すると、新天地へと旅立ったのだった。 ――これが、現在のカルーン王国の成り立ちである。 城が放棄されてから長き時が流れた。 そこは既に城としての様相は持たず、一部の外郭を以って塔としていた。 『青い風』と呼ばれる盗賊集団が住み着いてからは、尚更塔としての知名度を高めていたのだった。 『青い風』とは、悪徳商人しか狙わない義賊の集まりであったのだが、とある時期から残虐な賊へと成り果てた。 その変貌の原因は、塔の地下に封印されたシャドードラゴンを御し、世を征服せんと企む悪魔に利用されたからなのだが、それも既に過去の話。 当時『青い風』に囚われたカルーンの姫君達を救うため、王より遣わされたソーサリアンが多くの目覚ましい活躍を見せ、シャドードラゴンも再び封印されたことで一連の騒動は幕を下ろした。 この出来事で姫君は親愛なる従者達を、盗賊達は信頼を寄せる仲間を喪ったが、こうして『青い風』は、再び義賊の集団へと戻ったのである。 さて、前置きが長くなったが、そんな曰く付きの塔に『君』――ペンタウァの若き戦士**${name}**は、『ある勅命』を受けてやって来た。 君は、塔の地下に張られた竜封じの結界が何らかの原因で解かれ、其処に封じられていたシャドードラゴンが完全復活を遂げぬよう討伐するためにこの塔に赴いたソーサリアンなのだ。 シャドードラゴンを討伐し、その邪なる魔力を断つことで、暗黒竜<キングドラゴン>の封印が解かれる一因を除することができる。 しかし、そのシャドードラゴンは、無限の命を持つ呪われし竜。完全に討ち滅ぼすことは何人たりとも叶わない。 故に、シャドードラゴンの討伐後、本来ならばカルーンの姫君の手により再び強力な封印を施してもらう必要があるのだが、何とも間が悪いことに、この塔へと向かう準備を進めていた姫君が何者かに拐われてしまったのである。 カルーンの姫君が見付からない以上、シャドードラゴンを再び封印することはできない。 つまり、他の者達が姫君の行方を捜索している一方で、君はシャドードラゴンを討伐して無力化し、再封印までの時間稼ぎに死力を尽くすのみ、ということだ。 君は空を見上げる。 悪しき気配が暗雲となって立ち込めているのか、塔の頂を中心とした空には、灰色の厚き雲がただ広がるのみであった。 果たして君は<シャドードラゴン>を討伐できるのか? さあ、覚悟を決めて塔に入りたまえ! ![常闇から来たる影](shadow01.png) [冒険に挑む](1) 1 塔の入り口付近を徘徊していた魔物を倒した君は、大きな爪痕が刻まれた扉の前まで来た。 これが塔への入り口だ。君は扉の取っ手に手を掛け、力を込めて扉を開こうとする……が、扉はビクともしない。 まさか、腕力不足で扉が開かないのでは……? 力んで赤くなった顔が、そんな馬鹿なと青くなる。 もしそうだったとしたら、ドラゴン退治以前の問題なのだが……。 「おい。あんた、もしかしてソーサリアンか?」 突然、扉越しに声を掛けられて、君はビクリと肩を震わせる。だが、此処で立ち往生している訳にはいかない。 君は声の主に対して正直に素性を明かすと、国王の書状を翳し、ドラゴン討伐のために此処を訪れたことを伝えた。 暫しの沈黙の後、「いいだろう、今開けてやる」という返答と共に扉が開かれた。 そこに立っていたのは、眼光鋭い屈強な男達だった。 ただし、男達は体のあちこちに血が滲んだ包帯を巻き、君を見るその表情には、疲労を色濃く滲ませていたのだが。 [次へ進む](2) [27,28](X) 2 君は盗賊達に案内され、塔の上層部の一室にいた。 今、君の眼の前で国王の書状に目を通し、疲れたように溜息をついたのは、やや癖のある赤毛の青年だ。 彼の名はテュモー。今は『青い風』の頭領が失踪中のため、彼が頭領代理を務めているらしい。 テュモーは書状を畳み直すと、それを君にポイと投げて寄越した。 「なるほどな、全てはキングドラゴン復活の前兆と分かれば、 この塔の状況にも納得がいくよ」 苦笑するテュモーは、君に塔の現状について説明してくれた。 その話を要約するとこうだ。 この塔の外に魔物が集まり出し、塔の名物である酒の滝が枯れた時期が、丁度<キングドラゴン>の封印が弱まった時期――つまり、シャドードラゴンの封印が解かれたのとほぼ同時期だろう――と重なるということ。 塔の地下からも魔物が這い出してくることがあり、塔の住民は比較的安全な場所に集まり、避難しているということ。 原因の調査をしようと塔の地下から地底へと向かった者が、未だに帰ってきていないということ。 戦える者が魔物を食い止め、交代で見張りなどを行なっているが、籠城しているため、そろそろ貯蔵が底を尽き掛けているということ。 ……テュモー達が疲れた顔をしている理由が痛いほどよく分かった。 其処に至るまでに、負傷して寝かされた者や、不安げな表情で身を寄せ合う者達を見てきたが、この状況下なのだ。納得するよりほかはない。 「俺達『青い風』は、あんたに協力を惜しまない。 もちろん、報酬だって払うさ。だから頼む、この塔の地下で 封印が解かれちまったっていう竜を斃して欲しい……。 情けない話だけど、俺達の力じゃどうにも出来そうに ないからさ……」 恥も外聞もなく、君に頭を下げて助けを乞うテュモー。 君はテュモーの肩に優しく触れると、顔を上げた彼に向かって力強く頷いたのだった。 「……ありがとうよ、勇者様」 テュモーは顔をくしゃりと歪め、俯いてぽつりと呟く。その声は震えていた。 小さく鼻を啜る音が聞こえた後、再び顔を上げたテュモーは、「そうだ」とズボンのポケットから小さくて薄い木の板を取り出した。 「これをあんたに渡しておくよ」 そう言ってテュモーが渡してくれたのは、『青い風』の盗賊ならば誰もが持っている<通行証>だった。 これを持っていれば、塔の住人の協力を得られ、塔の内部も自由に動き回れるらしい。 「もしかしたら此処に住んでる奴の中で、 あんたの役に立ちそうなことを知っている奴が いるかもしれないし、竜の懐に飛び込むっていうんだから、 それ相応の準備も必要だろうしな。 準備が整ったら、また俺に声を掛けてくれよ」 君はテュモーの言葉に頷くと、<通行証>を失くさぬよう道具袋の中に仕舞ってから退室した。 **★<通行証>を手に入れた!** [次へ進む](3) 3 ${if -f03,f04} 『青い風』協力者の証である<通行証>を受け取った君は、塔の内部を自由に動き回れるようになった。 キングドラゴンやシャドードラゴンの影響で、この塔にも色々と変化があったようだし、塔の住人にも話を訊いてみよう。 君は今、エレベーターが稼働する部屋にいる。 このエレベーターを管理する中年の男が君の方を見ていた。 「普段はよそもんは乗せねぇんだが、協力者なら話は別だ。 用があるならさっさと乗りな」 さて、何処へ行く? ${/if} ${if f03,f04} 君は今、エレベーターが稼働する部屋にいる。 このエレベーターを管理する中年の男オルムが君の方を見ていた。 「おい、にいちゃん。 そろそろテュモーのところに戻ったらどうだ? ほら、足元に気を付けてエレベーターに乗れよ」 ……おや? 口調こそぶっきらぼうだが、言葉の印象が柔らかくなったような……? 君は口元を綻ばせつつ、素直に頭領の部屋へと戻ることにした。 ${/if} ![エレベーターの管理人オルム](shadow02.png) [頭領の部屋へ行く](4 "r03:zero") [頭領の部屋へ行く](5 "-r03:zero") [クオレ婆さんの部屋へ行く](6 "-f03") [塔の下層へ行く](7 "-f04") 4 此処は頭領の部屋だ。 今はテュモーが執務室として使っているらしい。 どうやらテュモーは、現在の備蓄や被害状況などの情報を紙にまとめている最中のようだ。その表情は険しく、疲労が溜まっているように見える。 「${msg?アジトが大変だって時に、お頭は何処に行っちまったんだぁ……?:この先、一体どうなっちまうんだろうな……?}」 ${if f02,f03,f04} そんな風に不安げに呟いているテュモーに、君は地底に行く準備が整ったことを伝えた。 「そうか。よし、了解した。 それじゃあ、俺はちっと準備があるから、あんたは先に 俺の部屋に行っててくれよ。 クオレ婆さんの部屋より一つ上の階にある部屋なんだけど、 まあ、分からなかったらエレベーターを管理している オルムのおやっさんにでも訊いてくれ」 君はテュモーの言葉に頷きつつ、ふと疑問に思ったことを口にしてみた。 「えっ? 『なんで前もって準備してなかった』だって? うるさいなぁ、それには${理由|ワケ}があるんだっての。 じゃあ、俺は行くよ。くれぐれも迷子にならないようにな」 テュモーは言うが早いか軽い身のこなしで部屋から出ていった。 その表情は、やや明るさを取り戻しているようにも見えた。 ${/if} [エレベーターの部屋に戻る](3 "-f02,f03,f04,f05") [テュモーの部屋へ行く](8 "f02,f03,f04,f05") 5 此処は頭領の部屋だ。 今はテュモーが執務室として使っているらしい。 どうやらテュモーは、現在の備蓄や被害状況などの情報を紙にまとめている最中のようだ。その表情は険しく、疲労が溜まっているように見える。 「${msg?アジトが大変だって時に、お頭は何処に行っちまったんだぁ……?:この先、一体どうなっちまうんだろうな……?}」 ${if f02,f03,f04} そんな風に不安げに呟いているテュモーに、君は地底に行く準備が整ったことを伝えた。 「そうか。よし、了解した。 それじゃあ、俺はちっと準備があるから、あんたは先に 俺の部屋に行っててくれよ。 クオレ婆さんの部屋より一つ上の階にある部屋なんだけど、 まあ、分からなかったらエレベーターを管理している オルムのおやっさんにでも訊いてくれ」 君はテュモーの言葉に頷きつつ、ふと疑問に思ったことを口にしてみた。 「えっ? 『なんで前もって準備してなかった』だって? うるさいなぁ、それには${理由|ワケ}があるんだっての。 じゃあ、俺は行くよ。くれぐれも迷子にならないようにな」 テュモーは言うが早いか軽い身のこなしで部屋から出ていった。 その表情は、やや明るさを取り戻しているようにも見えた。 ${/if} [エレベーターの部屋に戻る](3 "-f02,f03,f04") [テュモーの部屋へ行く](9 "f02,f03,f04") 6 此処はクオレ婆さんの部屋だ。 住人の話によると、このクオレという老婆は、若い頃にこの塔に連れてこられ、それからずっとこの塔で盗賊達と共に暮らしているらしい。 「おや、その格好はソーサリアンかい? 久しいねぇ、ソーサリアンにはちょいと前に悪魔退治の件で 世話になったことがあるのさ」 まるで旧友に逢ったかのように、クオレ婆さんは君に親しげな笑顔を向けている。 だが、君がテュモーと話したことを彼女に聞かせると、彼女は驚いた表情を見せた後、「なるほどね、そういうことだったのかい……」と神妙な顔で頷いた。 「実はね、さっき言った悪魔退治の件には、 この塔の地下に封印されていた竜が絡んでいたのさ」 クオレ婆さんはそう言うと、悪魔退治の話を聞かせてくれた。 彼女の話を要約すると、かつて一匹の悪魔が『青い風』を陰から操り、地下に封印されていたシャドードラゴンの結界を破り、その強大な力を以て世界を征服しようと企んでいたが、当時この塔に訪れたソーサリアンによって斃され、悪しき野望は打ち砕かれた、という内容だった。 「あぁ……ソーサリアンのあんたになら、 『あの剣』が使えたかもしれないのにねぇ。 ……ん? ああ、『あの剣』っていうのはね、 ソーサリアンが悪魔退治の時に手に携えていた 一本の剣のことさ。 <ガラティーン>といってね、邪悪なるものを滅する力を 宿した銀の聖剣なんだ」 **ぎっ、銀の聖剣だって!?** 君は瞳を煌めかせ、その聖剣が何処にあるのかと訊ねた。戦士たる者、剣の話題には目がないのだ。 しかし、クオレ婆さんは力なく首を横に振った。 「塔がこんなことになる前までは、あたしがその剣を 保管してたんだけどねぇ……なくなっていないか 毎日確認していたのに、今回の騒ぎが起きる直前に 綺麗サッパリなくなっちまったんだよ……」 君はガックリと肩を落としたが、気を取り直して老婆に気にしないでくれと伝えた。 「優しいねぇ。そう言ってもらえて、胸が少し軽くなったよ。 そうだね、剣の代わりと言っちゃあなんだけど…… よし、あったあった。 さあ、これを持っておいき。きっと少しは役に立つ筈さ」 本棚の隙間から小さな木箱を取り出したクオレ婆さんは、箱の中に入っていた<七惑星の欠片>を君の手に握らせた。 「これから地底に行くんだろう? お願いだから、あんたは生きて帰ってくるんだよ……」 しわくちゃで節くれだった両手で君の手を包むクオレ婆さん。彼女は君の身を切に案じているようだった。 君はもう片方の手で彼女の手に優しく触れると、欠片の礼を言い、「絶対に生きて帰ってくるよ」と力強く頷きながら約束したのだった。 **★<七惑星の欠片>を全種類1個ずつ手に入れた!** [エレベーターの部屋に戻る](3) 7 此処は酒の滝へと続く階段がある小部屋だ。 しかし、その階段は数枚の板で塞がれているようで、多くの樽やら木箱がうず高く積まれている。更には武器を持った男二人が立っていた。 どう見ても階段を下りられそうにないが、情報は一つでも多い方がいい。 君は見張りの男に<通行証>を提示しながら事情を説明した後、彼等から話を訊くことにした。 「地底か……酒の滝が止まっちまってる今なら、 其処の穴から向かった方が早いんだが…… 湧き出してくる魔物を此処で食い止めているんでな、 誰かを通すためにゃあ『こいつ』を退かさにゃならん。 だが、それはできんのだ。すまんな」 男が親指で指し示す『こいつ』というのは、勿論この高く積まれた樽や木箱、床に張られた板のことに他ならない。 やはりと言うべきか、地底に繋がる酒の滝への階段は、魔物の侵入を防ぐため厳重に封鎖されていたのである。 もう一人の男が言った。 「もし地底に行ってくれるってんなら、 他にもルートがあるんだ。 ……まあ、今となっては安全なルートなんて 何処にもないだろうがな。 とりあえず此処はあんたでも通せねぇ。 わりぃが、テュモーの兄貴に相談してみてくれ」 そういう事情があるなら無理強いはできない。 ……と、そこで君は木箱やら樽の陰にもそもそと動く黒い何かを見て、思わず剣に手を掛けて身構えた。 先程まで喋っていた男二人が、慌てた様子で君を宥め、黒い影の正体を教えてくれた。 男の一人が黒い影を引き摺り出すと、倒れたまま辛そうな顔をして呻いている中年の男が姿を現した。 君が大丈夫かと声を掛けるが、中年男は君の手を払いのけて「サケ~サケ~」と奇妙な呻き声を繰り返すだけだ。 一体どうしたんだと訊ねる君に、見張りの男は苦笑して肩をすくめた。 「ああ、このおっさんは塔で使う鍵の番人をしているんだが、 呻き声を聞いても解かるようにかなりの飲んだくれでな、 酒の滝が枯れちまったらこのザマさ」 ……サケ~って酒のことだったのか……。 君は呆れた表情でそう納得すると、鍵の番人おじさんのことは見なかった素振りで踵を返そうとするが、そこで「待ってくれ」と見張りの男に呼び止められた。 「地底からやって来る魔物が落としたモンなんだが、 良かったら使ってくれ」 「今までに襲ってきた魔物は、直接攻撃してくる奴の方が 多かったぜ。 あと、人を石にしちまうヤバイ奴もいたからな、 くれぐれも気をつけてな」 一人からは<七惑星の欠片>を、もう一人からは魔物の情報を得た君は、呻く鍵の番人おじさんを余所に彼等に礼を言うと、この場を後にしたのだった。 **★<木星、金星、土星、太陽の欠片>を2個ずつ手に入れた!** [エレベーターの部屋に戻る](3) 8 君はテュモーの部屋で待機していると、壁の一部の色が異なっていることに気が付いた。 なんだろうと手で軽く触れてみたつもりだったのだが、壁は存外脆く、ばらばらと崩れ落ちてしまった! **うわぁ、壊してしまったぞ!?** 君は動揺して挙動不審になってしまったが、まだテュモーが来ていないことを確認すると、被害状況を確認しようと恐る恐る穴を調べ始めた。 空いた穴は、人一人が立ったまま通れるくらいの大穴だ。其処は通路に繋がっていて、遠くに壁が見えた。 好奇心が疼き、通路の先へと進むと、通路の終わりは円柱状の部屋に繋がっており、真ん中に大きな穴が空いていた。 眼下には底の見えない広大な漆黒の空間があり、そこから生温く湿気のある風が吹き上げている。 ![漆黒の闇](shadow03.png) これは、${いける|・・・}だろうか……? 君は大穴から視線を逸らさないまま、此処から地底へと飛び降りられるかどうか考えていた。 普通の冒険者ならば、此処から飛び降りるなど正気の沙汰かと心配されても仕方がないことだが、ソーサリアンであるならば話は別だ。 ソーサリアンの装備品には、精霊や神々の加護が文字として刻まれていたり、護符が内包されている――損傷防止の為、主には装備品の裏側に施されている――のだが、その恩恵により、恐ろしいほどの高所から飛び降りてもふわりと着地出来たり、水中でも短時間なら呼吸が出来るなど、多少の無茶なら通すことが可能なのだ。 だが、地下では異常が起きているのはまず間違いない。不測の事態が起きる可能性だってある。 そんな場所に落ちて自ら不利な状況になったとすれば、それはもう笑い話では済まないのだ。 ここまで考えて尚も飛び降りられるか試してみようとするほど君は命知らずではない。 君はテュモーにどう謝ったものかと悩みつつ、部屋の中に戻ることにした。 ……その筈だった。 %white% ・%/% 突然鈍い音がして、視界がぶれた。 %white% ・%/% 頭が割れるほどの激痛。 痛みを中心に生温かく濡れる感覚。 一体何が起こったのかも理解できないまま、急速に視界が黒く染まってゆく……。 %red% **▼HPに3ダメージを受けた!**%/% [一体……何が……?](10) 9 君はテュモーの部屋で待機していると、壁の一部の色が異なっていることに気が付いた。 なんだろうと手で軽く触れてみたつもりだったのだが、壁は存外脆く、ばらばらと崩れ落ちてしまった! **うわぁ、壊してしまったぞ!?** 君は動揺して挙動不審になってしまったが、まだテュモーが来ていないことを確認すると、被害状況を確認しようと恐る恐る穴を調べ始めた。 空いた穴は、人一人が立ったまま通れるくらいの大穴だ。其処は通路に繋がっていて、遠くに壁が見えた。 好奇心が疼き、通路の先へと進むと、通路の終わりは円柱状の部屋に繋がっており、真ん中に大きな穴が空いていた。 眼下には底の見えない広大な漆黒の空間があり、そこから生温く湿気のある風が吹き上げている。 ![漆黒の闇](shadow03.png) これは、${いける|・・・}だろうか……? 君は大穴から視線を逸らさないまま、此処から地底へと飛び降りられるかどうか考えていた。 普通の冒険者ならば、此処から飛び降りるなど正気の沙汰かと心配されても仕方がないことだが、ソーサリアンであるならば話は別だ。 ソーサリアンの装備品には、精霊や神々の加護が文字として刻まれていたり、護符が内包されている――損傷防止の為、主には装備品の裏側に施されている――のだが、その恩恵により、恐ろしいほどの高所から飛び降りてもふわりと着地出来たり、水中でも短時間なら呼吸が出来るなど、多少の無茶なら通すことが可能なのだ。 だが、地下では異常が起きているのはまず間違いない。不測の事態が起きる可能性だってある。 そんな場所に落ちて自ら不利な状況になったとすれば、それはもう笑い話では済まないのだ。 ここまで考えて尚も飛び降りられるか試してみようとするほど君は命知らずではない。 それに、今はテュモーにどう謝っ―― **「おーい、勇者様やーい」** まずい! テュモーがもう来てしまった!! 君はテュモーにどう謝ったものかと頭をフル回転させつつ、急いで部屋の中に戻ったのだった。 [こんなつもりじゃなかったんだが……!](11) 10 意識が混濁する中、金属が擦れる音だけが妙にはっきりと聞こえる。 何故だろうか、全身がとても軽くなったような気がするし、何だか急に心許なくなったような気もする。 それでも、自分自身では体が動かせず、漠然とした疑問を確認することもできない。 ただ、ずるっ、ずるっと低く鈍い音を立て、自分の体が自分の意思とは関係なく動いていることだけは解った。 ……いや、これは、動いているというよりも、引き摺られて……。 突如、腹部を突き上げるような衝撃が君を襲った。 伏せられていた瞼が強制的に上がり、目玉がぐるんと白目を剥く。 頭の中で火花が散り、思考が砕け散って、真っ白になった。 喉元をせり上がってきたものが、ごぼり、と口から飛び出す。喉が焼け、口腔に酸味が広がった。 そして、二度目には背中に鈍い痛みと衝撃が走ると、君の体は支えを失ったかのような、何とも頼りない浮遊感に襲われる。 天地がひっくり返り、生温かな風が体を打ち据える抵抗感を覚えながら、意識が朦朧とする君は……落ちてゆく。 何かに捕まろうと無意識に伸ばした手は何も掴めず。 漆黒の大穴に落ちゆく君の耳がたった一言だけ捉えた。 「地獄へ落ちやがれ」 それは吐き捨てるように。 深い憎悪が込められた、背筋が凍るほどの冷たい声だった。 [・・・・・・。](12) 11 部屋に来たテュモーと顔を合わせた君は、開口一番に壁を崩してしまったことを謝った。 それがあまりにも突然過ぎたのか、テュモーは一瞬ポカンとした顔をしたが、すぐに状況を察して「ああ、あれかい?」と不敵に笑った。 「あれは元々そういう作りになっているし、 これから壊すつもりだったからさ、寧ろ壊す手間が省けたよ」 それを聞いて、今度は君がポカンとする番だった。 「ほら、いつまでも変な顔してないで、これを見な。 これは魔法のロープっていうんだ」 流石は盗賊と言うべきなのか、こういった便利な道具を揃えることにも力を入れているようだ。 テュモーが言うには、このロープには魔力が込められた繊維が編み込まれているらしい。 試しにテュモーがナイフを使ってロープが切れるか見せてくれたが、それはしなやかな見た目に反して金属のような強度を持っているのか、とても切れそうになかった。 更に驚くべきことに、もしロープの長さが足りなくなったとしても、使用者が念じることで魔力の繊維が伸び、ロープを延長することができるというのだ。 流石に便利すぎやしないか、と訝しげな表情でテュモーを見る君に、テュモーは得意げな顔で実演してみせる。 ……確かにロープの端から魔力の繊維が伸び、絡み、ロープが延長された。しかも、延長された部分も強度は変わっていない。 テュモーが地下へ行く準備がすぐにできなかったのは、このロープの魔力を最大まで満たしておく必要があったから、という訳だ。 なるほど、これを見せられたら信じるしかない。 テュモーが部屋の外にある柱の一本にロープを厳重に縛り、確認してみろと君に促す。 君も頷いてロープを強く引っ張ってみたが、これなら大丈夫そうだという確かな手応えがあった。 「俺は此処でロープの番をしているから安心しなよ。 だけど、きっと地下には強い魔物が ウロウロしてるだろうなぁ……。 ドラゴンだって相当にヤバイ奴だって話だし……。 勇者様よぉ、無理だけはしないでくれよな」 不安な面持ちで君を見ながら、それでもと<七惑星の欠片>が入った小袋をくれたテュモーに、君は努めて明るく礼を言うと、自分の体にもしっかりとロープを巻き付けた。 君は大穴に垂らしたロープを頼りに慎重に地下へと降りていくのだった。 **★<七惑星の欠片>を全種類2個ずつ手に入れた!** [次へ進む](13) 12 君が目を覚ますと、目の前には一人の人間――少年が君とは逆の向きで浮遊していた。 その様は、君が下へと、少年が上へと向かうのを表しているかのようだ。 目の前で浮遊する人物は、見るも鮮やかな赤毛をしていて、赤い服の上から銀色に輝く鎧を纏い、同じく銀色の盾と剣を持った15、6歳ほどの少年だ。 不思議なことに、彼の周りには6冊の本が浮遊している。 何故かは解らないが、赤毛の少年を何処かへと導こうという意思のようなものを感じた。 少年の目がゆっくりと開く。よく澄んだ黒い瞳だった。 彼は君の姿を認めて少し驚いたようだったが、自分が身に纏う装備が淡く光り始めたことに気付き、何かを悟ったように穏やかな笑みを浮かべた。 君がその意味を考えあぐねていると、少年の体が眩く光り輝き、その光が君に向かって飛んできたのだ。 君は咄嗟に目を瞑って身構える。そんな君の全身を、眩い光が包み込んだ。 しかし、その光はまるで少年の心根を表しているかのように温かく、不思議と心が穏やかになっていく。 %white% ・%/% **持って行ってくれ。 きっと君には必要なものだと思うから。** %white% ・%/% 光の中で赤毛の少年の優しく、穏やかな声が響き渡る。 そこで君は記憶の中にあった一人の剣士を思い出した。 否、自分であって自分ではない、名前も何も知らないソーサリアンの記憶が、赤毛の少年のことを覚えていたのだろう。 ――それは、今より遥か遠い未来の話。 <キングドラゴン>が生み出す${混沌|カオス}の海に呑まれ、滅亡したとされるペンタウァ。 ${君ではない君|未来のソーサリアン}が、亡国ペンタウァを混沌から救わんとする最中、赤毛の少年とその相棒と出逢った記憶だった。 「――!」 脳裏に浮かんだ赤毛の少年の名を叫んだ。 だが、それは少年に届く前に、君は光に包まれ、再び落下し始めたのだった。 [・・・・・・。](14) 13 乾いた軽い音が空間に響く。 君は魔法のロープを頼りに地底まで降りて来た。 途中でロープの長さが足りなくなることもあったが、そこは延長して事なきを得たのだ。 そうしてとうとう到達した塔の地下――地底。 天井らしき部分に空いた、人一人が楽に通り抜けられるくらいの穴から此処に降り立った訳だが、そもそもそれ自体が『おかしい』のだ。 そのまま首をぐるりと動かして周囲を見回す。 ある程度の大きさと形の揃った石が、ある一定の規則に沿って並んでいる壁と床。 此処は人工的に作られた石造りの部屋のようだ、と把握するには十分な明るさがあり、東西南北それぞれの壁にポツンと一枚の扉が取り付けられているのを認めることができた。 塔の地下は天然洞穴だと聞いていた筈だが、此処はどう見ても人工的に造られた建物の内部としか言いようがない。 明らかな異常に背筋がぞくりと粟立つのを感じる。 しかし、それでも君は進まなければならない。 さぁ、行くか……! 己の心を奮い立たせる。君はまず東西南北の扉を調べることにした。 [迷宮に挑む!](15) 14 緩慢な動作で瞼を上げる。 目を覚ました君の目に映ったのは、天井にぽっかり空いた人一人が楽に通り抜けられる穴と、遥か上が見えないほどの闇色であった。 そのまま首をぐるりと動かして周囲を見回す。 ある程度の大きさと形の揃った石が、ある一定の規則に沿って並んでいる壁と床。 此処は人工的に作られた石造りの部屋のようだ、と把握するには十分な明るさがあり、東西南北それぞれの壁にポツンと一枚の扉が取り付けられているのを認めることができた。 どうやら自分は死ぬこともなく、塔の地下へと到達できたようだ。 そういえば、と自分の体に意識を戻す。 体には地面に叩きつけられたような激痛はなく、頭と腹と背中が少し痛む程度だ。 意識してようやく僅かな痛みを自覚したくらいなのだ、軽傷であることには違いない。 君は上体を起こし、武器と防具の具合を確認しようと腰に差した剣に手を伸ばした瞬間、いつもと感覚が違うことに驚いた。慌ててそこに目を向けると、自分の使っている物ではない剣が腰に差してあったのだ。 これも戦士のサガか。君は未知なる剣に胸の高鳴りを感じるのを自覚しながら、剣を鞘から慎重に引き抜いてみる。 微かな音を立てて現れた刀身は、曇りの一つもなく白銀色に煌めき、刃こぼれも見当たらない。意匠が凝らされた柄も見事なものだ。 君は思わず感嘆の息をつきそうになったが、そこでまさか……と思い、石床に転がっていた盾も確認する。 ……これも自分の物ではない。 鎧もそうだ。自分が装備していたものと輝きも違えば、意匠もまるで違っている。そもそも材質が異なっているようだ。 と、ここで思い出したのは、不思議な空間の中で出逢った――否、記憶に限れば再会だったのかもしれない――赤毛の少年のことだ。 思い返してみれば、この剣も盾も鎧も、赤毛の少年が装備していた物のように見える。 それに、彼は君に『持って行ってくれ』と言った。こうなった今となれば、それが装備のことを示していたのだとようやく理解できた。 辺りを見渡し、自分の装備が何処にも無いところを見るに、きっと何者かによって此処へと落とされる時には、既に装備を失っていたと考えていいだろう。 愛用していた物を何者かに奪われたことに憤りを感じ、悔しさに奥歯を強く噛みしめる。 だが、自分の身を包む銀の装備から流れてくる清らかな魔力を意識し、赤毛の少年の優しさを思い出すと、君の怒りは自然と鎮まっていった。 心の曇りが晴れた。 君は胸の中で赤毛の少年に深く礼を言うと、剣を鞘に戻し、立ち上がって盾を装着する。 さぁ、行くか! 気合も十分。君はまず東西南北の扉を調べることにした。 **★<SILVER SWORD>を手に入れた!(FREE1に装備性能+5追加)** **★<SILVER SHIELD>を手に入れた!(FREE2に装備性能+2追加)** **★<SILVER ARMOR>を手に入れた!(FREE2に装備性能+3追加)** [迷宮に挑む!](15) 15 ${if !f09} 四方の壁に扉があり、方角が示されている。 部屋の壁には泉があり、其処には**「∞」という模様の上から斜めに一本の傷が刻まれている**他、特に何もない。 ${/if} ${if f09} 四方の壁に扉があり、方角が示されている。 部屋の壁には泉があり、其処には**「∞」という模様の上から斜めに一本の傷が刻まれている。** ゾークのヒントもそのままだ。 **"迷宮に挑みし者に一つの解を示す。" "偽りは繰り返され、真実は唯一つのみ。 ZORK"** ${/if} ${if f05} ……しかし、どうにも違和感がある。 何が、とはっきり言える訳ではないが、敢て言うならば『この空間の在り方自体』に妙な違和感があり、それが気持ち悪く感じてしまうのだ。 何なんだ、この違和感は……!? 胃がむかつくほどの違和感に、君は心の中で声を荒げる。 だが、立ち止まっていては何の進展もない。この違和感の正体すら見極めることもできないだろう。 君は深呼吸して気持ちを落ち着ける。 それからその辺に転がっている小石を拾い、泉付近の壁に印を付けた後、『東の扉』を開けることにした。 ${/if} [★おや、壁に何かが……?](16 "f08&!f09") [→東へ](17 "!f05") [→東へ](17 "f05") [←西へ](18 "!f05") [↓南へ](19 "!f05") [↑北へ](20 "!f05") 16 ${if f05} よく見ると図より少し下の壁に文字が刻まれている。 **"迷宮に挑みし者に一つの解を示す。" "偽りは繰り返され、真実は唯一つのみ。 ZORK"** どうやらこの迷宮を攻略するヒントのようだ。これはありがたい。 しかし、ゾークとは一体何者なのだろう? そんなことを思いながら、君は東の扉以外の扉を開けることにした。 ${/if} ${if -f05} よく見ると図より少し下の壁に文字が刻まれている。 **"迷宮に挑みし者に一つの解を示す。" "偽りは繰り返され、真実は唯一つのみ。 ZORK"** どうやらこの迷宮を攻略するヒントのようだ。これはありがたい。 しかし、ゾークとは一体何者なのだろう? ${/if} [→東へ](17 "!f05") [←西へ](18 "!f05") [←西へ](18 "f05") [↓南へ](19 "!f05") [↓南が正解のようだが……](19 "f05") [↑北へ](20 "!f05") [↑北へ](20 "f05") 17 この部屋にも四方の壁に扉があった。 壁には石版が埋め込まれている。 その石版には、こんなメッセージが刻まれていた。 ".suoicerp si efil ruoy fi noegnud siht fo erutcurts drocer tsum uoY" 最初こそは何だこれはと思ったが、読もうと試みて途中で気がついた。 何のことはない、文字が反転しているだけだったのだ。 大体の意味は、**「命が大切であるならば、お前はこのダンジョンの構造を記録しておかなければならない」**という忠告じみたメッセージだ。 しかし、忠告するにしても、何故文字が反転しているのだろうか? ${if f05} そう心の中でぼやいた直後、君の脳裏に閃きの光が満ちた。 思い出した。否、正確に言うなら流れて来た、とすべきか。 この迷宮、そしてこのメッセージ。 ――そう、君は、否、${君ではない君|未来のソーサリアン}がこの迷宮のことを知っていたのだ! ただ、記憶の中に流れ込んできた迷宮では、こんな風にメッセージが反転してはいなかった。これも酷く違和感がある。 となれば、**迷宮の構造自体が反転している**のではないだろうか……? 君はそんな仮説を立て、前いた部屋――西の扉を開けた先――に戻るのだった。 ${/if} [→東へ](15 "-f05") [←西へ](21 "f05") [←西へ](15 "-f05") [↓南へ](15 "-f05") [↑北へ](15 "-f05") 18 君が部屋に入ると、奇妙な姿をした大型の魔物に迎撃された。 姿は何処か鶏じみているのに、尾が蛇としか例えようがなく、これぞ正しくコカトリスという訳だ。 石化がとにかく恐ろしい相手だ。心して応戦せねばなるまい。 逃亡は不可。相手を斃したら選択肢を選ぶことができる。 [→東へ](21 "f05") [→東へ](15 "-f05") [←西へ](21 "f05") [←西へ](15 "-f05") [↓南へ](21 "f05") [↓南へ](15 "-f05") [↑北へ](21 "f05") [↑北へ](15 "-f05") 19 君が部屋に入ると、邪悪なる使い魔、その幻影チャロナデーモン・ファントムが虚空から現れた。 チャロナデーモン・ファントムは、影色のローブをはためかせ、輪郭がはっきりとしない黒き霞の顔で笑っている。 逃亡は不可。相手を斃したら選択肢を選ぶことができる。 [→東へ](21 "f05") [→東へ](15 "-f05") [←西が正解のようだが……](22 "f05") [←西へ](22 "-f05") [↓南へ](21 "f05") [↓南へ](15 "-f05") [↑北へ](21 "f05") [↑北へ](15 "-f05") 20 君が部屋に入ると、黒く猛々しい一角獣、カオスユニコーンが襲い掛かってきた。 その勢いや凄まじく、汚れなき純白の一角獣であった頃の優美さは一切ない。 逃亡は不可。相手を斃したら選択肢を選ぶことができる。 [→東へ](21 "f05") [→東へ](15 "-f05") [←西へ](21 "f05") [←西へ](15 "-f05") [↓南へ](21 "f05") [↓南へ](15 "-f05") [↑北へ](21 "f05") [↑北へ](15 "-f05") 21 ${if !f09} 四方の壁に扉があり、方角が示されている。 部屋の壁には泉があり、其処には**「∞」という模様の上から斜めに一本の傷が刻まれている**他、特に何もない。 ただ、君が小石で付けた印は、しっかりと残っていた。 ${/if} ${if f09} 四方の壁に扉があり、方角が示されている。 部屋の壁には泉があり、其処には**「∞」という模様の上から斜めに一本の傷が刻まれている。** ただ、君が小石で付けた印は、しっかりと残っていた。 ゾークのヒントもそのままだ。 **"迷宮に挑みし者に一つの解を示す。" "偽りは繰り返され、真実は唯一つのみ。 ZORK"** ${/if} ${if -f07} よし、此処を起点として、記憶にある正解の道筋とは逆のものを選んでみよう! 君はそう決心すると、『南の扉』へと歩みを進めた。 ${/if} ${if f07} 確か東の扉の先にある部屋は、忠告が刻まれた石板があるだけだったな。 ${/if} [★おや、壁に何かが……?](16 "f08&!f09") [←西へ](18 "f07") [↓南へ](19 "!f07") [↓南が正解のようだが……](19 "f07") [↑北へ](20 "f07") 22 この部屋にも四方の壁に扉があり、それぞれに方角が示されていた。 部屋の壁には泉があるが、ただそれだけのようだ。 何処の部屋も似たような構造だなぁ……と君はぼやく。 [→東へ](21 "f05") [→東へ](15 "-f05") [←西へ](21 "f05") [←西へ](15 "-f05") [↓南が正解のようだが……](23 "f05") [↓南へ](23 "-f05") [↑北へ](21 "f05") [↑北へ](15 "-f05") 23 この部屋には、北の壁に扉があった。 部屋の壁には泉があるが、一箇所だけ他の部屋とは明らかに違う。 なんと、この部屋の中心には下りの階段があったのだ! やはりずっと似たような場所を歩くよりも、多少は変化があった方が安心するというものだ。 そんなことを思い、一人うむうむと頷きつつ、君は階段へと歩いてゆく。 [階段を下りる](24) 24 階段を下りると、そこには一枚の扉があった。 君は用心しながら扉を開け、部屋に一歩踏み込んだ――その時! ッ!? 頭上からの殺気を察知した君は、直感的に部屋の中央へと転がり込んだ! 刹那、風を切り裂く黒い影が、今しがた君がいた場所を砕いたのが見えて、君は目を丸くする。 君は瞬時に体勢を整えると、黒い影の正体を見極めようと睨みつけた。 その四肢は獅子そのもので、背には巨大な蝙蝠のような翼が生え、尾にはサソリを連想させる巨大で鋭利な毒針が生えていた。 くるりと振り向いたその顔は、精悍な顔立ちの男のものだが、目は赤々と無気味に光り、口からはだらりと涎を垂らしている。 こいつ……マンティコアだ!! 君が敵の正体に思い当たるのと同時に、マンティコアは砕けた床を蹴り上げるようにして君の頭上へと飛び上がり、部屋の奥へと着地した。 君が追うようにしてそこに目をやれば、マンティコアの背後に下り階段が見える。 なるほど、通せんぼのつもりらしい。君は口の端をニィと上げ、マンティコアを見据える。 **「其処を退けえぇええッ!!」** 君は声を張り上げ、マンティコアに向かって駆け出した! **戦闘ルール** この戦闘では、%red%「巨大毒針」に攻撃を行った後でなければ、 「マンティコア」へ攻撃することができないもの%/%とする。 [マンティコアを斃した](25) 25 マンティコアを斃した君は、乱れた呼吸と戦いの緊張感で興奮した精神を落ち着かせた後、更に下へと続く階段を下りていく。 ……と、そこで気配を察知し、剣と盾とを構えて立ち止まった。 魔物か? それとも、調査のために此処へと下りたという『青い風』の者か? 気配の正体を探ろうと神経を研ぎ澄ませる。だが、突然「下りて来い、小僧」と男の声がし、君はぎくりと肩を跳ねさせた。何とも心臓に悪い。 声がした前方の闇に目を凝らす。こちらからは何も見えないが、相手からはこちらが見えているらしい。 「この先に進みたくば、早く下りて来い」 再度声が響いた。その声は若干の苛立ちを滲ませているようにも聞こえる。 そうだ、自分には此処で立ち往生している余裕はない。 君は「ああ、行ってやるさ!」と勇ましく答え、警戒を解くことなく階段を下りた。 **★マンティコアを斃したことで、<七惑星の欠片>を全種類1個ずつ手に入れた!** [階段を下りる](26) 26 階段の終わり。其処には坊主頭の厳つい顔に、長い白髭をたくわえた老人が佇み、君の方を見ていた。 その目付きは鷹を連想させる程に鋭く、背が曲がっていないがっしりとした体は、紫色を基調としたガウンのような法衣を纏っている。 「迷宮の謎を解き、マンティコアを斃したようじゃな。 では、此処を通してやろう。……と言いたいところじゃが、 まずは通行料として<通行証>を戴こう」 老人は突然そんなことを言い出した。 君が困惑している様子を老人は涼しげな表情で流し、潤いのないカサついた手のひらを君に突き出したままだ。 君は自分の素性を話した後、老人に何かこの迷宮の事情やシャドードラゴンのことを知っているのでは、と訊ねるも、この老人は「そんな些末事、ワシにはまったく関係のない話だ。それよりも早く<通行証>を渡すがよい」の一点張りだ。 このままでは埒があかない。君は疲れた顔でハァと溜息をつくと、老人に<通行証>を差し出した。 老人はそれを引ったくるようにして受け取ると、品定めをするように眺めてから「よし、通ってもいいぞ」と先へ進むよう促した。 君は釈然としない表情のままもう一度だけ、何故こんな場所で謎掛けをやっているのか、と老人に問うた。 老人は<通行証>を得られたことで多少は機嫌が良くなったのだろう。君の方をチラリと一瞥すると、 「気が付けば塔の地下ではなく、この歪な迷宮の中におった。 ワシはこの迷宮で謎を見付け、それを此処での謎掛けとした。 ただそれだけのことじゃ。 あと、この迷宮のことだがな、恐らくは 『空間が捩じくれ歪んで繋がっている』のだろうよ。 お主は竜がどうのと言っておったが、世が乱れれば 悪しき意思が溢れ、平穏に害為す現象が増えるのも 道理というものじゃ。 まぁ、世界の危機などワシには関係のないこと。 ワシは謎掛けさえできれば良いのだ」 と、平然と言ってのけた。疑う余地などまったくない程の自然さであった。 こちらは「空間が捩じれてる!?」と驚いているというのに、老人はどこ吹く風だ。 気が付けば見知らぬ不可思議な場所にいた上に、この迷宮が悪しき意思によるものであると把握しておきながら、である。 これは剛胆と言うべきなのか、それとも世に無関心とでも言うべきなのか? だが、何処にでも、いつの時代にも、風変わりな思考を持ち、珍妙な信条を掲げる変わり者はいるものだ。君はそう納得することにした。 老人に別れを告げた君は、急ぎ先へと歩みを進めようとすると……。 「待て。此処まで辿り着いたのは、お主くらいなものじゃからな、 見事に謎を解いたお主を労って、これをくれてやろう。 貴重な霊薬じゃ、ありがたく持って行くがよい」 なんと、老人は体力も魔力も、更には状態異常すらも回復させるという貴重な霊薬<ELIXER>を君にくれると言ってきたのだ! 君は老人の労いに深く感謝し、霊薬を受け取ると、それを大事そうにベルトにつけたポーチに入れた。 ちょっと風変りな爺様のようだが、霊薬をくれるなんて太っ腹だなぁ。 通行証は取られたけど、それはまあ、仕方がない! 「ではさらばじゃ」 老人はあっさりとした口調で別れの言葉を言う。 君も改めて老人に別れを告げると、急ぎ先へと歩みを進めるのであった。 **★<通行証>を取られた……!** **★しかし、その代わりに<ELIXER>を貰った!** ※【使用回数1回】HPとMPを全回復し、状態異常も治す霊薬 ![迷宮](shadow04.png) [先を急ぐ](29) [SAVE POINT](27 "f06") [SAVE POINT](28 "-f06") 27 **【謎掛けクリア直後】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【現在のscene番号】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくる ことができます。 ステータスのMEMOS等に【現在のscene番号】をメモに取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。%red% **必ず手動で『FREE1とFREE2両方を5にしてから』次へお進みください。** (既に5の場合は、上記の操作は行わずに次へお進みください)%/% 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※パソコンからシナリオをお楽しみの場合は、メニューボタンの 【Backup&Restore】のご利用をオススメします なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](29) 28 **【謎掛けクリア直後】中間セーブポイント** 全滅して新たな冒険が始まった場合、シナリオ前半にあるフォームに 【現在のscene番号】を入力して移動すると、再び此処まで戻ってくる ことができます。 ステータスのMEMOS等に【現在のscene番号】をメモに取りましょう。 再び冒険に挑むソーサリアンは新規作成となります。 現在のソーサリアンの【HP、MP、状態異常、七惑星の欠片の所持数】 をステータスのMEMOS等でメモし、手動で状態を引き継ぐことも 可能です。 ※パソコンからシナリオをお楽しみの場合は、メニューボタンの 【Backup&Restore】のご利用をオススメします なお、**全滅ではなく中断していた冒険を再開する場合**には、 ソーサリアンText起動時に【続きから開始しますか?】の問いに 【OK】を選択し、冒険を再開してください。 [冒険に戻る](29) 29 一本道の曲がり角だらけの迷宮の中を、黙々と歩き続ける。不思議と魔物が出ることはなかった。 君が通路の終わりに差し掛かった頃、扉と——その扉の横に何者かが壁に寄り掛かり、項垂れた状態で座り込んでいる姿を発見した。 「大丈夫か!?」と君は声を上げて駆け寄り、しゃがみ込む。相手のガタイの良さから男であることはすぐに判った。 再度声を掛けると、男は低く呻いて顔を上げた。右目に眼帯を付け、左は切れ長の目をした銀髪の男だった。 「あ、あんたは、誰だ……?」 掠れた声で問う男に、君はペンタウァ国王の書状を掲げ、此処に来た目的と、『青い風』の盗賊達とは協力関係にあることを説明した。 この男の風体やこの状況から考えて、『青い風』の関係者ではないかと予想したからだ。 ――果たして君の予想は当たっていた。 男の名はカメロン・リチャード。盗賊にして義賊、そして行方知れずとされていた『青い風』の現頭領であったのだ! 「そうか……テュモーや子分達、クオレ婆さん達、それに 見ず知らずのあんたにまで迷惑掛けちまったな……すまねぇ。 だが、どうしてもカルーンの姫さんを助けたかったんだ……」 カルーンの姫君を助けたかった? 君が訝しんで訊ねると、カメロンは失踪の理由を話し出した。 [カメロンの話を聞く](30) 30 カメロンは苦い顔をしていたが、話を聞いて納得した。 どうやらこの男は、以前シャドードラゴンを封印し直そうと従者と共にこの塔を訪れたカルーン王国の姫君『セーナ姫』に一目惚れし、悪魔の囁き――比喩ではなく、実際に悪魔が囁いていた訳だが――も手伝ってか、姫君を攫い、強引に娶ろうとしたことがあったらしい。 結局は悪魔にいいように利用され、危うくシャドードラゴンをこの世に解き放つところだったのだが、それはすんでのところでソーサリアンが阻止した……という悪魔退治の下りは君も知っての通りだ。 当然のことながら、カメロンの想いが実ることもなかった。 それからはカメロンも心を入れ替え、『青い風』を元の義賊の集団へと戻すことに尽力し、それは果たされた。 だが、今より少し前、塔の内外に魔物が溢れる前のことだ。 夜も更けた頃、カメロンが塔の自室で眠っていると、突如窓から鮮血のように真っ赤な翼を持った悪魔が飛び込んで来たのだという。 しかも、その手には愛しきセーナ姫を抱えて! そして悪魔はカメロンに「姫を返して欲しくば、忌まわしき剣<ガラティーン>を奪い、誰にも知られず一人でこの塔の地下に赴くがよい」と言い残し、セーナ姫と共に飛び去っていった、ということらしい。 ――この後にカメロンがどういう行動を取ったのかは、塔の住人の言葉と彼自身が此処にいることから察せられた。 「何とか死に物狂いで此処まで来たはいいが…… この扉から先に行った部屋で怪物に襲われてな、 逃げるので精一杯だったぜ……ほら、ざまぁねぇ……」 見ればカメロンの左腕には、青み掛かった薄い灰色の布――彼が首に巻いているスカーフと同じ白銅色だ――が巻かれており、赤黒い染みが広がっていた。 「此処にはドラゴンも待ち構えてるっていうんだろ? オレ一人じゃあ、とてもこの先に進めそうにないが、 あんたと二人なら……。 なぁ、オレも罠の解除には自信があるし、 剣の腕もそこそこだ…… あんたの邪魔はしねぇから…… 頼む、オレも連れて行ってくれ……!」 カメロンの懇願に、君は彼の怪我のことを考慮した上で、此処で待っている方が良いのではと提案する。 しかし、当のカメロンは君の手を両手でひしと取って離しそうもない。 さて、君はどうする? [待っていた方がいいと再度説得する](31) [そこまで言うならと同行を承諾する](32) 31 君は改めてカメロンの状態に注意を向ける。 彼の腕に巻かれた布の血の染み込み具合から考えると、腕の傷は深そうではあるが、その血がやや黒味を帯びているところを見るに、既に血は止まっているようだ。 だが、すぐに動いては、ましてや戦闘になどなれば、傷口が開いてしまう恐れもある。そうなれば、出血で命を落とすこともあり得るだろう。 君はカメロンの気持ちを汲んだ上で、彼が盗賊団をまとめる者であるということを強調し、此処で待っていてくれと再度説得を試みた。 君の説得を受け、カメロンはぎくりとした。こう言われてしまっては、いかに姫君を救いたいと願っても、盗賊団の頭という立場なのだ、これ以上は食い下がることは出来なかった。 するりと。カメロンの手が君の手から離れていった。 「そうか……そうだな、あんたの言う通りだ…… ワガママを言ってすまなかった。 オレは此処で待たせてもらうことにするよ……」 どうやらカメロンの説得に成功したようだ。 君は気落ちするカメロンを宥めると、必ずセーナ姫を救い出し、シャドードラゴンも斃してみせると約束した。 「すまねぇが、頼んだぜ…… あんたの無事を……祈って、る……」 カメロンはそこまで言うと、気絶するように眠りについてしまった。 彼の話を聞くに、贖罪の意味も兼ねていたのか、相当に無理をして此処まで来たに違いない。 君は立ち上がり、彼の横にある扉を開けた。 [先へ進む](33) 32 君はどうしようか迷った末に、カメロンを連れて行くことに決めた。 怪我人にあまり無理はさせられないが、考えてみれば、魔物が蔓延るこの迷宮で彼を一人にしておくのも不安だったからだ。 それに、この先に待ち構えてるものを想像すれば、一人でも味方が多い方が心強い。 君が同行を許可すると、カメロンは表情を輝かせ、しきりに君に感謝していた。 だが、君は真剣な表情で「ただし」と付け加える。 シャドードラゴンとの戦いになったら、安全な場所に控えていて欲しい、と条件を付けたのだ。 先にセーナ姫を救出できれば、彼女の巫女としての力でシャドードラゴンとの短期戦に臨めるのだが、未だ悪魔もシャドードラゴンも出てきていないことからも、どうなるのか予想も付かない。 それに、シャドードラゴンは、あの<キングドラゴン>の魔力に当てられているのだ、いざ戦いとなれば死力を尽くして戦うことになるのは確実だ。 そんな危険過ぎる戦いに、怪我人であるカメロンを巻き込めない。テュモー達のことを考えれば尚更だ。 「ああ、了解した。あんたの言うことはもっともだ。 手前の化け物ですら斃せねぇんだ、そんなドラゴン相手じゃ 盗賊の剣術なんか手も足も出ねぇだろうからな」 カメロンは自嘲気味に答えた。 ともあれ、これで彼の了解を得ることもできた。君はシャドードラゴンとの戦いの直前まで、彼に協力を仰ぐことが決まったのだ。 君とカメロンは立ち上がると、すぐ横にある扉を開けた。 [先へ進む](33) 33 ${if -f10} 扉を開けて部屋に入ると、真っ直ぐに通路が伸びている。 石床には、赤色の不揃いな模様が点々と付いている。壁には手形のような血の痕がある。これはカメロンの血に違いなかった。 ……と、血の痕に気を取られ過ぎた。 **ぽちっ** 君は足元の床石が僅かに沈んだことに気が付いて、慌てて飛び退くのだが……。 **がこっ** 飛び退いた勢いが余り、肘が側面の壁に触れて、其処も僅かに沈んだ。 サァ……と君の顔から血の気が引ける。 何やら良くないものが次々と発動しそうなのだが、果たして君は回避できるのか!? ${/if} ${if f10} 扉を開けて部屋に入ると、真っ直ぐに通路が伸びている。 石床には、赤色の不揃いな模様が点々と付いている。これはカメロンの血に違いなかった。 「おっと、待ちな。 この先には落とし穴と矢が飛んでくる罠が 仕掛けられているんだ。 あんたはオレの後に付いて来てくれ」 君は素直に頷いて、カメロンの後に付いて行く。 ほどなくしてカメロンが床に仕掛けられた落とし穴発動のスイッチを指摘し、更に毒矢発動のスイッチも指摘してくれた。 お蔭で君は無用なダメージを受けずに済んだのだ。 こういう時の${彼等の技能|シーフのスキル}は頼りになる。 君はカメロンに礼を言いながら、順調に歩みを進めて行ったのだった。 **特別ルール「カメロンの盗賊技能」** 盗賊のカメロンが同行しているため、ダメージ式ボタンを**押さなくても良い。** ${/if} [先へ進む](34) 34 通路を進んでいると突き当たりに一枚の扉を認めた。 床石に付着した血痕は、その部屋の前にも付着している。 この扉の先にカメロンを襲った魔物がいるのだろうか? ${if -f10} 君は緊張した面持ちで部屋の扉を開けた。 すると予想通り、部屋の中央にはマンティコアが堂々と座していた。 男の顔をしたマンティコアがこちらを睨んでいるが、やはりあの赤く不気味に光る狂気の瞳だ。 だが、その体格は君が斃したらマンティコアよりも一回り大きく、背後に揺れる毒針の尾も二本に増えている。 マンティコアはのそりと起き上がると、赤の混じった涎――恐らくカメロンの血だろう――をだらしなく滴らせながらニタリと笑った。 **「行くぞ、化け物めッ!!」** 君は勢い良く叫ぶと、マンティコアに斬り掛かった! **戦闘ルール** この戦闘では、%red%「鋭利な右爪」から一番下の「巨大毒針(大)」 までの攻撃を行った後でなければ、「マンティコア」へ攻撃する ことができないもの%/%とする。 なお、「マンティコア」以外の箇所については、自由な順番で 攻撃を行っても良い。 ${/if} ${if f10} 「そうさ、あの部屋の中にオレを襲った奴が居るぜ……」 カメロンは青い顔をしてそう言うと、一つ身震いした。 彼から話を聞いていたが、どうも相手はマンティコアらしい。人間の顔についても特徴が一致している。 マンティコアは既に斃した筈だが、ああいった魔物は――あまり気分の良い言い方ではないが――『量産』されているケースも多い。 君は先のマンティコアと戦った時の感覚を思い出しながら、部屋の扉を開けた。 予想通り、部屋の中央にはマンティコアが堂々と座していた。 男の顔をしたマンティコアがこちらを睨んでいるが、やはりあの赤く不気味に光る狂気の瞳だ。 だが、その体格は君が斃したらマンティコアよりも一回り大きく、背後に揺れる毒針の尾も二本に増えている。 マンティコアはのそりと起き上がると、赤の混じった涎――恐らくカメロンの血だろう――をだらしなく滴らせながらニタリと笑った。 「来るぜ、${name}の旦那ッ!!」 カメロンの緊迫した声が飛ぶ! 君は「応!」と勢い良く叫ぶと、マンティコアに斬り掛かった! **戦闘ルール** この戦闘では、%red%「鋭利な右爪」から一番下の「巨大毒針(大)」 までの攻撃を行った後でなければ、「マンティコア」へ攻撃する ことができないもの%/%とする。 なお、「マンティコア」以外の箇所については、自由な順番で 攻撃を行っても良い。 **特別ルール「カメロンのサポート」** この戦闘では、カメロンが君の戦いをサポートしてくれるため、 以下のことが可能となる。%blue% ①一箇所に攻撃する毎に二回までダイスを振り直すことができる。 つまり、君が攻めあぐねている間にカメロンが攻撃している というイメージだ。%/% %blue% ②巨大毒針(大)の無効化。 巨大毒針(大)のダメージ式ボタンは、押さなくても良い。 つまり、カメロンがマンティコアの気をそらし、 巨大毒針による攻撃を封じているというイメージだ。%/% ${/if} [マンティコアを斃した](35) 35 ${if -f10} マンティコアの巨体がドウッと倒れ、砂埃を含んだ風に煽られる。 君の一撃を以ってマンティコアは絶命したのだ。 なかなか手強い奴だったな……。 はぁはぁと荒い息をしながら、額を伝う汗をぐいと拭う。 君は少し休憩を挟んで呼吸を整え、体勢を整えた。 よし、行こう! 君は単身、更なる下層へと下りて行くのだった。 ${/if} ${if f10} マンティコアの巨体がドウッと倒れ、砂埃を含んだ風に煽られる。 君とカメロンの一撃を以ってマンティコアは絶命したのだ。 「へへっ、ざまぁみろってんだ!」 はぁはぁと肩で荒い息をしながら、カメロンが嬉しそうに言った。 君も彼と同じく息を荒げ、額を伝う汗をぐいと拭いながらニッと笑う。 だが、笑っていたカメロンが急に「うっ」と低く呻き、額を押さえて顔をしかめる。 君が心配して声を掛けると、彼は首を横に振って「いや、何でもねぇ。ちょっと興奮し過ぎただけさ」と苦笑した。 君はカメロンの体調を気遣い、少し休憩を取ることにした。 一旦前の部屋に戻り呼吸を整え、体勢も整えた。 さぁ、行こう! 君はカメロンと共に更なる下層へと下りて行くのだった。 ${/if}%blue% **▲HPとMPが5回復した!**%/%(最大HPを超えた場合は、超えた分だけ減らす) **★マンティコアを斃したことで、<七惑星の欠片>を全種類2個ずつ手に入れた!** [下層へ……](36) 36 ${if -f10} 階段を下りた先には、一際大きな扉が待ち構えていた。 素材さえ判らない漆黒の扉は、違う材質の金属で竜をモチーフにしたと思われる意匠が施されている。 しかし、そこに貼られていたと思しき封は、無残にも滅茶苦茶に引き裂かれてズタズタだ。 封印の札の類だと思われるが、既に魔力の反応もなく、札が効力を失っているのが見て取れた。 君は扉を調べ、とりあえず鍵が掛けられていないことは確認できた。 だが、扉の先からは物音一つ聞こえない。改めて耳を澄ませてはみたが、やはり不気味なくらい静まり返っていることしか分からなかった。 ゴクリと唾を呑み込んだ。その音だけが妙に大きく聞こえたような気がした。 深呼吸し、一人決心するように頷く。 魔物が出るか竜が出るか。はたまた姫とご対面か。 それなら姫君とご対面という展開を期待したいものだが。 君はそんなことを頭の端で願いながら、古びた扉を押し開けた。 ${/if} ${if f10} 階段を下りた先には、一際大きな扉が待ち構えていた。 素材さえ判らない漆黒の扉は、違う材質の金属で竜をモチーフにしたと思われる意匠が施されている。 しかし、そこに貼られていたと思しき封は、無残にも滅茶苦茶に引き裂かれてズタズタだ。 封印の札の類だと思われるが、既に魔力の反応もなく、札が効力を失っているのが見て取れた。 カメロンが扉を調べ、罠が仕掛けられていないこと、そして鍵も掛けられていないことを確認した。 だが、確認した彼曰く、「扉の先からは物音一つ聞こえない」らしい。 君も耳を澄ませるが、彼が言った通り物音一つなく、不気味なくらい静まり返っていることしか分からなかった。 どちらからともなくゴクリと唾を呑み込んだ。その音だけが妙に大きく聞こえたような気がした。 深呼吸し、お互いに顔を見合わせて頷く。 魔物が出るか竜が出るか。はたまた姫とご対面か。 それなら姫君とご対面という展開を期待したいものだが。 君はそんなことを頭の端で願いながら、古びた扉を押し開けた。 ${/if} [この先には一体何が……?](37) 37 ${if -f10} 扉を開けたその先には、静寂と薄闇が広がっていた。 今まで進んできた場所よりも一段光量が落ちており、部屋の奥の方までは見通せない。 だが、扉を押し開けた時の音の反響具合から、部屋はそれなりの広さであることは察することができた。広間のような場所なのだろうか? 自分の立てる音以外は一切聞こえない不気味な空間。 君はいつでも攻撃または反撃ができるよう、剣の柄と盾の取っ手をしっかりと握り直し、周囲を警戒しながら薄闇の中へと一歩一歩進んでゆく。 ![常闇](shadow05.png) 無音の中での、自分が立てる音のなんと大きなことか。 恐怖と緊張に抗うように早く脈打つ胸の鼓動すら、まるで鼓笛隊の太鼓のようだと錯覚してしまう。 ……少しずつだが、この薄闇に目が慣れてきた。入口から此処まで慎重に歩いて約30歩ほどの距離だ。 そこで君は前方に何かの気配を感じ取ると、その場に立ち止まって臨戦態勢を取る。 そのままの体勢で前方の何かを睨み付け、正体を見極めようと目を凝らし――そして。 あれは……石像、なのか……? 君は呆気にとられたような表情で、思わずぽつりと呟く。 前方の人影らしきものは、確かに石像のように見えるのだが、果たして本当に石像なのだろうか? 警戒を緩めぬまま、恐る恐るといった調子で。君は前方の石像らしきものに近づいてゆく。 君は立ち止まり、目の前に佇む物を見た。 それは君の予想通り一体の石像だった。だが、その石像はあまりにも美しかった。 石像はドレスを纏った女神の如き長髪の女性を象っており、両手を胸の前で組み、何か祈っているような恰好をしている。 しかし、その表情は何処か苦悩に満ちているようにも、焦燥感に煽られているようにも見える。まるで本当に生きているかのようなリアルさだ。 ――そうだ。石像にしてはあまりにも${生気に満ちている|・・・・・・・・}! 君がそんな引っ掛かりを感じたその時、石像の手元が――否、組んだ両手の間から赤き光が零れ始めたではないか! よく見れば、その手の間からは細身のチェーンも垂れ下がっている! あぁっ、この石像は……!? **「セーナ姫!!」** そう、この石像こそカルーン王国のセーナ姫その人だったのだ! ${/if} ${if f10} 扉を開けたその先には、静寂と薄闇が広がっていた。 今まで進んできた場所よりも一段光量が落ちており、部屋の奥の方までは見通せない。 だが、扉を押し開けた時の音の反響具合から、部屋はそれなりの広さであることは察することができた。広間のような場所なのだろうか? 自分とカメロンの立てる音以外は一切聞こえない不気味な空間。 いつでも攻撃または反撃ができるよう、剣の柄と盾の取っ手をしっかりと握り直した君は、カメロンに目だけで合図を送ると、周囲を警戒しながら薄闇の中へと一歩一歩進んでゆく。 ![常闇(カメロン加入)](shadow06.png) 無音の中での、自分が立てる音のなんと大きなことか。 恐怖と緊張に抗うように早く脈打つ胸の鼓動すら、まるで鼓笛隊の太鼓のようだと錯覚してしまう。 ……少しずつだが、この薄闇に目が慣れてきた。入口から此処まで慎重に歩いて約30歩ほどの距離だ。 「待て」 突然カメロンが君に制止の声を掛けた。 君は何事かと彼の方を見るが、呼び止めた張本人は顔も向けずにただ前方をじっと見つめている。 そこでようやく君も前方に何かの気配を感じ取り、その場に立ち止まって臨戦態勢を取る。 二人とも無言のまま前方の何かを睨み付け、正体を見極めようと目を凝らし――そして。 「まさか……!?」 カメロンは信じられないものでも見たと言わんばかりの声を上げ、前方へと走り出した。 君もカメロンの行動に困惑しつつ、それでも慌てて後へと続く。 カメロンが立ち止まり、君も立ち止まった。そして目の前に佇む物を見る。 それは一体の石像だった。だが、その石像はあまりにも美しかった。 石像はドレスを纏った女神の如き顔立ちをした長髪の女性を象っており、両手を胸の前で組み、何か祈っているような恰好をしている。 しかし、その表情は何処か苦悩に満ちているようにも、焦燥感に煽られているようにも見える。まるで本当に生きているかのようなリアルさだ。 ――そうだ。石像にしてはあまりにも${生気に満ちている|・・・・・・・・}! 君がそんな引っ掛かりを感じたその時、石像の手元が――否、組んだ両手の間から赤き光が零れ始めたではないか! よく見れば、その手の間からは細身のチェーンも垂れ下がっている! あぁっ、この石像は……!? **「姫さん!!」 「セーナ姫!!」** カメロンの声と君の声が重なった。 そう、この石像こそカルーン王国のセーナ姫その人だったのだ! ${/if} [どうしてこんなことに……!](38) 38 ${if -f10} セーナ姫は物言わぬ石像となってしまった。 これも悪魔の仕業なのだろうか! そうであれば、なんという酷い仕打ち! だが、石化であればこの場でセーナ姫を元に戻せるかもしれない。 君は期待を胸に、ベルトに付けたポーチの中を覗いた。 ${/if} ${if f10} セーナ姫は物言わぬ石像となってしまった。 これも悪魔の仕業なのだろうか! 「くそっ、こんなヒデェことするやつぁ悪魔に決まってるぜ! なんてことしやがるんだ!!」 カメロンの憤りはもっともだ。 だが、石化であればこの場でセーナ姫を元に戻せるかもしれない、と君が提案すると、カメロンの顔がぱっと輝いた。 「そ、そうか! あんた達ソーサリアンには、魔法って手もあったな! よし、早速やってくれよ!」 君はこくりと頷くと、ベルトに付けたポーチの中を覗いた。 ${/if} 石化を解除する魔法<STONE FLESH>。この魔法を使うだけの<七惑星の欠片>を……と確認していると、何やら見覚えのない小さな包みが入っている。 入れた覚えはないのだが、と首を傾げながら包みを開くと、そこには<七惑星の欠片>が入っているではないか! しかも、数を数えてみると、<STONE FLESH>を発動させるには十分な量だ! 以前の冒険で残っていたものか、もしくは天の神々のお恵みか。どちらにせよ、このタイミングではありがたいことには変わりない。 君は剣を鞘に収めてセーナ姫の方へ向き直ると、精神を集中させて―― [<STONE FLESH>を唱える!](39) 39 『 STONE FLESH 』 **◆<STONE FLESH>を唱えた** ※今回は包みの中にあった七惑星の欠片を使用したため、 ステータスSTARの欠片は自動減算されない 稲光のような激しい光が、一瞬だけ闇を切り裂いた。 すると、まるで浜から波が引いて行くように、セーナ姫の石化した部分が見る見るうちに色彩を帯びてくる。 薄闇の中にあっても尚美しく煌めく艶やかな長髪は、闇夜に浮かぶ月の如き存在感を放ち、裾が広がり過ぎないしっとりと滑らかなドレスは、緩やかな夜風に揺れる白き花を連想させる。 石化が完全に解除され、その場に倒れこみそうになったセーナ姫を、君は慌てて抱き止める。 君が声を掛けると、セーナ姫は小さく呻いて、それから意識を取り戻した。 彼女は弾かれたように顔を上げる。青き瞳は大きく見開かれ、「バロン……!?」と声を上げるが、君がソーサリアンであることを告げると、状況が呑み込めたようだ。 彼女は険しい顔をし、君の手を両手で包み込むようにして持った。 「貴方が助けてくださったのですね、ありがとうございます。 突然で申し訳ありませんが、今はこれを……!」 全てを言い終えるまで待てないといった様子で、セーナ姫は君の手にペンダントを握り込ませると、君と視線を合わせた。 彼女の懇願するような眼差しから、君はペンダントを託されたのだと察する。 その時間は僅か数秒。セーナ姫が手を離すと、君はペンダントを失くさないよう首に掛け、宝石の付いた飾りを襟口から服の中に仕舞い込んだ。 セーナ姫は安堵したように表情を少しだけ緩めたが、すぐに険しい顔をして周囲を警戒する。 「私はペンダントを悪魔に奪われぬよう自ら石となり、 心正しき者が此処まで来てくれることを祈っていました。 勇者よ、この闇の中には、シャドードラゴンの封印を解き、 意のままに操ろうと企む<メジャー・デーモン>が 潜んでいる筈です! 気を付けてください!」 **何だってッ!?** 君はセーナ姫の言葉に驚きながらも、再び剣を抜き、彼女を庇うようにして周囲に注意を向けた。 姫君の声と、君の足が地を擦る音だけが薄闇の空間に響き渡る。 メジャー・デーモンめ! 一体何処にいるんだ!? [「そこだ!!」と剣を振るう](40 "f06,oDEX6+") [気配を察して振り向く](41) [「カメロン?」と辺りを見回す](41 "f10") 40 **「そこだ!!」** 君は振り向きざまに銀の剣を一閃させた。 金属同士がぶつかり合う高音。 剣から伝わるずしりとした重い衝撃。 薄闇に火花が散り、刃が煌めく。 君は剣を退く隙を縫うように盾を突き出す。もう一太刀と銀の剣を振るうと、ふっと気配が遠退き、刃が風を切る音だけが聞こえた。 しかし、君はそんなことよりも、不意打ちしてきたものの正体にショックを隠し切れなかった。 何故なら、君の視線の先に立っているのは、紛れもなくカメロンだったのだから! 君と対峙するカメロンは、力を抜いたように垂らした手に、一本の長剣を持っていた。その体勢は、構えを取っている訳でもなく、ただ立っているといったようにも見える。 カメロンの視線は、何処か遠いところを見ているようで覇気もない。 そんな彼の傷付いていた筈の腕には、傷など何処にも見当たらなかった。 ……と、君の意識が逸れたのを見計らったかのように、それは起こった。 若い女の悲鳴。 「しまった!」と慌てて振り返ると、突然青き炎が君達を囲むようにして順々に灯ってゆく。 君の表情が一層険しくなる。最後の炎が灯った時、其処に照らし出したのは、背後から手で口を塞がれたセーナ姫と、あのマンティコアと同じ顔をした男だった! [何故お前が!?](42) 41 ${if f10} そういえば、カメロンは? 君は先程から自分とセーナ姫しか喋っていないことに気付き、キョロキョロと辺りを見回した。 セーナ姫の石化を解いたら真っ先に喜びそうな彼がいない。 道理で静かな訳だ。先程までは近くにいた筈なのだが、一体何処へ……? ${/if} **ぞくり、と。** 背筋に悪寒が走る。 君は嫌な予感がして振り向いた! **特別ルール「防御の成否」** ダイスを1回振り、%blue% ①▼「左ダイスの値+DEXの合計値が**7以下**の場合」は、 **上**のダメージ式ボタンだけを押すこと。%/% %blue% ②▲「左ダイスの値+DEXの合計値が**8以上**の場合」は、 **下**のダメージ式ボタンだけを押すこと。%/% この判定によって、君が防御に成功したか失敗したかを決定する。 さて、君が防御に成功したのか失敗したのかを問わず、この物語は進んでゆく。 君が反撃とばかりに剣を振るうと、ふっと気配が遠退き、刃が風を切る音だけが聞こえた。 しかし、君はそんなことよりも、不意打ちしてきたものの正体にショックを隠し切れなかった。 何故なら、君の視線の先に立っているのは、紛れもなくカメロンだったのだから! ${if -f10} カメロンは待っていると言った筈なのに、何故!? 君の心に動揺が広がる。だが、目の前にカメロンがいる事実から目を背けることはできない。そんな状況だ。 ${/if} 君と対峙するカメロンは、力を抜いたように垂らした手に、一本の長剣を持っていた。その体勢は、構えを取っている訳でもなく、ただ立っているといったようにも見える。 カメロンの視線は、何処か遠いところを見ているようで覇気もない。 そんな彼の傷付いていた筈の腕には、傷など何処にも見当たらなかった。 ……と、君の意識が逸れたのを見計らったかのように、それは起こった。 若い女の悲鳴。 「しまった!」と慌てて振り返ると、突然青き炎が君達を囲むようにして順々に灯ってゆく。 君の表情が一層険しくなる。最後の炎が灯った時、其処に照らし出したのは、背後から手で口を塞がれたセーナ姫と、あのマンティコアと同じ顔をした男だった! [何故お前が!?](42) 42 男はガラガラと耳障りな嗄れた声で「愉快、愉快よ、愚かしく脆弱な人間共よ」と嗤った。 「聞くがよい、人間。 オレの名は<メジャー・デーモン>。 以前この塔に乗り込んできたソーサリアンがオレを滅ぼし、 束の間の平穏を味わっていたのであろうが…… 実に愚か! 愚かなりソーサリアン!! 人間共への怨嗟、欲深き愚者の執念、そして、 地底に深く染み込んだシャドードラゴンの魔力が、 オレを地獄の底から呼び戻したのだ!」 メジャー・デーモンは、驚愕に色めく君の姿を一瞥し、口元を笑みで歪ませる。 「この姿が気になるようだな? ククッ、これは遥か遠い後の世で悪事を働き、 ソーサリアンに殺された男のものでな、 地獄という刻の概念が曖昧な世界で、その汚れし魂を オレが喰ろうて、有効利用しているだけのこと。 しかし、この男の惑わしの術は実に便利だったぞ。 其処の腑抜けをまた利用するのも容易かったわ」 人の姿に化けた悪魔の目線は、君の後ろにぼうとして佇むカメロンを指していた。 「其奴も哀れよ。この女への報われぬ恋慕をひた隠し、 それ故に容易く操られたのだからな。 またもこの女を攫い、ガラティーンを盗み出し、 貴様に魔法を使うよう仕向けたり…… ほれ、欠片の入ったあの包みのことよ、クククッ。 しかし、貴様がさっさと死んでさえいれば、 その体を利用して魔法を使おうと思っていたのだ、 まったく、余計な手間を掛けさせてくれる」 ……成る程、合点がいった。 ペラペラと、それはもう饒舌に喋る奴の言葉は、非常に耳障りで虫唾が走る。今すぐにでも脳天から叩き斬りたいぐらいだ。 だが、この状況だ。これまで何処か引っ掛かりのあった事柄の謎が明らかになったことだけは疑いようもない。 「さあ、お喋りももうこの辺にしておこうか。 この女の命が惜しくば、そこの腑抜けにペンダントを渡せ。 逆らえば女の腹を生きたまま切り裂いて、臓腑を引き摺り出し、 二目と見られぬ姿にしてやろう」 **何処までも卑劣な奴めッ!!** 君は目を吊り上げて憤怒の叫びを上げる。 セーナ姫はペンダントを渡してはダメだと首を横に振り、目で強く訴えている。 確かに、ペンダントをメジャー・デーモンに渡せば、奴は必ずシャドードラゴンを世に解き放つ腹づもりだろう。 それに、奴が素直に約束を守るとは思えない。 しかし、しかし。こちらが奴の要求を拒絶すれば、奴はセーナ姫の命を奪うことに一切躊躇しないだろう。 こうしているのは、この悪魔が気紛れに人心を弄んでいるに過ぎないのだから。 ……セーナ姫の命が懸かっている。 君は姫君と悪魔の顔を交互に見て、ぎり……と強く歯噛みする。 そして、一言「解った」と低く答え、剣を鞘に収めると、首に掛かるペンダントのチェーンを引き出した。肩の高さまで拳を掲げると、とうとうペンダントが露わになった。 メジャー・デーモンは下卑た笑みを浮かべ、「動きが止まっているようだが?」とわざとらしく煽ってくる。 君は嫌な汗を滲ませた険しい顔で、畜生と悔しげに吐き捨てた。 無言で差し出されたカメロンの手に、君は強張った動作でペンダントを乗せた。 厭らしい表情のまま君の行動を眺めていたメジャー・デーモンがほほぅと歓声を漏らし、セーナ姫の瞳が大きく見開かれる。 カメロンは何の感情も表すことなく、ペンダントを握り締めて君を突き飛ばした。君は小さく呻き、受け身も取れずに尻もちを付いてしまった。 「さあ、早く持ってくるがよい」 メジャー・デーモンの目が妖しく光ると、カメロンはふらふらとした足取りでメジャー・デーモンに近づいて行く。 君は地に片手と片膝を付くような格好で持ち直すが、迂闊な行動はできない。これ以上は動くことができなかった。 カメロンの足が止まった。とうとうセーナ姫を拘束するメジャー・デーモンの下へと到着してしまったのだ! メジャー・デーモンは、君の焦燥感と怒りに満ちた表情を一瞥し、にちゃあと糸引くような醜い嘲笑を浮かべた。 カメロンのペンダントを持つ手がメジャー・デーモンへと差し出されていく……。 [あぁ! このままではシャドードラゴンが……!!](43) 43 **「もういっぺん地獄へ落ちやがれ」** そんな声が聞こえた。 君がそう把握するのが遅れるほどに、それは瞬く間の出来事だった。 まるで神の雷に撃たれたかのような壮絶な悲鳴。 同時に、セーナ姫が小さく声を上げ、押し出されるようにしてよろめく姿が目に入り、君は反射的に立ち上がって彼女を抱き止める。 ふと見れば、彼女の手にはペンダントが握られている。否、そうではない。握らされていたのだ! 顔を上げて再びメジャー・デーモンとカメロンの方を見ると、彼等の間からはもうもうと白煙が立ち登り、腐肉が焼ける不快な臭いが立ち込めていた。 「さっさとくたばれってんだよォッ!!」とカメロンが吼える。 そして、流星を思わせる美しき銀の軌跡がメジャー・デーモンの胸を深々と刺し貫いた。 ――悪魔殺しの聖剣ガラティーン。それがカメロンの手の中にあった。 白煙を上らせ、苦し紛れに踠き、狂ったように呪詛を吐き続けるメジャー・デーモン。既に人の形は保っておらず、悪魔としての醜く禍々しい姿を晒していた。 カメロンが怒号を上げ、ガラティーンを更にメジャー・デーモンの身の内に捻り込むと、メジャー・デーモンは聖なる炎に包まれ、消し炭と化す。それからとうとう動かなくなった。 メジャー・デーモンを刺し、セーナ姫を解放すると同時にペンダントを託す。 それは盗賊の――否、『青い風』頭領カメロン・リチャードだからこそ為せる鮮やかな早業であった。 「ゾーク……やったぜ……」 ぽつり、と呟く。カメロンは炭化したメジャー・デーモンを乱雑に蹴り飛ばし、ガラティーンを引き抜いた。清らかで仄かな光を放つ銀の聖剣は、遠目からでも見惚れるほどの美しさだ。 呆気にとられている君とセーナ姫の方へ、カメロンが剣を鞘に収めながら振り向いた。 その表情は何処か居心地悪そうで、複雑な感情が渦巻いているように見える。 [正気に戻った、のか……?](44 "f06") [正気に戻った、のか……?](45 "-f06") 44 君は恐る恐るといった様子で目の前の男に質問する。 すると、カメロンは「ああ」と頷いた。しかし、すぐに俯いてしまう。 「またオレはとんでもねぇことをしでかしちまった……。 今までずっと霧の中にいるみてぇな心地で、 意識はあるってのに、体も口も勝手に動いてるし、 デタラメばかり並べ立ててるって分かっていても、 オレには何もかもが遠くで起こっているように思えてよ、 何も出来なかった……すまねぇ……」 悔しそうに歯噛みするカメロンの言葉に、君は彼とのやり取りを思い出した。 自分もあの時から悪魔の策略に嵌っていたのだと思うと悔しくなる。 君が剣の柄を握る鈍い音が空間に微かに響いた時、カメロンが「だが」と顔を上げた。 「${name}の旦那からペンダントを渡された時に ようやく意識がはっきりしてな。 あの悪魔はオレの死んだ相棒の仇だったし…… だから、一芝居打って油断させたんだ」 一時はどうなるかと思ったが、あの機転には助けられた。 君はカメロンに礼を言った。しかし、当の本人は首を横に振る。 「いや、あんたに斬り掛かったり、今度も姫さんを攫ったことには 変わりねぇし、礼を言われる資格もねぇよ……。 今はあんた達に謝らせてくれ…… 本当に、すまなかっ、た……」 詫びの言葉を言い終るか否か。カメロンはその場に崩れ落ちると、そのまま仰向けに倒れ込んでしまった。君とセーナ姫はすぐに駆け寄る。 そして、先程から黙って話を聞いていたセーナ姫がカメロンの上体を助け起すと、一度深呼吸し、口を開いた。 「貴方も私も過去に起きた事件の記憶は消えません。 此度の記憶も新たに刻まれました。 しかし、貴方も私も、二度に亘って起きた悲劇は、 あの悪魔により引き起こされたものだと知っています。 そして二度目には、貴方は自らの手で決着を付け、 私は救われた。 ……今は、その事実だけで良いのではないでしょうか」 それは自らにも言い聞かせるように。セーナ姫は言葉を紡いだ。 赦す、赦さないではなく、呑み込み、前へと進むために。 カメロンは辛うじて意識を保っている様子だったが、セーナ姫の言葉は聞こえていたのか、微かに隻眼を見開いていた。だが、その隻眼は優し気に伏せられ、彼は「……ああ」と一言だけ返したのだった。 何となく入り辛い雰囲気で黙していた君も、まあ、ソーサリアンなんてやっていれば、こういうことも珍しくはないし気にするな、とフォローを入れておくことにした。 君の言葉に、あんたも大変なんだな、とカメロンは小さく笑う。それから、腰に下げたガラティーンの柄に触れ、目を伏せる。 ${if -f10} 「すまねぇ、オレは此処までみてぇだ……。 コイツ、は……あんたが使ってくれ、よ……。 あとは、頼む、ぜ……」 ${/if} ${if f10} 「約束通り、オレは此処までみてぇだ……。 コイツ、は……あんたが使ってくれ、よ……。 あとは、頼む、ぜ……」 ${/if} カメロンは、途切れ途切れな声でガラティーンを託すと、そのままがくりと項垂れてしまった。 君は驚いて大声で彼の名前を呼ぶ。だが、セーナ姫が君の前に手をかざし「大丈夫です。メジャー・デーモンの精神支配に抗ったことで酷く疲弊し、一時的に眠りについたのでしょう」と説明してくれると、君はホッと胸を撫で下ろしたのだった。 カメロンの言葉に従い、君は立ち上がって銀の聖剣ガラティーンを鞘ごと腰から提げた。冒険中には何が起こるか分からないからこそ、剣がもう一本あるのは心強い。 点々と灯る青い炎が揺らめく空間で、君はセーナ姫と辺りを見回す。 しかし、セーナ姫が言うには、此処も本来の塔の地下ではないようだ。 **★<GARATEEN>を手に入れた!** [それならシャドードラゴンは一体何処に?](46) 45 君は恐る恐るといった様子で目の前の男に質問する。 すると、カメロンは「ああ」と頷いた。しかし、すぐに俯いてしまう。 「またオレはとんでもねぇことをしでかしちまった……。 今までずっと霧の中にいるみてぇな心地で、 意識はあるってのに、体も口も勝手に動いてるし、 デタラメばかり並べ立ててるって分かっていても、 オレには何もかもが遠くで起こっているように思えてよ、 何も出来なかった……すまねぇ……」 悔しそうに歯噛みするカメロンの言葉に、君は彼とのやり取りを思い出した。 自分もあの時から悪魔の策略に嵌っていたのだと思うと悔しくなる。 君が剣の柄を握る鈍い音が空間に微かに響いた時、カメロンが「だが」と顔を上げた。 「${name}の旦那からペンダントを渡された時に ようやく意識がはっきりしてな。 あの悪魔はオレの死んだ相棒の仇だったし…… だから、一芝居打って油断させたんだ」 一時はどうなるかと思ったが、あの機転には助けられた。 君はカメロンに礼を言った。しかし、当の本人は首を横に振った。 「いや、あんたに斬り掛かったり、 今度も姫さんを攫ったことには変わりねぇし、 礼を言われる資格もねぇよ……。 今はあんた達に謝らせてくれ…… 本当に、すまなかっ、た……」 詫びの言葉を言い終るか否か。カメロンはその場に崩れ落ちると、そのまま仰向けに倒れ込んでしまった。君とセーナ姫はすぐに駆け寄る。 そして、先程から黙って話を聞いていたセーナ姫がカメロンの上体を助け起すと、一度深呼吸し、口を開いた。 「貴方も私も過去に起きた事件の記憶は消えません。 此度の記憶も新たに刻まれました。 しかし、貴方も私も、二度に亘って起きた悲劇は、 あの悪魔により引き起こされたものだと知っています。 そして二度目には、貴方は自らの手で決着を付け、 私は救われた。 ……今は、その事実だけで良いのではないでしょうか」 それは自らにも言い聞かせるように。セーナ姫は言葉を紡いだ。 赦す、赦さないではなく、呑み込み、前へと進むために。 カメロンは辛うじて意識を保っている様子だったが、セーナ姫の言葉は聞こえていたのか、微かに隻眼を見開いていた。だが、その隻眼は優し気に伏せられ、彼は「……ああ」と一言だけ返したのだった。 何となく入り辛い雰囲気で黙していた君も、まあ、ソーサリアンなんてやっていれば、こういうことも珍しくはないし気にするな、とフォローを入れておくことにした。 君の言葉に、あんたも大変なんだな、とカメロンは小さく笑う。それから、腰に下げたガラティーンの柄に触れ、目を伏せる。 ${if -f10} 「すまねぇ、オレは此処までみてぇだ……。 コイツ、は……あんたが使ってくれ、よ……。 あとは、頼む、ぜ……」 ${/if} ${if f10} 「約束通り、オレは此処までみてぇだ……。 コイツ、は……あんたが使ってくれ、よ……。 あとは、頼む、ぜ……」 ${/if} カメロンは、途切れ途切れな声でガラティーンを託すと、そのままがくりと項垂れてしまった。 君は驚いて大声で彼の名前を呼ぶ。だが、セーナ姫が君の前に手をかざし「大丈夫です。メジャー・デーモンの精神支配に争ったことで酷く疲弊し、一時的に眠りについたのでしょう」と説明してくれると、君はホッと胸を撫で下ろしたのだった。 カメロンの言葉に従い、君は立ち上がって銀の聖剣ガラティーンを鞘ごと腰から提げた。 点々と灯る青い炎が揺らめく空間で、君はセーナ姫と辺りを見回す。 しかし、セーナ姫が言うには、此処も本来の塔の地下ではないようだ。 **★<GARATEEN>を手に入れた!(FREE1に装備性能+3追加)** [それならシャドードラゴンは一体何処に?](46) 46 ――それは突然。 炎が消え、辺りは再び闇に包まれた。 その直後だった。 君達が足下から突き上げるような衝撃を受けたのは。 それは爪先から脳天に至るまで。 全身に、精神に、深々と突き刺さる恐怖の槍。 視界がぐらぐらぐねぐねと揺れ歪み、瞬く間に冷や汗が噴き出し、失神しかねないほどの絶対恐怖。 声。 叫び声。 怒号。 咆哮。 それは深い深い地の底から。 君達の足下から聞こえた竜の咆哮であった! **「この下に……奴がいるッ!!」** 君がそう叫んだ直後、何も見えない闇の中、足下の床石がめきめきと音を立ててせり上がり、砕けて行く。 とても逃げられる状況ではない! 落ちる……!! それでも、せめて目の前にいる人だけでもと、君が早口で防御魔法の詠唱を始めた時だった。 **「おお、我等が祖先の魂よ! 常闇に在っても尚輝ける清浄の灯火よ! どうか我等を守り給え!!」** 朗々としたセーナ姫の祈りの言葉が響き渡り、君達が柔らかな光を放つ球体に包まれるのと、床が崩落したのは同時だった。 砕けた石の悲鳴と旋風とが相俟って荒々しい大渦となり、闇に包まれた空間を滅茶苦茶にしてゆく。 ふわりと浮遊する結界の中、君は膝を付き両手を組んで祈りを捧げるセーナ姫と、気を失って倒れているカメロンの横で、じっと足下の虚空を睨みつける。 闇色一色に塗り潰された虚空に、小さな赤き光が現れた。 それはみるみる内に数を増し、大きく、そして鮮明となり―― **轟、と。** 荒ぶる炎を巻き上げ、魔力を帯びた闇の瘴気を纏う『影』が凄まじい速度で飛び出す。 それは狂った咆哮を上げながら、君達の結界を掠め、止まることなく天井を突き破る。 「そ、そんな……!? 飛んでいるなんて!!」 セーナ姫が驚愕の声を上げた。 古の時代から暗い地底に封印され、狭い空間に閉じ込められていたシャドードラゴンは、翼が退化して飛行能力を失っていた……その筈だったのに……。 呆然として呟かれた言葉に、君は緊張でごくりと唾を呑み込む。 本来飛べない筈の竜が飛んでいた。それほどまでに奴は力を取り戻していたというのかッ!? ぎり……と歯噛みしながらシャドードラゴンが飛び去った上部を睨む君に、セーナ姫が声を掛けた。 「この結界は、シャドードラゴンと因縁のある 我が王家の力により出でし聖なるもの。 必ずや我等を宿敵シャドードラゴンの下へと導くでしょう。 ペンタウァの誉れ高き勇者よ、共に往きましょう!」 [常闇の竜! お前を逃がしはしない!!](48) 48 セーナ姫が再び祈りを捧げる体勢を取ると、結界は意思を持っているかのように上昇し始めた。 向かう先は、邪悪なる魔力から生まれた闇の瘴気に黒く塗り潰され、影の如き闇色のシャドードラゴンの姿も、その漆黒の闇に紛れて判別がつかない。 だが、頭上からはシャドードラゴンの咆哮と共に、石が砕けるような音と、大きな羽ばたきの音が聞こえてくる。その中にぶちぶちと何かが引き千切れる生々しい音が混ざった。 封印が解かれつつある<キングドラゴン>から溢れる魔力の影響により復活が早まり、退化する以前の翼を生やしたシャドードラゴンであったが、飛び立つのがあまりにも早過ぎた。 翼からは鱗がボロボロと剥がれ落ち、翼膜は端から細かく千切れ、翼の付け根が裂けて血が溢れ出る。 不完全な翼が飛行の負荷に耐え切れず、崩壊し始めているのだ。 長い長い闇の中を上昇し続ける結界。その中から頭上に広がる闇を睨みつけていた君に――結界越しではあるが――ボタボタと垂れる血に混じって鱗や石の大きな破片が衝突し、君は思わず悲鳴を上げた。 その瞬間、確かに結界が軋んだ。 君が慌ててセーナ姫を見ると、彼女は顔面を蒼白にしながらも祈りを捧げ続け、必死に結界を保とうとしている。 君は静かに深く息を吐き出す。 銀色に煌めく剣を胸の高さまで掲げると、静かに目を伏せ、遥か天空に座する神々に祈る。 神よ! 七惑星の神々よ! どうか我等にご加護を……!! **特別ルール「結界耐久値」** シャドードラゴンの下へ到達するには、君達を包む結界が そこまで保たなければならない。%blue% ①結界には耐久値があり、最大値は**「10」**とする。%/% %blue% ②ダイスを1回振り、左(L)のダイスの出目を判定し 次に右(R)のダイスの出目を判定(右→左の順でも判定可)。 その後、左と右のダイスの結果を結界耐久値に反映させること。 ▼出目が**2,4,6**の場合、巨大落下物が当たり耐久値を**「2」**減らす。 ▲出目が**1,3,5**の場合、巨大落下物が当たらず耐久値は**減らない**。%/%%red% (例:1回目の判定は、右は偶数なのでダメージは**2**となり、 左も同じく偶数だったのでダメージが**2**となる。 その結果、1回目の判定での総ダメージは**4**となる)%/% %blue% ③結界の耐久値は下記の欄で管理し、**「判定は4回繰り返す」**こと。 ただし、君が<PROTECT>を使用できる場合に限り、 1回の判定につき1回のみ<PROTECT>を発動させて、 左右の出目それぞれの耐久値へのダメージを**「1」**に抑えられる。%/% %blue% ④4回まで判定し、その結果を元に選択肢を選ばなければならない。%/% ${input?10}(結界耐久値:最大値10) [▲耐え切った!(耐久値1以上)](49) [▼耐え切れなかった……(耐久値0)](50) 49 降り注ぐ石や竜の断片が結界を打ち据える衝撃が弱まり、とうとう消えた。 そう、君達を包む結界は、数々の障害を耐え切ったのだ! 君は掲げていた剣を下ろして瞼を上げると、背後を振り返ってセーナ姫とカメロンの様子を見た。 セーナ姫は荒く息をしていたが、君の視線に気付くと顔に疲れを滲ませながらも、小さく笑みを浮かべた。 カメロンは相当に疲弊しているのか、目を覚ます気配はない。 だが、二人が無事であると解って、君は安堵する。 そこでふと、先ほどよりも闇の瘴気が薄れていることに気が付いた。 周りを見回すと、自分達を囲むようにして積まれた石壁が見える。 視線をつぅと頭上へと向ける。 ……星だ。星が見える。 君がぽつりと呟く。 盛大に破壊された天井。その穴から夜空が見えたのだ。 結界によって浮上し始めた時には分からなかったこの空間の形状が徐々に明らかになる。そして君は理解した。 この円柱状の空間は、君が迷宮へと降りた場所――塔の内部――であったのだ、と。 恐らくは、あの風変りな老人が言っていた『空間の捩じれ』の影響なのだろう。 「シャドードラゴンの羽ばたきが聞こえなくなりました。 最上階にて竜を殺す者を迎え討つつもりなのでしょう……」 天上の星々を見上げながら、セーナ姫が重々しく呟いた。 この壁の頂を越え、結界が屋外へと飛び出した時、シャドードラゴンの全貌が明らかになるだろう。 奴と対峙した時、決戦が始まるのだ。 君はセーナ姫と打ち合わせ、互いに頷き納得した。 それから君は、<七惑星の欠片>の数を確認し、記憶する。 続いて防具の具合や各部位を締めるベルトの弛みも確かめる。それが終わると、次には剣の柄を改めて強く握り締めた。 その銀の刀身は、天上から降り注ぐ淡い光を反射し、美しく煌めく。刃こぼれ一つなく輝く様は、決戦を目前に控えた君の心を奮い立たせた。 ……よし、いける。 準備は整った。 あとは己が死力を――否、死んではならない。死んでなるものか。 生きて帰ると約束した。 故に、自分は決戦で全力を尽くす。 そして、無事な姿で皆にこう言うのだ。 『ただいま』と、満面の笑みを浮かべながら。 「このまま屋外に……出ます!」 セーナ姫の緊迫した声が飛ぶ。 結界の上昇速度がぐんぐんと上がり、そして。 %white% ・ ・ ・ ・%/% 閉ざされた闇が――終わる。 %white% ・ ・ ・ ・%/% [いざ、決戦の地へ!](51) 50 ${if f11} 結界が軋む。それから先程まではしなかった音が耳に入り、君の集中が途切れた。 まさか……と音がした方を見やると、結界にヒビが走っていくのが見えた。 君は自らの心臓の鼓動が速まり、呼吸が乱れ、一瞬にして全身から冷たい汗が噴き出るのを感じる。 今度は背後から物音がして、君は反射的に振り向いた。 そこにはセーナ姫がカメロンと折り重なるようにして倒れていた。 君が慌てて助け起こすも、セーナ姫の顔色はまるで死人のような白さで、全身は氷のように冷え切っていた。 結界の維持に膨大な魔力を消費し、そして魔力の不足分を補うべく生命力すらも削っていた彼女は、仮死状態に陥ってしまったのだ。 君は必死になって彼女に<HEAL>を施し、救命措置を試みる。 しかし、既にそれだけでは回復できないほど彼女の状態は酷く、意識を取り戻す様子もない。 **カメロンッ! カメロンンンンッッ!!** セーナ姫に救命措置を行いながら、君はわめくようにカメロンの名を呼ぶが、彼もまたメジャー・デーモンの強力な支配に心身を削られて衰弱し、目を覚まさない。 結界が大きな音を立ててめきめきと軋む。 その音に君はビクリと全身を震わせ、顔を上げた。 蜘蛛の巣のようなひび割れが、凄まじい勢いで結界の上を走っていく。 君の手は止まっていた。 叫ぶことも忘れていた。 君は時が止まってしまったかのように動かない。 ただ、涙だけは止まらず、流れ続けた。 君の瞳が抗えぬ絶望を前に濁ってゆく。 その薄靄が掛かった生気のない瞳で、結界が少しずつ壊れていく様を見続けることしかできない。 既に君にはどうすることもできなかった。 そして、結界は崩壊した。 君は意識のない男女を両腕で抱き、墜ちてゆく。 光を伴ってキラキラと輝く結界の欠片と己の涙。 それはまるで星屑のようだ。 あぁ、あぁ、なんて美しいのだろう。 君は降り注ぐ結界の欠片をぼうと見つめながら、そんなことを思った。 そう、これは常闇へと墜ち往く者への手向けの花だ。 静かに目を伏せ、穏やかに微笑む。 だが、その表情はすぐに歪み、口からは嗚咽が零れる。 離れそうになる男女を強く胸に抱き、君は呟いた。 %white% ・ ・ ・ ・%/% 「 すまない 」 %white% ・ ・ ・ ・%/% %purple%**BAD END「常闇に消えた星屑の花」**%/% ${/if} ${if f12} 本来ならばブレスの射程距離や攻撃範囲を安全な場所で観察してから……といきたいところだったが、そんな甘いことなど言ってはいられない。 戦場において、武具の性能以外には、己の戦士としての技量と勘……と、それから運が物を言うのだ。 君はシャドードラゴンの頭の角度から、経験に沿って頭の中でブレスの射程距離を予測する。 ――しかし、君の予測と君の体とが噛み合うのかは別問題だ。 君は再び走り出すが、気が急くあまり盛大に脚をもつれさせてしまい、その体はがくんと大きくぶれた。 **あっ……!?** 気付いた時には既に遅く、君は派手な音を立てて転倒した。 慌てて立ち上がるが、足首を酷く捻ってしまったのか、足に痛みが走り、上手く力が入らない。 此処でぐずぐずしている暇はない! 走らなければ!! 足首の痛みを堪えながら、君は再び走り出す。 だが、この時間が君の命運を分けた。分けてしまったのだ。 %white% ・ %/% ――それは「熱い」なんて生易しいものではなかった。 **「地獄」** そう。地獄が${此処に在った|・・・・・}。 %white% ・ %/% 生きたまま身を焼かれることのなんて恐ろしく残酷なことか! 君は茫々と燃え盛る業火の中で、言葉にならない滅茶苦茶な悲鳴を上げ、熱された灼熱の石床の上を狂ったようにのたうち回った。 しかし、それも数秒の出来事。 身の毛が弥立つほどの惨たらしい悲鳴は消え、先程までは確かに動いていた君は炭へと変わり果てた。 斯くして、シャドードラゴンとの決戦は、${name}と呼ばれた勇者の凄惨な死によって幕を閉じたのだった。 %purple%**BAD END「火葬」**%/% ${/if} ${if f13} くっ……視界が悪過ぎる……! 君は傷だらけになりながら、一層濃さを増す闇の瘴気の中で立ち尽くしていた。 相手の姿が視認しづらい状況で、闇雲に動き回ってしまった結果が、体に刻まれた無数の傷であったのだ。 足元は闇の瘴気によって見えないが、きっと石床は血溜まりになっていることだろう。 足の裏から伝わる微かな不快感が、そうであると訴えかけていた。 君は獣のような鋭い視線で周囲に注意を払う。 足場が揺れる振動から奴の居場所はある程度特定できるが、闇の沼が落とし穴のように待ち構え、そこから爪が出てくることもある。 闇の沼に踏み入れたが最後、それは鎌首をもたげ、冷静さを失った哀れな獲物を刈り取るのだ。 だから、とにかく慎重に……――ッ!? 咄嗟に身を退き、盾を握る手に力を籠める。 足下の闇の瘴気を切り裂き、爪が君に向かって突き上げられた。君は盾でそれをいなし回避した。 だが、そこに注意が${いきすぎた|・・・・・}。 『それ』はあまりにも鋭利で、引き千切るような音も感覚もなかった。 剣を持つ手が肩口から、鮮血を撒き散らしながら上空へ飛んだのだ。 君はあまりにも唐突な出来事に、理解が追い付かない。 均衡が保たれていた体が、瞬きほどの間に利き腕を喪失し、君の体が大きく傾いだ。 しかし、君はその場に転倒することはなかった。 何故なら、君の体は背面から腹部に掛けてシャドードラゴンの爪に串刺されたからだ。 その様は、鳥によって枝に突き刺された獲物――まさに${速贄|はやにえ}の状態であった。 もしこれが本当に鳥が行う速贄と同じ性質であったのならば、君が助かる見込みも極小ながらもあったのかもしれないのだが。 体に残る手足が中空にぶらぶらと頼りなく揺れ、腕のない肩口や貫かれている背面と腹部からは大量に出血し、大きく開かれた口からは、途切れ途切れの悲鳴、そして唾液と血液とが流れ落ちてゆく。 君の全身はガクガクと大きく痙攣し、目玉が零れ落ちそうなほど見開いた瞳は焦点が定まらず、ただただ涙を垂れ流した。 血走った目は空いているのに何も見えず、否、何も見ようとはしない。全身を侵す惨たらしいまでの激痛が、目に映るものを拒絶するのだ。 だがしかし、闇の瘴気からシャドードラゴンの顔が露わになった時、逃れられない恐怖が君の意識を現実に引き戻す。 シャドードラゴンの醜悪な顔がゆっくりと君に近付いてゆく。 君は六つの紅い瞳に射竦められ、涙と血と唾液に塗れた顔を逸らせぬまま、ただ情けない細切れの悲鳴を零すことしかできない。 顔面に吹き付けるシャドードラゴンの腐臭のような吐息に、絶対的恐怖に、君は堪らず嘔吐する。 そんな中で、シャドードラゴンの顎が上下に開いてゆく様相だけが、まるで時間が遅れているかのように、やけに遅く見えた。 君の口からぽろぽろと零れ落ちる言葉があった。 %white% ・%/% 「 いやだ 」 %white% ・ ・%/% 「 しにたくない 」 %white% ・ ・ ・%/% **「 死にたくない……ッッ!!! 」** %purple%**BAD END「分かたれた戦士」**%/% ${/if} ${if f14} 近距離で放たれる炎のブレスは、標的が近いからこそ威力が半減せずに直に来る。 シャドードラゴンのようなタイプの対ドラゴン戦では、足下や顎下での攻撃が有効とされるも、ブレスを吐くドラゴンでは注意が必要だ。 何故なら、ブレスの熱波や熱された足場と空気によって、長く顎下や足下には留まっていられないからだ。 現に、この場も茹るというよりも寧ろ鉄板の上で焼かれているような状態で、君の体力の消耗は激しい。 ぐっ……!? 君は呻いた。靴底から伝わり続けていた熱がゆっくりと足の裏を熱し、じんとした鈍く響く痛みが強まっているのだ。 既に回避にも攻撃にも支障が出始めていて、走るのも跳ぶのも激痛が伴う。 それを先程から無理を押してこなしているのだ、体力の消耗もより一層激しさを増していた。 また炎のブレスが来る! 襲い来る鎌のような爪に後方に追いやられていた君は、尚も襲い来る爪を避けながら、炎のブレスに備えてシャドードラゴンの足下へと駆ける。 だが、進路上に突如闇の沼が湧き、爪が突き出したのを認め、急停止し切れない君は勢いよく横へと跳び、転がった。 すんでのところで爪の一撃は躱し切れたが、石床の上は熱された鉄板と同じく高熱を帯びている。その上を転がった君は、手酷い火傷を負ってしまった。 だが、その目を覆いたくなるような火傷ですら、これから待ち受ける運命には遠く及ぶものではなかったのだ。 ようやく転がる勢いが弱まり、君は止まった。 君は急いで高熱の石床の上に剣を突き立てるようにして体を起こす。 そして頭上を見て――焼き尽くされた。 「熱い」だとか「痛い」だとか、そんなことを感じる時間などあろう筈もない。 頭上を見上げたら、体は炎の奔流に呑み込まれていたのだから。 業火が渦を巻き、火の粉を巻き上げ、屋上を夕焼けの如く赤々と染め上げた。 その中心に転がった炭は、炎を物ともしない竜に踏み潰され、無惨にも粉々に砕け散ったのだった。 %purple%**BAD END「砕け散った想い」**%/% ${/if} ${if -r08:shadow}%red% ※一部の実績取得条件には、Scenario 2「ゼロの創造」の 実績取得率が関係しているものも含まれています%/% ${/if} 51 狭き闇から飛び出す。 君達三人を包む結界が上昇を止め、中空に静止した。 空には青き月があった。 寒々しい光を放つ月に欠けはない。蒼白い満月が星々と雲とを従えて、朽ち掛けた塔を見下ろしている。 月がさぁと薄雲に覆われ、辺りが微かに暗くなる。 群青とも紫黒とも言い切れぬ色が、濡羽色に染まる空に溶け馴染み、鈍色の雲が細く長い尾を引いて、吹き抜ける風に流されてゆく。 壁も天井もない塔の屋上。 此処はかつてソーサリアンがメジャー・デーモンと戦った因縁の地であった。 結界が屋上の石床近くまで高度を下げる。 セーナ姫が結界へと手を触れると、君の目の前を覆っていた結界の一部に穴が空いた。 君は唇の隙間を細め、風を切るようにふっ、と短く息を吐く。 「どうかご無事で……」 背中越しにセーナ姫の祈りを聞きながら、君は結界から跳んだ。 君が跳び出すのと同時に結界の穴は閉じられ、後方へと飛んで行く。セーナ姫にはカメロンを連れ、そのまま塔の中へと避難してもらうよう打ち合わせていたのだ。 君は靴底と石床とが触れる甲高い音を響かせながら着地する。 そして、君の鋭い視線が、意識が、遠く前方へと飛ぶ。 己を殺す者が来たと察したのだろうか。 竜の咆哮が闇を切り裂き、赤く禍々しい魔力の炎が吹き上がった。 月を覆っていた雲が竜から逃げ出すように流れ去り、月光が再び辺りを照らし始める。 漆黒の中に在っては見えなかった『影』の全貌が、月明りに照らし出されていた。 ![シャドードラゴン](shadow07.png) 常闇の色をした体躯――その全高は、君の背丈を遥かに超えていた。 上顎は長く尖り、下顎の側面からは前方へと伸びた鋭い牙が見える。 顔に並ぶ瞳は六つ。紅玉の色を帯びた六つの瞳は、闇の中でもゆらりと妖しい光を放っていた。 巨大な翼爪が生える翼には既に翼膜はなく、前足と同じく赤き魔力の炎が激しく燃え盛る。 その前足は、首を刈り取る鎌の如き鋭利で巨大な爪を生やしているが、胴体には繋がっておらず、中空に浮いていた。 胸部から腹部に掛けて無数に存在する空洞には闇が渦巻き、臓腑が存在しない胴体は骸を連想させる。その様相は、不完全な復活を象徴しているかのようであった。 %white% ・%/% **常闇から来たる影<シャドードラゴン>** %white% ・%/% 彼の竜が月下に座し、とうとうそのおぞましき姿を明らかにしたのだ。 赤き六つの眼光は対峙する君を射竦めようとするが、誓いを胸に秘めた君は凛然と佇み、怯むことはない。 君の闘志に燃える瞳が、銀の刃が、青き月の光を受けて煌めく。 **「覚悟しろッ!!」** 決戦の始まりを告げる。 君は地を蹴り、シャドードラゴンの下へと駆け出した。 [全力で戦い、そして生き抜いてみせるッ!](52) 52 君が剣と盾を携えて駆ける一方、シャドードラゴンは近づいて来る様子を見せない。 そっちがその気ならば、と君は一段と速度を上げてシャドードラゴンに接近してゆく。 するとシャドードラゴンが緩慢な動きで首をもたげた。 ――刹那、風の流れが変わった。 君は無意識に足を止めていた。 急激に濃度を増す周囲の魔力に全身が総毛立ち、皮膚がひりつき始める。 シャドードラゴンの口の中に朱の光が灯り、それが魔力を吸収して膨れ上がっていく。 ブレスを吐く魔物特有の動作に、君の戦士としての直感が、このままでは危険だと告げている。 **特別ルール「炎のブレス回避」** シャドードラゴンが吐き出す炎のブレスは、当たれば重傷、最悪は即死も免れないだろう。 君は回避を最優先しなければならない。 因みに、君の後方には壁のない絶壁があり、その手前には塔内部への出入り口があるが、引き返すには到底間に合いそうもない、と追記しておく。%blue% ①ダイスを1回振り、「回避判定」の ダメージ式ボタンを押して回避判定を行い、 **回避に成功した場合**(ノーダメージ)、 選択肢「回避に成功した!」を選ぶこと。%/% %blue% ②回避判定を行い、**回避に失敗した場合**(MP被ダメージ)、 ダイスを1回振り、「炎のブレス」のダメージ式ボタンを 押すこと(<HEAL><PROTECT><RESURRECT>使用可)。%/% %blue% ③「炎のブレス」の被ダメージで**HPが1以上**残っていた場合、 選択肢「HPが1以上残っている場合」を選ぶこと。 被ダメージで**HPが0**になってしまった場合、 選択肢「HPが0になった場合」を選ぶこと。%/% [▲回避に成功した!](53) [▼HPが1以上残っている場合](54) [▼HPが0になった場合](50) 53 本来ならばブレスの射程距離や攻撃範囲を安全な場所で観察してから……といきたいところだったが、そんな甘いことなど言ってはいられない。 戦場において、武具の性能以外には、己の戦士としての技量と勘……と、それから運が物を言うのだ。 君はシャドードラゴンの頭の角度から、経験に沿って頭の中でブレスの射程距離を予測する。 そして、シャドードラゴンのブレスが吐き出される前に、再び走り出して自らの軌道を修正していき……そして、 シャドードラゴンの顎が大きく開き、炎のブレスが吐き出される! **当たってたまるかッ!!** 君の心が吼えた。 斜め前方へと全力で駆け、炎の周囲から伝わる高温に全身が炙られるのを自覚した瞬間、君は脚のしなやかな筋肉を弾ませて地を蹴り、跳んだ。 直後、君の背後が激しく赤く光ると、熱風が吹き荒れる! 君は石床に手をついて一回転すると、片膝をついた体勢で止まる。 一筋の汗が頬を伝う。ちらりと背後を流し見ると、未だに炎の嵐は続いており、場の高温で風景がゆらゆらと歪んで見えた。 あんなものにまともに当たっては、人間などひとたまりもない。 君は自分があの業火の中にいないことに感謝しながら、ブレスの脇を大回りに避けて再び走り出した。 [更に接近する!](55) 54 本来ならばブレスの射程距離や攻撃範囲を安全な場所で観察してから……といきたいところだったが、そんな甘いことなど言ってはいられない。 戦場において、武具の性能以外には、己の戦士としての技量と勘……と、それから運が物を言うのだ。 君はシャドードラゴンの頭の角度から、経験に沿って頭の中でブレスの射程距離を予測する。 ――しかし、君の予測と君の体とが噛み合うのかは別問題だ。 君は再び走り出すが、気が急くあまり盛大に脚をもつれさせてしまい、その体はがくんと大きくぶれた。 **しまった……!?** 転倒しそうになった君は、辛うじて体勢を立て直したが、その僅かな計算の狂いは全てに響く。 思ったよりも距離が稼げて…… シャドードラゴンの顎が大きく開き、炎のブレスが吐き出される! 君は遅れを取り戻すように斜め前へと全力で走り、全身が炙られる感覚を自覚しながら跳んだ。 しかし、炎が着弾した直後、石床に押し潰された炎が行き場を失って円状に広がり、君は炎と熱波に襲われる! 君は堪らず悲鳴を上げ、追い縋る炎と熱から逃れるように石床の上を転がった。 炎のブレスの直撃を免れたこと、それから防具の性能により、多少は炎の威力も軽減されているのだろうが、炎が掠めたと思しき箇所は火傷を負い、鈍く疼くような痛みを訴えている。 君は高温に熱せられた空気に噎せながらも、ゆらりと上体を起こして片膝をついた。 額に無数の汗が浮かぶ。君が顔を上げると、未だに炎の嵐は続いており、場の高温で風景がゆらゆらと歪んで見えた。 あんなものにまともに当たっては、人間などひとたまりもない。 君は自分があの業火の中にいないことに胸の奥底から感謝しながら、ブレスの脇を大回りに避けて再び走り出した。 [更に接近する!](55) 55 炎のブレスを掻い潜った君は立ち止まり、油断なく剣を構えた。 そんな君の鋭い視線の先には、口から煙を立ち上らせているシャドードラゴンがいる。 とうとうシャドードラゴンと面と向かって対峙したのだ! シャドードラゴンを間近で見上げる君は、はっきりと把握した。こうして対峙する竜のなんと大きく無気味なことか! 大気を震わせて響く大音量の唸り声など、まるで地響きのようだと身震いする。 しかし、今までにも強大な力を持つ魔物や、自分の背丈を越える巨大な魔物を斃してきた。今回もその内の一匹に過ぎないのだ、と自分を奮い立たせた。 さて、どう攻めようか……。 君が狙いを定めようと目を凝らした時だった。 シャドードラゴンの六つの赤い目がギロリと不気味に光ったかと思うと、翼を広げて咆哮する。 思わず耳を塞いで怯んでしまった君の目の前で、シャドードラゴンの体から闇色の瘴気が噴き出し、みるみる内に周囲に漂い始めたのだ! %red% **シャドードラゴン戦の勝利条件** この戦闘から**FREE3欄**に**シャドードラゴンのHP「200」**が反映される。 君はシャドードラゴンの本体に攻撃が命中しない限り、シャドードラゴンにダメージを与えたことにならない。 最後に見事シャドードラゴンのHPを「0」にできれば、君の勝利となる。%/% **特別ルール「闇の瘴気」** 空中に漂う闇の瘴気により、君の視界は悪くなっている。 シャドードラゴンの本体に攻撃するためには、闇の瘴気による妨害を掻い潜り、**「10ターン以内」**に1~3の攻撃目標全てに攻撃しなければならない。 ${if f06} ただし、**「SILVER装備一式」**を装備している君は、装備の対魔力性能により近接時には闇の瘴気を退け、**左右のダイスの出目に関係なく、シャドードラゴンの本体に攻撃できる**。${/if}%blue% ①この戦闘には**「10ターン」**の制限がある。 ダイスを②まで振った後にターン数を**「1」減らすこと**。%/% %blue% ②ダイスを1回振り、右ダイス(R)の出目で判定。 ▲出目が**2,4,6**の場合、ダイスをもう1回振って シャドードラゴン本体1~3の**「いずれか1つ」**を選び、 ダメージ式ボタンを**「1回」**押して攻撃できる。 (1回攻撃した本体は、再度攻撃できない) ▼出目が**1,3,5**の場合、闇の瘴気に妨害されて爪の攻撃を 受けるため、**「闇より忍び寄る爪」**のダメージ式ボタンを 押すこと(こちらは何度攻撃しても撃破したことにならない)。%/% %blue% ③上記の判定を1ターン毎に繰り返し、**「10ターン以内」**に **シャドードラゴン本体1~3全てに攻撃が済んだ時点で 君のHPが70以上残っている場合**、 「追撃」のダメージ式ボタンを**1回**押すことができる。 その後、選択肢「1~3まで攻撃できた」を選択して先に進める。 ただし、**上記条件が達成できなかった場合**、 選択肢「1~3まで攻撃できなかった……」を選択すること。%/% ${input?10}(ターン数:最大値10) [1~3まで攻撃できた](56) [1~3まで攻撃できなかった……](50) 56 君は息を荒げながらも、シャドードラゴンと適度な距離を保って攻撃を仕掛けていた。 最初は試しにあちこち斬っていたが、結局は闇が渦巻く空洞の胴体くらいしかまともに攻撃が通らないのが判った。 それが判っただけでも闇雲に動かなくても済むのだから、余裕が大分違うというものだ。 だが、シャドードラゴンは、かつてカルーン王国を壊滅直前まで追い詰めた邪悪なる竜。そう易々と君の攻撃を甘んじて受けている筈もなく。 闇の瘴気は一時的に薄くなった代わりに、今度は近距離の炎のブレスが君を襲う! **特別ルール「炎のブレス回避+本体への攻撃」** シャドードラゴンが吐き出す炎のブレスは、当たれば重傷、最悪は即死も免れないだろう。 シャドードラゴンの本体に攻撃するためには、近距離で放たれる炎のブレスを回避し、**「8ターン以内」**に4,5の攻撃目標全てに攻撃しなければならない。%blue% ①この戦闘には**「8ターン」**の制限がある。 ダイスを②または③まで振った後にターン数を**「1」減らすこと**。%/% %blue% ②ダイスを1回振り、「回避判定」の ダメージ式ボタンを押して回避判定を行い、 **回避に成功した場合**(ノーダメージ)、 ダイスをもう1回振ってシャドードラゴン本体4,5の **「どちらか1つ」**を選び、ダメージ式ボタンを **「1回」**押して攻撃できる。 (1回攻撃した本体は、再度攻撃できない)%/% %blue% ③回避判定を行い、**回避に失敗した場合**(MP被ダメージ)、 ダイスを1回振り、「近距離の炎のブレス」の ダメージ式ボタンを押すこと。 (<HEAL><PROTECT><RESURRECT>使用可)%/% %blue% ④上記の判定を1ターン毎に繰り返し、**「8ターン以内」**に **シャドードラゴン本体4,5全てに攻撃が済んだ時点で 君のHPが70以上残っている場合**、 「追撃」のダメージ式ボタンを**1回**押すことができる。 その後、選択肢「4,5に攻撃できた」を選択して先に進める。 ただし、**上記条件が達成できなかった場合**、 選択肢「4,5に攻撃できなかった……」を選択すること。%/% ${input?8}(ターン数:最大値8) [4,5まで攻撃できた](57 "f06") [4,5まで攻撃できた](58 "-f06") [4,5まで攻撃できなかった……](50) 57 近距離で放たれる炎のブレスは、標的が近いからこそ威力が半減せずに直に来る。 シャドードラゴンのようなタイプの対ドラゴン戦では、足下や顎下での攻撃が有効とされるも、ブレスを吐くドラゴンでは注意が必要だ。 何故なら、ブレスの熱波や熱された足場と空気によって、長く顎下や足下には留まっていられないからだ。 しかし、君はシャドードラゴンのブレスを誘導して逸らすことで、何とか胴体に攻撃を重ねることができた。 だが、この場での戦いは、茹るというよりも寧ろ鉄板の上で焼かれているような状態で、君の体力の消耗は激しい。 一瞬ぐらりと目眩を覚えた時、シャドードラゴンの顎が迫ってきた! 君は反射的に身を引いて盾で応戦する! シャドードラゴンの下顎に生えた牙が盾に思い切りぶつかった! 盾越しに感じる凄まじいまでの衝撃と風圧。 君は息を詰まらせて後方へと吹っ飛ぶが、両足に力を込めて踏ん張ると、屋上をぐるりと囲うようにして立つ柱に背を強かに打ち付けてようやく止まった。 ――しかし、その後がいけなかった。 足下からの殺気。 君は体を打った衝撃の重さに霞む目のまま、それでも戦士の意地だとばかりに横へと避ける。 だが、右手に切り裂かれるような鋭い痛みが走り、思わず手を離してしまったのだ。 赤毛の少年から譲り受けた、あの素晴らしき銀の剣を! あまりの失態に君の意識が一瞬にして覚醒するが、鮮明になった視界に映ったのは、闇の沼から伸びた爪が剣を握り込み、闇の沼へと沈んでいく悪夢のような光景だった。 君はすぐにシャドードラゴンの石床に沈んだ両前足を注視する。 ずるりと引き抜かれた左前足、その爪にはあの剣が挟まっていた。 君は予備としていたガラティーンを鞘から引き抜き、剣を返せと怒声を張り上げて走った。 ――しかし、悪夢には続きがあった。 なんと、走り迫る君の目の前で、シャドードラゴンが剣を屋上から投げ捨てたのだ! 剣は月光を反射して輝きながら、銀の軌道を描いて回転し……そして無情にも屋上の下へ落下していったのだった。 君はその場で足を止め、剣が落ちて行く光景をただ見ていることしかできなかった。 悔しさで顔が歪み、腹の底で溶岩がぐらぐらと煮えたぎるような怒りを覚える。 だが、今この手に握られた聖剣の確かな感触を意識して、清浄な力の流れを感じた君の思考は徐々に冷え固まる。 そうだ、自分にはまだこの一本がある。まだ戦えるのだ。 戦闘再開。 君はガラティーンを手に、再びシャドードラゴンへと立ち向かう! %red% **▼HPとMPに3ダメージを受けた!**%/% [行くぞッ!!](59 "oFreeIII80-") [行くぞッ!!](60 "oFreeIII79+") 58 近距離で放たれる炎のブレスは、標的が近いからこそ威力が半減せずに直に来る。 シャドードラゴンのようなタイプの対ドラゴン戦では、足下や顎下での攻撃が有効とされるも、ブレスを吐くドラゴンでは注意が必要だ。 何故なら、ブレスの熱波や熱された足場と空気によって、長く顎下や足下には留まっていられないからだ。 しかし、君はシャドードラゴンのブレスを誘導して逸らすことで、何とか胴体に攻撃を重ねることができた。 だが、この場でも戦いは、茹るというよりも寧ろ鉄板の上で焼かれているような状態で、君の体力の消耗は激しい。 一瞬ぐらりと目眩を覚えた時、シャドードラゴンの顎が迫ってきた! 君は反射的に身を引いて盾で応戦する! シャドードラゴンの下顎に生えた牙が盾に思い切りぶつかった! 盾越しに感じる凄まじいまでの衝撃と風圧。 君は息を詰まらせて後方へと吹っ飛ぶが、両足に力を込めて踏ん張ると、屋上をぐるりと囲うようにして立つ柱に背を強かに打ち付けてようやく止まった。 突然の足下からの殺気。 君は体を打った衝撃の重さに霞む目のまま、それでも戦士の意地だとばかりに横へと避ける。 だが、右手に切り裂かれるような鋭い痛みが走った。 慌てて右手を引いたのが幸いしたのか、手を切り落とされることも、剣を落とすこともなかった。 右手の痛みに君の意識は一瞬にして覚醒する。鮮明になった視界に映ったのは、闇の沼から伸びた爪が闇の沼へと沈んでいく光景だった。 君がシャドードラゴンの石床に沈んだ両前足を見やると、丁度ずぶずぶと両前足が沼から引き上げられているところだ。 右手は疼くような痛みを訴えるが、君は構わずに剣を強く握り直す。 戦闘再開。 君はガラティーンを手に、再びシャドードラゴンへと立ち向かう! %red% **▼HPに3、MPに1ダメージを受けた!**%/% [行くぞッ!!](60) 59 赤毛の少年から譲り受けた装備品の内の一つが欠けた影響か、闇の瘴気が払えなくなってしまったようだ。 しかし、新しい剣――ガラティーンを振るってすぐに解った。 このガラティーンという悪魔殺しの聖剣も、赤毛の少年から譲り受けた剣と同等の美しさを誇っている。また、斬れ味の良さも最上と言っても過言ではないだろう。それほどの業物だ。 先程とは勝手が違う戦いではあったが、この剣の力にも助けられ、武器をぶん投げられた仕返しとばかりにシャドードラゴンの胴体に一撃、二撃と叩き込んでやった。 シャドードラゴンの胴体にある闇が渦巻く空洞、それを覆う組織は徐々に切断され、びらびらと風に揺れている。 シャドードラゴン自体の動きは、元から俊敏ではなかったが、それなりにダメージを与えられているということなのだろうか、シャドードラゴンの動きが更に鈍っているように見える。 戦いの終わりが見え、君の闘志が更に燃えた。この調子で滅してやるぞと勇み立つ。 そんな時だった。 それは突然暴風が吹き荒れたかのように。 一際大きく、それこそ今までの咆哮がそよ風だったと感じるほどの荒々しさで、シャドードラゴンが吼えた。 咆哮は天に轟くほどの大きさで、それを何の備えもなく突然聞かされた君は、耳の奥深くまで刺されたような痛みと、目から火花が散ったと錯覚するほどの衝撃、そして激しい耳鳴りに襲われ聴覚を失った。 急激な心拍数上昇に吐き気を催し、堪らず嘔吐する。 君はシャドードラゴンの明らかな変化に身の危険を感じるが、聴力と同時に平衡感覚を失い、辿々しい足取りでよろけ、その度に何とか踏み止まる、というようなことを繰り返す。 あと少し……! あと少しなんだ……!! 自由の効かない体を叱咤し、足を踏み出すが、前に進めない。 だが、戦士としての意地が、誓いが、君に力を与えた。 **これで……!** **最後……だ……ッ!!** %blue% **▲シャドードラゴン(FREE3)に10ダメージを与えた!!**%/%%red% **▼HPに8、MPに6ダメージを受けた!**%/% [渾身の力でガラティーンを振り下ろす!](61) 60 ${if f15} 赤毛の少年から譲り受けた装備品の内の一つが欠けた影響か、闇の瘴気が払えなくなってしまったようだ。 しかし、新しい剣――ガラティーンを振るってすぐに解った。 このガラティーンという悪魔殺しの聖剣も、赤毛の少年から譲り受けた剣と同等の美しさを誇っている。また、斬れ味の良さも最上と言っても過言ではないだろう。それほどの業物だ。 先程とは勝手が違う戦いではあったが、この剣の力にも助けられ、武器をぶん投げられた仕返しとばかりにシャドードラゴンの胴体に一撃、二撃と叩き込んでやった。 ${/if} ${if -f15} この頃にはガラティーンもすっかりと君の手に馴染んでいた。 君はガラティーンを見事に使いこなし、隙あらばシャドードラゴンの胴体に一撃、二撃と叩き込んでやった。 シャドードラゴンの胴体にある闇が渦巻く空洞、それを覆う組織は徐々に切断され、びらびらと風に揺れている。 シャドードラゴン自体の動きは、元から俊敏ではなかったが、それなりにダメージを与えられているということなのだろうか、シャドードラゴンの動きが更に鈍っているように見える。 戦いの終わりが見え、君の闘志が更に燃えた。この調子で滅してやるぞと勇み立つ。 ${/if} ……が、君はそこで空気が頭上へと吸い込まれていくのを肌で感じ、咄嗟に耳を塞いだ。 それは突然暴風が吹き荒れたかのように。 一際大きく、それこそ今までの咆哮がそよ風だったと感じるほどの荒々しさで、シャドードラゴンが吼えた。 咆哮は天に轟くほどの大きさで、咄嗟に耳を塞いだというのに音は容易く手を貫通し、君は耳の奥深くまで刺されたような痛みに襲われた。 君はシャドードラゴンの明らかな変化に身の危険を感じ、目眩で足をややもつれさせながらも、何とか後ろに退くことができた。 その直後に君が先程まで立っていた場所をシャドードラゴンの巨大な槌のような腕が薙いでいった。 あっ……危なかった……!! 君は背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。 だが、いよいよシャドードラゴンも弱ってきたと確信し、君の剣の柄を握る手に力が籠る。 %blue% **▲シャドードラゴン(FREE3)に15ダメージを与えた!!**%/%%red% **▼HPに4、MPに3ダメージを受けた!**%/% **特別ルール「闇の瘴気」** 空中に漂う闇の瘴気により、君の視界は悪くなっている。 シャドードラゴンの本体に攻撃するためには、闇の瘴気による妨害を掻い潜り、**「6ターン以内」**に6,7の攻撃目標全てに攻撃しなければならない。 因みに、シャドードラゴンが発狂して危険なため、時間的な余裕がなく、ターン数が少なくなっている。 爪によるダメージも増えているが、その代わりに防御力が低下しているようだ。%blue% ①この戦闘には**「6ターン」**の制限がある。 ダイスを②まで振った後にターン数を**「1」減らすこと**。%/% %blue% ②ダイスを1回振り、右ダイス(R)の出目で判定。 ▲出目が**2,4,6**の場合、ダイスをもう1回振って シャドードラゴン本体6,7の**「いずれか1つ」**を選び、 ダメージ式ボタンを**「1回」**押して攻撃できる。 (1回攻撃した本体は、再度攻撃できない) ▼出目が**1,3,5**の場合、闇の瘴気に妨害されて爪の攻撃を 受けるため、**「闇より襲い来る爪」**のダメージ式ボタンを 押すこと(こちらは何度攻撃しても撃破したことにならない)。%/% %blue% ③上記の判定を1ターン毎に繰り返し、**「6ターン以内」**に **シャドードラゴン本体6,7全てに攻撃が済んだ時点で 君のHPが70以上残っている場合**、 「追撃」のダメージ式ボタンを**1回**押すことができる。 その後、**上記条件の達成・未達成を問わず**、 選択肢「そろそろ終わりにするぞッ!」を選択すること。%/% ${input?6}(ターン数:最大値6) [そろそろ終わりにするぞッ!](62) 61 『道端の小石』。 そうだ。これは道端の小石が蹴り飛ばされた様とよく似ていた。 その小石とは『君』だ。 君はいとも簡単に宙空に放り出されてしまったのだ。 口からも耳からも血を舞い上げる君は、青く輝く月を見た。 君自身は突然のことに状況が理解できていなかったが、屋上から投げ出される寸前、聖剣が真っ二つに折れた瞬間だけは、目に焼き付いていた。 実際のところ、シャドードラゴンの胴体に剣が届くより前に、君はシャドードラゴンの巨大な槌のような腕に殴り飛ばされた挙句、長々とした丸太の如き尾の直撃を受けて屋上から投げ出されたのだ。 音はない。 これは耳がいかれたな、とぼんやり思う。 下を見ると、そこには暗く荒れた海があった。 赤毛の少年の剣は、シャドードラゴンに投げ捨てられてあの海の底に沈んでしまったのか。 そこで、「自分は落ちているのだ」と理解が追いついた。 瞼が重たい。視界も霞む。 何もかもがただのぼやけた色の塊にしか見えなくなった。 きっと骨も折れているし、全身酷い有様だろう。 体から力が抜け、折れたガラティーンが手から滑り落ちる。 死ねない。 生きたい。 生きていたい。 死にたくない。 ――でも。 %white% ・ %/% 自分は此処で死ぬのだろうか? %white% ・ %/% [落ちて行く](63) 62 **これで! 終わりだぁあああーーーッ!!!** 爪や尻尾を振り回し、炎を浴びせようと抵抗するシャドードラゴンの攻撃を掻い潜った君は、今の自分が持ち得る全ての力を出し切ってガラティーンを突き出す! 君の灼熱の想いに呼応し、ガラティーンの刀身に刻まれた神聖文字が太陽の如く光り輝くと、君はシャドードラゴンの胴体を焼き貫いた!! %red% **▲シャドードラゴン(FREE3)に20ダメージを与えた!!**%/% [やったか!?](64 "oFreeIII15-") [やったか!?](65 "oFreeIII14+") 63 %white% ・%/% **勇者よ。** %white% ・%/% 荘厳な声が聞こえた、ような気がする。 瞼を上げた瞬間、大小の光の欠片が風に舞い散った。 其処は昼とも夜ともつかない不思議な場所で、空が乳白色になったかと思えば、今度はインクを零した時のように濃青色へと移り変わる。それをゆっくりと繰り返している。 辺りを見回すと、幹から葉まで全てがぼんやりと発光する木々に囲まれ、流れる風に光の木の葉が優しく舞っていた。 その光の木の葉が君の足元に落ちた時、波紋が広がった。 君は黄金色に輝く水面に立っている。しかし、何処か夢見心地でぼんやりとした今の君は、そこまで意識が及ばなかったのだ。 此処は、どこだ……? ぽつんと呟く。 広大な空間にただ一人、君だけが此処にいた。 此処は何処か夢のようにも見えるし、もしかしたら死後の世界というやつなのかもしれない。 そんな風に思うほどに、此処は現実ではないような、ふわふわとした心地の場所だった。 %white% ・%/% **災厄の竜に立ち向かいし勇壮なる者よ。** %white% ・%/% 再び荘厳な声が聞こえた。 その声は様々な人の声が重なり、束ねられ、空間全体が発しているかのように響き渡る。 %white% ・%/% **我等は古よりカルーンを治めし歴代の王、其の魂なり。** **カルーンの外より来たりて災厄の竜と戦う者よ。** **其方は此処で死すべき運命に非ず。** **使命が果たされる其の時まで、理は其方の生を望むのだ。** **竜を滅し封ずる使命を帯びし者よ。** **カルーンの者に代わり災厄の竜に立ち向かう其方に、** **我等の力と亡きカルーンの民の想いを託す。** **さあ、眼を開けよ。** **そして――手にするが良い。** [目を開ける](66) 64 渾身の力を込めて突き出されたガラティーンは、シャドードラゴンの胴体を深々と刺し貫いていた。 そこから眩い光が溢れ出し、君は思わず目を瞑る。 膨張し続ける温かな光の中で、天を衝き、塔を揺るがすほどの断末魔の咆哮が響き渡った。 空が白み、朝日が差す。 その朝日が空間に満ちる光と合わさると、常闇に生きた竜の体は崩れ始め、塵となり、そして最後には虚空へ溶けて消えた。 %white% ・%/% ――これが、シャドードラゴンが滅びゆく様であった。 %white% ・%/% [夜が明けていく……!](67) 65 渾身の力を込めて突き出されたガラティーンは、確かにシャドードラゴンの胴体を刺し貫いた。 ――だが。 剣を突き出した格好のまま、君の口からは血が溢れ出す。 顎の先からぼたぼたと落ちる鮮血は、君の腹から生えた刃物の切っ先を更に赤く染め上げる。 脈打つように痙攣する君の背面。そこには闇の沼から生えたシャドードラゴンの巨大な爪が深々と刺さっていた。 空が白み、朝日が差す。 凄まじい断末魔の咆哮を上げるシャドードラゴンの巨躯が、砂の城が壊れるように黒い塵となって崩れてゆく。 血に塗れた巨大な爪が塵となって崩れると、君の体はどさりと仰向けに倒れた。 瞼が落ちかけた虚ろな瞳に空が映る。 夜の青と朝の金が溶け合い、そこに朝日の清々しい光が射し込む様の、なんて美しいことか。 血と汗に濡れた青白い顔は、何処か穏やかな微笑を浮かべていた。 君の瞳から光が消えてゆき、瞼がゆっくりと下がってゆく。 そしてとうとう、君の瞳に冷たい夜の帳が落ちた。 %white% ・ ・ ・ ・%/% ……誰かの泣き声が聞こえる。 ……誰かの怒鳴り散らす声が聞こえる。 ……だけど、もう、誰の声なのか判らない。 ……あぁ……。 ……セーナ姫……あとは、封印を………………。 %white% ・ ・ ・ ・%/% 斯くして、常闇から来たりし邪竜シャドードラゴンは、ソーサリアン『${name}』と差し違える形で斃され、その後セーナ姫の手により再び地底へと封印されたのだった。 %white% ・%/% 幾多の竜を滅し封ずる使命を帯び、散っていった者よ、 其の遺志は、志を同じくする者へと引き継がれるだろう。 常闇の竜を滅した勇者よ、どうか安らかに眠り賜え……。 %purple% **DRAGON MODE -ANOTHER END- 「シャドードラゴン・封印完了」**%/% ${if -r08:shadow}%red% ※一部の実績取得条件には、Scenario 2「ゼロの創造」の 実績取得率が関係しているものも含まれています%/% ${/if} 66 目を開けると落下の続きから再開する。 だが、先ほどとはまるで状況が違う。 君は黄金の光に包まれて、一振りの剣を目掛けて落ちていた。 穏やかな波に揺れる海は、キラキラと眩しく清らかな光が満ちていた。 その海面からは、赤毛の少年の剣でもなければガラティーンでもない、第三の剣の柄が突き出していた。 風を切り、落下しながら手を伸ばす。 海面から端整な男の姿が見えた。 君と同じ戦士風の出で立ちの男も、爽やかで希望に満ちた表情をしながら君を見つめている。 %white% ・%/% **ペンタウァの勇者よ! 其方の凛然と燃える強き意思を示せ!** %white% ・%/% 男の声が頭の中に流れ込む。 男の手が海面から突き出して、第三の剣を支えていたのだ。 %white% ・%/% **そして、この聖なる剣を引き抜くのだ! 我等がカルーンの亡き者達の遺志と共に!!** %white% ・%/% 君はぐいと更に手を伸ばす。 君の手と剣の柄が間近に迫り――**重なった!!** その瞬間、君と剣との間に黄金の光が収束して弾けた。 夜の闇に美しき黄金の輝きが満ち、君と剣の影が搔き消える。 君の体はもう落ちてはいない。 両足で海面に立ち、水中から差し出された黄金の煌きを帯びた剣の柄を握っていた。 剣を握る手から全身へと活力が漲り、傷が癒え、体の奥底から勇なる光が湧き出してくるのを感じる。 柄を力強く握り締め、君は咆哮した。 %white% ・%/% **ペンタウァの誉れ高き勇者よ…… 必ずやシャドードラゴンを斃してくれ……。 そして……姫様のお力に……。** %white% ・%/% 男の声が柔らかく響くが、それは次第に遠くなってゆく。 そして、その姿と声は、光の奔流の中に消えた。 男が最後に見せた表情は、とても穏やかなものだった。 黄金の輝きの中で、君は片手で豪奢な鞘を持ち、もう片方の手が握り締める『それ』を天高く翳す。 古より造られし魔力を秘めた銀から鍛えた遠き地の剣と、 邪なる者を滅する聖なる太陽の力を秘めし剣と、 カルーンの亡き人々の魂とが合わさり、生み出された一振りの奇蹟。 %white% ・%/% **王者の聖剣<エクスカリバー>** %white% ・%/% 其の剣が君の手の中に在った。 君は腰のベルト――元々は赤毛の少年から譲り受けた剣の鞘を提げていた――に新たな剣の鞘を差し入れた。 すると、黄金の光が君を伴い、その身を屋上へと導く。 その神々しい黄金の軌跡を描いて飛ぶ様は、流星のようであった。 **さあ、奴と決着をつけよう!** [最終決戦だ!](68) 67 死闘を繰り広げたシャドードラゴンは塵となって消え、辺りはしんと静まり返る。 君はゆっくりと立ち上がり、地上を照らす朝日に目を向けた。 空は夜の暗さを残す青と、朝の明るさを宿す黄金とに染め分けられ、その中で朝日が輝きを放つ幻想的な様をじっと見つめる。 まるで君の勝利を祝福するかのような、温かな色をした美しい光だった。 あぁ、なんて幻想的な光景なのだろう。 眺めていると、今まで緊張して張り詰めていた心が解き放たれていくようだ。 ${if f16} あっ……。 君は小さな声を上げた。 手に持った剣が、身に付けた盾と鎧が、淡く発光し始めたのに気付いたのだ。 ぼんやりとした光は次第に鮮明になり、剣も防具も光に包まれ、光の輪郭しか見えなくなっていた。 キラキラとした幾つもの小さな光が、ゆらゆらと揺れながら空へと昇って行く。 君は物寂しさを感じながらも、しかし、穏やかな目をしてその光の粒を見つめていた。 光が全て消えた。 王者の聖剣が消えた後には、折れた筈のガラティーンが元の形になって君の手の中に収まり、赤毛の少年から譲り受けた装備も消えてしまった。否、彼の装備は、きっと在るべき場所へと還ったのだろう。 きっとそんな気がする。……と、君は表情に小さく笑みを浮かべた。 ${/if} ${if f06,f15} あっ……。 君は小さな声を上げた。 手に持った剣が、身に付けた盾と鎧が、淡く発光し始めたのに気付いたのだ。 ぼんやりとした光は次第に鮮明になり、剣も防具も光に包まれ、光の輪郭しか見えなくなっていた。 キラキラとした幾つもの小さな光が、ゆらゆらと揺れながら空へと昇って行く。 君は物寂しさを感じながらも、しかし、穏やかな目をしてその光の粒を見つめていた。 光が全て消えた。 赤毛の少年から譲り受けた装備は、全て消えてしまった。否、きっと在るべき場所へと還ったのだろう。 きっとそんな気がする。……と、君は表情に小さく笑みを浮かべた。 ${/if} 「おーーーい!」 誰かに呼ばれて振り返る。 塔の内部への出入り口から、見知った人々がぞろぞろと屋上に上がってくる様子が見えた。 先頭には高く上げた片手をぶんぶんと振るテュモーと、彼に支えられて歩いてくるセーナ姫が。 その後ろにやや気だるそうな姿勢で歩くカメロンが。 更に後ろからはエレベーターの管理人オルムや、その彼に背負われておるクオレ婆さん、そして木のジョッキを持って赤ら顔でご機嫌そうな様子の……えーと、確か酒が飲めなくなってぐったりしてた鍵の番人おじさんだったか……? …………とにかく。 塔の中にいた多くの人々が、君とシャドードラゴンの戦いの終わりを察し、屋上まで駆けつけてきたのだ。 君も手を振り返しながら、ゆったりとした柔らかな足取りで皆の前へと歩いて行く。 そして、お互い向かい合う形で、先に皆の歩みが止まり、次に君が歩みを止めた。 皆は君に何か言いたそうで、しかし、それを堪え、君の言葉をじっと待っている。そんな期待に溢れた目をしていた。 美しく輝く朝日の中で、泣き出しそうな顔をしている者もいれば、目を細めて微笑む者、酒を飲んで豪快に笑っている者など、その様子は様々だ。 だが、全てにおいて共通しているのは、皆が皆、君の無事を心の底から喜んでいるということだ。 君は胸がじんわりと温かくなるのを感じながら、満面の笑みを浮かべて口を開いた。 %white% ・%/% 「ただいま」 %white% ・%/% ――そうして、君は次の瞬間には涙で顔をくしゃくしゃにしたクオレ婆さんとテュモーに抱きつかれたり、かと思えば酔っ払いに陽気に絡まれたりと、何だかもう祭りのように揉みくちゃにされながらも、しかし、君のその表情は安堵と大きな喜びに満ち溢れていたのだった。 [次は封印だ](69) 68 空は白み始めていた。 夜の闇を好むシャドードラゴンは、塔を破壊し、陽の光が届かぬ地へと戻ろうとでも言うのか、炎を吐き、地響きを立てながら塔の内部へと続く通路の方へと歩みを進めているが……そうはさせるか! 黄金の導きは、君の意思に応えて速度を増す。 君は黄金の軌跡を残しながら、シャドードラゴンを軽々と飛び越えると、その往く手を阻むよう力強く屋上へと降り立った。 君を包む黄金の輝きが、君の握る王者の聖剣に結集し、その刀身が更に眩く光り輝く。 その清浄なる光は、シャドードラゴンが発する闇の瘴気を吹き飛ばし、消し去った。 しかし、シャドードラゴンは怯まない。 矮小なる人間如きがと侮ってでもいるのか。それとも、キングドラゴンの混沌に冒され、既に自我を失っているのか。 言葉を喋らぬ竜の事情は解らない。だが、揺るがぬものが一つある。 君は眼前に迫り来る竜を見据え、王者の聖剣を構える。 全身に満ち溢れる活力を、刀身に循環させるイメージで。 そして、それを強く握り締め―― 床石を蹴り上げ、跳ぶ! 常闇から来たる影よ。 暗黒竜の楔を抜く悪しき竜よ。 人間の意地と魂の想い、 この一撃を以ってその身に受けよ! %white% ・%/% **一刀両断!** %white% ・%/% 獅子の咆哮が如き雄叫びの下、渾身の力を込めて王者の聖剣を振り下ろす。 闇色の巨躯の中心に、上から下へと雷が走り抜け、断面から黄金の粒子が飛び散った。 君が剣を振り抜き、再び石床へと降り立った時、勝敗は決した。 塔を揺るがすほどの断末魔の咆哮。 その闇色の巨躯が山々の間から覗く陽に触れて灰と化す。 闇の残滓が膨張と収縮を繰り返し、黄金の光に包まれ、弾け、霧散した。 %white% ・%/% ――これが、シャドードラゴンが滅びゆく様であった。 %white% ・%/% [夜が明けていく……!](67) 69 君はカメロンから謝罪と共に返還された自分の装備を身に着けて、セーナ姫とカメロン、そしてテュモーと共に塔の地下――元々シャドードラゴンが封印されていた地底に来ていた。 皆の話によると、塔を襲う魔物が急に消え、酒の滝も復活したのは、君がシャドードラゴンを斃した直後だったらしい。 つまり、塔の地下も今やすっかり元に戻り、あの迷宮は影も形もなくなったのである。 君達はシャドードラゴンが封印されていた跡地に到着した。 セーナ姫の様子を見守るように、君とカメロンとテュモーは、彼女より少し離れたところに立っている。 セーナ姫がペンダントを手に封印の言葉を唱えると、彼女の前方に何処からともなく塵のようなものが集まり出し、それらが一つに集約する。 そしてセーナ姫が一際大きな声で封印の言葉を唱えた時、眩い光が辺りを照らし、甲高い音が響き渡ると共に黒い不定形の塊が結界の中に閉じ込められた。 セーナ姫が振り向いた。 「シャドードラゴンの封印が終わりました」 静かな口調でそう告げた彼女の表情は、疲れこそ滲んではいたが、しかし、本懐を遂げたという確かな安堵も窺い知れた。 「これで、終わったんだよな……」 結界を見つめながら、テュモーはぽつりと呟いた。 カメロンは無言だったが、それに答えるようにテュモーの肩に手を乗せた。 ああ、これで終わったんだ……。 結界に封じられた黒い塊に、あの決戦の出来事を次々と思い出した君は、感慨深げにそう呟いた。 ……と、その直後だ。 %white% ・%/% **よぉ、シャドードラゴンを封印したんだな! おめでとう! そしてお疲れさん!** %white% ・%/% 突如、気さくな声が聞こえてきた。 君とセーナ姫は驚いて顔を見合わすが、唯一カメロンとテュモーだけは天井辺りを見回していた。 「ゾーク! ゾークなんだろ!?」 「ゾーク兄貴!?」 カメロンとテュモーの叫び声が重なった。 しかし、姿の見えない声の主は「さてね」と冗談めかす。 %white% ・%/% **テュモー、今回は頭領代理だったんだってな。ご苦労さん。 あとは頭領にたっぷり恩を売って、分け前も増やしてもらうと いいぜ。** **それで、頭領さんよ。 あんまりテュモーやクオレ婆さん達を心配させるなよ? あんたは青い風の頭領なんだからな、 皆としっかりやるんだぜ。** **……だけど、まぁ、 仇を取ってくれてありがとうな、相棒!** %white% ・%/% その言葉を最後に、地底に再び沈黙が戻る。 まさに風が吹き抜けていくように、颯爽と始まり、颯爽と終わった時間だった。 テュモーはぐすぐすと鼻をすすりながら、カメロンは無言のまま、ただじっと天井を見つめていた。 だが、君達の方へと向き直ると、二人は肩を組み、目を赤くしながらも屈託なく笑った。 「さぁ、今日の夜は宴だ! 英雄を労う宴を開くぞ! それまでゆっくり体を休めてくれ!」 「宴にしては食べ物は少ないだろうけど、 酒なら、ほら、うちは飲み放題だからさ! 今日は皆でじゃんじゃん飲もうぜ!!」 明るく笑ってみせる彼等の様子に、君もセーナ姫も少し気圧されてしまったが、それでも、彼等の気持ちを汲み、笑みを浮かべて互いに頷くのだった。 まぁ、そんなこんなで騒ぎ立てていると、奥の部屋から出てきた見覚えのある老人に「ワシの住処でうるさいぞ小僧共! さっさと謎を解いてこい!」と怒られてしまった訳なのだが、君にとってはそれもまた嬉しい再会の瞬間なのであった。 [ENDING](70) 70 朝露が陽の光を受けて煌めき、密やかに溢れる。 君がシャドードラゴンを斃し、セーナ姫がシャドードラゴンを封印した次の日の朝。 君は塔の住人とセーナ姫に見送られる中、すっかり静かになった塔を後にした。 皆には「もっとゆっくりしていけばいいのに」と別れを惜しまれたし、自分自身も皆と酒でも酌み交わしながら陽気に冒険の話をしていたいという気持ちも確かにあった。 だが、<キングドラゴン>の封印が全て解かれるのは時間の問題だ。そうのんびりと疲れを癒している訳にもいかないのである。 まずはペンタウァに帰還し、王にシャドードラゴン封印の報告をしなければならない。 塔の住人が使う伝書鳩をペンタウァに飛ばしてもらい、先に最小限の報告だけはしておいたのだが、それよりも早く宮廷魔道士エティス辺りが既にシャドードラゴンの封印を察している予感がする。 事が事だ。佳い報せは早々に伝わった方が良い。 竜の脅威に怯え、不安を抱いて暮らす人々の心に、この身を照らす朝日のような清々しい光が射すのは佳いことなのだから。 斯くして、常闇から来たりし邪竜シャドードラゴンは、ソーサリアン『${name}』の勇壮なる活躍を以って斃され、再び地底へと封印されたのだった。 %white% ・%/% 幾多の竜を滅し封ずる使命を帯びし者よ、 その苦難の道に大いなる祝福があらんことを! %blue%**DRAGON MODE「シャドードラゴン・封印完了」**%/% ${if -r08:shadow}%red% ※一部の実績取得条件には、Scenario 2「ゼロの創造」の 実績取得率が関係しているものも含まれています%/% ${/if}