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Presented By SORCERIAN Next team.
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2017-2020, SORCERIAN Next Team
0 「この中に裏切り者がいる」 アゾルバ国王クリフト4世は、唐突に言い放った。 「余をたばかろうとする輩がいるのだ」 円卓の間は、一気に騒然となった。 当然だ。 近隣諸国や蛮族との戦いにそなえて、クリフト王自身が集めた人材なのだから。 その中に裏切り者がいるとなると、これは大問題だ。 諸外国との戦争時に反旗を翻されては国の浮沈に関わる。 「それは一大事ですぞ。いったい誰が」真っ先に声に出したのは、宰相のマレー。真剣な面持ちで王に向き直っているが、王宮内での権謀術数に最も秀でているのもこの男である。 「諸国との関係は悪化しつつあり、国境線は一触即発の緊張に満ちています。この現状で内部にも問題を抱えるのは得策ではありませんね」そう指摘したのは、軍師を務める王宮付き魔法使いヴェルメリオ。内外の情報に通じている彼女が、その情報を握っていないとは珍しい。 「ふん。裏切った時点で首を撥ねればよい。何を臆することがあるか」意にも介しないのは、戦士長ルフト。武術全般に優れた武人だ。無手で相手を仕留める技にも長けており、暗殺の実行能力で言うなら彼が一番手だ。 「単細胞は気楽でいいな」そう言って戦士長ルフトをあざ笑ったのは、騎士団長フィアンマ。戦術に秀でており、集団戦においてはルフトよりも能率的に相手を殺すと言われる戦乙女だ。 「互いの疑心をあおってどうする」何か言い返そうとした戦士長を手でさえぎったのは、神官長ボウサイト。彼は常に穏やかで、相手を諭し説得するのがうまいが、その超然とした態度ゆえ何を考えているか読めないところがあるのも事実だ。 「互いに疑い、しまいにゃ殺し合い……ってね」韻を踏んで茶化したのは、道化師ヴェルンド。もともとは遠方から来た稀人で、その人脈と知識を生かして城に良質の武器を納めているらしい。が、彼が素性の知れない人物であるのは間違いない。 ……以上が、アゾルバ国に客人として招かれ、ここまで王宮内を観察してきた自分の分析だ。 そう。 王の杖を奪還したペンタウァの勇者にして、ウィルードに再び風をもたらした賢者、そして竜を狩る者として名を上げてきた結果、自分はアゾルバの王宮に招かれたのだ。それは、この国に邪悪なる竜の影が差しているとの噂ゆえだった。 たしかに暗鬱とした雰囲気の中に、竜の邪悪な気配を感じないでもない。 だが確信もないのだ。 「そなたは、どう思う」 アゾルバ国王クリフト4世は、問うてきた。 [そのとおりだ。邪悪な気配を感じる。](1) [どうだろうか。邪悪な気配は感じるが。](2) 1 「そのとおりだ。邪悪な気配を感じる」と断じてみた。 「やはりそうか」王が応じた。 「安易な推測を述べるでない」宰相マレーがたしなめる。 「客人の分際で生意気な」戦士長ルフトの鼻息は荒い。 感覚だけでは説得力に欠ける。 ここは確たる証拠を突きつける必要があるだろう。 [調査を請け負う](3) 2 「どうだろうか。邪悪な気配は感じるが」と懸念を示してみた。 「やはりそうか」王が応じた。 「そなたは竜に詳しいと聞く。ぜひ調査した上で意見をもらいたいものです」王宮付き魔法使いのヴェルメリオが、冷静に言葉を選ぶ。 「たしかに外部の者であれば、客観的に判断してもらえるかもな」騎士団長フィアンマも賛意を示した。 ここは調査を引き受けるべきだろう。 [調査を請け負う](3) 3 「では${name}よ。客人に頼るのも申し訳ないが、どうか力をお貸し願いたい」神官長ボウサイトが、正式に依頼してきた。 「ま、死なない程度に必死にがんばりな」道化師ヴェルンドが、意味の分からない励ましの言葉を送ってくれた。 「うけたまわった」 「次の週末が来るまでには、答えを聞かせてくれるかな」と王。 どうやら猶予は5日間ということらしい。 さっそく調査を開始した。 まずは…… [宰相のマレーと話をする](11) [魔法使いヴェルメリオと話をする](12) [戦士長ルフトと話をする](13) [騎士団長フィアンマと話をする](14) [神官長ボウサイトと話をする](15) [道化師ヴェルンドと話をする](16) [国王と話をする](17) [じっくり熟考する](18) [王宮内を探索する](19) 4 ひとまず、今日の調査はここまでだ。 一晩、ゆっくり休むことにした。 そして…… [2日目になった](5 "f3&-f4") [3日目になった](6 "f4&-f5") [4日目になった](7 "f5&-f6") [5日目――調査最終日だ](8 "f6") 5 調査二日目。 すでに不穏な空気が漂っていた。 道化師ヴェルンドが、腕に包帯を巻いていた。 「いやあ。死ぬよりゃマシだが、マジで死にそうだなぁ」 どうやら、地下牢や宝物庫の周辺をウロウロしていたところを、戦士長ルフトに咎められ、痛めつけられたらしい。 さすが道化だ。 ――道化が怪しい? いや、同僚を攻撃した戦士長も同様か。 疑惑の目で見ると、全員が怪しく見えてくる。 だが、妄想ばかり逞しくしていても仕方がない。 調査を再開しよう。 今日は…… [宰相のマレーと話をする](11) [魔法使いヴェルメリオと話をする](12) [戦士長ルフトと話をする](13) [騎士団長フィアンマと話をする](14) [神官長ボウサイトと話をする](15) [道化師ヴェルンドと話をする](16) [国王と話をする](17) [じっくり熟考する](18) [王宮内を探索する](19) 6 調査三日目。 宰相のマレーと、軍師のヴェルメリオとが、激しく議論していた。 「だから、自白剤入りの薬草酒を出せば。解決すると言っている! 人体に害はない。本音が表に出てくるだけだ」 「宰相は毒や薬物に頼りすぎです。全員が揃った場で精神に働きかける呪術を使えばよいではないですか。その方が人体に無害です」 「いやいや。むしろ呪術の方が宮廷を侮辱している。強制的に吐かそうとするなどとは……」 「宰相どのは、極端に何かを恐れているようだ。何か後ろめたいことでも?」 「む。そういう宮廷魔術師どのも、自分の領域ではない策には賛同できないと見える。薬物の影響を排する魔術はないのかね?」 「何を!」杖を握り直すヴェルメリオ。 「やる気か?」懐に手を入れるマレー。 「宰相風情が魔術師とやりあえるとでも?」 「この私に策がないとでも?」 そこでしばらく二人は睨み合い、その後同時にため息をつき、そして逆方向に歩き去った。 こちらも調査を再開しよう。 今日は…… [宰相のマレーと話をする](11) [魔法使いヴェルメリオと話をする](12) [戦士長ルフトと話をする](13) [騎士団長フィアンマと話をする](14) [神官長ボウサイトと話をする](15) [道化師ヴェルンドと話をする](16) [国王と話をする](17) [じっくり熟考する](18) [王宮内を探索する](19) 7 調査四日目。 事態は、いよいよ急展開を見せていた。 騎士団長フィアンマは利き手から血を流しており、神官長ボウサイトは首筋に赤い歯型をくっきりとつけていた。 もう誰も彼もが怪しく、裏切り者に見えてくる。 被害者も増えてきた。残された時間も少ない。急がなければ。 調査を再開した。 今日は…… [宰相のマレーと話をする](11) [魔法使いヴェルメリオと話をする](12) [戦士長ルフトと話をする](13) [騎士団長フィアンマと話をする](14) [神官長ボウサイトと話をする](15) [道化師ヴェルンドと話をする](16) [国王と話をする](17) [じっくり熟考する](18) [王宮内を探索する](19) 8 調査最終日。 さすがに王もしびれをきらしている。 そろそろ裏切り者を指摘しなければなるまい。 「では、教えてもらおうか。裏切り者は誰なのか」 [宰相のマレーだ](21) [魔法使いヴェルメリオだ](22) [戦士長ルフトに違いない](23) [騎士団長フィアンマに違いない](24) [神官長ボウサイトが裏切り者だ](25) [道化師ヴェルンドが裏切り者だ](26) [国王その人が裏切り者だ](27 "i1") [全員が裏切り者だ](28 "i1,i2") [ここに裏切り者はいない](29) 9 話題に出ていた宝物庫の周辺を探ってみると、魔法使いヴェルメリオと騎士団長フィアンマが扉周辺で会話していた。 「やはり例の槍は相当な神力が付与されていると見ていいでしょう」と魔法使い。 「興味は尽きないが相性が悪そうだ。触れるだけでこちらが怪我をしそうでな」と騎士団長。 「怪我をすると言えば、あの女だ。我々の懸案のモノを体内に取り込んでしまうとは」 「だが結局、誰も手に触れられぬのだ。河を挟んでお互いにらみ合うだけなら、不利にはなるまいよ」 しばらく会話したのち、二人は歩き去っていった。 扉の前でしばしたたずむ。国家の宝物庫を解錠できるとは到底思えない。いやいや、何を考えているんだ? 自分は。 そのとき、 「開けてやろうかい?」 と声が上がった。 自分の心臓も飛び上がった。 背後に道化が立っていたからだ。 「興味津々、といった感じだね」と笑っている。 「でも、それは反逆行為に値するのでは?」 「いやいや。道化とは下剋上を楽しむことと見つけたり」 「何だって?」 「いやいや、お気になさらず。さあさあ、お気に召すまま」 カチリ。 あっさりと解錠した道化は、跳ねるように軽やかに、しかし音を立てずに去っていった。 凄まじかったのは、宝物庫の中だ。 各地から(きっと半ば強引に)かき集められたであろう金銀財宝や武具、魔導器のたぐいが無造作に転がっている。まるで光り物好きな竜の洞窟のようだ。 その中で唯一無造作に、厚い布にまるめて転がっている長物が目に入ってきた。あまりに普通すぎて逆に目を引いたのだ。 そっと布を開いてみる。 すると、突如強烈な殺戮の気がソレから溢れ出すのが分かった。 強大な敵を相手にすることだけを考えて魔力を付与された魔槍。 「ドラゴンランス……?」 ふと各地の冒険で聞いた名を口にする。 ――いいえ。残念ながら、これはそのレプリカです。ですが、そなたの役には立つことでしょう。 どこかから精霊の声をきいた気がした。 ――これを大地に突き刺せば、周囲にいる竜の動きを封じることができます。一度突き立てたら、その場に半永久的に力場が発生しますが、引き抜いてしまうとその魔力は永遠に失われてしまいます。使い所をよく考えて使いなさいな。 ――どうか、この王城に渦巻く邪気らが祓われんことを。 邪気……ら? ドラゴンランスJrを手に入れた! [調査終了](4) 10 話に聞いた牢屋へとやってきた。 牢番は一瞬、けげんな顔をした。 「あの好き者の道化だけは入れるなと言われてるけんど、道化でなけりゃあいいんでないかいな」 面白いやつだが、牢番としてはいかがなものか。 しかし、とにかく中に入れるのだ。感謝しなければなるまい。 牢屋には、明らかに荒くれ者や盗っ人のような罪人に混じって、場に似つかわしくない女性の囚人もいた。 一番奥の大きな牢に入っていることを考えると、営倉扱いなのかもしれない。 その若い女性は、口から血を流しながらうなだれていた。暴行を受けたのか、噛み付いてやり返したのか。しかし憔悴してはいるものの、目の光は失われてはいなかった。 そしてその目が、こちらを値踏みするように鋭く動いた。 「! 名のある勇者さまと見ました。どうか……この力を」 女性がそういった途端、女性の体内から輝く一振りの剣が浮き出てきた。 「これは……!」 「かの魔剣ドラゴンスレイヤーを模して作られた剣です。レプリカとはいえ、一度なら竜に対し本家竜殺しに匹敵する力を発揮すると言われています。この力で……この国の王に取り付いた邪気を祓ってください」 そう言って、女性は気を失った。 ――今……王に取り付いた、と言ったのか? ドラゴンスレイヤーJrを手に入れた! [調査終了](4) 11 「人は私を毒蛇か何かのように思っているようだがな」宰相のマレーは苦笑いして言う。「むろん、宮廷内部で発言力を高めるためには、多少の手練手管は必要だがね」 「今回の件、どう思いますか」 「どう思うかではない。どう生き残るかだよ」 [調査終了](4) 12 「アゾルバは新進気鋭の国家です」王宮付き魔法使いにして軍師のヴェルメリオは、落ち着いて言葉を選ぶ。「各地から武具や魔導器のたぐいを収集し、優秀な人材を招集し、知恵を結集して国力を最大にせんと動いています」 「そのぶん、競争も激しいのでは?」 「かもしれません。かくいう私も結果を出して武具や魔導器の魔力について研究したいと思っていますから。でも、それも含めて国が強くなるための戦略ですから、健全な競争はしかるべきと考えますけれどね」 [調査終了](4) 13 「富国強兵って言うそうだぞ」戦士長ルフトは、王や宰相の言葉を思い出しながらしゃべっているようだ。「最近、家臣が一新されたのさ。もちろん、俺も取り立てられた身だから文句は言えんが、一部の家臣や道化の動きはどうも怪しくてならん」 「何が怪しいんです?」 「うむ。例えば道化のヴェルンドだ。どうも捕虜を閉じ込める牢屋をこっそり調べているフシがある。それから騎士団長のフィアンマも怪しいな。あいつは武具に頼る傾向がある。城内に保管されている強力な武具でも狙ってるんじゃないか」 [調査終了](4) 14 「あたしは何事も正々堂々とした戦いで決するのが流儀であると考えている」騎士団長フィアンマは、右手に大きな手甲を装着しながら答えた。「強力な武具に恥じぬような騎士でありたいと考えているのさ」 「その頑丈そうな手甲は?」 「右手に強力な槍を装備しても、軸線がぶれたり、反撃を受けたりしないための防護策だよ。魔力攻撃も軽減できるようになっている」 [調査終了](4) 15 「私は信仰をあまねく流布することに全人生をかけていてね。正直、宮廷内の陰謀にかかずらわっている暇はないのですよ」神官長ボウサイトは首筋をさすりながら言った。「信仰には邪神に若い女性の生贄を捧げたりするものもあるようだが……そんなことをしなくても信者が増えるのが最善手でね」 「宮廷内に怪しい人物はいますか」 「その疑心暗鬼が、本当の鬼や竜を呼び寄せるのだよ。安易に王の言葉を真に受けるべきではないと思うがね」 [調査終了](4) 16 ふだんの道化師ヴェルンドは、存外言動が落ち着いていた。 「で、何が聞きたいって?」 人懐っこいような、それでいて人を品定めするような、不思議な目線でこちらを覗き込んでいる。 「きみに聞くのもどうかとは思うが、誰が怪しいと思うかい?」 「いいね。その前置きがね」ヴェルンドは少し間を置いた。「この王城には各地から人や物が流れ込んできている。結構、強引な手口だったと聞くけどね」 「となると、王のそういった強引なやり口に反感を持つ者もいた?」 「どうかな。切磋琢磨……というか、他を押しのけてでも実権を握ろうという野心家ぞろいだからね。信賞必罰は、むしろ歓迎されるところじゃないのかな。宝物庫には珍しい金品武具が転がってるらしいからね」 興味深い話だ。 [調査終了](4) 17 「王自身は、誰が怪しいと考えておられるのですか?」 「全員だ」王は即答した。「富国強兵のため、各地から飛び抜けた潜在能力を持つ人材を結集した。ゆえにみな野望を抱いていることだろう。いざとなれば、余みずから力でひれ伏させて見せようとは思うが、陰謀を看破できるに越したことはないからな」 なるほど。 「だいたい、余ではなく他の者に話を聞くべきであろう」 王は少しいらだっていた。 「見つけたら牢に閉じ込めて、永遠の業苦というものを教えてやらねばならん」 [調査終了](4) 18 考えてみると、全員が怪しい。 しかし、確たる裏切り者としての証拠もないのだ。 いったい『誰が』裏切り者なのだろうか。 占い師の神託でも何でもいい。 その者を絞り込む、何らかの手がかりがほしい。 決定的な手がかりが…… [熟考終了](4) 19 王宮内を探索してみる。 広い王城はきらびやかさよりも勇壮さを重視されており、装飾を施すよりは、狩りの獲物の剥製や武具などを壁に掲げる傾向にある。 実利を取る強国の機運が、よく伝わってくる。 が、特段怪しいところがあるというほどでもなかった。 何か具体的な情報でもあれば、調べる場所が絞り込めるのだが。 [そういえば、宝物庫の話題が出ていた](9 "f1") [たしか、牢屋があるということだった](10 "f2") [調査終了](4) 20 食べては歌い、飲んでは踊り、そして夜は更けていった。 ホール並みの広さを持つ豪華な個室をあてがわれ、寝床につきながら思う。 次は、どの街へ行こうか。同じく異変が起こっているというペンタウァへ帰るか、それともたまにはウィルードの様子を見に行ってみるか。悩むところだ。 ――では、黄泉の国などは、いかがかな。 返事が帰ってきたことに驚き飛び上がると、周囲には巨大な影が並んでいた。なんという不覚か。飲み食いのあげく熟睡している間に、何体ものドラゴンに囲まれてしまっていたのだ。 ――独善的なヴァイデスが死んだことで、今後は我々がアゾルバから全土を支配する。お前の役目は、ここまでだよ。 広い個室をあてがわれたのはこういうことか、と察した瞬間、四肢と頭部が無数の竜によって食いちぎられていた…… 21 「宰相のマレーだ」 そう宣言したと同時に、宰相の身体が変貌しつつあった。 「見事だ……」王は巨大な影を見上げながら言った。「もし、こやつを討伐できるなら、さらに良いのだが」 王宮の中央には、蛇竜ヒドラが鎮座していた。 勇者よ。戦い、勝利せよ。 [討伐完了](30) 22 「魔法使いヴェルメリオだ」 そう宣言したと同時に、軍師の身体が変貌しつつあった。 「見事だ……」王は巨大な影を見上げながら言った。「もし、こやつを討伐できるなら、さらに良いのだが」 王宮の中央には、赤竜レッドドラゴンが鎮座していた。 勇者よ。戦い、勝利せよ。 [討伐完了](30) 23 「戦士長ルフトだ」 そう宣言したと同時に、戦士長の身体が変貌しつつあった。 「見事だ……」王は巨大な影を見上げながら言った。「もし、こやつを討伐できるなら、さらに良いのだが」 王宮の中央には、天龍ティエンルンが鎮座していた。 勇者よ。戦い、勝利せよ。 [討伐完了](30) 24 「騎士団長フィアンマだ」 そう宣言したと同時に、騎士団長の身体が変貌しつつあった。 「見事だ……」王は巨大な影を見上げながら言った。「もし、こやつを討伐できるなら、さらに良いのだが」 王宮の中央には、炎竜ファイアードラゴンが鎮座していた。 勇者よ。戦い、勝利せよ。 [討伐完了](30) 25 「神官長ボウサイトだ」 そう宣言したと同時に、神官長の身体が変貌しつつあった。 「見事だ……」王は巨大な影を見上げながら言った。「もし、こやつを討伐できるなら、さらに良いのだが」 王宮の中央には、邪神ザンダーが鎮座していた。 勇者よ。戦い、勝利せよ。 [討伐完了](30) 26 「道化師ヴェルンドだ」 そう宣言し、素早く武器を振るう。 「……り……な」 床にくずおれた道化は、なにか言葉を発そうとしたが、すぐに息絶えた。 「よくぞ、依頼を果たしてくれた。正直、余も怪しいと思っていたのだ」 王は、非常に満足げな表情で称えてくれた。 十分な報酬を受け取り、王宮を去る。 ロマンシア国への街道を歩きながら考える。本当に道化が裏切り者であったのか実は十分な証拠はないのだが、まあ満足いく結末だ。 生きて陰謀渦巻く王宮を抜け出せたことこそ成功と言える。 生きていてこそ、次の冒険へと進めるというものだ。 さて。 明日の風は、どこに吹くかな。 27 「裏切り者は……国王その人だ!」 一瞬、王宮内が凍りついた。当然だ。なんという不遜な指摘か。 その場で首を刎ねられてもおかしくない言動だ。 しかし宣言したその瞬間、王の身体に異変が起こり始めていた。 体は巨大化し、長い胴体を持つ邪竜へと変貌しつつあったのだ。 「まさか……本当にそうだとは」 家臣の誰かが、震えた声でうめく。 さあ。正念場だ。ここで食い殺されては意味がない。 ドラゴンスレイヤーJrを引き抜いた。鞘から放たれた瞬間から場に満ちる殺戮の気。邪竜ヴァイデスは目を見開いた。 「その輝きは……まさか、ドラゴンスレイヤー!?」 「残念ながら、そのレプリカだそうだ。込められた魔力には限界があり、竜一頭を屠るとその役目を終えて砕け散るという。だが……それで十分だろう?」 「不遜な人間め! やれるものなら殺ってみるがよい!!」 叫ぶ邪竜に、王の威厳はもうない。 「そうするさ!」 竜を狩れ、勇者よ。 [討伐完了](32) 28 「裏切り者は……全員だ!」 高らかに宣言し、ドラゴンランスJrを王宮の床の大理石に突き立てる。 その場にいる全員が、いかづちに打たれたように全身を硬直させる。 ――竜槍が効くということは、全員ドラゴンということだ! かつて、いかに強力な竜であろうと動きを封じたというドラゴンランス。そのレプリカと言えど、竜の眷属を一時的に封じるだけの力は十分に持っていた。その力を恐れるゆえ、またその力を手にした者が他より優勢になるがゆえ、アゾルバ王に扮したヴァイデスは王宮内に隠していたのだ。そして、その力関係を覆すべく、他の竜たちも身を扮して王宮内へと潜入していたというわけだ。 「ふ……ふふふ。面白い。まさか、かき集めた家臣の全員が、余に仇なそうという他の竜たちだったとはな」 すでに王も家臣たちも、その正体たる竜の姿を現しつつあった。ドラゴンランスの力を跳ねのけるためには、本領を発揮せざるを得ないのだろう。しかし、実際に動けたのは王に扮した邪竜ヴァイデスだけであった。 「危険ゆえ、その槍を回収し封印していたのだ。余が対策を取ってなかったとでも?」 偽りの王にして邪竜ヴァイデスは、せせら笑う。 「では、この対策も取っていたかな」 ドラゴンスレイヤーJrを引き抜いた。鞘から放たれた瞬間から場に満ちる殺戮の気。邪竜ヴァイデスは目を見開いた。 「その輝きは……まさか、ドラゴンスレイヤー!?」 「残念ながら、そのレプリカだそうだ。込められた魔力には限界があり、竜一頭を屠るとその役目を終えて砕け散るという。だが……それで十分だろう?」 「不遜な人間め! やれるものなら殺ってみるがよい!!」 叫ぶ邪竜に、王の威厳はもうない。 「そうするさ!」 竜を狩れ、勇者よ。 [任務完遂](33) 29 「全員違う」 「ほう。では、これまで起こった事件については、どう説明する気だ」 王の追求は容赦ない。 「いや、それは……」 十分な説明をすることができなかったため、王宮を追われてしまった。 とぼとぼとロマンシア国への街道を歩く。 しかし考えようによっては、それほどひどい結末でもない。 生きて陰謀渦巻く王宮を抜け出せたのだから。 生きていてこそ、次の冒険へと進めるというものだ。 さて。 明日の風は、どこに吹くかな。 30 「よくぞ裏切り者を見抜き、倒してくれた。これでアゾルバの未来は憂いなきものとなろう」 王は高らかに宣言し、盛大な宴を催すよう指示した。 「今夜は戦いを忘れて、存分に楽しみ、ゆっくりと休まれるがよい」 伝説がまた一つ、生まれたのだ。 [そして……](31) 31 食べては歌い、飲んでは踊り、そして夜は更けていった。 ホール並みの広さを持つ豪華な個室をあてがわれ、寝床につきながら思う。 次は、どの街へ行こうか。同じく異変が起こっているというペンタウァへ帰るか、それともたまにはウィルードの様子を見に行ってみるか。悩むところだ。 ――では、黄泉の国などは、いかがかな。 返事が帰ってきたことに驚き飛び上がると、眼の前に巨大な影が立っていた。なんという不覚か。飲み食いのあげく熟睡している間に、別のドラゴンに不意を突かれてしまったのだ。 ――これで、この国は余ヴァイデスのもの…… 広い個室をあてがわれたのはこういうことか、と察したときには頭部を食いちぎられていた…… 32 「よくぞ裏切り者を見抜き、倒してくれた。これでアゾルバの未来は憂いなきものとなろう」 なんとか生き残った家臣たちは高らかに宣言し、盛大な宴を催すよう指示した。 「しかし、まさか王自身が裏切り者だったとはな。今夜は戦いを忘れて、存分に楽しみ、ゆっくりと休まれるがよい」 伝説がまた一つ、生まれたのだ。 [そして……](20) 33 「よくもまあ、裏切り者を見抜いて、そのうえ倒したものだね。目下、深刻な人材不足ながら、ま、アゾルバ国は徐々に良くなっていくことだろうね」 家臣の中で(実は)唯一人間だった道化師ヴェルンドが、笑いながら話しかけてくる。話し方も道化調ではなく、普通の人間らしくなっている。いや、少し東方訛りがあるかな? 「ドラゴンランスを驚異に感じて他の竜は逃げ出したし、城内に囚われていた姫も、おかげで見つけ出すことができた」 そうか。姫を救えたなら良いことだ。しかし、道化がなぜ、そんなことを? そのとき道化ヴェルンドが、朗々たる声で宣言した。 「イルスランが第8王子、ファン・フレディがこの場を預かる。姫とともにアゾルバ国が落ち着くまで、亡き王に代わって国務に従事しようと思うが、不服のあるものは今ここで申し立ててくれ」 なんだって? 東方の王国イルスランの第8王子ファン・フレディ? なるほど……そういうことだったのか。 とにかく、伝説がまた一つ生まれた。 が、ここは新王の執政を後押しするため、彼に手柄を預けることにした。 「ドラゴンスレイヤーJrは砕け散ったが、ドラゴンランスJrは引き抜かない限り王城を竜の侵略から守ってくれるはずだ。アゾルバの繁栄の象徴としてくれ」 「ありがたい。君の手元には何も残らなくて申し訳ないが……」 ファン・フレディ新王は言葉を濁したが、それを手を振って否定する。 「気にしないくれ。すでにいくつかの名声は得ているし、本当のドラゴンスレイヤーを探して、また旅に出るさ」 アゾルバを出て、ロマンシアへの街道を歩きながら、遠く澄んだ青空を見上げて思う。 次は、どの街へ行こうか。同じく異変が起こっているというペンタウァへ帰るか、それともたまにはウィルードの様子を見に行ってみるか。キングドラゴンが復活しただとか、他の竜たちの動きも活発になってきたなどという不吉な噂も聞く。 いずれにしろ、この広い世界では、冒険には事欠かないのだ。 次の戦いが待っている。 ・次のドラゴンモードシナリオへ進め。